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箱根八里

提供:Wikisource
  1. 箱根の山は 天下の険
    函谷關も物ならず
    万丈の山 千仞の谷
    前に聳え 後に支う
    雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
    昼猶闇き 杉の並木
    羊腸の小径は 苔滑か
    一夫關に当るや 万夫も開くなし
    天下に旅する 剛毅の武士
    大刀腰に 足毅がけ
    八里の岩ね 踏み鳴らす
    斯くこそありしか 往時の武士
  2. 箱根の山は 天下の阻
    蜀の桟道 數ならず
    万丈の山 千仞の谷
    前に聳え 後に支う
    雲は山をめぐり 霧は谷をとざす
    昼猶闇き 杉の並木
    羊腸の小径は 苔滑か
    一夫關に当るや 万夫も開くなし
    山野に狩する 剛毅の壮士
    猟銃肩に 草鞋かけ
    八里の碞根 踏み破る
    斯くこそありけれ 近時の壮士

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。