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皇族身位令

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朕皇族會議及樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ皇族身位令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽

    明治四十三年三月三日

宮內大臣 公爵岩倉具定


內閣總理大臣 侯爵桂 太郎

陸軍大臣 子爵寺內正毅

海軍大臣 男爵齋藤 實

司法大臣 子爵岡部長職

皇室令第二號

皇族身位令

   第一章 班位

第一條 皇族ノ班位ハ左ノ順序ニ依ル

第一 皇 后

第二 太皇太后

第三 皇太后

第四 皇太子

第五 皇太子妃

第六 皇太孫

第七 皇太孫妃

第八 親王親王妃内親王王王妃女王

第二條 親王王ノ班位ハ皇位継承ノ順序ニ従フ内親王女王ノ班位亦之ニ準ス

 前項ノ規定ニ依リ同順位ニ在ル者ハ男ヲ先ニシ女ヲ後ニス

第三條 親王妃王妃ノ班位ハ夫ニ次ク内親王女王ニシテ親王妃王妃タル者亦同シ

第四條 故皇太子ノ妃ノ班位ハ皇太子妃ニ次キ故皇太孫ノ妃ノ班位ハ皇太孫ノ妃ニ次ク

 親王王ノ寡妃ノ班位ハ旧ニ依ル

第五條 摂政タル親王内親王王女王ノ班位ハ皇太孫妃ニ次キ故皇太孫ノ妃アルトキハ之ニ次ク

第六條 皇太子皇太孫皇位継承ノ順序ヲ換ヘラレタルトキハ其ノ班位ハ皇太孫妃ニ次キ故皇太孫ノ妃アルトキハ之ニ次キ摂政タル親王内親王王女王アルトキハ又之ニ次ク

第七條 従来ノ宣下親王ハ其ノ宣下セラレタル順序ニ依リ王ノ上ニ列ス

   第二章 叙勲任官

第八條 皇后ハ大婚ノ約成リタルトキハ勲一等ニ叙シ宝冠章ヲ賜フ

第九條 皇太子皇太孫ハ満七年ニ達シタル後大勲位ニ叙シ菊花大綬章ヲ賜フ

第十條 皇太子妃皇太孫妃ハ結婚ノ約成リタルトキハ勲一等ニ叙シ宝冠章ヲ賜フ

第十一條 親王ハ満十五年ニ達シタル後大勲位ニ叙シ菊花大綬章ヲ賜フ

第十二條 親王妃ハ結婚ノ礼ヲ行フ当日勲一等ニ叙シ宝冠章ヲ賜フ

第十三條 内親王ハ満十五年ニ達シタル後勲一等ニ叙シ宝冠章ヲ賜フ

第十四條 王ハ満十五年ニ達シタル後勲一等ニ叙シ旭日桐花大綬章ヲ賜フ

第十五條 王妃ハ結婚ノ礼ヲ行フ当日勲二等ニ叙シ宝冠章ヲ賜フ

第十六條 女王ハ満十五年ニ達シタル後勲二等ニ叙シ宝冠章ヲ賜フ

第十七條 皇太子皇太孫ハ満十年ニ達シタル後陸軍及海軍ノ武官ニ任ス

 親王王ハ満十八年ニ達シタル後特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外陸軍又ハ海軍ノ武官ニ任ス

第十八條 天皇支系ヨリ入テ大統ヲ承クルトキハ前数條ノ規定ニ準シ叙勲任官ヲ行フ

第十九條 前数條ニ定メタルモノ及特旨ニ依ルモノノ外勲章記章及文武官ニ関スル法令ハ皇族ニモ亦之ヲ適用ス

   第三章 失踪

第二十條 戦時事変其ノ他ノ場合ニ於テ皇族ノ生死不明ナルトキハ勅旨ヲ以テ其ノ財産ノ管理ニ付キ必要ナル処分ヲ命スヘシ

第二十一條 皇族ノ生死不明ナルコト三年ニ亘ルトキハ皇族会議及枢密顧問ニ諮詢シ勅旨ヲ以テ失踪ヲ宣告スヘシ

第二十二條 失踪ノ宣告ヲ受ケタル皇族ハ前條ノ期間満了ノ時ニ薨去シタルモノト看做ス

第二十三條 失踪ノ宣告アリタル後生死ノ事実分明トナリタルトキハ勅旨ヲ以テ其ノ宣告ヲ取消スヘシ但シ其ノ取消ハ失踪ノ宣告ニ基ツキタル事項及行為ニ其ノ効力ヲ及ホサス

第二十四條 失踪ノ宣告及其ノ宣告ノ取消ハ勅書ヲ以テシ且宮内大臣之ヲ公告ス

   第四章 降下

第二十五條 皇室典範増補第一條ノ規定ニ依ル請願ヲ為スニハ王満十五年以上タルコトヲ要ス

第二十六條 皇室典範増補第一條ノ規定ニ依リ華族ニ列セラレタル者ハ一家ヲ創立ス同第四條ノ規定ニ依リ臣籍ニ降サレタル者亦同シ

第二十七條 皇室典範増補第一條ノ規定ニ依リ華族ニ列セラレタル者ニハ世襲財産ヲ賜フコトアルヘシ

第二十八條 皇室典範増補第二條ノ規定ニ依リ王華族ノ家督相続人トナルニハ家督相続人トシテ指定又ハ選定アリタルコトヲ知リタル時ヨリ三箇月内ニ勅許ヲ受クヘシ

 前項ノ規定ニ依リ勅許ヲ受ケタルトキハ相続ノ単純承認ヲ為シタルモノト看做ス

第二十九條 前條第一項ノ期間内ニ勅許ヲ受ケサルトキハ家督相続人トシテノ指定又ハ選定ハ其ノ効力ヲ失フ

第三十條 皇室典範増補第一條及第二條ノ場合ニ於テ王未成年ナルトキハ請願ヲ為シ又ハ勅許ヲ請フニ先タチ親権ヲ行フ父ノ同意ヲ受クヘシ

 親権ヲ行フ父ナキトキハ其ノ後見人及親族会ノ同意ヲ受クヘシ

第三十一條 皇室典範増補第二條ノ規定ニ依リ華族ノ家督相続人トナルニ当リ王十五年未満ナルトキハ親権ヲ行フ父代リテ勅許ヲ請フコトヲ得

 前二項ノ場合ニ於テハ第二十八條第一項ノ期間ハ親権ヲ行フ父又ハ後見人指定又ハ選定アリタルコトヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス

第三十二條 皇室典範増補第二條ノ規定ニ依リ華族ノ養子トナルニ当リ王十五年未満ナルトキハ其ノ勅許ヲ請ヒ且縁組ノ承諾ヲ為スニハ前條第一項及第二項ノ規定ヲ準用ス

第三十三條 皇室典範増補第二條ノ規定ニ依ル養子縁組ハ勅許ナキトキハ之ヲ無効トス

第三十四條 臣籍ヨリ入リタル妃其ノ夫ヲ亡ヒタルトキハ請願ニ依リ勅許ヲ経テ実家ニ復籍スルコトヲ得

第三十五條 皇室典範増補第一條乃至第三條及前條ノ規定ニ依リ臣籍ニ降下スルトキハ賢所皇霊殿神殿ニ謁シ且天皇皇后太皇太后皇太后ニ朝見ス

   第五章 懲戒

第三十六條 皇族ノ懲戒ハ謹慎停権及剥権トス

第三十七條 謹慎ハ後来ヲ訓戒シ十日以上一年以下参内ヲ止ム但シ特旨ニ依リ臨時参内ヲ命セラルルコトアルヘシ

第三十八條 停権ハ一年以上五年以下皇族特権ノ一部又ハ全部ノ行使ヲ停止ス

第三十九條 剥権ハ皇族特権ノ全部ヲ剥奪ス

第四十條 皇族懲戒ヲ受ク改悛ノ状顕著ナルトキハ勅旨ヲ以テ其ノ懲戒ノ一部又ハ全部ヲ解除スヘシ

 懲戒ノ解除ハ皇族会議ニ諮詢シタル後之ヲ勅裁ス

第四十一條 停権剥権ノ懲戒及其ノ解除ニ付テハ枢密顧問官及宮内勅任官中ヨリ三名以上ノ委員ヲ勅選シ其ノ情状ヲ審査セシメタル後皇族会議ニ諮詢ス

第四十二條 懲戒及其ノ解除ハ勅書ヲ以テス

   第六章 補則

第四十三條 皇族ハ其ノ住所ヲ東京市内ニ定ムヘシ但シ必要アルトキハ勅許ヲ経テ他ニ住居ヲ定ムルコトヲ得

第四十四條 皇族ハ商工業ヲ営ミ営利ヲ目的トスル法人其ノ他ノ団体ノ社員会員又ハ役員トナルコトヲ得ス但シ株主トナルハ此ノ限ニ在ラス

第四十五條 皇族ハ任官ニ依ル場合ヲ除クノ外報酬ヲ受クル職ニ就クコトヲ得ス

第四十六條 皇族ハ公共団体ノ吏員又ハ議員トナルコトヲ得ス

第四十七條 皇族公益法人其ノ他営利ヲ目的トセサル団体ノ社員会員又ハ役員トナラムトスルトキハ勅許ヲ受クヘシ

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。