己未独立宣言書
原文
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아아
孫秉熙 吉善宙 李弼柱 白龍城 金完圭 金秉祚 金昌俊 權東鎭 權秉悳 羅龍煥 羅仁協 梁旬伯 梁漢默 劉如大 李甲成 李明龍 李昇薰 李鍾勳 李鍾一 林禮煥 朴準承 朴熙道 朴東完 申洪植 申錫九 吳世昌 吳華英 鄭春洙 崔聖模 崔 麟 韓龍雲 洪秉箕 洪其兆
文語訳
[編集]出典: 昭和九年三月二十五日『鮮内治安概況』慶尚北道警察部
- 註: 以下のリストに掲載される漢字はJIS X 0208外の異体字であり、Unicode表のBMP(基本多言語面、0面)が正しく表示できない環境によっては正しく記されない可能性がある。尚U+FA30からU+FA60の文字は、JIS X 0213対応のフォント(IPAフォント等)による記述を行っている。
- 凡例
- 親字 → 異体字 (Unicode番号) ; 異体字の説明。
- 歴 → 歷 (U+6B77) ; 「木」の部分が「禾」となる字形
- 強 → 强 (U+5F3A) ; 「厶」の部分が「口」となる字形
- 剥 → 剝 (U+525D) ; 偏が「碌」の旁部分となる字形
- 鋭 → 銳 (U+92B3) ; 旁が「兌」となる字形
- 縁 → 緣 (U+7DE3) ; 旁が「彖」となる字形
- 脱 → 脫 (U+812B) ; 旁が「兌」となる字形
- 産 → 產 (U+7522) ; 「偐」の旁から「彡」を除き「生」を足した字形
- 薫 → 薰 (U+85B0) ; 「黒」の部分が「黔」の偏部分となる字形
- 呉 → 吳 (U+5433) ; 「蜈」の旁となる字形
- 状 → 狀 (U+72C0) ; 偏が「爿」となる字形
- 虚 → 虛 (U+865B) ; 「墟」の旁部分となる字形
- 錬 → 鍊 (U+934A) ; 「東」の部分が「柬」となる字形
- 巣 → 巢 (U+5DE2) ; 「果」を除いた部分が「巛」となる字形
- 溌 → 潑 (U+6F51) ; 「発」の部分が「發」となる字形
- 即 → 卽 (U+537D) ; 偏が「皀」となる字形
我等ハ玆ニ我朝鮮ノ獨立國タルコト及朝鮮人ノ自由民タルコトヲ宣言ス此レヲ以テ世界萬邦ニ告ケ人類平等ノ大義ヲ克明シ此レヲ以テ子孫萬代ニ誥ヘ民族自存ノ正權ヲ永有セシム半萬年歷史ノ權威ニ仗リテ此ヲ宣言シ二千萬民衆ノ忠誠ヲ合シテ此ヲ佈明シ民族ノ恒久一ノ如キ自由發展ノタメニ此ヲ主張シ人類的良心ノ發露ニ基因シタル世界改造ノ大機運ニ順應併進センカタメ此ヲ提起スルモノナリ是レ天ノ明命時代ノ大勢全人類共存同生權ノ正當ナル發動ナリ天下何物ト雖モ此ヲ阻止抑制シ得ス
舊時代ノ遺物タル侵略主義强權主義ノ犧牲トナリテ有史以來累千年初メテ異民族箝制ノ痛苦ヲ甞メテヨリ玆ニ十年ヲ過キタリ我生存權ノ剝喪シタル凡ソ幾何ノ心靈上發展ノ障礙タル凡ソ幾何ノ民族的尊榮ノ毀損タル凡ソ幾何ノ新銳ト獨創トヲ以テ世界文化ノ大潮流ニ寄與補裨スヘキ機緣ヲ遺失シタル凡ソ幾何
噫舊來ノ抑鬱ヲ宣暢セムトセハ時下ノ苦痛ヲ攏脫セントスル將來ノ脅威ヲ芟除セントセス民族的良心ト國家的康義ノ壓縮銷殘トヲ興奮伸張セントセハ各個人格ノ正當ナル發達ヲ遂ケントセハ可憐ナル子弟ニ對シ苦恥的財產ヲ遺與セサラントセハ子子孫孫永久完全ナル慶福ヲ導迎セントセハ其最大急務ハ民族的獨立ヲ確實ナラシムルニアリ二千萬各個各人カ方寸ノ刄ヲ懷ニシ人類ノ通性ト時代ノ良心カ正義ノ軍ト人道ノ干戈トヲ以テ護援スル今日吾人ハ進ンテ取ルニ何ノ强力挫ク能ハサル退イテ作スニ何ノ志カ展シ能ハサラン
丙子修好條規以來時時種種ノ金石盟約ヲ喰ミタリトシテ日本ノ信ナキヲ罪セントスルモノニ非ス學者ハ講壇ニ於テ政治家ハ實際ニ於テ我祖宗世業ヲ植民地視シ、我文化民族ヲ土味人過シ專ラ征服者ノ快ヲ貪ルノミ我カ久遠ノ社會基礎ト卓犖セル民族心裡トヲ無視スルモノトシテ日本ノ少義ナルヲ責メントスルモノニ非ス自己ヲ策勵スルニ急ナル吾人ハ他ヲ怨左スルノ暇ナシ現在ヲ綢繆スルニ急ナル吾人ハ宿昔テ懲辨スルノ暇ナシ今日吾人ノ任スル所ハ只タ自己ノ建設アルノミ決シテ他ヲ破壞スルニアラサルナリ嚴肅ナル良心ノ命令ニヨリテ自家ノ新運命ヲ開拓セントスルモノナリ決シテ舊怨及一時的ノ感情ニヨリテ他ヲ嫉逐排斥スルモノニ非サルナリ舊思想舊勢力ニ覉靡セラレタル日本爲政家ノ功名的犧牲タル不自然ニシテ又不合理ナル錯誤狀態ヲ改善醫正シテ自然ニシテ又合理ナル正經ノ大原ニ歸還セムトスルモノナリ當初民族的要求ニ出サリシ西國併合ノ結果カ畢竟姑息的威壓差別的不平、及統計數字上ノ虛飾ノ下ニ於テ利害相反セル兩民族間ニ永遠ニ和同スル能ハサル怨溝ヲ益益深カラシムル、今來ノ實積ヲ觀ヨ勇明果敢ヲ以テ舊誤ヲ廓正シ眞正ナル理解ト同情トヲ基本トスル好友的新局面ヲ打開スルコトカ彼此ノ間遠禍召福ノ捷徑タルヲ明知スヘキニ非スヤ又二千萬含憤蓄怨ノ民ヲ威力ヲ以テ拘束スルハ營ニ東洋永遠ノ平和ヲ保障スル所以タラサルノミナラス此ニ因ツテ東洋安危ノ主軸タル四億萬支那人ノ日本ニ對スル危懼ト猜疑トヲ益益濃厚ナラシメ其結果トシテ東洋全局ノ共倒同亡ノ悲運ヲ招致スヘキハ明ナリ今日吾人ノ朝鮮獨立ハ朝鮮人ヲシテ正當ナル正策ヲ遂ケシムルト同時ニ日本ヲシテ邪路ヨリ出テテ東洋ノ支持者タル重責ヲ全フセントシ支那ヲシテ夢寐ニモ免レ能ハサル不安恐怖ヨリ脫出セシメントシ又東洋平和上重要ナル一部ヲナス世界平和人類幸福ニ必要ナル階段タラシメントスルモノナリ是レ豈區區タル感情上ノ問題ナラムヤ
鳴呼新天地ハ眼前ニ展開セラレタリ威力ノ時代ハ去リテ道義ノ時代ハ來レリ過去全世紀鍊磨長養セラレタル人道的精神ハ方ニ新文明ノ曙光ヲ人類ノ歷史ニ投射シ始メタリ新春ハ世界ニ來リヲ萬物ノ回蘇ヲ催進シツツアリ凍氷寒雪ニ呼吸ヲ閉蟹シタリシモノ彼ノ一時ノ勢ナリトセハ和風喛陽ノ氣脈ヲ振舒スルハ此レ一時ノ勢ナリ天地ノ復運ニ際シ世界ノ變調ニ乘シタル吾人ハ何等ノ躊躇ナク何等ノ忌憚スヘキナシ我固有ノ自由權ヲ讀全シ生旺ノ樂ヲ飽享スヘク我自足ノ獨創力ヲ發揮シテ春滿テル大界ニ民族的精華ヲ結紐スヘキナリ
吾等ハ玆ニ奮起セリ良心ハ我ト同存シ眞理ハ我ト併進ス男女老少陰鬱ナル古巢ヨリ活潑ニ起來シテ萬彙群衆ト共ニ欣快ナル復活ヲ成遂セントス千百世祖ハ吾等ヲ陰佑シ全世界ノ氣運ハ吾等ヲ外護ス著手ハ卽チ成功ナリ只前頭ノ光明ニ向ツテ併進スルノミト云爾
公 約 三 章
- 一、今日吾人ノ此擧ハ正義人道生存尊榮ノタメニスル民族的要求ニシテ卽チ自由的精神ヲ發揮スルモノニシテ決シテ排他的感情ニ逸走スヘカラス
- 一、最後ノ一人迄最後ノ一刻迄民族正當ナル意思ヲ快ク發表セヨ
- 一、一切ノ行動ハ最モ秩序ヲ尊重シ吾人ノ主張ト態度ヲシテ飽ク迄光明正大ナラシムヘシ
朝鮮建國四千二百五十二年三月一日 朝鮮民族代表
孫秉熙 吉善宙 李弼柱 白龍城 金完圭
金秉祚 金昌俊 權東鎭 權秉悳 羅龍煥
羅仁協 梁甸伯 梁滿默 劉如大 李甲成
李明龍 李昇薰 李鍾勳 李鍾一 林禮煥
朴準承 朴熙道 朴東完 申洪植 申錫九
吳世昌 吳華英 鄭春洙 崔聖模 崔 麟
韓龍雲 洪秉箕 洪基兆
口語訳
[編集]宣 言 書
我らはここに我朝鮮が独立国であることと朝鮮人が自主民であることを宣言する。これをもって世界万国に告げ人類平等の大義を克明にし、これをもって子孫万代に教え民族自存の正当な権利を永久に保有させる。半万年歴史の権威によってこれを宣言し、二千万民衆の誠忠を合わせてこれを布明し、民族の恒久一の如き自由発展のためにこれを主張し、人類的良心の発露に基因する世界改造の大機運に順応併進するためにこれを提起するものである。これは天の明命、時代の大勢、全人類共存同生権の正当な発動であり、天下何者といえどもこれを阻止抑制することはできない。
旧時代の遺物としての侵略主義、強権主義の犠牲となり有史以来数千年で初めて異民族に束縛される痛苦を嘗めてからここに十年が過ぎた。我が生存権が剥喪されたのはどれほどか、心霊上発展が障礙されたのはどれほどか、民族的尊栄が毀損されたのはどれほどか。新鋭と独創によって世界文化の大潮流に寄与、補裨できる機縁をわれらはどれほど遺失したであろうか。
噫旧来の抑欝を宣暢しようとすれば、時下の苦痛を擺脱しようとすれば、将来の脅威を芟除しようとすれば、民族的良心と国家的廉義の圧縮銷残を興奮伸張しようとすれば、各個人格の正当な発達を遂げようとすれば、可憐なる子弟に苦恥的財産を遺与しないようにするならば、子々孫々の永久完全なる慶福を導迎しようとすれば、最大急務は民族的独立を確実にすることである。二千万各個人が方寸の刃を懐にし、人類の通性と時代の良心が正義の軍と人道の干戈とで護援する今日、我が進んで勝ち取るのにどんな強さが挫かせられるだろうか、退いて作すのに何の志が展するだろうか。
丙子修好條規以来時々種々の金石盟約を食んだとして、日本の信の無さを罪しようとするものではない。学者は講壇で、政治家は実際で我が祖宗世業を植民地視し、我が文化民族を土昧人遇し、ただ征服者の快を貪るだけで、我が久遠の社会基礎と卓越する民族心理を無視するものとして、日本の義の少なさを責めようとするものではない。自己を策励することに急ぐ我は他を怨尤する暇はない。現在を綢繆することに急ぐ我は宿昔を懲弁する暇はない。今日我の所任はただ自己の建設にあるだけで、決して他を破壊することにあるのではない。厳粛な良心の命令によって自家の新運命を開拓しようとするものであり、決して旧怨や一時的感情によって他を嫉逐排斥するものではない。旧思想、旧勢力に覇靡されている日本為政者の功名的犠牲である不自然で不合理な錯誤状態を改善匡正して、自然で合理な政経の大原に帰還させようとするものである。当初民族的要求に出されない両国併合の結果が、畢竟姑息的威圧と差別的不平と統計数字上虚飾の下で利害相反する両民族間に永遠に和同することのできない怨溝を去益深造させた今来実積をみよ。勇明果敢をもって旧誤を廓正し真正な理解と同情とを基本とする友好的新局面を打開することが、彼と我が間の遠禍召福の近道であることを明知すべきではないだろうか。二千万含憤蓄怨の民を威力で拘束することは東洋の永久の平和を保障する理由にならないだけでなく、これによって東洋安危の主軸としての四億万中国人の日本に対する危懼と猜疑を濃厚にし、その結果として東洋全局の共倒同亡の悲運を招致することは明らかである。今日我の朝鮮独立は朝鮮人に正当な生栄を遂げさせると同時に、日本を邪路から出て東洋支持者としての重責を全うさせ、中国に夢にも逃れられない不安恐怖から脱出させ、東洋平和に重要なる一部をなす世界平和、人類幸福に必要な階段とさせるものである。これがどうして区々たる感情上の問題なのであろうか。
ああ新天地は眼前に展開された。威力の時代は去って道義の時代が来た。過去全世紀に錬磨長養させられた人道的精神は、今や新文明の曙光を人類の歴史に投射し始めた。新春は世界に来て万物の回蘇を催促しつつある。凍氷寒雪に呼吸を閉蟄したのも一時の勢いとすれば和風暖陽の気脈を振舒するのも一時の勢いであり、天地の復運に際し世界の変潮に乗じた我はなんらの躊躇なく、なんら忌憚することもない。我に固有の自由権を護全し生旺の楽を飽享し、我に自足の独創力を発揮し春満てる大界に民族的精華を結紐すべきである。
我らはここに奮起した。良心は我と同存し、真理は我と併進する。老若男女は陰欝な古巣から活発に起来して、万彙群象とともに欣快な復活を成し遂げる。千百世祖霊は我らを陰佑し、全世界気運は我らを外護する。着手はすなわち成功であり、前頭の光明に驀進するのみである。
公 約 三 章
- 一、今日我らのこの行動は正義、人道、生存、尊栄のための民族的要求であり、自由的精神を発揮するものであり、決して排他的感情に逸走してはならない
- 一、最後の一人まで、最後の一時まで民族の正当な意思を快く発表せよ
- 一、一切の行動は秩序を最も尊重し、我の主張と態度をあくまで光明正大とすること
韓龍雲 洪秉箕 洪基兆
3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーンによる現代日本語訳
[編集]わたしたちは、わたしたちの国である朝鮮国が独立国であること、また朝鮮人が自由な民であることを宣言する。このことを世界の人びとに伝え、人類が平等であるということの大切さを明らかにし、後々までこのことを教え、民族が自分たちで自分のことを決めていくという当たり前の権利を持ち続けようとする。
5000年の歴史を持つわたしたちは、このことを宣言し、2000万人の一人ひとりがこころを一つにして、これから永遠に続いていくであろう、わたしたち民族の自由な発展のために、そのことを訴える。そのことは、いま、世界の人びとが、正しいと考えていることに向けて世の中を変えようとしている動きのなかで、いっしょにそれを進めるための訴えでもある。
このことは、天の命令であり、時代の動きにしたがうものである。また、すべての人類がともに生きていく権利のための活動でもある。たとえ神であっても、これをやめさせることはできない。
わたしたち朝鮮人は、もう遅れた思想となっていたはずの侵略主義や強権主義の犠牲となって、初めて異民族の支配を受けることとなった。自由が認められない苦しみを味わい、10年が過ぎた。支配者たちはわたしたちの生きる権利をさまざまな形で奪った。そのことは、わたしたちのこころを苦しめ、文化や芸術の発展をたいへん妨げた。民族として誇りに思い大切にしていたこと、栄えある輝きを徹底して破壊し、痛めつけた。そのようななかで、わたしたちは世界の文化に貢献することもできないようになってしまった。
これまで押さえつけられて表に出せなかったこの思いを世界の人びとに知らせ、現在の苦しみから脱して、これからの危険や恐れを取り除くためには、押しつぶされて消えてしまった、民族として大切にして来た心と、国家としての正しいあり方を再びふるい起こし、一人ひとりがそれぞれ人間として正しく成長していかなければならない。
次世代を担う若者に、いまの状況をそのままとしていくことはできないものであり、わたしたちの子どもや孫たちが幸せに暮らせるようにするためには、まず、民族の独立をしっかりとしたものにしなければならない。2000万人が固い決意を相手と闘う道具とし、人類がみな正しいと考え大切にしていること、そして、時代を進めようとするこころをもって正義の軍隊とし、人道を武器として、身を守り、進んでいけば、強大な権力に負けることはないし、どんな難しい目標であってもなしとげられないわけはない。
日本は、朝鮮との開国の条約を丙子年・1876年に結び、その後も様々な条約を結んだが、〔朝鮮を自主独立の国にするという約束は守られず〕そこに書かれた約束を破ってきた。
しかし、そのことをわたしたちは、いま非難しようとは思わない。日本の学者たちは学校の授業で、政治家は会議や交渉の際に、わたしたちが先祖代々受け継ぎ行なってきた仕事や生活を遅れたものとみなして、わたしたちのことを、文化を持たない民族のように扱おうとしている。彼ら日本人は征服者の位置にいることを楽しみ喜んでいる。
わたしたちは、わたしたちが作り上げてきた社会の基礎と、引き継いできた民族の大切な歴史や文化の財産とを、彼ら日本人が馬鹿にして見下しているからといって、そのことを責めようとはしない。わたしたちは、自分たち自身をはげまし、立派にしていこうとしていて、そのことを急いでいるので、ほかの人のことをあれこれ恨む暇はない。いまこの時を大切にして急いでいるわたしたちは、かつての過ちをあれこれ問題にして批判する暇はない。
いま、わたしたちが行なわなければならないのは、よりよい自分を作り上げていくことだけである。他人を怖がらせたり、攻撃したりするのではなしに、自ら信じるところにしたがって、わたしたちは自分たち自身の新しい運命を切り開こうとするのである。決して昔の恨みや、一時的な感情で、ほかの人のことをねたんだり、追い出そうとしたりするわけではない。
古い考え方を持つ古い人びとが力を握って、そのもとで手柄を立てようとした日本の政治家たちのために、犠牲となってしまった、現在の不自然で道理にかなっていないあり方をもとにもどして、自然で合理的な政治のあり方にしようとするということである。
もともと、日本と韓国(注・大韓帝国)との併合は、民族が望むものとして行なわれたわけではない。その結果、威圧的で、差別・不平等な政治が行なわれている。支配者はいいかげんなごまかしの統計数字を持ち出して自分たちが行なう支配が立派であるかのようにいっている。
しかしそれらのことは、二つの民族の間に深い溝を作ってしまい、互いに反発を強めて、仲良く付き合うことができないようにしている、というのが現在の状況である。きっぱりと、これまでの間違った政治をやめ、正しい理解と心の触れあいに基づいた、新しい友好の関係を作り出していくことが、わたしたちと彼らとの不幸な関係をなくし、幸せをつかむ近道であるということを、はっきり認めなければならない。
また、怒りと不満をもっている、2000万の人びとを、力でおどして押さえつけることでは、東アジアの永遠の平和は保証されないし、それどころか、東アジアを安定させる際に中心になるはずの中国人の間で、日本人への恐れや疑いをますます強めるであろう。
その結果、東アジアの国々は共倒れとなり、滅亡してしまうという悲しい運命をたどることになろう。いま、わが朝鮮を独立させることは、朝鮮人が当然、得られるはずの繁栄を得るというだけではなく、そうしてはならないはずの政治を行ない、道義を見失った日本を正しい道に戻して、東アジアをささえるために役割を果たさせようとするものであり、同時に、そのことで中国が感じている不安や恐怖をなくさせようとするためのものである。つまり、朝鮮の独立はつまらない感情の問題として求めているわけではないのである。
ああ、いま目の前には、新たな世界が開かれようとしている。武力をもって人びとを押さえつける時代はもう終わりである。過去のすべての歴史のなかで、磨かれ、大切に育てられてきた人間を大切にする精神は、まさに新しい文明の希望の光として、人類の歴史を照らすことになる。
新しい春が世界にめぐってきたのであり、すべてのものがよみがえるのである。酷く寒いなかで、息もせずに土の中に閉じこもるという時期もあるが、再び暖かな春風が、お互いをつなげていく時期がくることもある。いま、世の中は再び、そうした時代を開きつつある。
そのような世界の変化の動きに合わせて進んでいこうとしているわたしたちは、そうであるからこそ、ためらうことなく自由のための権利を守り、生きる楽しみを受け入れよう。そして、われわれがすでにもっている、知恵や工夫の力を発揮して、広い世界にわたしたちの優れた民族的な個性を花開かせよう。
わたしたちはここに奮い立つ。良心はわれわれとともに進んでいる。老人も若者も男も女も、暗い気持ちを捨てて、この世の中に生きているすべてのものとともに、喜びを再びよみがえらせそう。
先祖たちの魂はわたしたちのことを密かに助けてくれているし、全世界の動きはわたしたちを外側で守っている。実行することはもうすでに成功なのである。わたしたちは、ただひたすら前に見える光に向かって、進むだけでよいのである。
公約三章
一、今日われわれのこの拳は、正義、人道、生存、身分が保障され、栄えていくための民族的要求、すなわち自由の精神を発揮するものであって、決して排他的感情にそれてはならない。
一、最後の一人まで、最後の一刻まで、民族の正当なる意志をこころよく主張せよ。
一、一切の行動はもっとも秩序を尊重し、われわれの主張と態度をしてあくまで公明正大にせよ。
朝鮮建国四千二百五十二年三月一日
朝鮮民族代表
孫秉煕 吉全宙 李弼柱 白龍城 金完圭 金秉祚 金昌俊 權東鎮 權秉悳 羅龍煥 羅仁協 梁甸伯 梁漢默 劉如大 李甲成 李明龍 李昇薰 李鍾勳 李鍾一 林礼煥 朴準承 朴煕道 朴東完 申洪植 申錫九 呉世昌 呉華英 鄭春洙 崔聖模 崔麟 韓龍雲 洪秉箕 洪基兆
この著作物は、1957年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効日(2018年12月30日)の時点で著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以上経過しています。従って、日本においてパブリックドメインの状態にあります。
この著作物は、1929年1月1日より前に発行された(もしくはアメリカ合衆国著作権局に登録された)ため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。
この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。
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