警察予備隊令施行令

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公布時[編集]

警察予備隊令施行令をここに公布する。
御名御璽


昭和二十五年八月二十四日
内閣総理大臣 吉田  茂

政令第二百七十一号

警察予備隊令施行令
内閣は、警察予備隊令(昭和二十五年政令第二百六十号)第三條第三項及び第八條第四項の規定に基き、この政令を制定する。
(警察予備隊の職員の任命)
第一條
警察予備隊の職員(以下「職員」という。)は、警察予備隊本部長官(以下「長官」という。)が任命する。
2 長官は、前項の任命権の一部を他の職員に委任することができる。
(警察予備隊本部の職員)
第二條
警察予備隊本部に、長官及び次長の外、左の職員を置く。
長官秘書官
官房長
局長
課長
部員
事務官
(警察予備隊の警察官の階級)
第三條
警察予備隊の警察官(以下「警察官」という。)の階級は、左のとおりとする。
警察監
警察監補
一等警察正
二等警察正
警察士長
一等警察士
二等警察士
一等警察士補
二等警察士補
三等警察士補
警査長
一等警査
二等警査
(職員の採用)
第四條
職員の採用は、競争試験によるものとする。但し、競争試験以外の能力の実証に基く選考の方法によることを妨げない。
2 前項の競争試験及び選考その他職員の採用の方法及び手続に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(一等警察士補等の警察官の任用期間)
第五條
一等警察士補、二等警察士補、三等警察士補、警査長、一等警査及び二等警査(以下「一等警察士補等」という。)は、二年を期間として任用されるものとする。但し、二年を経過した場合において、志願をしたときは、長官の定めるところにより、引き続いて任用されることができる。
(職員の昇任)
第六條
職員の昇任は、その職より下位の職の在職者の間における競争試験によるものとする。但し、勤務実績に基く選考によることを妨げない。
2 前項の競争試験及び選考その他職員の昇任の方法及び手続に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(欠格條項)
第七條
左の各号の一に該当する者は、職員となることができない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 禁こ以上の刑に処せられた者
三 法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
2 職員は、前項各号の一に該当するに至つたときは、総理府令で定める場合を除く外、当然失職する。
(職員の休職、免職等を行う者)
第八條
職員の休職、復職、退職及び免職は、長官又はその委任を受けた職員が行う。
(人事に関する不法行為等の禁止)
第九條
職員に関する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十九條から第四十一條までに規定する人事に関する不法行為、虚偽行為、情報提供又は受験若しくは任用の阻害の禁止については、これらの規定の例によるものとする。
(條件附任用)
第十條
職員の採用及び昇任は、すべて條件附のものとし、その職員がその職において六月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなる。
2 條件附任用に関し必要な事項又は條件附採用期間であつて六月をこえる期間を要するものについては、総理府令で定める。
(職員の規律及び懲戒)
第十一條
職員の規律及び行為並びに違反に対する懲戒処分及び懲戒処分を行う権限に関する細則は、総理府令で定める。懲戒処分に対する個個の審査請求については、その総理府令に規定されるものとする。
(表彰)
第十二條
警察予備隊の表彰は、左のとおりとする。
一 功労章
二 功績章
三 精勤章
四 賞詞
五 賞状
六 感謝状又は協力章
2 表彰に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(警察官の司法警察職員としての職務)
第十三條
警察官のうち部内の秩序維持の職務に従事する者は、左に掲げる犯罪について司法警察職員として職務を行う。
一 職員の犯した犯罪又は職務に従事中の職員に対する犯罪その他職員の職務に関し職員以外の者の犯した犯罪
二 警察予備隊の庁舎、宿舎その他の施設内における犯罪
三 警察予備隊の物件に対する犯罪
2 警察官は、警察予備隊令第三條第一項の規定による警察予備隊の行動に際し、司法警察職員として、現行犯人の外、刑事訴訟法(昭和二十三年法律百三十一号)第二百十條の規定により被疑者を逮捕することができる。この場合においては、当該現行犯人又は被疑者をすみやかに(被疑者については刑事訴訟法第二百十條第一項の規定による逮捕状を得た後すみやかに)権限を有する国家地方警察又は市町村警察の警察官又は警察吏員に引き渡されなければならない。但し、これを引き渡すことのできないやむを得ない事情のある場合には、なお引き続き当該現行犯人又は被疑者に係る当該事件の継続処理に必要な限度において司法警察職員として職務を行うことができる。
3 前二項の規定により司法警察職員として職務を行う警察官のうち、警査長以上の者は司法警察員とし、その他の者は司法巡査とする。
附 則
1 この政令は、公布の日から施行する。
2 国家公務員のための国設宿舎に関する法律の施行に関する政令(昭和二十五年政令第八十号)の一部を次のように改正する。
第十二條第一項第一号中ヘ号の次に次のように加える。
ト 警察予備隊の部隊
内閣総理大臣 吉田 茂
法務総裁 大橋 武夫

関連項目[編集]

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。