民事訴訟等における電子文書利用等に関する法律

提供:Wikisource

民事訴訟等における電子文書利用等に関する法律[編集]

第1条(目的)この法律は,民事訴訟等における電子文書利用についての基本原則及び手続を規定することにより,民事訴訟等の情報化を促進し,迅速性,透明性を高め,国民の権利実現に寄与することを目的とする。

第2条(定義)この法律において使用する用語の意義は,次のとおりである。<改正 2014.5.20.>

1. 「電子文書」とは,コンピュータ等情報処理能力を有する装置によって電子的な形態で作成又は変換されて送信・受信又は保存される情報をいう。
2. 「電算情報処理システム」とは,第3条各号のいずれか一に該当する法律による手続(以下,「民事訴訟等」という)に必要な電子文書を作成・提出・送達し,又は管理するのに利用される情報処理能力を有する電子的装置又は体系であって,裁判所行政処長が指定するものをいう。
3. 「電子署名」とは,「電子署名法」第2条第3号による公認電子署名及び「電子政府法」第2条第9号による行政電子署名をいう。
4. 「司法電子署名」とは,「電子政府法」第2条第9号の行政電子署名であって,裁判官・司法補佐官又は裁判所書記官・裁判所事務官・裁判所主事・裁判所主事補(以下,「裁判所事務官等」という)が民事訴訟等において使用することをいう。

第3条(適用範囲)この法律は,次の各号の法律による手続に適用する。<改正 2014.5.20.>

1. 「民事訴訟法」
2. 「家事訴訟法」
3. 「行政訴訟法」
4. 「特許法」(第9章に限る)
5. 「民事執行法」
6. 「債務者再生及び破産に関する法律」
7. 「非訟事件手続法」
8. 第1号から第7号までの法律を適用し,又は準用する法律

第4条(電算情報処理システムの運営)裁判所行政処長は,電算情報処理システムを設置・運営する。

第5条(電子文書による民事訴訟等の遂行)① 当事者, 訴訟代理人その他最高裁判所規則で定める者は,民事訴訟等において裁判所に提出する書類を電算情報処理システムを利用して,この法律に定めるところに従い,電子文書で提出することができる。

② この法律に従い作成・提出・送達・保存する電子文書は,他の法律に特別の規定がある場合を除き,第3条各号の法律において定める要件及び手続による文書と見なす。

第6条(使用者登録)① 電算情報処理システムを利用しようとする者は,最高裁判所規則で定めるところに従い使用者登録をしなければならない。

② 第1項により使用者登録をした者(以下,「登録使用者」という)は,最高裁判所規則で定める手続及び方法に従い使用者登録を撤回することができる。

③ 裁判所行政処長は,次の各号のいずれか一に該当する事由があるときは,登録使用者の使用を停止し,又は使用者登録を抹消することができる。

1. 登録使用者の同一性が認められないとき
2. 使用者登録を申請し,又は使用者情報を変更する際虚偽の内容を入力したとき
3. 他の登録使用者の使用を妨害し,又はその情報を盗用する等電算情報処理システムを利用した民事訴訟等の進行に支障を与えたとき
4. 故意又は重大な過失によって電算情報処理システムに障害を起こしたとき
5. その他最高裁判所規則で定める事由のあるとき

④ 第3項による登録使用者の使用停止及び使用者登録抹消の具体的な手続及び方法は,最高裁判所規則で定める。

第7条(電子署名)① 第5条により裁判所に電子文書を提出しようとする者は,提出する電子文書に電子署名をしなければならない。但し,最高裁判所規則で定める場合においては,この限りではない。

② 裁判官・司法補佐官又は裁判所事務官等は,裁判書,調書等を電子文書で作成し,又はその書類を電子文書に変換する場合において,最高裁判所規則で定めるところにより司法電子署名を行わなければならない。<改正 2014.5.20.>

③ 第1項の電子署名及び第2項の司法電子署名は,民事訴訟等に適用され,又は準用される法令において定める署名,署名捺印又は記名捺印と見なす。

第8条(文書提出方法)登録使用者であって,電算情報処理システムを利用した民事訴訟等の進行に同意した者は,裁判所に提出する書類を電算情報処理システムを利用して最高裁判所規則で定めるところに従い電子文書で提出しなければならない。但し,次の各号のいずれか一に該当する場合であって,最高裁判所規則で定める事由のあるときは,この限りではない。

1. 電算情報処理システムに障害のあるとき
2. 電子文書で提出することが著しく困難であり,又は適合しないとき

第9条(電子文書の受付)① 電算情報処理システムを利用して提出された電子文書は,電算情報処理システムに電子的に記録されたときに受け付けられたものと見なす。

② 裁判所事務官等は,第1項により電子文書が受付されたときは,最高裁判所規則で定めるところに従い直ちにその文書を提出した登録使用者に対し受付事実を電子的に通知しなければならない。

第10条(事件記録の電子文書化)① 裁判官・司法補佐官又は裁判所事務官等は,民事訴訟等において裁判書,調書等を電子文書で作成し,又はその書類を電子文書に変換して電算情報処理システムに搭載しなければならない。<改正 2014.5.20.>

② 裁判所事務官等は,最高裁判所規則で定める事由がなければ,電子文書でない形態で提出された書類を電子文書に変換して司法電子署名を行い,電算情報処理システムに搭載しなければならない。

③ 第1項及び第2項により変換され登載された電子文書は,元来の書類と同一のものと見なす。

④ 電子文書でない形態で提出された書類を電子文書に変換・搭載する手続及び方法は,最高裁判所規則で定めるが,元来の書類と同一性が確保されるよう技術的措置を行わなければならない。

第11条(電子的送達又は通知)① 裁判所事務官等は,送達又は通知を受ける者が次の各号のいずれか一に該当するときは,電算情報処理システムによって電子的に送達し,又は通知することができる。

1. 予め電算情報処理システムを利用した民事訴訟等の進行に同意した登録使用者であって,最高裁判所規則で定める者であるとき
2. 電子文書を出力した書面又はその他の書類の送達を受けた後,登録使用者として電算情報処理システムを利用した民事訴訟等の進行に同意したとき
3. 登録使用者が国家,地方自治団体その他それに準ずる者であって,最高裁判所規則で定める者であるとき

② 訴訟代理人のある場合においては,第1項の送達又は通知は,訴訟代理人にしなければならない。

③ 第1項による送達は,裁判所事務官等が送達すべき電子文書を電算情報処理システムに搭載し,その事実を送達を受ける者に電子的に通知する方法でする。

④ 第3項の場合においては,送達を受けた者が登載された電子文書を確認したときに送達されたものと見なす。但し,その登載事実を通知した日から1週間以内に確認しないときは,登載事実を通知した日から1週間が経過した日に送達されたものと見なす。

⑤ 電算情報処理システムの障害によって送達を受けるべき者が電子文書を確認することのできない期間は,第4項但書の期間に算入しない。この場合において,電子文書を確認することのできない期間の計算は,最高裁判所規則で定めるところによる。

第12条(電子文書を出力した書面による送達)① 裁判所事務官等は,次の各号のいずれか一に該当するときは,電子文書を電算情報処理システムを通じて出力し,その出力した書面を「民事訴訟法」に従い送達しなければならない。この場合において,裁判所事務官等は,最高裁判所規則で定めるところに従い,電子文書を提出した登録使用者に対し電子文書の出力書面を提出させることができる。

1. 送達を受けるべき者が「民事訴訟法」第181条,第182条又は第192条に該当するとき
2. 送達を受けるべき者が第11条第1項各号のいずれか一に該当しないとき
3. 最高裁判所規則で定める電算情報処理システムの障害又はその他の事由があるとき

② 裁判所事務官等が登載された電子文書を出力してその出力書面を当事者に送達したときは,その出力書面は,登載された電子文書と同一のものと見なす。

③ 第1項により電子文書を出力する手続及び方法は,最高裁判所規則で定めるが,電子文書と同一性の確保されるよう技術的措置を取らなければならない。

第13条(証拠調査に関する特例)① 電子文書に対する証拠調査は,次の各号の区分による方法で行うことができる。

1. 文字,その他の記号,図面・写真等に関する情報に対する証拠調査: 電子文書をモニター,スクリーン等を利用して閲覧する方法
2. 音声又は映像情報に対する証拠調査: 電子文書を聴取し又は視聴する方法

② 電子文書に対する証拠調査に関しては,その性質に反しない範囲において「民事訴訟法」第2編第3章第3節から第5節までの規定を準用する。

第14条(上告審手続に関する特例)① 「上告審手続に関する特例法」第5条第3項による判決原本の交付,領収日付の附記及び捺印,送達は,電算情報処理システムを利用し,電子的方法で行う。

② 「上告審手続に関する特例法」第6条第2項に定める4箇月の期間は,上告事件が最高裁判所に電子的方法により移管された日から起算する。

第15条(訴訟費用等の納付)① 登録使用者は,印紙額等民事訴訟等に必要な費用及び電算情報処理システム利用手数料を最高裁判所規則で定める方式により電子的方法で納付することができる。

② 電算情報処理システム利用手数料の範囲及び額数は,最高裁判所規則で定める。

第16条(委任規定)この法律に規定する事項のほか,民事訴訟等における電子文書の利用・管理及び電算情報処理システムの運営に必要な事項は,最高裁判所規則で定める。

附則 <2010.3.24.>[編集]

①(施行日)この法律は,公布の日から施行する。但し,公布の日から5年を超えない範囲において第3条各号の法律による手続別又は裁判所別に最高裁判所規則で適用時期を別途定めることができる。

②(「電子政府法」に関する経過措置)第2条第3号及び第4号中,「「電子政府法」第2条第9号」は,2010年5月4日までは,「「電子政府法」第2条第6号」と見なす。

附則 <2014.5.20.>[編集]

第1条(施行日)この法律は,2014年12月1日から施行する。

第2条(他の法律の廃止)督促手続における電子文書利用等に関する法律は,廃止する。

第3条(督促手続に関する経過措置)この法律施行の際従前の「督促手続における電子文書利用等に関する法律」により申請された支払命令に関しては,従前の「督促手続における電子文書利用等に関する法律」による。

この著作物又はその原文は、大韓民国著作権法7条により同法の保護対象から除外されるため、同国においてパブリックドメインの状態にあります。該当する著作物には、次のものが含まれます。:

  1. 憲法・法律・条約・命令・条例及び規則
  2. 国又は地方公共団体の告示、公告、訓令その他これに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判又は行政審判手続その他これに類する手続による議決、決定等
  4. 国又は地方公共団体が作成したものであって第1号から第3号までに規定されたものの編輯物又は翻訳物
  5. 事実の伝達にすぎない時事報道

この著作物又はその原文は、本国又は著作物の最初の発行地の著作権法によって保護されない著作物であり、保護期間が0年の著作物と見なされるため、日本国においてパブリックドメインの状態にあります。(日本国著作権法第58条及びウィキペディアの解説参照。)


この著作物又はその原文は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令(Edict of government参照)等であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。このような文書には、"制定法、裁判の判決、行政の決定、国の命令、又は類似する形式の政府の法令資料"が含まれます。詳細は、“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。

原文の著作権・ライセンスは別添タグの通りですが、訳文はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスのもとで利用できます。追加の条件が適用される場合があります。詳細については利用規約を参照してください。