臺南市讀本/臺南をたゝへる歌

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歷史は古し五百年
臺灣文化の發祥(はつしやう)は
鳳凰木(ほうわうほく)の花開く
みどりの都 臺南市

赤崁城樓そゝりたち
和蘭時代 三十年
鄭氏三代 二十年
島の治めの都たり

榮枯(えいこ)盛衰(せいすゐ)世のならひ
蘭人去りて鄭氏また
清に降(くた)れば城趾(しろあご)も
月に嘆(なけ)きぬ世の移(うつ)り

半月城門夕陽(せきやう)に
輝く時も一時に
燒くるが如く映(は)えたれど
やがて暮れゆく空の色

東の海に陽(ひ)は出でて
旭旗は高し臺南城
はためく音に永遠の
平和のひゞきこもるなり

平和の基築(もごゐ)かれし
宮は神さり給ひてぞ
西京丸は沖遠く
姿を消しぬ安平の

みどりの宮居しづもれる
大臺南の伸展(しんてん)は
始政四十餘年にて
神の守りと いや榮ゆ

諸般(しょはん)施設(しせつ)とゝのひて
商、工、農の躍進は
朝(あした)に伸びて夕(ゆふべ)には
いや また伸びる姿なれ

人口今や十三萬
內臺和してその業(わざ)に
いそしみ勵む姿こそ
大臺南の姿なり

鳳凰(ほうわう)木に風渡り
朱(あけ)の花辨は舞ひ散りて
真白き鳩のくゞりゆく
すがしき姿 臺南市

陽は白熱に燃ゆるとも
國を想へば何事ぞ
ベン持ち、鎚(つち)振り、鍬振れば
汗に凉しき青葉風

運河の潮に月碎け
星またゝきて凉風の
散步の袖にもつれなば
ネオンの銀座明るけれ

朝日に香る新綠に
露は光りて輕やかに
朝風渡る大臺南
躍進臺南 大臺南

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