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相續未定地整理規則

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相續未定地整理規則明治三十九年法律第三十一號第一條及第二條ニ依リ勅裁ヲ得テ茲ニ之ヲ公布ス

明治四十四年八月二十四日 臺灣總督  伯爵佐久間左馬太

律令第三號

相續未定地整理規則

第一條  本島人タル土地ノ業主死亡シタルトキハ六月內ニ相續若ハ遺言ニ因ル業主權ノ取得若ハ保存ノ登記ヲ爲シ又ハ親族協議ノ上管理人ヲ定メ之カ登記ヲ爲スコトヲ要ス

第二條  前條ノ登記ナキトキハ地方法院ハ利害關係人若ハ檢察官ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ其ノ土地ノ保管人ヲ選任スヘシ

第三條  保管人ハ就職後遲滯ナク第一條ノ業主權ノ取得又ハ保存ノ登記ヲ爲スヘキ旨ヲ廣吿スヘシ

第四條  地方法院ハ必要ト認ムルトキハ保管人ヲ改任スルコトヲ得

第二條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第五條  保管人ハ左ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス

  保存行爲

  利用又ハ改良ヲ目的トスル行爲

第六條  保管人カ前條ノ權限ヲ超ユル行爲ヲ必要トスルトキハ地方法院ノ許可ヲ得テ之ヲ爲スコトヲ得

地方法院ハ必要ト認ムル處分ヲ保管人ニ命スルコトヲ得

第七條  保管人ハ善良ナル管理ノ注意ヲ以テ其ノ事務ヲ處理スル義務ヲ負フ

第八條  保管人ノ權限ハ第三條ノ廣吿ノ日ヨリ一年內ニ第一條ノ業主權ノ取得又ハ保存ノ登記アリタルトキハ其ノ登記シタル土地ニ付消滅ス

前項ノ場合ニ於テハ保管人ハ相續人又ハ受遺ニ對シ遲滯ナク保管ニ關スル計算ヲ爲スヘシ

第九條  地方法院ハ保管財產ノ中ヨリ相當ノ報酬ヲ保管人ニ與フルコトヲ得

第十條  第八條ノ登記ナキトキハ保管人ノ權限ハ消滅シ其ノ土地ヲ取得ス

  典權ノ設定アル場合ニ於テハ典權其ノ土地ヲ取得ス

  胎權ノ設定アル場合ニ於テ土地ノ價格カ債權額以下ナルトキハ胎權其ノ土地ヲ取得ス

  胎權ノ設定アル場合ニ於テ土地ノ價格カ債權額ヲ超過スルトキハ地方法院ハ競賣法ニ依リ其ノ土地ヲ競賣シ賣得金ノ中ヨリ競賣ノ費用ヲ控除シ足殘金ヲ以テ債權ノ辨濟ニ充當シ殘額アルトキハ之ヲ供託スヘシ但シ賣得金ノ中ヨリ競賣費用ヲ控除シタル殘金ヲ以テ債權全部ノ辨濟ニ充當スルニ足ラスト認ムルトキハ胎權ヲシテ其ノ土地ヲ取得セシムヘシ

  典權又ハ胎權ノ設定ナキ場合ニ於テハ地方法院ハ競賣法ニ依リ其ノ土地ヲ競賣シ賣得金ノ中ヨリ競賣ノ費用ヲ控除シタル殘金ヲ供託スヘシ

典權又ハ胎權カ外國人ナルトキハ前項ノ規定ニ拘ラス地方法院ハ競賣法ニ依リ其ノ土地ヲ競賣シ賣得金ノ中ヨリ競賣ノ費用ヲ控除シタル殘金ヲ以テ債權ノ辨濟ニ充當シ殘額アルトキハ之ヲ供託スヘシ

第十一條  前條ノ場合ニ於テ保管人ハ土地ヨリ生シタル財產ニ付キ報酬及保管ノ費用ノ辨濟ヲ受ケ殘金アルトキハ之ヲ供託スヘシ土地ヨリ生シタル財產ニシテ報酬及保管ノ費用ヲ辨濟スルニ足ラサルトキハ競賣スル土地ニ付テハ其ノ賣得金ノ中ヨリ競賣ノ費用ニ次キ辨濟ヲ受ケ競賣セサル土地ニ付テハ其ノ取得ヨリ辨濟ヲ受ク

第十二條  第十條ノ規定ニ依ル土地ノ取得ニ付テハ地方法院ハ其ノ登記ヲ管轄登記官廳ニ囑託スヘシ

第十三條  第十條ノ規定ニ依リ保管人ノ權限消滅シタルトキハ保管人ハ遲滯ナク保管ニ關スル計算ヲ爲スヘシ

第十四條  第十條ノ規定ニ依リ典權土地ヲ取得シタルトキハ其ノ權利ハ消滅シ胎權土地ヲ取得シタルトキハ土地ノ價格ニ相當スル債券額ニ付キ其ノ權利ヲ失フ

第十五條  第十條ノ規定ニ依リ業主權ノ移轉アリタルトキト雖贌耕權ハ消滅セス

第十六條  本令ハ土地臺帳ニ登錄セラレサル土地ニハ之ヲ適用セス

第十七條  本令ニ定ムルモノノ外必要ナル事項ハ臺灣總督之ヲ定ム

本令施行ノ期日ハ臺灣總督之ヲ定ム
本令施行前本島人タル業主死亡シタル土地ニ付テモ仍本令ヲ適用ス但シ第一條ノ登記期間ハ臺灣總督之ヲ定ム

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。