少年

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少年


春淡きたそがれどき

少年は 線切れし電球を握りて

麥畑の畔󠄁をまはり

交󠄁換所󠄁にゆくなり

みちなかに耳元にてふりて見れば

かそかにさゝやく金屬の音󠄁ならずや

空󠄁に殘るうすらあかりに

かざしては見つれ

纖細なるフイラメントはもはや見わかず

ひたすら まもる電球の傍に

ひらひらと光そめしは

まだ若き春の宵󠄁星

少年はふと 寂しくなり

掌ぬちに電球の丸きを握れば

乳󠄁白硝󠄁子のけうときぬくみに

春はそれと知らるるなりき

この著作物は、1943年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。