民事執行法

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第一章 総則[編集]

(趣旨)

第一条
強制執行、担保権の実行としての競売及び民法 (明治二十九年法律第八十九号)、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の規定による換価のための競売並びに債務者の財産の開示(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(執行機関)

第二条
民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。

(執行裁判所)

第三条
裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。

(任意的口頭弁論)

第四条
執行裁判所のする裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

(審尋)

第五条
執行裁判所は、執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、利害関係を有する者その他参考人を審尋することができる。

(執行官等の職務の執行の確保)

第六条
  1. 執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。ただし、第六十四条の二第五項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定に基づく職務の執行については、この限りでない。
  2. 執行官以外の者で執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行うものは、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、執行官に対し、援助を求めることができる。

(立会人)

第七条
執行官又は執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者(以下「執行官等」という。)は、人の住居に立ち入つて職務を執行するに際し、住居主、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者を立ち会わせなければならない。執行官が前条第一項の規定により威力を用い、又は警察上の援助を受けるときも、同様とする。

(休日又は夜間の執行)

第八条
  1. 執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
  2. 執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。

(身分証明書等の携帯)

第九条
執行官等は、職務を執行する場合には、その身分又は資格を証する文書を携帯し、利害関係を有する者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

(執行抗告)

第十条
  1. 民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
  2. 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
  3. 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。
  4. 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。
  5. 次の各号に該当するときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。
    一  抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき。
    二  執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき。
    三  執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるとき。
    四  執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるとき。
  6. 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。
  7. 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。
  8. 第五項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
  9. 第六項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
  10. 民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第三百四十九条 の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。

(執行異議)

第十一条
  1. 執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。
  2. 前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。

(取消決定等に対する執行抗告)

第十二条
  1. 民事執行の手続を取り消す旨の決定に対しては、執行抗告をすることができる。民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判又は執行官に民事執行の手続の取消しを命ずる決定に対しても、同様とする。
  2. 前項の規定により執行抗告をすることができる裁判は、確定しなければその効力を生じない。

(代理人)

第十三条
  1. 民事訴訟法第五十四条第一項 の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。
  2. 執行裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。

(費用の予納等)

第十四条
  1. 執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として裁判所書記官の定める金額を予納しなければならない。予納した費用が不足する場合において、裁判所書記官が相当の期間を定めてその不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。
  2. 前項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
  3. 第一項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
  4. 申立人が費用を予納しないときは、執行裁判所は、民事執行の申立てを却下し、又は民事執行の手続を取り消すことができる。
  5. 前項の規定により申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。

(担保の提供)

第十五条
  1. この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券(社債等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)第百二十九条第一項 に規定する振替社債等を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
  2. 民事訴訟法第七十七条 、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

(送達の特例)

第十六条
  1. 民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を執行裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
  2. 民事訴訟法第百四条第二項 及び第三項 並びに第百七条 の規定は、前項前段の場合について準用する。
  3. 第一項前段の規定による届出をしない者(前項において準用する民事訴訟法第百四条第三項 に規定する者を除く。)に対する送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所においてする。
  4. 前項の規定による送達をすべき場合において、第二十条において準用する民事訴訟法第百六条 の規定により送達をすることができないときは、裁判所書記官は、同項の住所、居所、営業所又は事務所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項 に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるものに付して発送することができる。この場合においては、民事訴訟法第百七条第二項 及び第三項 の規定を準用する。

(民事執行の事件の記録の閲覧等)

第十七条
執行裁判所の行う民事執行について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。

(官庁等に対する援助請求等)

第十八条
  1. 民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所又は執行官は、官庁又は公署に対し、援助を求めることができる。
  2. 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産(財産が土地である場合にはその上にある建物を、財産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができる。
  3. 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書を必要とする場合について準用する。

(専属管轄)

第十九条
この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

(民事訴訟法 の準用)

第二十条
特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、民事訴訟法 の規定を準用する。

(最高裁判所規則)

第二十一条
この法律に定めるもののほか、民事執行の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第二章 強制執行[編集]

第一節 総則[編集]

第二十二条(債務名義)
第二十三条(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十四条(外国裁判所の判決の執行判決)
第二十五条(強制執行の実施)
第二十六条(執行文の付与)
第二十七条
第二十八条(執行文の再度付与等)
第二十九条(債務名義等の送達)
第三十条(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
第三十一条(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第三十二条(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第三十三条(執行文付与の訴え)
第三十四条(執行文付与に対する異議の訴え)
第三十五条(請求異議の訴え)
第三十六条(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第三十七条(終局判決における執行停止の裁判等)
第三十八条(第三者異議の訴え)
第三十九条(強制執行の停止)
第四十条(執行処分の取消し)
第四十一条(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
第四十二条(執行費用の負担)

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行[編集]

第一款 不動産に対する強制執行[編集]

第一目 通則[編集]
第四十三条(不動産執行の方法)
第四十四条(執行裁判所)
第二目 強制競売[編集]
第四十五条(開始決定等)
第四十六条(差押えの効力)
第四十七条(二重開始決定)
第四十八条(差押えの登記の嘱託等)
第四十九条(開始決定及び配当要求の終期の公告等)
第五十条(催告を受けた者の債権の届出義務)
第五十一条(配当要求)
第五十二条(配当要求の終期の変更)
第五十三条(不動産の滅失等による強制競売の手続の取消し)
第五十四条(差押えの登記の抹消の嘱託)
第五十五条(売却のための保全処分等)
第五十五条の二(相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等)
第五十六条(地代等の代払の許可)
第五十七条(現況調査)
第五十八条(評価)
第五十九条(売却に伴う権利の消滅等)
第六十条(売却基準価額の決定等)
第六十一条(一括売却)
第六十二条(物件明細書)
第六十三条(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)
第六十四条(売却の方法及び公告)
第六十四条の二(内覧)
第六十五条(売却の場所の秩序維持)
第六十六条(買受けの申出の保証)
第六十七条(次順位買受けの申出)
第六十八条(債務者の買受けの申出の禁止)
第六十八条の二(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等)
第六十八条の三(売却の見込みのない場合の措置)
第六十九条(売却決定期日)
第七十条(売却の許可又は不許可に関する意見の陳述)
第七十一条(売却不許可事由)
第七十二条(売却の実施の終了後に執行停止の裁判等の提出があつた場合の措置)
第七十三条(超過売却となる場合の措置)
第七十四条(売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)
第七十五条(不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)
第七十六条(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)
第七十七条(最高価買受申出人又は買受人のための保全処分等)
第七十八条(代金の納付)
第七十九条(不動産の取得の時期)
第八十条(代金不納付の効果)
第八十一条(法定地上権)
第八十二条(代金納付による登記の嘱託)
第八十三条(引渡命令)
第八十三条の二(占有移転禁止の保全処分等の効力)
第八十四条(売却代金の配当等の実施)
第八十五条(配当表の作成)
第八十六条(売却代金)
第八十七条(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第八十八条(期限付債権の配当等)
第八十九条(配当異議の申出)
第九十条(配当異議の訴え等)
第九十一条(配当等の額の供託)
第九十二条(権利確定等に伴う配当等の実施)
第三目 強制管理[編集]

第二款 船舶に対する強制執行[編集]

第三款 動産に対する強制執行[編集]

第百二十二条(動産執行の開始等)
第百二十三条(債務者の占有する動産の差押え)
第百二十四条(債務者以外の者の占有する動産の差押え)
第百二十五条(二重差押えの禁止及び事件の併合)
第百二十六条(差押えの効力が及ぶ範囲)
第百二十七条(差押物の引渡命令)
第百二十八条(超過差押えの禁止等)
第百二十九条(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)
第百三十条(売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)
第百三十一条(差押禁止動産)
第百三十二条(差押禁止動産の範囲の変更)
第百三十三条(先取特権者等の配当要求)
第百三十四条(売却の方法)
第百三十五条(売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)
第百三十六条(手形等の提示義務)
第百三十七条(執行停止中の売却)
第百三十八条(有価証券の裏書等)
第百三十九条(執行官による配当等の実施)
第百四十条(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第百四十一条(執行官の供託)
第百四十二条(執行裁判所による配当等の実施)

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行[編集]

第一目 債権執行等[編集]
第百四十三条(債権執行の開始)
第百四十四条(執行裁判所)
第百四十五条(差押命令)
第百四十六条(差押えの範囲)
第百四十七条(第三債務者の陳述の催告)
第百四十八条(債権証書の引渡し)
第百四十九条(差押えが一部競合した場合の効力)
第百五十条(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
第百五十一条(継続的給付の差押え)
第百五十一条の二(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
第百五十二条(差押禁止債権)
第百五十三条(差押禁止債権の範囲の変更)
第百五十四条(配当要求)
第百五十五条(差押債権者の金銭債権の取立て)
第百五十六条(第三債務者の供託)
第百五十七条(取立訴訟)
第百五十八条(債権者の損害賠償)
第百五十九条(転付命令)
第百六十条(転付命令の効力)
第百六十一条(譲渡命令等)
第百六十二条(船舶の引渡請求権の差押命令の執行)
第百六十三条(動産の引渡請求権の差押命令の執行)
第百六十四条(移転登記等の嘱託)
第百六十五条(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第百六十六条(配当等の実施)
第百六十七条(その他の財産権に対する強制執行)
第二目 少額訴訟債権執行[編集]

(少額訴訟債権執行の開始等)

第百六十七条の二
  1. 次に掲げる少額訴訟に係る債務名義による金銭債権に対する強制執行は、前目の定めるところにより裁判所が行うほか、第二条の規定にかかわらず、申立てにより、この目の定めるところにより裁判所書記官が行う。
    一  少額訴訟における確定判決
    二  仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決
    三  少額訴訟における訴訟費用又は和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分
    四  少額訴訟における和解又は認諾の調書
    五  少額訴訟における民事訴訟法第二百七十五条の二第一項 の規定による和解に代わる決定
  2. 前項の規定により裁判所書記官が行う同項の強制執行(以下この目において「少額訴訟債権執行」という。)は、裁判所書記官の差押処分により開始する。
  3. 少額訴訟債権執行の申立ては、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
    一  第一項第一号に掲げる債務名義 同号の判決をした簡易裁判所
    二  第一項第二号に掲げる債務名義 同号の判決をした簡易裁判所
    三  第一項第三号に掲げる債務名義 同号の処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所
    四  第一項第四号に掲げる債務名義 同号の和解が成立し、又は同号の認諾がされた簡易裁判所
    五  第一項第五号に掲げる債務名義 同号の和解に代わる決定をした簡易裁判所
  4. 第百四十四条第三項及び第四項の規定は、差押えに係る金銭債権(差押処分により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押処分がされた場合について準用する。この場合において、同条第三項中「差押命令を発した執行裁判所」とあるのは「差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所」と、「執行裁判所は」とあるのは「裁判所書記官は」と、「他の執行裁判所」とあるのは「他の簡易裁判所の裁判所書記官」と、同条第四項中「決定」とあるのは「裁判所書記官の処分」と読み替えるものとする。

(執行裁判所)

第百六十七条の三
少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分に関しては、その裁判所書記官の所属する簡易裁判所をもつて執行裁判所とする。

(裁判所書記官の執行処分の効力等)

第百六十七条の四
  1. 少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分は、特別の定めがある場合を除き、相当と認める方法で告知することによつて、その効力を生ずる。
  2. 前項に規定する裁判所書記官が行う執行処分に対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。
  3. 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による執行異議の申立てがあつた場合について準用する。

(差押処分)

第百六十七条の五
  1. 裁判所書記官は、差押処分において、債務者に対し金銭債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
  2. 第百四十五条第二項から第四項までの規定は、差押処分について準用する。
  3. 差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
  4. 前項の執行異議の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
  5. 民事訴訟法第七十四条第一項 の規定は、差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、第三項及び前項並びに同条第三項 の規定を準用する。

(費用の予納等)

第百六十七条の六
  1. 少額訴訟債権執行についての第十四条第一項及び第四項の規定の適用については、これらの規定中「執行裁判所」とあるのは、「裁判所書記官」とする。
  2. 第十四条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定による裁判所書記官の処分については、適用しない。
  3. 第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
  4. 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
  5. 第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定により少額訴訟債権執行の手続を取り消す旨の裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。

(第三者異議の訴えの管轄裁判所)

第百六十七条の七
少額訴訟債権執行の不許を求める第三者異議の訴えは、第三十八条第三項の規定にかかわらず、執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

(差押禁止債権の範囲の変更)

第百六十七条の八
執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押処分の全部若しくは一部を取り消し、又は第百六十七条の十四において準用する第百五十二条の規定により差し押さえてはならない金銭債権の部分について差押処分をすべき旨を命ずることができる。
  1. 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押処分が取り消された金銭債権について差押処分をすべき旨を命じ、又は同項の規定によりされた差押処分の全部若しくは一部を取り消すことができる。
  2. 第百五十三条第三項から第五項までの規定は、前二項の申立てがあつた場合について準用する。この場合において、同条第四項中「差押命令」とあるのは、「差押処分」と読み替えるものとする。

(配当要求)

第百六十七条の九
  1. 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、裁判所書記官に対し、配当要求をすることができる。
  2. 第百五十四条第二項の規定は、前項の配当要求があつた場合について準用する。
  3. 第一項の配当要求を却下する旨の裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
  4. 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(転付命令等のための移行)

第百六十七条の十
  1. 差押えに係る金銭債権について転付命令又は譲渡命令、売却命令、管理命令その他相当な方法による換価を命ずる命令(以下この条において「転付命令等」という。)のいずれかの命令を求めようとするときは、差押債権者は、執行裁判所に対し、転付命令等のうちいずれの命令を求めるかを明らかにして、債権執行の手続に事件を移行させることを求める旨の申立てをしなければならない。
  2. 前項に規定する命令の種別を明らかにしてされた同項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
  3. 前項の規定による決定が効力を生ずる前に、既にされた執行処分について執行異議の申立て又は執行抗告があつたときは、当該決定は、当該執行異議の申立て又は執行抗告についての裁判が確定するまでは、その効力を生じない。
  4. 第二項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
  5. 第一項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。

6  第二項の規定による決定が効力を生じたときは、差押処分の申立て又は第一項の申立てがあつた時に第二項に規定する地方裁判所にそれぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立てがあつたものとみなし、既にされた執行処分その他の行為は債権執行の手続においてされた執行処分その他の行為とみなす。

(配当等のための移行等)

第百六十七条の十一
  1. 第百六十七条の十四において準用する第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定により供託がされた場合において、債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができないため配当を実施すべきときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
  2. 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令又は差押処分が発せられたときは、執行裁判所は、同項に規定する地方裁判所における債権執行の手続のほか、当該差押命令を発した執行裁判所又は当該差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続にも事件を移行させることができる。
  3. 第一項に規定する供託がされた場合において、債権者が一人であるとき、又は債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、裁判所書記官は、供託金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
  4. 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられたときは、執行裁判所は、同項の規定にかかわらず、その所在地を管轄する地方裁判所又は当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
  5. 差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられた場合において、当該差押命令を発した執行裁判所が第百六十一条第六項において準用する第百九条の規定又は第百六十六条第一項第二号の規定により配当等を実施するときは、執行裁判所は、当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。

6  第一項、第二項、第四項又は前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

  1. 第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十一条(第一項第六号及び第七号を除く。)並びに第九十二条第一項の規定は第三項の規定により裁判所書記官が実施する弁済金の交付の手続について、前条第三項の規定は第一項、第二項、第四項又は第五項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項、第二項、第四項又は第五項の規定による決定が効力を生じた場合について準用する。

(裁量移行)

第百六十七条の十二
  1. 執行裁判所は、差し押さえるべき金銭債権の内容その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
  2. 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
  3. 第百六十七条の十第三項の規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項の規定による決定が効力を生じた場合について準用する。この場合において、同条第六項中「差押処分の申立て又は第一項の申立て」とあるのは「差押処分の申立て」と、「それぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立て」とあるのは「差押命令の申立て」と読み替えるものとする。

(総則規定の適用関係)

第百六十七条の十三
  1. 少額訴訟債権執行についての第一章及び第二章第一節の規定の適用については、第十三条第一項中「執行裁判所でする手続」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行の手続」と、第十六条第一項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第十七条中「執行裁判所の行う民事執行」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行」と、第四十条第一項中「執行裁判所又は執行官」とあるのは「裁判所書記官」と、第四十二条第四項中「執行裁判所の裁判所書記官」とあるのは「裁判所書記官」とする。

(債権執行の規定の準用)

第百六十七条の十四
第百四十六条から第百五十二条まで、第百五十五条から第百五十八条まで、第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十五条(第三号及び第四号を除く。)の規定は、少額訴訟債権執行について準用する。この場合において、第百四十六条、第百五十五条第三項及び第百五十六条第三項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第百四十六条第一項中「差押命令を発する」とあるのは「差押処分をする」と、第百四十七条第一項、第百四十八条第二項、第百五十条及び第百五十五条第一項中「差押命令」とあるのは「差押処分」と、第百四十七条第一項及び第百四十八条第一項中「差押えに係る債権」とあるのは「差押えに係る金銭債権」と、第百四十九条中「差押命令が発せられたとき」とあるのは「差押処分がされたとき」と、第百六十四条第五項中「差押命令の取消決定」とあるのは「差押処分の取消決定若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と、第百六十五条(見出しを含む。)中「配当等」とあるのは「弁済金の交付」と読み替えるものとする。

第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例[編集]

(扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)

第百六十七条の十五
  1. 第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項に規定する方法により行う。ただし、債務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するときは、この限りでない。
  2. 前項の規定により同項に規定する金銭債権について第百七十二条第一項に規定する方法により強制執行を行う場合において、債務者が債権者に支払うべき金銭の額を定めるに当たつては、執行裁判所は、債務不履行により債権者が受けるべき不利益並びに債務者の資力及び従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならない。
  3. 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、債務者の申立てにより、その申立てがあつた時(その申立てがあつた後に事情の変更があつたときは、その事情の変更があつた時)までさかのぼつて、第一項の規定による決定を取り消すことができる。
  4. 前項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第一項の規定による決定の執行の停止を命ずることができる。
  5. 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
  6. 第百七十二条第二項から第五項までの規定は第一項の場合について、同条第三項及び第五項の規定は第三項の場合について、第百七十三条第二項の規定は第一項の執行裁判所について準用する。

(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)

第百六十七条の十六
債権者が第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち六月以内に確定期限が到来するものについても、前条第一項に規定する方法による強制執行を開始することができる。

第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行[編集]

(不動産の引渡し等の強制執行)

第百六十八条
  1. 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
  2. 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
  3. 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
  4. 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
  5. 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
  6. 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
  7. 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
  8. 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
  9. 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。

(明渡しの催告)

第百六十八条の二
  1. 執行官は、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた場合において、当該強制執行を開始することができるときは、次項に規定する引渡し期限を定めて、明渡しの催告(不動産等の引渡し又は明渡しの催告をいう。以下この条において同じ。)をすることができる。ただし、債務者が当該不動産等を占有していないときは、この限りでない。
  2. 引渡し期限(明渡しの催告に基づき第六項の規定による強制執行をすることができる期限をいう。以下この条において同じ。)は、明渡しの催告があつた日から一月を経過する日とする。ただし、執行官は、執行裁判所の許可を得て、当該日以後の日を引渡し期限とすることができる。
  3. 執行官は、明渡しの催告をしたときは、その旨、引渡し期限及び第五項の規定により債務者が不動産等の占有を移転することを禁止されている旨を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。
  4. 執行官は、引渡し期限が経過するまでの間においては、執行裁判所の許可を得て、引渡し期限を延長することができる。この場合においては、執行官は、引渡し期限の変更があつた旨及び変更後の引渡し期限を、当該不動産等の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法により、公示しなければならない。
  5. 明渡しの催告があつたときは、債務者は、不動産等の占有を移転してはならない。ただし、債権者に対して不動産等の引渡し又は明渡しをする場合は、この限りでない。
  6. 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、引渡し期限が経過するまでの間においては、占有者(第一項の不動産等を占有する者であつて債務者以外のものをいう。以下この条において同じ。)に対して、第一項の申立てに基づく強制執行をすることができる。この場合において、第四十二条及び前条の規定の適用については、当該占有者を債務者とみなす。
  7. 明渡しの催告後に不動産等の占有の移転があつたときは、占有者は、明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由として、債権者に対し、強制執行の不許を求める訴えを提起することができる。この場合においては、第三十六条、第三十七条及び第三十八条第三項の規定を準用する。
  8. 明渡しの催告後に不動産等を占有した占有者は、明渡しの催告があつたことを知つて占有したものと推定する。
  9. 第六項の規定により占有者に対して強制執行がされたときは、当該占有者は、執行異議の申立てにおいて、債権者に対抗することができる権原により目的物を占有していること、又は明渡しの催告があつたことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人でないことを理由とすることができる。
  10. 明渡しの催告に要した費用は、執行費用とする。

(動産の引渡しの強制執行)

第百六十九条
  1. 第百六十八条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。
  2. 第百二十二条第二項、第百二十三条第二項及び第百六十八条第五項から第八項までの規定は、前項の強制執行について準用する。

(目的物を第三者が占有する場合の引渡しの強制執行)

第百七十条
  1. 第三者が強制執行の目的物を占有している場合においてその物を債務者に引き渡すべき義務を負つているときは、物の引渡しの強制執行は、執行裁判所が、債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、請求権の行使を債権者に許す旨の命令を発する方法により行う。
  2. 第百四十四条、第百四十五条、第百四十七条、第百四十八条、第百五十五条第一項及び第二項並びに第百五十八条の規定は、前項の強制執行について準用する。

(代替執行)

第百七十一条
  1. 民法第四百十四条第二項 本文又は第三項 に規定する請求に係る強制執行は、執行裁判所が民法 の規定に従い決定をする方法により行う。
  2. 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第六号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
  3. 執行裁判所は、第一項の決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。
  4. 執行裁判所は、第一項の決定をする場合には、申立てにより、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。
  5. 第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
  6. 第六条第二項の規定は、第一項の決定を執行する場合について準用する。

間接強制

第百七十二条
  1. 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
  2. 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
  3. 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
  4. 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
  5. 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
  6. 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。

第百七十三条

  1. 第百六十八条第一項、第百六十九条第一項、第百七十条第一項及び第百七十一条第一項に規定する強制執行は、それぞれ第百六十八条から第百七十一条までの規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が前条第一項に規定する方法により行う。この場合においては、同条第二項から第五項までの規定を準用する。
  2. 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項各号(第四号を除く。)に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該債務名義についての執行文付与の訴えの管轄裁判所とする。

(意思表示の擬制)

第百七十四条
  1. 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾、調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第二十七条第一項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第三項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。
  2. 債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
  3. 債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合において、執行文の付与の申立てがあつたときは、裁判所書記官は、債務者に対し一定の期間を定めてその事実を証明する文書を提出すべき旨を催告し、債務者がその期間内にその文書を提出しないときに限り、執行文を付与することができる。

第百七十五条  削除

第百七十六条  削除

第百七十七条  削除

第百七十八条  削除

第百七十九条  削除

第三章 担保権の実行としての競売等[編集]

(不動産担保権の実行の方法)

第百八十条
不動産(登記することができない土地の定着物を除き、第四十三条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下この章において同じ。)を目的とする担保権(以下この章において「不動産担保権」という。)の実行は、次に掲げる方法であつて債権者が選択したものにより行う。
一  担保不動産競売(競売による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法
二  担保不動産収益執行(不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法

(不動産担保権の実行の開始)

第百八十一条
  1. 不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
    一  担保権の存在を証する確定判決若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)第十五条 の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本
    二  担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本
    三  担保権の登記(仮登記を除く。)に関する登記事項証明書
    四  一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書
  2. 抵当証券の所持人が不動産担保権の実行の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。
  3. 担保権について承継があつた後不動産担保権の実行の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。
  4. 不動産担保権の実行の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産担保権の実行の申立てにおいて提出された前三項に規定する文書の目録及び第一項第四号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。

(開始決定に対する執行抗告等)

第百八十二条
不動産担保権の実行の開始決定に対する執行抗告又は執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者。以下同じ。)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。

(不動産担保権の実行の手続の停止)

第百八十三条
  1. 不動産担保権の実行の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
    一  担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本
    二  第百八十一条第一項第一号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第三号に掲げる登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本
    三  担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本
    四  担保権の登記の抹消に関する登記事項証明書
    五  不動産担保権の実行の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本
    六  不動産担保権の実行の手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本
    七  担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本
  2. 前項第一号から第五号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。

3  第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。

(代金の納付による不動産取得の効果)

第百八十四条
担保不動産競売における代金の納付による買受人の不動産の取得は、担保権の不存在又は消滅により妨げられない。
第百八十五条  削除
第百八十六条  削除

(担保不動産競売の開始決定前の保全処分等)

第百八十七条
  1. 執行裁判所は、担保不動産競売の開始決定前であつても、債務者又は不動産の所有者若しくは占有者が価格減少行為(第五十五条第一項に規定する価格減少行為をいう。以下この項において同じ。)をする場合において、特に必要があるときは、当該不動産につき担保不動産競売の申立てをしようとする者の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、同条第一項各号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずることができる。ただし、当該価格減少行為による価格の減少又はそのおそれの程度が軽微であるときは、この限りでない。
  2. 前項の場合において、第五十五条第一項第二号又は第三号に掲げる保全処分は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときでなければ、命ずることができない。
    一  前項の債務者又は同項の不動産の所有者が当該不動産を占有する場合
    二  前項の不動産の占有者の占有の権原が同項の規定による申立てをした者に対抗することができない場合
  3. 第一項の規定による申立てをするには、担保不動産競売の申立てをする場合において第百八十一条第一項から第三項までの規定により提出すべき文書を提示しなければならない。
  4. 執行裁判所は、申立人が第一項の保全処分を命ずる決定の告知を受けた日から三月以内に同項の担保不動産競売の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、被申立人又は同項の不動産の所有者の申立てにより、その決定を取り消さなければならない。
  5. 第五十五条第三項から第五項までの規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項又はこの項において準用する同条第五項の申立てについての裁判について、同条第七項の規定はこの項において準用する同条第五項の規定による決定について、同条第八項及び第九項並びに第五十五条の二の規定は第一項の規定による決定(第五十五条第一項第一号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずるものを除く。)について、第五十五条第十項の規定は第一項の申立て又は同項の規定による決定(同条第一項第一号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずるものを除く。)の執行に要した費用について、第八十三条の二の規定は第一項の規定による決定(第五十五条第一項第三号に掲げる保全処分及び公示保全処分を命ずるものに限る。)の執行がされた場合について準用する。この場合において、第五十五条第三項中「債務者以外の占有者」とあるのは、「債務者及び不動産の所有者以外の占有者」と読み替えるものとする。

(不動産執行の規定の準用)

第百八十八条
第四十四条の規定は不動産担保権の実行について、前章第二節第一款第二目(第八十一条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第三目の規定は担保不動産収益執行について準用する。

(船舶の競売)

第百八十九条
前章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十四条までの規定は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。この場合において、第百十五条第三項中「執行力のある債務名義の正本」とあるのは「第百八十九条において準用する第百八十一条第一項から第三項までに規定する文書」と、第百八十一条第一項第四号中「一般の先取特権」とあるのは「一般の先取特権又は商法第八百四十二条 に定める先取特権」と読み替えるものとする。

(動産競売の要件)

第百九十条
  1. 動産を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、次に掲げる場合に限り、開始する。
    一  債権者が執行官に対し当該動産を提出した場合
    二  債権者が執行官に対し当該動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出した場合
    三  債権者が執行官に対し次項の許可の決定書の謄本を提出し、かつ、第百九十二条において準用する第百二十三条第二項の規定による捜索に先立つて又はこれと同時に当該許可の決定が債務者に送達された場合
  2.  執行裁判所は、担保権の存在を証する文書を提出した債権者の申立てがあつたときは、当該担保権についての動産競売の開始を許可することができる。ただし、当該動産が第百二十三条第二項に規定する場所又は容器にない場合は、この限りでない。
  3. 前項の許可の決定は、債務者に送達しなければならない。
  4. 第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

(動産の差押えに対する執行異議)

第百九十一条
動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由とすることができる。

(動産執行の規定の準用)

第百九十二条
前章第二節第三款(第百二十三条第二項、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条を除く。)及び第百八十三条の規定は動産競売について、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条の規定は一般の先取特権の実行としての動産競売について、第百二十三条第二項の規定は第百九十条第一項第三号に掲げる場合における動産競売について準用する。

(債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)

第百九十三条
  1. 第百四十三条に規定する債権及び第百六十七条第一項に規定する財産権(以下この項において「その他の財産権」という。)を目的とする担保権の実行は、担保権の存在を証する文書(権利の移転について登記等を要するその他の財産権を目的とする担保権で一般の先取特権以外のものについては、第百八十一条第一項第一号から第三号まで、第二項又は第三項に規定する文書)が提出されたときに限り、開始する。担保権を有する者が目的物の売却、賃貸、滅失若しくは損傷又は目的物に対する物権の設定若しくは土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)による収用その他の行政処分により債務者が受けるべき金銭その他の物に対して民法 その他の法律の規定によつてするその権利の行使についても、同様とする。
  2. 前章第二節第四款第一目(第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条を除く。)及び第百八十二条から第百八十四条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条の規定は前項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。

(担保権の実行についての強制執行の総則規定の準用)

第百九十四条
第三十八条、第四十一条及び第四十二条の規定は、担保権の実行としての競売、担保不動産収益執行並びに前条第一項に規定する担保権の実行及び行使について準用する。

留置権による競売及び民法 、商法 その他の法律の規定による換価のための競売)

第百九十五条
留置権による競売及び民法 、商法 その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。

第四章 財産開示手続[編集]

第五章 罰則[編集]

附則[編集]


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