明治二十二年富山縣告諭第三號

• 註：原文は全て縦書きである。
• 底本：『富山県報』号外（244頁）、1889年（明治22年）8月16日、富山県

○告諭第三號

炎天（ひでり）又は風日（かぜひ）には時々（じゞ）市街地（しがいち）の街路（がいろ）に淨水（きよきみづ）を洒（ま）くべき旨（むね）は豫（かね）て街路取締規則（がいろとりしまりきそく）に相定（あいさだ）め有之（これあり）候へとも近頃（ちかごろ）炎天（ひでり）の打續（うちつゞ）くも往々（をう〳〵）之（これ）を等閑（なをざり）に心得（こゝろへ）官吏の諭示（ゆし）するも兎角（とかく）に之（これ）を怠（をこた）るもの尠（すくな）から゛元來（ぐわんらい）炎天（ひでり）に曝（さら）されたる土地（とち）は暑熱（あつきねつ）を放（はな）ち風日（かぜひ）には砂塵（すなちり）を飛散（とびちら）して人々（ひと〴〵）の健康（けんこう）を害（そこの）ふのみなら゛且灌水（かつくわんすい）せざる時（とき）は道路（だうろ）を破（やぶ）り損（そこな）ひ衞生上（ゑいせいしよう）は素（もと）より道路（だうろ）の保存（ほぞん）に就（つ）き其損害（そのそんがい）云ふべから゛依（よつ）て爾後（このゝち）は人々（ひと〴〵）其筋（そのすじ）の注意（ちうい）を俟（ま）た゛炎天（ひでり）又は風日（かぜひ）には必゛時々（じゞ）街路（がいろ）に淨水（きよきみづ）を洒（ま）くことを怠（をこた）るべから゛然（しか）れども杜撰（づさん）にも溝渠等（みぞほりとう）の溜（たま）り水（みづ）又は不潔（ふけつ）の水（みづ）を洒（ま）くべから゛厚（あつ）く注意（ちうい）の爲（た）め此旨（このむね）市街地（しがいち）の人々（ひと〴〵）に告諭（こくゆ）す

明治二十二年八月十六日

富山縣知事藤島正健