法務庁設置法

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公布時[編集]

法務庁設置法をここに公布する。

御名御璽


昭和二十二年十二月十七日
内閣総理大臣 片山  哲

法律第百九十三号

法務庁設置法

第一条 政府における法務を統轄させるため、内閣に、法務総裁を置く。

2 法務総裁は、法律問題に関する政府の最高顧問として、内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し、意見を述べ、又は勧告する。

3 法務総裁は、検察事務及び検察庁に関する事項、内閣提出の法律案及び政令案の審議立案、条約案の審議、内外及び国際法制の調査、国の利害に関係ある争訟、恩赦、犯罪人の引渡、国籍、戸籍、外国人の登録、登記、供託、人権の擁護、行刑並びに司法保護に関する事項その他法務に関する事項、昭和二十一年勅令第百一号の規定による政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する事項、連合国最高司令官の要求に基く正規陸海軍将校又は陸海軍特別志願予備将校であつた者等の調査等に関する事項並びに昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者の観察等に関する事項を管理する。

第二条 法務総裁は、その地位に最もふさわしい者の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。その者は、国務大臣でなければならない。

2 法務総裁たる国務大臣は、内閣法にいう主任の大臣とする。

3 行政官庁法第四条乃至第七条の規定は、法務総裁にこれを準用する。但し、同法第六条中「省令」とあるのは、「法務庁令」と読み替えるものとする。

第三条 法務総裁の下に、検務長官、法制長官、法務調査意見長官、訟務長官及び法務行政長官を置く。

2 各長官は、総裁を助けて、夫ゝ各長官総務室及び所属各局の事務を指揮監督する。

3 各長官の外、法務総裁の下に、法務総裁官房長を置く。

4 官房長は、総裁を助けて、総裁官房の事務を指揮監督する。

第四条 法務総裁の管理する事務は、法務庁でこれを掌る。

第五条 法務庁に、官房の外、各長官の指揮監督の下に、各長官総務室及び左の区分により左の局を置く。

検務長官
検務局
特別審査局
法制長官
法制第一局
法制第二局
法制第三局
法務調査意見長官
調査意見第一局
調査意見第二局
資料統計局
訟務長官
民事訟務局
税務訟務局
行政訟務局
法務行政長官
民事局
人権擁護局
矯正総務局
成人矯正局
少年矯正局

2 各長官総務室は、夫ゝその長官所属の各局の指揮監督に関する事務を掌る。

第六条 検務局においては、左の事務を掌る。

一 検察事務及び検察庁に関する事項
二 恩赦に関する事項
三 犯罪人の引渡に関する事項
四 犯罪捜査の科学的研究に関する事項
五 司法警察職員の教養訓練に関する事項
六 犯罪の予防その他刑事に関する事項で他の所管に属しないもの

2 特別審査局においては、左の事務を掌る。

一 昭和二十一年勅令第百一号の規定による各種団体の結成の禁止及び解散等に関する事項(第十条第一項第十号に規定する事項を除く。)
二 連合国最高司令官の要求に基く正規陸海軍将校又は陸海軍特別志願予備将校であつた者等の調査等に関する事項
三 昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者の観察等に関する事項

第七条 法制第一局においては、主として外事、財政又は金融に関する事項その他法制第二局又は法制第三局の所掌に属しない事項に係る法律案及び政令案の審議立案並びに条約案の審議に関する事務を掌る。

2 法制第二局においては、主として産業、経済、運輸又は通信に関する事項に係る法律案及び政令案の審議立案に関する事務を掌る。

3 法制第三局においては、主として法務、文教、厚生又は労働に関する事項に係る法律案及び政令案の審議立案に関する事務を掌る。

4 法制長官は、特に必要があると認めるときは、臨時に各局所掌の事務を変更することができる。

第八条 調査意見第一局においては、司法制度、民事及び刑事に関する内外及び国際法制並びにその運用に関する調査研究に関する事務を掌る。

2 調査意見第二局においては、調査意見第一局の所掌に属するもの以外の内外及び国際法制並びに[1]その運用に関する調査研究に関する事務を掌る。

3 資料統計局においては、左の事務を掌る。

一 内外の法令その他法制に関する資料の収集、整備及び編纂に関する事項
二 法務に関する統計に関する事項
三 法令の周知徹底に関する事項

4 前三項に規定するものの外、調査[2]意見第一局、調査意見第二局及び資料統計局は、夫ゝその所掌事務に応じて第一条第二項の規定による意見の陳述又は勧告に関する事務を掌る。

第九条 民事訟務局においては、民事に関する争訟に関する事務を掌る。

2 税務訟務局においては、租税及び関税に関する争訟に関する事務を掌る。

3 行政訟務局においては、税務訟務局の所掌に属するもの以外の一切の行政に関する争訟に関する事務を掌る。

第十条 民事局においては、左の事務を掌る。

一 国籍に関する事項
二 戸籍に関する事項
三 外国人の登録に関する事項
四 登記に関する事項
五 供託に関する事項
六 公証に関する事項
七 司法書士に関する事項
八 司法事務局に関する事項
九 昭和二十一年勅令第百一号の規定による政党の登録に関する事項
十 昭和二十一年勅令第百一号の規定による政党、協会その他の団体の財産の接収及び処理等に関する事項
十一 民事に関する事項で他の所管に属しないもの

2 人権擁護局においては、左の事務を掌る。

一 人権侵犯事件の調査及び情報の収集に関する事項
二 民間における人権擁護運動の助長に関する事項
三 人身保護に関する事項
四 貧困者の訴訟援助に関する事項
五 その他人権の擁護に関する事項

3 矯正総務局においては、左の事務を掌る。

一 犯罪人に対する行刑及び保護に関する企画及び事務の調整に関する事項
二 刑務所、拘置所、少年審判所、矯正院その他の官公立の少年矯正施設に関する事項
三 矯正職員の教養訓練に関する事項
四 犯罪人の指紋に関する事項
五 行刑及び司法保護に関する事項で他の所管に属しないもの

4 成人矯正局においては、左の事務を掌る。

一 成人に対する刑及び未決勾留の執行に関する事項
二 成人犯罪人の保護に関する事項
三 成人に対する司法保護事業に関する事項

5 少年矯正局においては、左の事務を掌る。

一 少年に対する刑及び未決勾留の執行に関する事項
二 少年裁判所によつて保護処分に付された少年の保護に関する事項
三 少年裁判所によつて保護処分に付された少年に対する司法保護事業に関する事項

第十一条 官房においては、左の事務を掌る。

一 皇統譜副本の保管に関する事項
二 機密に関する事項
三 総裁の官印及び庁印の管守に関する事項
四 所管行政の考査に関する事項
五 公文書類の接受、発送、編纂及び保存に関する事項
六 職員の進退身分に関する事項
七 弁護士及び弁護士会に関する事項
八 法務庁研修所に関する事項
九 経費及び収入の予算、決算、会計及び会計の監査に関する事項
十 法務庁及びその所管各庁の管理に属する財産及び物品に関する事項
十一 渉外事務に関する事項

第十二条 第五条第二項及び第六条乃至前条の規定により所掌部局の定まらない事務の所掌については、法務総裁の定めるところによる。

第十三条 この法律に定めるものの外、法務庁の職員及び庁外機関について必要な事項は、政令でこれを定め、庁内各局、各長官総務室及び官房の分課について必要な事項は、法務総裁が、これを定める。

附 則

第十四条 この法律は、公布の後六十日を経過した日から、これを施行する。

第十五条 法務総裁は、昭和二十四年三月三十一日までは、従来司法大臣の管理に属した私立の矯正施設に関する事務を管理する。但し、昭和二十三年四月一日からは、政令の定めるところにより、右施設の運営について、厚生大臣と協議しなければならない。

2 法務総裁は、昭和二十三年三月三十一日までは、従来司法大臣の管理に属した少年の保護に関する事務を引き続き管理し、罪を犯す虞のある少年に関する事務は、少年裁判所によつて保護処分を受けた少年に関するものを除いては、同年四月一日から、これを厚生大臣の管理に移すものとする。

3 法務総裁は、第一項の施設の収容者に関する記録を審査し、罪を犯した少年及び少年裁判所によつて保護処分を受けたその他の少年は、昭和二十四年三月三十一日までに、これを官公立の矯正施設に移し、私立の矯正施設は、同日限り、これを廃止しなければならない。

4 法務総裁は、前項の移管が終了するまでは、厚生大臣と協力して、すべての私立矯正施設が高い標準において管理され及び運営されるよう、これを厳重に監督しなければならない。

内閣総理大臣  片山  哲
外 務 大 臣  芦田  均
内 務 大 臣 木村小左衞門
大 蔵 大 臣  栗栖 赳夫
司 法 大 臣  鈴木 義男
文 部 大 臣  森戸 辰男
厚 生 大 臣  一松 定吉
農 林 大 臣  波多野 鼎
商 工 大 臣  水谷長三郎
運 輸 大 臣  北村徳太郎
逓 信 大 臣  三木 武夫
労 働 大 臣  米窪 滿亮

正誤訂正[編集]

  1. 昭和23年4月21日付け官報本紙第6378号にて「内外の法制及び」から「内外及び国際法制並びに」へ正誤訂正
  2. 昭和23年3月1日付け官報本紙第6335号にて行の字上げの正誤訂正

改正経過[編集]

  • 昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律(昭和23年法律第10号): 第15条第1項中「昭和二十三年四月一日」を「昭和二十三年七月一日」に、同条第2項中「昭和二十三年三月三十一日」を「昭和二十三年六月三十日」に、「同年四月一日」を「同年七月一日」に改める。第10条第5項第2号及び第3号中「少年裁判所」とあるのは、昭和23年6月30日までは、これを「少年審判所」と読み替え、その後は「少年裁判所」に復するものとする(以上昭和23年2月28日施行)。
  • 法務庁設置法等の一部を改正する法律(昭和23年法律第66号): 第15条第1項中「昭和二十三年七月一日」を「昭和二十四年一月一日」に、同条第2項中「昭和二十三年六月三十日」を「昭和二十三年十二月三十一日」に、「同年七月一日」を「昭和二十四年一月一日」に改める。昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律(昭和23年法律第10号)第4条中「昭和二十三年六月三十日」を「昭和二十三年十二月三十一日」に改める(以上昭和23年6月30日施行)。
  • 裁判所法の一部を改正する等の法律(昭和23年法律第260号): 第10条第5項第2号及び第3号並びに第15条第2項及び第3項中「少年裁判所」を「家庭裁判所」に改める(昭和24年1月1日施行)。
  • 法務庁設置法等の一部を改正する法律(昭和24年法律第136号): 題名を「法務府設置法」に改正するとともに、内容を大幅改正(昭和24年6月1日施行)。

関連項目[編集]

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。