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将来の給付の訴えの適法性等に関する判決(昭和57年最高裁判所小法廷)

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主  文

本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。

理  由

上告代理人田中登の上告理由について

原審が適法に確定したところによれば、本件普通保険約款第四章一七条には、被保険者の保険者に対する保険金請求権は、損害賠償責任の額について被保険者(加害者)と損害賠償請求権者(被害者)との間で判決が確定したとき又は裁判上の和解、調停もしくは書面による合意が成立したときに発生し、これを行使することができると規定されていることは、所論のとおりであるが、右規定及び本件保険契約の性質に鑑みれば、右保険約款に基づく被保険者の保険金請求権は、保険事故の発生と同時に被保険者と損害賠償請求権者との間の損害賠償額の確定を停止条件とする債権として発生し、被保険者が負担する損害賠償額が確定したときに右条件が成就して右保険金請求権の内容が確定し、同時にこれを行使することができることになるものと解するのが相当である。そして、本件におけるごとく、損害賠償請求権者が、同一訴訟手続で、被保険者に対する損害賠償請求と保険会社に対する被保険者の保険金請求権の代位行使による請求(以下「保険金請求」という。)とを併せて訴求し、同一の裁判所において併合審判されている場合には、被保険者が負担する損害賠償額が確定するというまさにそのことによつて右停止条件が成就することになるのであるから、裁判所は、損害賠償請求権者の被保険者に対する損害賠償請求を認容するとともに、認容する右損害賠償額に基づき損害賠償請求権者の保険会社に対する保険金請求は、予めその請求をする必要のある場合として、これを認容することができるものと解するのが相当である。

そうすると、原審の適法に確定した事実関係及び記録にあらわれた本件訴訟の経過のもとにおいて、以上と同趣旨の見解のもとに、被上告人らの上告人に対する保険金請求を認容した原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷   

 裁判長裁判官 木戸久治

 裁判官    横井大三

 裁判官    伊藤正己

 裁判官    寺田治郎

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