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消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法


第一章 総則

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(目的)

第一条
この法律は、平成二十六年四月一日及び平成二十七年十月一日における消費税率(地方消費税率を含む。以下同じ。)の引上げ(以下「今次の消費税率引上げ」という。)に際し、消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の転嫁を阻害する行為の是正、価格の表示並びに消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別の措置を講ずることにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的とする。

(定義)

第二条
  1. この法律において「特定事業者」とは、次に掲げる事業者をいう。
    一  一般消費者が日常使用する商品の小売業を行う者(特定連鎖化事業(中小小売商業振興法 (昭和四十八年法律第百一号)第十一条第一項 に規定する特定連鎖化事業をいう。)を行う者を含む。)であって、その規模が大きいものとして公正取引委員会規則で定めるもの(以下「大規模小売事業者」という。)
    二  法人である事業者であって、次に掲げる事業者から継続して商品又は役務の供給を受けるもの(大規模小売事業者を除く。)
    イ 個人である事業者
    ロ 人格のない社団等(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。以下同じ。)である事業者
    ハ 資本金の額又は出資の総額が三億円以下である事業者
  2. この法律において「特定供給事業者」とは、次に掲げる事業者をいう。
    一  事業者が大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する場合における当該商品又は役務を供給する事業者
    二  前項第二号イからハまでに掲げる事業者が同号の特定事業者に継続して商品又は役務を供給する場合における当該同号イからハまでに掲げる事業者
  3. この法律において「中小事業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。
    一  資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種及び第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
    二  資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
    三  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、サービス業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
    四  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
    五  資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

第二章 特定事業者による消費税の転嫁の拒否等の行為の是正に関する特別措置

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(特定事業者の遵守事項)

第三条
特定事業者は、平成二十六年四月一日以後に特定供給事業者から受ける商品又は役務の供給に関して、次に掲げる行為をしてはならない。
一  商品若しくは役務の対価の額を減じ、又は商品若しくは役務の対価の額を当該商品若しくは役務と同種若しくは類似の商品若しくは役務に対し通常支払われる対価に比し低く定めることにより、特定供給事業者による消費税の転嫁を拒むこと。
二  特定供給事業者による消費税の転嫁に応じることと引換えに、自己の指定する商品を購入させ、若しくは自己の指定する役務を利用させ、又は自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
三  商品又は役務の供給の対価に係る交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の特定供給事業者からの申出を拒むこと。
四  前三号に掲げる行為があるとして特定供給事業者が公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。

(指導又は助言)

第四条
公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官は、特定事業者に対し、前条の規定に違反する行為を防止し、又は是正するために必要な指導又は助言をするものとする。

(主務大臣又は中小企業庁長官の請求)

第五条
主務大臣又は中小企業庁長官は、第三条の規定に違反する行為があると認めるときは、公正取引委員会に対し、この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。ただし、次に掲げるときは、当該求めをするものとする。
一  当該行為が多数の特定供給事業者に対して行われていると認められるとき。
二  当該行為によって特定供給事業者が受ける不利益の程度が大きいと認められるとき。
三  当該行為を行った事業者が第三条の規定に違反する行為を繰り返し行う蓋然性が高いと認められるとき。
四  前三号に掲げるもののほか、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実があると認められるとき。

(勧告及び公表)

第六条
  1. 公正取引委員会は、特定事業者について第三条の規定に違反する行為があると認めるときは、その特定事業者に対し、速やかに消費税の適正な転嫁に応じることその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。
  2. 公正取引委員会は、前項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。

(勧告に係る違反行為についての私的独占禁止法の適用除外)

第七条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 (昭和二十二年法律第五十四号。以下「私的独占禁止法」という。)第二十条 及び第二十条の六 の規定は、公正取引委員会が前条第一項の規定による勧告をした場合において、特定事業者がその勧告に従ったときに限り、特定事業者のその勧告に係る第三条の規定に違反する行為については、適用しない。

第三章 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置

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第四章 価格の表示に関する特別措置

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(総額表示義務に関する消費税法 の特例)

第十条
  1. 事業者(消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)第六十三条 に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)は、自己の供給する商品又は役務の価格を表示する場合において、今次の消費税率引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、現に表示する価格が税込価格(消費税を含めた価格をいう。以下この章において同じ。)であると誤認されないための措置を講じているときに限り、同法第六十三条 の規定にかかわらず、税込価格を表示することを要しない。
  2. 前項の規定により税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価格を表示するよう努めなければならない。
  3. 事業者は、自己の供給する商品又は役務の税込価格を表示する場合において、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため必要があるときは、税込価格に併せて、消費税を含まない価格又は消費税の額を表示するものとする。

不当景品類及び不当表示防止法 の適用除外)

第十一条
前条第三項の場合において、税込価格が明瞭に表示されているときは、当該消費税を含まない価格の表示については、不当景品類及び不当表示防止法 (昭和三十七年法律第百三十四号)第四条第一項 の規定は、適用しない。

第五章 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置

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第六章 雑則

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第七章 罰則

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附則抄

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(施行期日)

第一条
この法律は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)の施行の日前の政令で定める日から施行する。ただし、第十四条第三項及び附則第三条の規定は、同日前の政令で定める日から施行する。

(この法律の失効)

第二条
  1. この法律は、平成二十九年三月三十一日限り、その効力を失う。
  2. 前項に規定する日までにした第三条又は第八条の規定に違反する行為については、第四条から第七条まで(これらの規定を第九条において読み替えて準用する場合を含む。)及び第十五条から第二十条までの規定は、同項の規定にかかわらず、同日後も、なおその効力を有する。
  3. 第一項に規定する日までにした行為及び前項の規定によりなおその効力を有することとされる場合における同日後にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、第一項の規定にかかわらず、同日後も、なおその効力を有する。
  4. 前二項に規定するもののほか、この法律の失効に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

参考資料

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  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

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