警察犯処罰令

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内務省令第十六號

警察犯處罰令左ノ通リ之ヲ定ム

明治四十一年九月二十九日
内務大臣 法學博士男爵平田東助
警察犯處罰令

第一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三十日以下ノ拘留ニ處ス

一 故ナク人ノ居住若ハ看守セサル邸宅、建造物及船舶内ニ潛伏シタル者
二 密賣淫ヲ爲シ又ハ其ノ媒合若ハ容止ヲ爲シタル者
三 一定ノ住居又ハ生業ナクシテ諸方ニ徘徊スル者
四 故ナク面會ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行爲ヲ爲シタル者

第二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三十日以下ノ拘留又ハ二十圓以下ノ科料ニ處ス

一 合力、喜捨ヲ強請シ又ハ強テ物品ノ購買ヲ求メタル者
二 乞丐ヲ爲シ又ハ爲サシメタル者
三 濫ニ寄付ヲ強請シ又ハ收利ノ目的ヲ以テ強テ物品、入場券等ヲ配布シタル者
四 入札ノ妨害ヲ爲シ又ハ共同入札ヲ強制シ若ハ落札人ニ對シ其ノ事業又ハ利益ノ分配若ハ金品ヲ強請シタル者
五 他人ノ業務ニ對シ惡戯又ハ妨害ヲ爲シタル者
六 新聞紙、雜誌其ノ他ノ方法ヲ以テ誇大又ハ虚僞ノ廣告ヲ爲シ不正ノ利ヲ圖リタル者
七 新聞紙、雜誌其ノ他ノ出版物ノ購買又ハ廣告掲載ニ付強テ其ノ申込ヲ求メタル者
八 申込ナキ新聞紙、雜誌其ノ他ノ出版物ヲ配布シ又ハ申込ナキ廣告ヲ爲シ其ノ代料ヲ請求シタル者
九 祭事、祝儀又ハ其ノ行列ニ對シ惡戯又ハ妨害ヲ爲シタル者
十 自己占有ノ場所内ニ老幼、不具又ハ疾病ノ爲扶助ヲ要スル者若ハ人ノ死屍、死胎アルコトヲ知リテ速ニ警察官吏ニ申告セサル者
十一 公衆ノ自由ニ交通シ得ル場所ニ於テ喧噪シ、橫臥シ又ハ泥醉シテ徘徊シタル者
十二 公衆ノ自由ニ交通シ得ル場所ニ於テ濫ニ車馬舟筏其ノ他ノ物件ヲ置キ又ハ交通ノ妨害ト爲ルへキ行爲ヲ爲シタル者
十三 公衆ノ自由ニ交通シ得ル場所ニ於テ危險ノ虞アルトキ點燈其ノ他豫防ノ裝置ヲ爲スノ義務ヲ怠リタル者
十四 劇場、寄席其ノ他公衆會同ノ場所ニ於テ會衆ノ妨害ヲ爲シタル者
十五 雜沓ノ場所ニ於テ制止ヲ肯セス混雜ヲ增スノ行爲ヲ爲シタル者
十六 人ヲ誑惑セシムヘキ流言浮說又ハ虚報ヲ爲シタル者
十七 妄ニ吉凶禍福ヲ說キ又ハ祈禱、符呪等ヲ爲シ若ハ守禮類ヲ授與シテ人ヲ惑ハシメタル者
十八 病者ニ對シ禁厭、祈禱、符呪等ヲ爲シ又ハ神符號、神水等ヲ與ヘ醫療ヲ妨ケタル者
十九 濫ニ催眠術ヲ施シタル者
二十 官職、位記、勳爵、學位ヲ詐リ又ハ法令ノ定ムル服飾、徽章ヲ僭用シ若ハ之ニ類似ノモノヲ使用シタル者
二十一 官公署ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ其ノ義務アル者ニシテ故ナク申述ヲ肯セサル者
二十二 人ノ飮用ニ供スル浄水ヲ汚穢シ又ハ其ノ使用ヲ妨ケ若ハ其ノ水路ニ障碍ヲ爲シタル者
二十三 河川、溝渠又ハ下水路ノ疎通ヲ妨クエキ行爲ヲ爲シタル者
二十四 自己又ハ他人ノ身體ニ刺文シタル者
二十五 出入ヲ禁止シタル場所ニ濫ニ出入シタル者
二十六 官公署ノ榜示シ若ハ官公署ノ指揮ニ依リ榜示セル禁條ヲ犯シ又ハ其ノ設置ニ係ル榜標ヲ汚瀆シ若ハ撤去シタル者
二十七 水火災其ノ他ノ事變ニ際シ制止ヲ肯セスシテ其ノ現場ニ立入リ若ハ其ノ場所ヨリ退去セス又ハ官吏ヨリ援助ノ求ヲ受ケタルニ拘ラス傍觀シテ之ニ應セサル者
二十八 濫ニ他人ノ標燈又ハ社寺、道路、公園其ノ他ノ公衆用ノ常燈ヲ消シタル者
二十九 他人ノ田野、園囿ニ於テ菜果ヲ採摘シ又ハ花卉ヲ採折シタル者
三 十 使用者ニシテ勞役者ニ對シ故ナク其ノ自由ヲ妨ケ又ハ苛酷ノ取扱ヲ爲シタル者
三十一 濫ニ他人ノ身邊ニ立塞リ又ハ追隨シタル者
三十二 他人ノ身體、物件又ハ之ニ害ヲ及ホスヘキ場所ニ對シ物件ヲ抛澆シ又ハ放射シタル者
三十三 神祠、佛堂、禮拜所、墓所、碑表、形像其ノ他之ニ類スル物ヲ汚瀆シタル者
三十四 人ノ死屍又ハ死胎ヲ隱匿シ又ハ他物ニ紛ハシク擬裝シタル者
三十五 一定ノ飮食物ニ他物ヲ混シテ不正ノ利ヲ圖リタル者
三十六 不熟ノ果物、腐敗ノ肉類其ノ他健康ヲ害スヘキ飮食物ヲ營利ノ用ニ供シタル者
三十七 濫ニ他人ノ繫キタル舟筏、牛馬其ノ他ノ獸類ヲ解放シタル者

第三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ二十圓以下ノ科料ニ處ス

一 許可ナクシテ人ノ死屍又ハ死胎ヲ解剖シ又ハ之レカ保存ヲ爲シタル者
二 公衆ノ目ニ觸ルヘキ場所ニ於テ袒裼、裸裎シ又ハ臀部、股部ヲ露ハシ其ノ他醜態ヲ爲シタル者
三 街路ニ於テ屎尿ヲ爲シ又ハ爲サシメタル者
四 濫ニ銃砲ノ發射ヲ爲シ又ハ火藥其ノ他劇發スヘキ物ヲ玩ヒタル者
五 家屋其ノ他ノ建造物若ハ引火シ易キ物ノ近傍又ハ山野ニ於テ濫ニ火ヲ焚ク者
六 石灰其ノ他自然發火ノ虞アル物ノ取扱ヲ忽ニシタル者
七 開業ノ醫師、産婆故ナク病者又ハ姙婦、産婦ノ招キニ應セサル者
八 故ナク官公署ノ召喚ニ應セサル者
九 炮煑、洗滌、剝皮等ヲ要セス其ノ儘食用ニ供スヘキ飮食物ニ覆蓋ヲ設ケス店頭ニ陳列シタル者
十 濫ニ禽獸ノ死屍又ハ汚穢物ヲ棄擲シ又ハ之レカ取除ノ義務ヲ怠リタル者
十一 監置ニ係ル精神病ノ監護ヲ怠リ屋外ニ徘徊セシメタル者
十二 濫ニ犬其ノ他ノ獸類ヲ嗾シ又ハ驚逸セシメタル者
十三 狂犬、猛獸等ノ繫鎖ヲ怠リ逸走セシメタル者
十四 公衆ノ目ニ觸ルヘキ場所ニ於テ牛馬其ノ他ノ動物ヲ虐待シタル者
十五 濫ニ他人ノ家屋其ノ他ノ工作物ヲ汚瀆シ若ハ之ニ貼紙ヲ爲シ又ハ他人ノ標札、招牌、賣貸家札其ノ地榜標ノ類ヲ汚瀆シ若ハ撤去シタル者
十六 橋梁又ハ堤防ヲ損壞スルノ虞アル場所ニ舟筏ヲ繫キタル者
十七 通路ナキ他人ノ田圃ヲ通行シ又ハ此ニ牛馬諸車ヲ牽入シタル者

第四條 本令ニ規定シタル違反行爲ヲ教唆シ又ハ幫助シタル者ハ各本條ニ照シ之ヲ罰ス但シ情狀ニヨリ其ノ刑ヲ免除スルコトヲ得

本令ハ明治四十一年十月一日ヨリ之ヲ施行ス

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。