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満州ニ朝鮮人ヲ移住セシムルコトノ必要性並ニ其ノ戸数

現下ノ農村困憊ノ原因並ニ小作争議発生ノ原因ハ主トシテ其ノ生計ヲ維持スルニ必要ナル耕地面積ヲ得ル能ハザルニ因ルモノナルヲ以テ鮮内ノ農村更生ノ一助トシ過剰農家ヲ満州ニ移住セシムルコトハ満州ノ資源開発ヨリ謂フモ将又朝鮮ヲシテ理想農業地タラシムル点ヨリスルモ誠ニ緊喫事タリ、其ノ必要性並ニ所要移住戸数ヲ既往ニ於ケル数字ヲ基礎トシテ精述スルニ
朝鮮人ノ鮮内ニ於ケル毎年増加数ハ年ニ依リ甚シキ差異アルモ最近二十箇年間ニ於ケル平均数ハ約二十九万人余ニシテ之ノ数ヲ基礎トスル昭和二十九年(二十年後)ニ於ケル推定総増加数ハ約六百七十六万人ニシテ総人口数二千六百四十七万人ニ及ブベク(第一号表参照)其ノ数ヲ農業者ニ就キ考察スルニ農業者数ノ総人口ニ対スル比率ハ農業者ニシテ諸工業ノ発達等ニ伴フ自由労働者ヘノ転落者激増ノ為年々逓減ノ趨勢ニアルニ鑑ミ今仮ニ昭和二十九年ニ於ケル総人口ニ対スル農業者ノ比率ヲ七割ト仮定セバ其ノ数千八百五十三万人三百七十万戸ニ及ブベシ(第二号表参照)
而シテ其ノ耕地面積ニ付テ之ヲ見ルニ昭和六年末ニ於ケル統計ノ示ス所ニ依レバ一戸当一町五段五畝ニシテ(第三号表参照)昭和二十九年ニ於ケル総所要耕地面積ハ五百七十四万三千九百町歩ヲ要スルコトトナルベシ然ルニ耕地面積ハ昭和六年末ニ於テ四百三十八万四千五百町歩ニシテ而モ既住ニ於テハ未墾地開拓ニ依リ其ノ面積ヲ増加シツツアリタルモ(第四号表参照)最近ノ状況ハ都市拡張、其ノ他諸工業ノ勃興ニ伴ヒ寧ロ減少ノ有様ナルガ(第五号表参照)仮ニ昭和六年末ニ於ケル耕地面積ヲ将来ニ於テモ維持スルモノトスルモ昭和二十九年ニ於ケル耕地面積ノ不足ハ実ニ百三十五万九千四百町歩ニシテ八十七万七千余戸ノ農家ハ其ノ耕地ヲ失フニ至ルベク若シ増加農家ヲモ其ノ侭農耕地ヲ得セシメントセバ一戸当ノ耕地面積ヲ一町一段八畝歩ニ縮少セシメザルベカラス而ルニ自作農、自作兼小作農及地主ニシテ其ノ一部ヲ自作セル農家ノ減少(第六号表、第七号表、第八号表参照)及純地主ノ増加(第九号表参照)ハ必然的ニ小作農ノ増加ヲ示シ(第十号表参照)其ノ結果トシテ一戸当ノ耕地面積ヲ増加スル必要アルニ拘ラズ逆ニ之ガ減少ヲ来スガ如キハ勢ヒ生活向上ニ伴ヒ収入ヲ得ル能ハズシテ農村ノ疲弊ヲ招来スルハ火ヲ見ルヨリモ明ナリ 之ヲ日本内地ノ農家一戸当耕地面積一町五畝歩(第十一号表参照)ニ対比セバ尚一戸当一段三畝歩ノ余裕アルガ如キモ内地ニ於ケル耕地面積ノ地目別面積ノ割合ハ水田五割四歩ヲ占メ而モ其ノ大部分ハ二毛作ナルニ朝鮮ニ於ケル耕地面積中水田ノ割合三割七歩ニシテ(第十二号表参照)而モ其ノ大部分ガ一毛作ナル状態ニ於テハ如何ニ鮮内ノ農耕方法ノ改善合理化ヲ見ルモ到底一戸当一町一段八畝歩ヲ以テ満足シ得ル所ニ非ズ
故ニ農村将来ノ更生発展ヲ期セントセバ毎年少ク共其ノ増加数三万九千戸(一戸五人トセバ約二十万人)内外ノ農民ヲ満州ニ移住セシムルコトノ必要ヲ認ム
而シテ之ガ移住ヲ図ル為其ノ半数ヲ自由移民トシ残リ半数ヲ集団移民トシ其ノ経費一戸当自由移民ニ対シ百円、集団移民ニ対シ二百円ヲ要スルモノトセバ一箇年間ニ於ケル所要総経費五百八十五万円ヲ要スベシ


付表

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出典

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この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。