民事執行法 第二章 強制執行

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<民事執行法<民事執行法 第二章 強制執行

第一節 総則(第二十二条―第四十二条)
第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第一款 不動産に対する強制執行
第一目 通則(第四十三条・第四十四条)
第二目 強制競売(第四十五条―第九十二条)
第三目 強制管理(第九十三条―第百十一条)
第二款 船舶に対する強制執行(第百十二条―第百二十一条)
第三款 動産に対する強制執行(第百二十二条―第百四十二条)
第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行
第一目 債権執行等(第百四十三条―第百六十七条)
第二目 少額訴訟債権執行(第百六十七条の二―第百六十七条の十四)
第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例(第百六十七条の十五・第百六十七条の十六)
第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行(第百六十八条―第百七十九条)

第一節 総則[編集]

債務名義

第二十二条
強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
一  確定判決
二  仮執行の宣言を付した判決
三  抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
四  仮執行の宣言を付した支払督促
四の二  訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
五  金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
六  確定した執行判決のある外国裁判所の判決
六の二  確定した執行決定のある仲裁判断
七  確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)

(強制執行をすることができる者の範囲)

第二十三条
  1. 執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。
    一  債務名義に表示された当事者
    二  債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
    三  前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては、口頭弁論終結後の承継人)
  2. 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
  3. 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。

(外国裁判所の判決の執行判決)

第二十四条
  1. 外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
  2. 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
  3. 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条 各号に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。
  4. 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。

(強制執行の実施)

第二十五条
強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。

(執行文の付与)

第二十六条
  1. 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
  2. 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。

第二十七条

  1. 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
  2. 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
  3. 執行文は、債務名義について次に掲げる事由のいずれかがあり、かつ、当該債務名義に基づく不動産の引渡し又は明渡しの強制執行をする前に当該不動産を占有する者を特定することを困難とする特別の事情がある場合において、債権者がこれらを証する文書を提出したときに限り、債務者を特定しないで、付与することができる。
    一  債務名義が不動産の引渡し又は明渡しの請求権を表示したものであり、これを本案とする占有移転禁止の仮処分命令(民事保全法 (平成元年法律第九十一号)第二十五条の二第一項 に規定する占有移転禁止の仮処分命令をいう。)が執行され、かつ、同法第六十二条第一項 の規定により当該不動産を占有する者に対して当該債務名義に基づく引渡し又は明渡しの強制執行をすることができるものであること。
    二  債務名義が強制競売の手続(担保権の実行としての競売の手続を含む。以下この号において同じ。)における第八十三条第一項本文(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による命令(以下「引渡命令」という。)であり、当該強制競売の手続において当該引渡命令の引渡義務者に対し次のイからハまでのいずれかの保全処分及び公示保全処分(第五十五条第一項に規定する公示保全処分をいう。以下この項において同じ。)が執行され、かつ、第八十三条の二第一項(第百八十七条第五項又は第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により当該不動産を占有する者に対して当該引渡命令に基づく引渡しの強制執行をすることができるものであること。
    イ 第五十五条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
    ロ 第七十七条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分
    ハ 第百八十七条第一項に規定する保全処分又は公示保全処分(第五十五条第一項第三号に掲げるものに限る。)
  4. 前項の執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行は、当該執行文の付与の日から四週間を経過する前であつて、当該強制執行において不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができる場合に限り、することができる。
  5. 第三項の規定により付与された執行文については、前項の規定により当該執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行がされたときは、当該強制執行によつて当該不動産の占有を解かれた者が、債務者となる。

(執行文の再度付与等)

第二十八条
  1. 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。
  2. 前項の規定は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本を更に交付する場合について準用する。

(債務名義等の送達)

第二十九条
強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。

(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)

第三十条
  1. 請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。
  2. 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り、開始することができる。

(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)

第三十一条
  1. 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。
  2. 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。

(執行文の付与等に関する異議の申立て)

第三十二条
  1. 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
  2. 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
  3. 第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
  4. 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
  5. 前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。

(執行文付与の訴え)

第三十三条
  1. 第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
  2. 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。
    一  第二十二条第一号から第三号まで、第六号又は第六号の二に掲げる債務名義及び同条第七号に掲げる債務名義のうち第六号に掲げるもの以外のもの
    第一審裁判所
    二  第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの
    仮執行の宣言を付した支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所(仮執行の宣言を付した支払督促に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)
    三  第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち民事訴訟法第百三十二条の十第一項 本文の規定による支払督促の申立て又は同法第四百二条第一項 に規定する方式により記載された書面をもつてされた支払督促の申立てによるもの
    当該支払督促の申立てについて同法第三百九十八条 (同法第四百二条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所
    四  第二十二条第四号の二に掲げる債務名義
    同号の処分をした裁判所書記官の所属する裁判所
    五  第二十二条第五号に掲げる債務名義
    債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)
    六  第二十二条第七号に掲げる債務名義のうち和解若しくは調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)又は労働審判に係るもの
    和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)又は労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所

(執行文付与に対する異議の訴え)

第三十四条
  1. 第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
  2. 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
  3. 前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

(請求異議の訴え)

第三十五条
  1. 債務名義(第二十二条第二号又は第四号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
  2. 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
  3. 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)

第三十六条
  1. 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
  2. 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
  3. 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。
  4. 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。
  5. 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(終局判決における執行停止の裁判等)

第三十七条
  1. 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。
  2. 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(第三者異議の訴え)

第三十八条
  1. 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
  2. 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。
  3. 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
  4. 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。

(強制執行の停止)

第三十九条
  1. 強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
    一  債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
    二  債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本
    三  第二十二条第二号から第四号の二までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
    四  強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若しくは調停の調書の正本又は労働審判法 (平成十六年法律第四十五号)第二十一条第四項 の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法第二十条第七項 の調書の正本
    五  強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
    六  強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
    七  強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
    八  債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
  2. 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。
  3. 第一項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。

(執行処分の取消し)

第四十条
  1. 前条第一項第一号から第六号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
  2. 第十二条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。

(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)

第四十一条
  1. 強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。
  2. 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。
  3. 民事訴訟法第三十五条第二項 及び第三項 の規定は、前項の特別代理人について準用する。

(執行費用の負担)

第四十二条
  1. 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
  2. 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。
  3. 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾、調停若しくは労働審判の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。
  4. 第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所の裁判所書記官が定める。
  5. 前項の申立てについての裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
  6. 執行裁判所は、第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、同項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
  7. 第五項の規定による異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
  8. 第四項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
  9. 民事訴訟法第七十四条第一項 の規定は、第四項の規定による裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、第五項、第七項及び前項並びに同条第三項 の規定を準用する。

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行[編集]

第一款 不動産に対する強制執行[編集]

第一目 通則[編集]

第四十三条(不動産執行の方法)
第四十四条(執行裁判所)

第二目 強制競売[編集]

第四十五条(開始決定等)
第四十六条(差押えの効力)
第四十七条(二重開始決定)
第四十八条(差押えの登記の嘱託等)
第四十九条(開始決定及び配当要求の終期の公告等)
第五十条(催告を受けた者の債権の届出義務)
第五十一条(配当要求)
第五十二条(配当要求の終期の変更)
第五十三条(不動産の滅失等による強制競売の手続の取消し)
第五十四条(差押えの登記の抹消の嘱託)
第五十五条(売却のための保全処分等)
第五十五条の二(相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等)
第五十六条(地代等の代払の許可)
第五十七条(現況調査)
第五十八条(評価)
第五十九条(売却に伴う権利の消滅等)
第六十条(売却基準価額の決定等)
第六十一条(一括売却)
第六十二条(物件明細書)
第六十三条(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)
第六十四条(売却の方法及び公告)
第六十四条の二(内覧)
第六十五条(売却の場所の秩序維持)
第六十六条(買受けの申出の保証)
第六十七条(次順位買受けの申出)
第六十八条(債務者の買受けの申出の禁止)
第六十八条の二(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等)
第六十八条の三(売却の見込みのない場合の措置)
第六十九条(売却決定期日)
第七十条(売却の許可又は不許可に関する意見の陳述)
第七十一条(売却不許可事由)
第七十二条(売却の実施の終了後に執行停止の裁判等の提出があつた場合の措置)
第七十三条(超過売却となる場合の措置)
第七十四条(売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)
第七十五条(不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)
第七十六条(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)
第七十七条(最高価買受申出人又は買受人のための保全処分等)
第七十八条(代金の納付)
第七十九条(不動産の取得の時期)
第八十条(代金不納付の効果)
第八十一条(法定地上権)
第八十二条(代金納付による登記の嘱託)
第八十三条(引渡命令)
第八十三条の二(占有移転禁止の保全処分等の効力)
第八十四条(売却代金の配当等の実施)
第八十五条(配当表の作成)
第八十六条(売却代金)
第八十七条(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第八十八条(期限付債権の配当等)
第八十九条(配当異議の申出)
第九十条(配当異議の訴え等)
第九十一条(配当等の額の供託)
第九十二条(権利確定等に伴う配当等の実施)
第三目 強制管理[編集]

第二款 船舶に対する強制執行[編集]

第三款 動産に対する強制執行[編集]

第百二十二条

(動産執行の開始等)


第百二十三条

(債務者の占有する動産の差押え)

第百二十四条

(債務者以外の者の占有する動産の差押え)


第百二十五条

(二重差押えの禁止及び事件の併合)

第百二十六条

(差押えの効力が及ぶ範囲)

第百二十七条

(差押物の引渡命令)

第百二十八条

(超過差押えの禁止等)


第百二十九条

(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)

第百三十条

(売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)

第百三十一条

(差押禁止動産)

第百三十二条

(差押禁止動産の範囲の変更)

第百三十三条

(先取特権者等の配当要求)

第百三十四条

(売却の方法)

第百三十五条 (売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)

第百三十六条

(手形等の提示義務)

第百三十七条

(執行停止中の売却)

第百三十八条

(有価証券の裏書等)

第百三十九条

(執行官による配当等の実施)

第百四十条

(配当等を受けるべき債権者の範囲)

第百四十一条

(執行官の供託)

第百四十二条

(執行裁判所による配当等の実施)

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行[編集]

第一目 債権執行等[編集]

(債権執行の開始)

第百四十三条
金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。

(執行裁判所)

第百四十四条
  1. 債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
  2. 差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
  3. 差押えに係る債権(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。
  4. 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(差押命令)

第百四十五条
  1. 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
  2. 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
  3. 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
  4. 差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
  5. 差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(差押えの範囲)

第百四十六条
  1. 執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
  2. 差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。

(第三債務者の陳述の催告)

第百四十七条
  1. 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
  2. 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

(債権証書の引渡し)

第百四十八条
  1. 差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
  2. 差押債権者は、差押命令に基づいて、第百六十九条に規定する動産の引渡しの強制執行の方法により前項の証書の引渡しを受けることができる。

(差押えが一部競合した場合の効力)

第百四十九条
債権の一部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。

(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)

第百五十条
登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。

(継続的給付の差押え)

第百五十一条
給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。

(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)

第百五十一条の二
  1. 債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
    一  民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
    二  民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
    三  民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
    四  民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
  2. 前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。

(差押禁止債権)

第百五十二条
  1. 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
    一  債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
    二  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
  2. 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
  3. 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

(差押禁止債権の範囲の変更)

第百五十三条]
  1. 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。
  2. 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押命令が取り消された債権を差し押さえ、又は同項の規定による差押命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
  3. 前二項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第三債務者に対し、支払その他の給付の禁止を命ずることができる。
  4. 第一項又は第二項の規定による差押命令の取消しの申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
  5. 第三項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(配当要求)

第百五十四条
  1. 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
  2. 前項の配当要求があつたときは、その旨を記載した文書は、第三債務者に送達しなければならない。
  3. 配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(差押債権者の金銭債権の取立て)

第百五十五条
  1. 金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
  2. 差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
  3. 差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。

(第三債務者の供託)

第百五十六条
  1. 第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
  2. 第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
  3. 第三債務者は、前二項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

(取立訴訟)

第百五十七条
  1. 差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
  2. 前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
  3. 取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
  4. 前条第二項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
  5. 強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。

(債権者の損害賠償)

第百五十八条
差押債権者は、債務者に対し、差し押さえた債権の行使を怠つたことによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。

(転付命令)

第百五十九条
  1. 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
  2. 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
  3. 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
  4. 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
  5. 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
  6. 転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。

(転付命令の効力)

第百六十条
差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。

(譲渡命令等)

第百六十一条
  1. 差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
  2. 執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
  3. 第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
  4. 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
  5. 執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第三債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
  6. 第百五十九条第二項及び第三項並びに前条の規定は譲渡命令について、第百五十九条第六項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第六十五条及び第六十八条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第百五十九条第二項の規定は管理命令について、第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十四条第二項、第九十五条第一項、第三項及び第四項、第九十八条から第百四条まで並びに第百六条から第百十条までの規定は管理命令に基づく管理について準用する。この場合において、第八十四条第三項及び第四項中「代金の納付後」とあるのは、「第百六十一条において準用する第百七条第一項の期間の経過後」と読み替えるものとする。

(船舶の引渡請求権の差押命令の執行)

第百六十二条
  1. 船舶の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができる。
  2. 前項の規定により保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行う。
  3. 第一項に規定する保管人が船舶の引渡しを受けた場合において、その船舶について強制競売の開始決定がされたときは、その保管人は、第百十六条第一項の規定により選任された保管人とみなす。

(動産の引渡請求権の差押命令の執行)

第百六十三条
  1. 動産の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、差押債権者の申立てを受けた執行官にその動産を引き渡すべきことを請求することができる。
  2. 執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を執行裁判所に提出しなければならない。

(移転登記等の嘱託)

第百六十四条
  1. 第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が確定したとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の抹消を嘱託しなければならない。
  2. 前項の規定による嘱託をする場合(次項に規定する場合を除く。)においては、嘱託書に、転付命令若しくは譲渡命令の正本又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本を添付しなければならない。
  3. 第一項の規定による嘱託をする場合において、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)第十六条第二項 (他の法令において準用する場合を含む。)において準用する同法第十八条 の規定による嘱託をするときは、その嘱託情報と併せて転付命令若しくは譲渡命令があつたことを証する情報又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の内容を証する情報を提供しなければならない。
  4. 第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項に規定する差押債権者又は買受人の負担とする。
  5. 第百五十条の規定により登記等がされた場合において、差し押さえられた債権について支払又は供託があつたことを証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その登記等の抹消を嘱託しなければならない。債権執行の申立てが取り下げられたとき、又は差押命令の取消決定が確定したときも、同様とする。
  6. 前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項前段の場合にあつては債務者の負担とし、同項後段の場合にあつては差押債権者の負担とする。

(配当等を受けるべき債権者の範囲)

第百六十五条
配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者とする。
一  第三債務者が第百五十六条第一項又は第二項の規定による供託をした時
二  取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時
三  売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時
四  動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時

(配当等の実施)

第百六十六条
  1. 執行裁判所は、第百六十一条第六項において準用する第百九条に規定する場合のほか、次に掲げる場合には、配当等を実施しなければならない。
    一  第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定による供託がされた場合
    二  売却命令による売却がされた場合
    三  第百六十三条第二項の規定により売得金が提出された場合
  2. 第八十四条、第八十五条及び第八十八条から第九十二条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。

(その他の財産権に対する強制執行)

第百六十七条
  1. 不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。
  2. その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものは、強制執行の管轄については、その登記等の地にあるものとする。
  3. その他の財産権で第三債務者又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。
  4. その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものについて差押えの登記等が差押命令の送達前にされた場合には、差押えの効力は、差押えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の財産権で権利の処分の制限について登記等をしなければその効力が生じないものに対する差押えの効力は、差押えの登記等が差押命令の送達後にされた場合においても、差押えの登記等がされた時に生ずる。
  5. 第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は、権利の移転について登記等を要するその他の財産権の強制執行に関する登記等について準用する。
第二目 少額訴訟債権執行[編集]

第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例[編集]

第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行[編集]

(不動産の引渡し等の強制執行)

第百六十八条
  1. 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
  2. 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
  3. 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
  4. 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
  5. 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
  6. 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
  7. 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
  8. 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
  9. 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。

(明渡しの催告)

第百六十八条の二
  1. 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、当該強制執行を開始することができるときは、次項に規定する引渡し期限を定めて、明渡しの催告(不動産等の引渡し又は明渡しの催告をいう。以下この条において同じ。)をすることができる。ただし、債務者が当該不動産等を占有していないときは、この限りでない。
  2. 引渡し期限(明渡しの催告に基づき第六項の規定による強制執行をすることができる期限をいう。以下この条において同じ。)は、明渡しの催告があつた日から一月を経過する日とする。ただし、執行官は、執行裁判所の許可を得て、当該日以後の日を引渡し期限とすることができる。
  3. 執行官は、明渡しの催告をしたときは、その旨、引渡し期限及び第五項の規定により債務者が不動産等の占有を移転することを禁止されている旨を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。
  4. 執行官は、引渡し期限が経過するまでの間においては、執行裁判所の許可を得て、引渡し期限を延長することができる。この場合においては、執行官は、引渡し期限の変更があつた旨及び変更後の引渡し期限を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。
  5. 明渡しの催告があつたときは、債務者は、不動産等の占有を移転してはならない。ただし、債権者に対して不動産等の引渡し又は明渡しをする場合は、この限りでない。
  6. 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、引渡し期限が経過するまでの間においては、占有者(第一項の不動産等を占有する者であつて債務者以外のものをいう。以下この条において同じ。)に対して、第一項の申立てに基づく強制執行をすることができる。この場合において、第四十二条及び前条の規定の適用については、当該占有者を債務者とみなす。
  7. 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、占有者は、明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由として、債権者に対し、強制執行の不許を求める訴えを提起することができる。この場合においては、第三十六条、第三十七条及び第三十八条第三項の規定を準用する。
  8. 明渡しの催告後に不動産等を占有した占有者は、明渡しの催告があつたことを知つて占有したものと推定する。
  9. 第六項の規定により占有者に対して強制執行がされたときは、当該占有者は、執行異議の申立てにおいて、債権者に対抗することができる権原により目的物を占有していること、又は明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由とすることができる。
  10. 明渡しの催告に要した費用は、執行費用とする。

(動産の引渡しの強制執行)

第百六十九条
  1. 第百六十八条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。
  2. 第百二十二条第二項、第百二十三条第二項及び第百六十八条第五項から第八項までの規定は、前項の強制執行について準用する。