昭和七年富山縣告諭第一號
○富山縣告諭第一號
本縣農業ノ實狀ヨリ察スルニ經營ノ合理化竝ニ生産物販賣方法ノ改善ヲ企圖スルヲ以テ緊要事トス就中移出園藝品中其ノ産額ニ於テ主位ヲ占メ本縣重要特産物タル西瓜ノ增産ト聲價ノ向上ヲ策勵スルコトハ方今最モ急務トスル所ナリ 推フニ本縣ニ於ケル西瓜栽培ハ古キ歷史ヲ有シ現ニ其ノ栽培段別ハ五百三十餘町步、年産額三百餘萬貫ニ達シ内百六十餘萬貫ヲ縣外ニ移出シ其ノ價額三十七萬圓ヲ算ス然ルニ輓近奈良、靜岡兩縣ニ於テ縣營檢査ヲ實施シ隆々トシテ比年其ノ實績ヲ擧ゲ各地市場ニ進出シツツアルニ獨リ本縣ハ舊態依然タル爲曾テハ全國ニ霸ヲ爭ヒシモノガ今日ニ於テハ動モスレバ是等先進地ニ壓迫セラレ聲價ヲ失墜シ販路ヲ梗塞セラレントスル趨勢ニ在ルヲ以テ輿論ハ縣營檢査ノ實施ヲ要望セリ仍テ縣ハ茲ニ斷然縣營檢査ヲ實施スルノ計畫ヲ樹立シ西瓜檢査規則ヲ制定シ諸般ノ準備ヲ整ヘ愈々七月一日ヨリ之ヲ施行シ以テ商品價値ノ向上ヲ期シ一面出荷統制ト販賣方法ノ改善ヲ圖ル爲出荷團體ノ强力ナル活動ヲ促シ以テ當業者ヲ始メ普ク縣民ノ福利增進ヲ策シ延テ縣勢ノ伸張ニ寄與セントス
由來制度草創ニ方リテハ幾多ノ難關ニ逢着スルヲ常トス之ヲ突破シ豫期ノ效果ヲ齎サンニハ檢査事務ニ携ハル者竝ニ當業者ハ渾然一體ト爲リ前途ノ輝シキ光明ヲ凝視シテ邁進シ以テ本制度ノ妙用ヲ期セズンバアルベカラズ
關係者一同夫レ克ク敍上ノ旨趣ヲ體シ一致協力以テ所期ノ目的ヲ達成スルニ勗メラルベシ
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。