昭和二十年八月十四日内閣告諭

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⦿內閣告諭號外

本日畏クモ大詔ヲ拜ス帝國ハ大東亞戰爭ニ從フコト實ニ四年ニ近ク而モ遂ニ 慮ヲ以テ非常ノ措置ニ依リ其ノ局ヲ結ブノ他ナキニ至ル臣子トシテ恐懼謂フベキ所ヲ知ラザルナリ

顧ルニ開戰以降ク骨ヲ異域ニ暴セルノ將兵其ノ數ヲ知ラズ本土ノ被害無辜ノ犧牲亦玆ニ極マル思フテ此ニ至レバ痛憤限リナシ然ルニ戰爭ノ目的ヲ實現スルニ由ナク戰勢亦必ズシモ利アラズ遂ニ科學史上未曾有ノ破壞力ヲ有スル新爆彈ノ用ヒラルルニ至リテ戰爭ノ仕法ヲ一變セシメ次イデ「ソ」聯邦ハ去ル九日帝國ニ宣戰ヲ布告シ帝國ハ正ニ未曾有ノ難關ニ逢著シタリ 德ノ宏大無邊ナル世界ノ和ト臣民ノ康寧トヲ冀ハセ給ヒ玆ニ畏クモ大詔ヲ渙發セラル 斷旣ニ下ル赤子ノ率由スベキ方ハ自ラ明カナリ

固ヨリ帝國ノ前ハ之ニ依リ一層ノ困難ヲ加ヘ更ニ國民ノ苦ヲ求ムルニ至ルベシ然レドモ帝國ハ此ノ苦ノ結實ニ依リテ國家ノ命ヲ將來ニ開拓セザルベカラズ本大臣ハ玆ニ萬斛ノ淚ヲ呑ミ敢テ此ノ難キヲ同胞ニ求メムト欲ス

今ヤ國民ノ齊シク嚮フベキ所ハ國體ノ護持ニアリ而シテ苟モ旣往ニ拘泥シテ同胞相猜シ內爭以テ他ノ乗ズル所トナリ或ハニ激シテ輕擧妄動シ信義ヲ世界ニ失フガ如キコトアルベカラズ又特ニ戰死者戰災者ノ族及傷痍軍人ノ援護ニ付テハ國民悉ク力ヲ效スベシ

政府ハ國民ト共ニ承詔必謹刻苦奮勵常ニ大御心ニ歸一シ奉リ必ズ國威ヲ恢弘シ父祖ノ託ニ應ヘムコトヲ期ス

尙此ノ際特ニ一言スベキハ此ノ難局ニ處スベキ官吏ノ任務ナリ畏クモ至ハ爾臣民ノ衷善ク之ヲ知ルト宣ハセ給フ官吏ハ宜シク 陛下ノ有司トシテ此ノ御仁慈ノ 旨ヲ奉行シ以テ堅確ナル復興精神喚起ノ先達トナラムコトヲ期スベシ

   昭和二十年八月十四日

         內閣總理大臣 男爵 鈴木貫太郎

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  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

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