少額事件審判法 (大韓民国)

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少額事件審判法[編集]

第1条(目的) この法律は,地方裁判所及び地方裁判所支部において少額の民事事件を簡易な手続きにより迅速に処理するために,民事訴訟法についての特例を規定することを目的とする。

第2条(適用範囲等)①この法律は,地方裁判所及び地方裁判所支部の管轄事件のうち,最高裁判所規則で定める民事事件(以下少額事件」と言う)に適用する。<改正 1975.12.31.,1980.1.4.>

②第1項の事件については,この法律に特別の 規定があるときを除いては,民事訴訟法の規定を適用する。

第3条(上告及び再抗告) 少額事件に対する 地方裁判所本庁合議部の第2審判決又は決定・命令については,次の各号の一に該当する場合に限り最高裁判所に上告又は再抗告をすることができる。

1. 法律・命令・規則又は処分の憲法違反与否及び命令・規則又は処分の法律違反与否に対する判断が不当であるとき
2. 最高裁判所の判例に相反する判断をしたとき

第4条(口述による訴えの提起)①訴えは,口述でこれを提起することができる。

②口述により訴えを提起するときは,裁判所書記官・裁判所事務官・裁判所主事又は裁判所主事補(以下裁判所事務官等」と する。)の面前において,陳述しなければならない。<改正 2001.1.29.>

③第2項の場合において,裁判所事務官等は,提訴調書を作成し,これに記名捺印しなければならない。<改正 2001.1.29.>

第5条(任意出席による訴えの提起)①当事者双方は,任意に裁判所に出席して訴訟に関して弁論することができる。

②第1項の場合において,訴えの提起は,口述による陳述で行う。

第5条の2(一部請求の制限)①金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の支払いを目的としてする請求において,債権者は,少額事件審判法の適用を受ける目的で請求を分割してその一部のみを請求してはならない。

②第1項の規定に反する訴えは,判決でこれを却下しなければならない。[本条新設 1990.1.13.]

第5条の3(決定による履行勧告)①裁判所は,訴えが提起された場合において,決定で訴状副本又は提訴調書謄本を添付して被告に対し請求趣旨通りに履行することを勧告することができる。但し,次の各号のうちいずれか一に該当するときは,この限りではない。

1. 督促手続き又は調停手続きにおいて,訴訟手続きに移行されたとき

2. 請求趣旨又は請求原因が不明であるとき

3. その他履行勧告をするのに適切でないと認めるとき

②履行勧告決定には,当事者,法定代理人,請求の趣旨及び原因,履行条項を記載し,被告が異議申立てをすることができること及び履行勧告決定の効力の趣旨を附記しなければならない。

③裁判所事務官等は,履行勧告決定書の謄本を被告に送達しなければならない。但し,その送達は,民事訴訟法第187条,第194条ないし第196条に規定する方法では,これをすることができない。<改正 2002.1.26.>

④裁判所は,民事訴訟法第187条,第194条ないし第196条に規定された方法によらなければ被告に履行勧告決定書の謄本を送達することができないときは,遅滞なく弁論期日を指定しなければならない。<改正 2002.1.26.>[本条新設 2001.1.29.]

第5条の4(履行勧告決定に対する 異議申立て)①被告は,履行勧告決定書の謄本の送達を受けた日から2週間以内に書面で異議申立てをすることができる。但し,その謄本が送達される前においても,異議申立てをすることができる。

②第1項の期間は,不変期間とする。

③裁判所は,第1項の異議申立てのあるときは,遅滞なく弁論期日を指定しなければならない。

④異議申立てをした被告は,第1審判決が言い渡される前までの間異議申立てをを取り下げることができる。

⑤被告が異議申立てをしたときは,原告が主張した事実を争ったものとみなす。[本条新設 2001.1.29.]

第5条の5(異議申立ての却下)①裁判所は,異議申立てが適法でないと認められる場合においては,その瑕疵を補正することができないときは,決定でこれを却下しなければならない。

②第1項の決定については,即時抗告をすることができる。[本条新設 2001.1.29.]

第5条の6(異議申立ての事後補完)①被告は,やむを得ない事由により第5条の4第1項の期間内に異議申立てをすることができなかったときは,その事由がなくなった後2週間以内に異議申立てを事後補完することができる。但し,その事由がなくなったとき外国にいた被告については,その期間を30日とする。

②被告は,異議申立てと同時に書面でその事後補完事由を疎明しなければならない。

③裁判所は,事後補完事由が理由がないと認められるときは,決定で異議申立てを却下しなければならない。

④第3項の決定については,即時抗告をすることができる。

⑤異議申立ての事後補完のあるときは,民事訴訟法第500条を準用する。<改正 2002.1.26.>[本条新設 2001.1.29.]


第5条の7(履行勧告決定の効力)①履行勧告決定は,次の 各号のうちいずれか一に該当するときは,確定判決と同様の効力を有する。

1. 被告が第5条の4第1項の期間以内に異議申立てをしなかったとき
2. 異議申立てに対する却下決定が確定したとき
3. 異議申立てが取り下げられたとき

②裁判所事務官等は,履行勧告決定が確定判決と同様の効力を有することとなったときは,履行勧告決定書の正本を原告に送達しなければならない。

③第1項に該当しない履行勧告決定は,第1審裁判所で判決が言い渡されたときは,その効力を失う。[本条新設 2001.1.29.]

第5条の8(履行勧告決定に基づく強制執行の特例)①履行勧告決定に基づく強制執行は,執行文の付与を受ける必要がなく,第5条の7第2項の決定書の正本により行う。但し,次の 各号のうちいずれか一に該当する場合においては,この限りではない。

1. 履行勧告決定の執行に条件を付した場合
2. 当事者の承継人のために強制執行を行う場合
3. 当事者の承継人に対して強制執行を行う場合

②原告が複数通の履行勧告決定書の正本を申請し,又は以前に発行した履行勧告決定書の正本を返還せずに再度履行勧告決定書の正本を申請したときは,裁判所事務官等がこれを付与する。この場合において,その事由を原本及び正本に記載しなければならない。

③請求に関する異議の主張に関しては,民事執行法第44条第2項の規定による制限を受けない。<改正 2002.1.26.>[本条新設 2001.1.29.]

第6条(訴状の送達) 訴状副本又は提訴調書謄本は,遅滞なく被告に送達しなければならない。但し,被告に履行勧告決定書の謄本が送達されたときは,訴状副本又は提訴調書謄本が送達されたものとみなす。 [전문改正 2001.1.29.]

第7条(期日指定 等)①訴えの提起がある場合において,判事は,民事訴訟法第256条ないし第258条の規定に拘らず,直ちに弁論期日を定めることができる。

②第1項の場合において,判事は,なるべく1回の弁論期日で審理を終えるようにしなければならない。

③第2項の目的を達成するため,判事は,弁論期日前であっても当事者に証拠申請をさせる等必要な措置を取ることができる。[전문改正 2002.1.26.]

第7条の2(公休日,夜間の開廷) 判事は,必要な場合勤務時間外又は公休日にも開廷することができる。[本条新設 1990.1.13.]

第8条(訴訟代理に関する特則)①当事者の配偶者・直系血族又は兄弟姉妹は,裁判所の許可なく訴訟代理人となることができる。<改正 2005.3.31.>

②第1項の訴訟代理人は,当事者との身分関係及び授権関係を書面で証明しなければならない。但し,授権関係については,当事者が判事の面前で口述で第1項の訴訟代理人を宣言し,裁判所事務官等が調書にこれを記載したときは,この限りではない。<改正 2001.1.29.>

第9条(審理手続き上の特則)①裁判所は,訴状・準備書面その他訴訟記録により請求が理由がないことが明白であるときは,弁論なくして請求を却下することができる。

②判事の更迭のあった場合であっても弁論の更新なく判決することができる。

第10条(証拠調査に関する特則)①判事は,必要であると認めるときは,職権で証拠調査をすることができる。但し,その証拠調査の結果に関しては,当事者の意見を聞かなければならない。

②証人は,判事が尋問する。但し,当事者は,判事に告げて尋問することができる。

③判事は,相当であると認めるときは,証人又は鑑定人の尋問に代えて書面を提出させることができる。

④削除<2002.1.26.>

第11条(調書の記載省略)①調書は,当事者の異議がある場合を除き,判事の許可のあるときは,これに記載する事項を省略することができる。

②第1項の規定は,弁論の方式に関する規定の遵守及び和解・認諾・放棄・取下げ並びに自白については,これを適用しない。

第11条の2(判決に関する特例)①判決の言渡しは,弁論終結後直ちにすることができる。

②判決を言渡すには,主文を朗読し,主文が正当であることを認めうる範囲内においてその理由の要旨を口述で説明しなければならない。

③判決書には,民事訴訟法第208条の規定に拘らず,理由を記載しないことができる。<改正 2002.1.26.>[本条新設 1990.1.13.]

第12条 削除<1990.1.13.>

第13条 削除<1990.1.13.>

第14条 削除<1990.1.13.>

第15条 削除<1996.11.23.>

第16条(施行規則) この法律の施行に関して必要な事項は,最高裁判所規則で定める。

附則<1973.2.24.>[編集]

①(施行日)この法律は,1973年9月1日から施行する。

②(経過措置)この法律の施行時,地方裁判所及び地方裁判所支部に係属中である事件であって,この法律による少額事件に該当する事件については,この法律を適用する。但し,この法律の施行以前の訴訟行為の効力について影響を及ばさない。

③(同前)この法律の施行時,上告又は再抗告中である事件は,従前の例による。

附則<1975.12.31.>[編集]

①この法律は,1976年1月1日から施行する。

②この法律の施行時,裁判所に係属中である事件は,従前の例による。

附則<1980.1.4.>[編集]

①(施行日)この法律は,1980年2月1日から施行する。

②(裁判所に係属中である事件に対する経過措置)この法律の施行時,地方裁判所及び地方裁判所支部に係属中である事件は,従前の例による。

附則<1990.1.13.>[編集]

この法律は,1990年9月1日から施行する。

附則<1996.11.23.>[編集]

この法律は,公布の日から施行する。

附則<2001.1.29.>[編集]

この法律は,公布の日から施行する。

附則<2002.1.26.>[編集]

この法律は,2002年7月1日から施行する。

附則<2005.3.31.> (民法)[編集]

第1条(施行日)この法律は,公布の日から施行する。但し,(中略)附則第7条(第2項及び第29項を除く。)の規定は,2008年1月1日から施行する。

第2条 ないし 第6条 省略

第7条(他法の改正)①ないし ⑰ 省略

⑱少額事件審判法の一部を次の通り改正する。

第8条第1項の「直系血族・兄弟姉妹又は戸主」を「直系血族又は兄弟姉妹」とする。

⑲ないし ㉙省略

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