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民事訴訟法施行條例

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朕民事訴訟法施行條例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム此法律ハ明治二十四年一月一日ヨリ施行スヘキコトヲ命ス

御名御璽
明治二十三年七月十六日

內閣總理大臣伯爵山縣有朋

司法大臣伯爵山田顕義

法律第五十號

民事訴訟法施行條例

第一條 民事訴訟法實施前ニ提起シタル訴訟ニ付テノ爾後ノ訴訟手續ハ民事訴訟法ニ依リテ之ヲ完結ス

第二條 民事訴訟法實施前ニ闕席ノ儘言渡シタル裁判ニ對シテハ民事訴訟法ニ依リ故障ヲ申立ツルコトヲ得

故障ノ期間ハ新法ニ依リ其實施ノ日ヨリ起算ス但其期間カ舊法ノ控訴上告期限ヲ超過スルトキハ其期限ニ從フ

第三條 民事訴訟法實施前ニ言渡シタル裁判ニ對スル控訴上告期限ハ新法ノ控訴上告期限ニ依リ其實施ノ日ヨリ起算ス但其期間カ舊法ノ控訴上告期限ヲ超過スルトキハ其期限ニ從フ

第四條 民事訴訟法實施前ニ確定シタル裁判ニ對シテハ民事訴訟法ニ依リ再審ヲ求ムル訴ヲ爲スコトヲ得但民事訴訟法實施前ニ再審ノ條件生シタルトキハ其條件ノ生シタル日ヨリ再審ノ期間ヲ起算ス

第五條 民事訴訟法實施前ニ言渡シタル裁判ノ強制執行ハ民事訴訟法ニ依リテ之ヲ完結ス但シ既ニ身代限ノ掲示ヲ爲シ又ハ公賣ニ著手シタル事件ハ其手續ノ終了マテハ舊法ニ從フ

第六條 民事訴訟法實施前ニ言渡シタル裁判ノ執行命令ヲ得サル場合ニ於テ民事訴訟法第四百九十九條ノ規定ニ從ヒ證明書ヲ要スル者ハ其訴訟記録ノ存在スル裁判所ニ之ヲ求ムルコトヲ得

第七條 民事訴訟法實施前ニ勸解ヲ出願シ未タ完結ニ至ラサル事件ハ民事訴訟法第三百八十一條ノ規定ニ從ヒ區裁判所繼續シテ之ヲ完結スルコトヲ得

第八條 民事訴訟法ノ規定ニ依リ市町村長ノ爲ス可キ職務ハ市町村長ヲ置カサル地ニ在テハ其職務ヲ行フ吏員ニ屬ス

第九條 民事訴訟法ニ於テ親族ト稱スル者ハ當分ノ内刑法ノ親屬例ニ依ル

第十條 婚姻離婚及養子ノ緣組ニ關スル訴ニ付テハ特別ノ慣例アルモノハ當分ノ内其慣例ニ從フ

第十一條 明治八年第六號布告ハ當分ノ内其效力ヲ有スルモノトス

第十二條 明治十年第十九號布告控訴上告手續第十六條中大審院トアルヲ上告裁判所ト改メ該條ハ當分ノ内其效力ヲ有スルモノトス

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。