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約翰傳第十章

提供:Wikisource
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この翻訳には差別語が含まれていますが、歴史的著作物であることを考慮し、原文のまま掲載いたします。

第十章

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[1] まことにまことになんぢらにつげん ひつじをりもんよりいらずして ほかよりこゆるものはぬすびとなり 盗賊とうぞくなり
2 もんよりいるものはひつじをかふものなり
3 かどもりはこれにひらく ひつじそのこゑをきく おのれのひつじをよびてひきいだす
4 おのれのひつじをひきいだすとき さきにゆくひづし[つじ]そのこゑをしるゆゑにこれにしたがふ
5 しらぬものにしたか[が]はずしてこれよりにげる しらぬものゝこゑをしらざればなり
6 耶穌かれらにこのたとへをいへど かれらそのいふこといかなるをしらざりし
7 耶穌またかれらにいひけるは まことにまことになんぢらにつげん われはひつじのもんなり
8 すべてわれよりさきにきたりしものはぬすびとなり とうぞくなり しかしながらひつじそのこゑをきかざりき
9 われはもんなり もし人われよりいらばすくはれ かつ出入でいりくさをうべし
10 ぬすびとはぬすみころしほろぼすのほかにきたらず われはかれらにいのちをたもたせ おほひなるをたもたせんときたれり
11 われはよきかふものなり よきかふものはひつじのためにいのちをすつる
12 かふものにあらずしてやとはれしものはひつじおのれのものにあらざれば おほかみのくるをみるとひつじをすてゝにぐる おほかみひつじをうは[ば]ふてこれをちらす
13 やとひものはやとはれしものにて ひつじをいとはざるによりてにぐるなり
14 われはよきかふものにておのれのひつじをしり またおのれのひつじにしらる
15 ちゝわれをしるごとくわれもかくちゝをしり かつひつじのためにいのちをすつ
16 われこのをりにあらずしてほかのひつじあり かれらをもつれきたりわがこゑをきゝ ひとつのをりひとつのかふものとなるべし
17 わがいのちをふたゝびとらんとすつるによりて ちゝわれをいつくしむ
18 われよりこれをうばふものなし われみづからこれをすつる われこれをすつるのちからあり またこれをとるのちからあり わがちゝよりこのおふせをうけしなり
19 またこのことばによりてユウダヤ人のうちになかたがへあり
20 そのうちおほくいひけるは おににつかれてくるふものなるになんぞかれをきくや
21 ある人いひけるは これおにゝつかれしものゝことばにあらず おにしひのめをあくることをよくせんや
22 ヱロソルマみやきよめのいはひにて ふゆのころなり
23 耶穌みやのソロモン玄関げんくわんにあるくに
24 ユウダヤ人かれをとりまきていひけるは われらをいつまでうたがはするや なんぢもしキリストならばあきらかにかれらにつげよ
25 耶穌こたへけるは われなんぢらにつげしかどもしんぜず わがちゝによりてなせしわざはわれについてあかしする
26 されどなんぢしんぜざることはなんぢらにいひしごとくわがひつじにあらざればなり
[27] わがひつじはわがこゑをきゝ われかれらをしる かれらわれにしたがひ
28 われかれらにかぎりなきいのちをあたへ かれらいつまでもほろびず またわがてよりこれをうばゝんものなし
29 われにかれらをたまひしわがちゝはみなよりもすぐれり またわがちゝのてよりうばふことをうるものなし
30 われとちゝとはひとつなり
31 こゝにまたユウダヤ人かれをうたんとていしをひろひし
32 耶穌かれらにこたへけるは われわがちゝよりおほくのよきわざをなんぢらにみせしに そのうちいづれのわざによりいしにてわれをうたんとするや
33 ユウダヤ人こたへけるは よきわざをするにあらず たゞけがすことゝなんぢ人なるにおのれをかみとなすによりいしにてなんぢをうたんとするなり
34 耶穌こたへけるは われなんぢらはかみなりといひしことをなんぢらのおきてにしるされずや
35 もしかみのことばをうけしものをかみといはゞ 聖書せいしよもやぶられず
36 ちゝのあがめてにつかはせしものが われはかみなりといひしによりてけがすことをいふといはんや
37 もしわがちゝのわざをなさずば われをしんずることなかれ
38 もしこれをなさばわれをしんぜずとも そのわざをしんずべし さすればなんぢらちゝはわれにあり われはちゝにありとしりてしんずべきなり
39 こゝにかれら耶穌をとらへんとはかれども そのてをのがれてさる
40 またヨロダンのむかふヨハンネ洗禮せんれいをなせしところにゆきて かしこにをれり
41 おほくの人これにつきていひけるは ヨハンネはしるしをなさず されどもヨハンネかれについていひしことはみなまことなり
42 かしこにおほくの人はこれをしんぜり