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臺灣總督府法院條例

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臺灣總督府評議會ノ議決ヲ經タル臺灣總督府法院條例勅裁ヲ得テ茲ニ之ヲ發布ス

明治二十九年五月一日

臺灣總督府伯爵樺山資紀

律令第一號(官報 五月五日)

臺灣總督府法院條例

第一條 臺灣總督府法院ハ臺灣總督ノ管理ニ屬シ民事刑事ノ裁判ヲ爲スコトヲ掌ル

第二條 臺灣總督府法院ヲ分テ地方法院覆審法院及高等法院トス其管理區域ハ行政區劃ニ依ル

第三條 地方法院ハ縣廳支廳及島廳所在地ニ各一箇所ヲ置キ其管轄區域內ニ於ケル民事刑事ノ第一審裁判及刑事ノ豫審ヲ爲ス所トス

臺灣總督ハ地方法院管內必要ト認ムル地ニ常設若クハ定期ノ地方法院出張所ヲ置クコトヲ得

覆審法院ハ臺灣總督府所在地ニ一箇所ヲ置キ各地方法院ノ裁判ヲ覆審スル所トス

高等法院ハ臺灣總督府所在地ニ一箇所ヲ置キ覆審法院ノ審判ニシテ適法ニ非サルモノヲ破毀匡正スル所トス

第四條 各法院ニ判官ヲ置ク

判官ハ勅任又ハ奏任トス臺灣總督之ヲ補職ス

裁判所構成法ニ於テ判事タルノ資格ヲ有スルニ非サレハ判官タルコトヲ得ス

但當分ノ內地方法院判官ハ此限ニ在ラス

第五條 各法院ニ院長ヲ置ク判官ヲ以テ之ニ補ス

院長ハ院內及下級法院ノ裁判事務ヲ監督ス

第六條 總テ裁判事件ハ地方法院ハ一人覆審法院ハ三人高等法院ハ五人ノ判官ヲ以テ之ヲ審同裁判ス

合議裁判ニ在テハ院長ヲ以テ其裁判長ト爲シ院長事故アルトキハ上席判官ヲ以テ之ニ充ツ

第七條 各法院ニ檢察官ヲ置ク

檢察官ハ勅任又ハ奏任トシ臺灣總督之ヲ補職ス

檢察官ハ刑事訴追ヲ爲シ其裁判ノ執行ヲ式シ國ノ訴訟ニ付テハ國ヲ代表ス

上級法院ノ檢察官ハ下級法院ノ檢察官ヲ監督ス

地方法院檢察官ノ職務ハ警部長及警部ヲシテ便宜之ヲ代理セシムルコトヲ得

第八條 各法院ニ書記ヲ置ク

書記ハ判任トス

書記ハ民事刑事ノ審判ニ關スル準備ヲ爲シ法定ニ立會調書ヲ作リ及一切ノ訴訟記錄ヲ整理保管ス

書記ハ前項ノ外上官ノ指揮ニ從ヒ法院ニ於ケル諸般ノ事務ニ從事ス

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。