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獨行道

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獨行道   二十一箇条

一 世々の道をそむく事
            なし
一 身尓たのしみをたく
          ま
一 よろす尓依怙の心
           なし
一 身をあさく思世を
      ふかく思ふ
一 一生の間よくしん
        思は
一 我事尓おゐて後悔
         をせ
一 善惡尓他をねたむ
         心なし
一 いつれの道尓もわかれを
          かなしま
一 自他共尓うらミをかこつ心
                なし
一 れんほの道思ひよる
         こヽろなし
一 物毎尓すきこのむ
         事なし
一 私宅尓おゐてのそむ
          心なし
一 身ひとつ尓美食を
        このま
一 末々代物なる古き道具
         所持せ
か身尓いたり物いミ
           する事なし
一 兵具ハ各別よの道具
       たしなま
一 道尓おゐてハ死をいと
        は思う
一 老身尓財寳所領
    もちゆる心なし
一 佛神は貴し佛神を
       たのま
一 身を捨ても名利は
        すて
一 常尓兵法の道を
       はなれ
 正保弐年
  五月十二日  新免武藏
           玄信(花押)「二天」(朱文額印)
   寺尾孫之丞殿

変体仮名修正版(変体仮名の部分は現行の仮名字体に改めた。)

獨行道   二十一箇条

一 世々の道をそむく事なし

一 身にたのしみをたくます

一 よろすに依枯の心なし

一 身をあさく思世をふかく思ふ

一 一生の間よくしん思わす

一 我事におゐて後悔をせす

一 善惡に他をねたむ心なし

一 いつれの道にもわかれをかなします

一 自他共にうらみかこつ心なし

一 れんほの道思ひよるこゝろなし

一 物毎にすきこのむ事なし

一 私宅におゐてのそむ心なし

一 身ひとつに美食をこのます

一 末々代物なる古き道具を所持せす

一 わか身にいたり物いみする事なし

一 兵具は格別よの道具たしなます

一 道におゐては死をいとわず思ふ

一 老身に財寳所領もちゆる心なし

一 佛神は貴し佛神をたのます

一 身を捨ても名利はすてす

一 常に兵法の道をはなれす

正保弐年
 五月十二日 新免武藏
     玄信
寺尾孫之丞殿


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この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。