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富裕税法

公布文

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富裕税法をここに公布する。
御名御璽


昭和二十五年五月十一日
内閣総理大臣 吉田  茂

本則

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第一章 総則

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(納税義務者)

第一條 左に掲げる者は、この法律により、富裕税を納める義務がある。

  1.  課税時期(毎年十二月三十一日午後十二時をいう。以下同じ)においてこの法律の施行地に住所を有し、又は一年以上居所を有する個人
  2.  前号の規定に該当しない個人で課税時期においてこの法律の施行地にある財産を有するもの
(課税財産の範囲)

第二條 前條第一号の規定に該当する者については、その有する財産の全部に対し、富裕税を課する。

2 前條第二号の規定に該当する者については、その者の有するこの法律の施行地にある財産に対し、富裕税を課する。

(財産の所在)

第三條 左の各号に掲げる財産の所在については、当該各号に規定する場所による。

  1.  動産若しくは不動産又は不動産上に存する権利については、その動産又は不動産の所在。但し、 船舶については、船籍の所在
  2.  鉱業権又は砂鉱権については、鉱区又は砂鉱区の所在
  3.  漁業権又は入漁権については、漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画
  4.  金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金で政令で定めるものについては、その預金、貯金積金又は寄託金の受入をした営業所又は事業所の所在
  5.  合同運用信託(信託会社又は信託業務を兼営する銀行が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託財産を合同して運用するものをいう。以下同じ。)に関する権利については、その信託の引受をした営業所の所在
  6.  特許権、実用新案権、意匠権又は商標権については、その登録をした機関の所在
  7.  前各号に掲げる財産を除く外、営業所又は事業所を有する者の当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の権利については、その営業所又は事業所の所在

2 前項各号に掲げる財産以外の所在については、権利者の住所(この法律の施行地に住所を有せず、一年以上居所を有する者については、当該居所)の所在による。

(信託財産及び信託に関する権利)

第四條 課税時期において現に存する信託については、その時における受益者が信託財産(合同運用信託にあっては、信託に関する権利)を有するものとみなして、この法律を適用する。

2 前項の場合において、課税時期までに、元本若しくは収益の受益者がその元本若しくは収益を全然受けていないとき又は受益者が特定していないとき若しくはまだ存在しないときは、委託者又はその相続人を受益者とみなす。

3 前二項の場合において、受益者が二人以上あるときは、これらの受益者が、それぞれその受けるべき利益の価額の割合に応じて、信託財産又は信託に関する権利を有するものとみなす。

(定期金給付契約及び生命保険契約に関する権利)

第五條 課税時期において現に存する郵便年金契約その他の定期金給付契約でその時までにまだ定期金給 付事由が発生していないもの又は課税時期において現に存する生命保険契約(一定期間内に保険事故が 発生しなかった場合において返還金その他これに準ずるものの支拂がない生命保険契約を除く。以下同 じ。)でその時までにまだ保険事故が発生していないものについては、その掛け金又は保険料の全部又は 一部を負担している者がその掛け金又は保険料を負担している割合に応じて、その契約に関する権利を有 するものとみなして、この法律を適用する。

2 前項に規定する定期金給付契約又は生命保険契約で左の各号の一に該当するものについては、同項の 規定にかかわらず、当該各号に規定する被雇用者がその契約に関する権利の全部を有するものとみなし て、この法律を適用する。

  1.  雇用者が契約者となり、被雇用者を年金受取人及び返還金受取人又は被保険者及び保険金受取人と しているもの
  2.  雇用者が契約者となり、被雇用者を年金受取人又は被保険者とし、その親族を返還金受取人又は保 険金受取人としているもの
  3.  雇用者が契約者となり、被雇用者を年金受取人又は被保険者とし、被雇用者が退職するときは当該 契約者の権利義務を無償で被雇用者が承継する旨を約しているもの
(同居親族)

第六條 この法律において同居親族とは、課税時期において生計を一にする親族で左に掲げる関係にあ るものをいう。但し、その関係にあるものが第一條第一号の規定に該当するものでない場合には、その者を 除く。

  1.  夫婦
  2.  親と未成年の子(その子に配偶者又は子のない場合に限る。)
  3.  祖父母と未成年の孫(その孫に配偶者又は子のない場合であって、その孫に親のない場合又はその 孫と親が生計を一にしていない場合に限る。)

2 前項第二号及び第三号の場合において、その子又はその孫が養子である場合には、当該各号中親とあ るのは、養親とする。

3 第一項第二号及び第三号の場合において、その子又はその孫とその父又は母の配偶者又は配偶者であ った者との間に親子の関係がない場合又はなかった場合においても、その子又はその孫とこれらの者と の間に親子の関係があり、又はあったものとみなす。

4 前二項に規定するものの外、同居親族の範囲の決定に関し必要な事項は、政令で定める。

第二章 課税価格及び税率

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(課税価格)

第七條 第一條第一号の規定に該当する者については、課税持期において有する財産の価値から、課税時 期において現に有する債務(公租公課を含む。以下同じ。)の金額を控除した金額を課税価格とする。 2 第一條第一号の規定に該当する者で日本国籍を有しないものについては、前項の規定にかかわら ず、課税持期において有するこの法律の施行地にある財産の価額から、課税時期において現に存する債 務で左に掲げるものの金額を控除した金額を課税価格とする。

  1.  この法律の施行地において納付すべき公租公課
  2.  課税時期においてこの法律の施行地にある財産を目的とする留置権、特別の先取特権、質権又は抵 当権で担保される債務
  3.  前二号に掲げる債務を除く外、課税時期においてこの法律の施行地にある財産の取得、維持又は管 理のために生じた債務
  4.  前三号に掲げる債務を除く外、その者が課税時期においてこの法律の施行地に営業所又は事業所を 有している場合においては、当該営業所又は事業所に係る営業上又は事業上の債務
  5.  前四号に掲げる債務を除く外、課税時期においてこの法律の施行地に住所又は居所を有する個人に 対する債務及び課税時期においてこの法律の施行地に営業所又は事業所を有する法人に対する債務で 当該営業所又は事業所との間に生じたもの

3 同居親族については、前二項の規定により課税価額を計算する場合において、同居親族のうち、その 債務の金額がその財産の価額を超過する者があるときは、前二項の規定にかかわらず、政令の定めると ころにより、その超過額を他の一人又は数人の同居親族の価額価格から控除し、その控除後の金額を、 それぞれその同居親族の課税価額とする。

4 第一條第二号の規定に該当する者については、課税持期において有するこの法律の施行地にある財産 の価額から、課税時期において現に存する債務で左に掲げるものの金額を控除した金額を課税価額とする。

  1.  課税時期においてこの法律の施行地にある財産に係る公租公課
  2.  第二項第二号から第四号までに掲げる債務
(控除すべき債務)

第八條 前條の規定により課税価格を計算する場合において、その金額を控除すべき債務は、確実と認め られるものに限る。

2 前條の規定により課税価格を計算する場合において、その金額を控除すべき公租公課の金額は、課税 時期において債務の確定しているものの金額の外、当該課税時期を含む年における所得(所得額計算 の際当該所得に加算される前年以前の所得を含む。)、相続、●●その他の行為及び附加価値につき所得税 法(昭和二十二年法律第二十七号)、相続税法(昭和二十五年法律第 号)、資産再評価法(昭和二十五年法律第 号)、 砂糖消費税法(明治三十四年法律第十三号)、骨牌税法(明治三十五年法律第四十四号)、 酒税法(昭和十五年法律第三十五号)、物品税法(昭和十五年法律第四十号)、揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号) 又は地方税法(昭和二十五年法律第 号)の規定により課せられるべき税額で政令で定 めるものを含むものとする。

(非課税財産)

第九條 左に掲げる財産の価額は、第七條の規定による課税価格の計算上、財産の価額に算入しない。

  1. 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七條の規定により皇位とともに皇嗣が受ける物
  2. 国又は地方公共団体若しくは政令で定めるその他の公共団体において公用又は公共の用に供する土 地。家屋及び物件
  3. 墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの
  4. 国宝保存法(昭和四年法律十七号)又は史跡名勝天然記念物保存法(大正八年法律四十四号)の規 定により国宝又は史跡、名勝若しくは天然記念物として指定されたもの及び重要美術品等の保存に関 する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定により重要美術品として認定されたもの
  5. もっぱら学術の研究の用に供する書籍、標本及び機械器具
  6. 生活に通常必要な家具、什器、衣服その他の動産で大蔵省令で定めるもの

2 前項第二号、第四号又は第五号に掲げる財産が、その所有者において当該財産から所得その他の経済 的利益を得ているものである場合(その利益が著しく少くて大蔵省令で定める基準以下のものである場 合を除く。)においては、当該財産の価額は、同項の規定にかかわらず第七條の規定による課税価格の 計算上、財産の価額に算入する。

3 第一項第四号に掲げる財産(前項の規定の適用を受ける財産を除く。)については、同一人の有するこ れらの財産の価額の合計額(同居親族については、その有するこれらの財産の価額の合計額)が百万円を こえる場合においては、その百万円をこえる部分の価額は、第一項の規定にかかわらず、第七條の規定 による課税価格の計算上、財産の価額に算入する。

4 第一項各号に掲げる財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額(第二項の規定の適用を受 ける財産に係るこれらの債務の金額及び前項の規定の適用を受ける財産に係るこれら債務の金額のう ち同項の規定により課税価格の計算上財産の価額に算入する部分の価額に対応する部分の金額を除く。) は、第七條の規定による課税価格の計算上、債務の金額に算入しない。

(免税点)

第十條 富裕税は課税価格が五百万円以下であるときは、これを課さない。 2 同居親族については、その課税価格を合算し、その総額について、前項の規定を適用する。

(税率)

第十一條 富裕税は、課税価格を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して、これを課する。

五百万円をこえる金額   千分の五
千万円をこえる金額   千分の十
二千万円をこえる金額   千分の二十
五千万円をこえる金額   千分の三十

2 同居親族については、その課税価格を合算し、その総額について前項の規定を適用して算出した金額 を、各々の課税価格に按分して各々の税額を定める。

第三章 財産の評価

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(評価の原則)

第十二條 この章で特別の定のあるものを除く外、課税時期における財産の価額は、その時における時価 により、課税時期における財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

(地上権及び永小作権の評価)

第十三條 地上権(借地法(大正十年法律第四十九号)に規定する借地権に該当するものを除く。以下同じ。) 及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ、その目的となっている土地の課税時期におけるこれらの 権利が設定されていない場合の時価に、左に掲げる割合を乗じて算出した金額による。

残存期間が十年以下のもの   百分の五
残存期間が十年をこえ十五年以下のもの  百分の十
残存期間が十五年をこえ二十年以下のもの  百分の二十
残存期間が二十年をこえ二十五年以下のもの  百分の三十
残存期間が二十五年をこえ三十年以下のもの及び地上権で存続期間の定のないもの  百分の四十
残存期間が三十年をこえ三十五年以下のもの  百分の五十
残存期間が三十五年をこえ四十年以下のもの  百分の六十
残存期間が四十年をこえ四十五年以下のもの  百分の七十
残存期間が四十五年をこえ五十年以下のもの  百分の八十
残存期間が五十年をこえるもの  百分の九十
(有価証券の評価)

第十四條 有価証券(証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二條第一項及び第二項に規定する有価 証券をいう。)の価額は、証券取引所に上場されているものについては、同法第百二十二條第二項の規定 により公表されたその年十二月中の毎日の最終価格の平均額による。

(定期金に関する権利の評価)

第十五條 課税時期において現に存する郵便年金契約その他の定期金給付契約でその時までに定期金給付 事由が発生しているものに関する権利の価額は、左に掲げる金額による。

  1.  有期定期金については、その残存期間に応じ、その残存期間に受けるべき給付金額の総額に、左に 掲げる割合を乗じて算出した金額。但し、一年間に受けるべき金額の十五倍をこえることができない。
  2. 残存期間が五年以下のもの   百分の七十
    残存期間が五年をこえ十年以下のもの   百分の六十
    残存期間が十年をこえ十五年以下のもの   百分の五十
    残存期間が十五年をこえ二十五年以下のもの   百分の四十
    残存期間が二十五年をこえ三十五年以下のもの   百分の三十
    残存期間が三十五年をこえるもの   百分の二十
  3.  無期定期金については、その一年間に受けるべき金額の十五倍に相当する金額
  4.  終身定期金については、その目的とされた者の課税時期における年令に応じ、一年間に受けるべき 金額に、左に掲げる倍数を乗じて算出した金額
  5. 二十五歳以下の者   十一倍
    二十五歳をこえ四十歳以下の者   八倍
    四十歳をこえ五十歳以下の者   六倍
    五十歳をこえ六十歳以下の者   四倍
    六十歳をこえ七十歳以下の者   二倍
    七十歳をこえる者   一倍

2 前項に規定する定期金給付契約に関する権利で同項第三号の規定の適用を受けるものにつき、その目 的とされた者が課税時期後第十八條第一項から第三項までに規定する申告書の提出期限(同條第七項の 規定の適用がある場合には、同項の規定により延長された期限)までに死亡し、その死亡に因りその給 付が終了した場合においては、当該定期金給付契約に関する権利の価額は、前項第三号の規定にかかわ らず、その権利者が課税時期後給付を受けた又は受けるべき金額(当該権利者の遺族その他の第三者が 当該権利者の死亡に因り給付を受けるときは、その給付を受けた又は受けるべき金額を含む。)による。

3 第一項に規定する定期金給付契約に関する権利で、その権利者に対し、一定期間、且つ、その目的と された者の生存中、定期金を給付する契約に基くものの価額は、同項第一号に規定する有期定期金とし て算出した金額又は同項第三号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか低い方の金額によ る。

4 第一項に規定する定期金給付契約に関する権利で、その目的とされた者の生存中定期金を給付し、且 つ、一定期間内にその者が死亡したときはその権利者又はその遺族その他の第三者に対し当該期間中継 続して定期金を給付する契約に基くものの価額は、同項第一号に規定する有期定期金として算出した金 額又は同項第三号に規定する終身定期金として算出した金額のいずれか高い方の金額による。

5 前各項の規定は、恩給法(大正十二年法律第四十八号)の規定による恩給に関する権利その他定期金に 関する権利で契約に基くもの以外のものの価額の評価について準用する。

第十六條 課税時期において現に存する郵便年金契約その他の定期金給付契約でその時までに定期金給付 事由が発生していないものに関する権利の価額は、その掛金の拂込開始の時から課税時期までの経過期 間に応じ、課税時期までに拂い込まれた掛金の合計金額に、左に掲げる割合を乗じて算出した金額による。

経過期間が五年以下のもの   百分の九十
経過期間が五年をこえ十年以下のもの   百分の百
経過期間が十年をこえ十五年以下のもの   百分の百
経過期間が十五年をこえるもの   百分の百二十
(生命保険契約に関する権利の評価)

第十七條 課税時期において現に存する生命保険契約でその時までに保険事故の発生していないものに関 する権利の価額は、課税時期までに拂い込まれた保険料の合計金額(課税時期までに保険料の拂込期日 の到来していない部分を除く。)に百分の七十の割合を乗じて算出した金額から、保険金額に百分の二の 割合を乗じて算出した金額を控除した金額による。但し、保険料の全額が一時に拂い込まれた生命保険 契約に関する権利の価額は、拂込保険料の全額に相当する金額による。

第四章 申告及び納付

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(申告)

第十八條 第十八條 第一條の規定に該当する者は、課税価格が五百万円をこえる場合(同居親族については、その 課税値格を合算した金額が五百万円をこえる場合)においては、翌年二月一日から同月末日までに、課 税価格、富裕税額その他政令で定める事項を記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなけれ ばならない。

2 課税時期を含む年において相続に因り財産又は債務を承継した者が、当該財産の価額又は債務の金額 をその課税価格計算の基礎に算入しないで前項の規定に該当する者である場合において、その年十一月 一日から同項の申告書の提出期限までに当該相続の開始があったことを知り、且つ、当該財産の価額又は 債務の金額をその課税価格計算の基礎に算入した場合においてなお同項の規定に該当する者であるとき は、その者(その者に同居親族があるときは、その同居親族を含む。)は、当該相続の開始があったこと を知った日の翌日から四月以内に、同項の規定により政令で定める事項を記載した申告書を、納税地の 所轄税務署長に提出しなければならない。

3 課税時期を含む年において相続に因り財産又は債務を承継した者が、当該財産の価額又は債務の金額 をその課税価格計算の基礎に算入することに因り第一項の規定に該当する者となった場合において、そ の年十一月一日以後当該相続の開始があったことを知ったときは、その者(その者に同居親族があると きは、その同居親族を含む。)は、当該相続の開始があったことを知った日の翌日から四月以内に、第一 項の規定により政令で定める事項に記載した申告書を、納税地の所轄税務署長に提出しなければならな い。

4 第一項の規定に該当する者が課税時期後申告書の提出前に死亡した場合においては、その相続人は、 その相続の開始があったことを知った日の翌日から四月以内に、被相続人に係る富裕税について申告書 を被相続人の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。この場合における申告書の記載事項、 相続人が二人以上ある場合の申告の要領その他必要な事項については、政令で定める。

5 同居親族のうち第一項の規定に該当する者が二人以上ある場合においては、前四項の規定による申告 書に第一項又は前項の規定により政令で定める事項を各別に区分して記載し、これを連署で提出しなけ ればならない。但し、他の同居親族の氏名を附記して、各別に提出することを妨げない。

6 前項の規定の適用については、第四項に規定する相続人相互及び当該相続人とその被相続人の同居親 族との関係については、これを互に他の同居親族とみなす。

7 通信、交通その他やむを得ない事由に因り、第一項から第四項までに規定する申告書の提出期限内に 当該各項の規定による申告書を提出することができない者については、政令の定めるところにより、国 税庁長官又は税務署長は、その期限を延長することができる。

8 第二項から第四項までの規定は、当該各項に規定する申告書の提出期限前に第ニ十四條の規定による 決定の通知があった場合には、適用しない。

9 第一項の規定に該当する者又は第四項に規定する相続人は、第一項から第四項までに規定する申告書 の提出期限(第七項の規定の適用がある場合には、同項の規定により延長された期限。以下「申告書の 提出期限」という。)後においても、第ニ十四條の規定による決定の通知があるまでは、第一項又は第四項 の規定により政令で定める事項を記載した申告書を、納税地又は被相続人の納税地の所轄税務署長に提 出することができる。第五項及び第六項の規定は、この場合における申告書の提出について準用する。

10 第一項から第四項までの規定による申告書を「期限内申告書」といい、前項の規定による申告書を「期 限後申告書」という。

(修正申告)

第十九條 期限内申告書又は期限後申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格又は富裕税額に不足 額があるときは、第二十四條の規定による更正の通知があるまでは、当該申告に係る課税価格又は富裕 税額について修正すべき事項その他政令で定める事項を記載した申告書を、先に申告書を提出した税務 署長に提出することができる。

2 第二十三條の規定による更正又は決定を受けた者は、当該更正又は決定に係る課税価格又は富裕税額 に不足額があるときは、当該更正又は決定に係る課税価格又は富裕税額について修正すべき事項その他 政令で定める事項を記載した申告書を、当該更正又は決定した税務署長に提出することができる。 3 第二項の規定による申告書(この申告書を「修正申告書」という。)を提出することができる者が死亡し た場合においては、その者の相続人は、その被相続人に係る富裕税について、修正申告書を提出するこ とができる。

(更正の請求)

第二十條 期限内申告書又は当該申告書に係る修正申告書を提出した者は、当該申告に係る課税価格若し くは富裕税額又は当該修正申告に因り増加した課税価格若しくは富裕税額が過大であることを知ったと きは、当該申告書の提出期限又は当該修正申告書を提出した日から一月以内に限り、当該申告書又は修 正申告書を提出した税務署長に対し、その課税価格又は富裕税額につき第二十三條第一項の規定による 更正をすべき旨の請求をすることができる。

2 期限内申告書を提出した者は、当該申告書を提出した後、当該申告書に係る課税時期を含む年におい て相続の開始があったことを知り、且つ、当該相続に因り承継した財産の価額又は債務の金額をその課 税価格計算の基礎に算入することに因り当該申告に係る課税価格又は富裕税額(当該申告書を提出した 後修正申告書を提出した場合又は第二十三條第一項若しくは第四項の規定による更正があった場合に は、当該修正申告書を提出した場合又は更正に係る課税価格又は富裕税額)が過大となったときは、当該相続の開始があっ たことを知った日の翌日から四月以内に限り、当該申告書を提出した税務署長に対し、その課税価格又は 富裕税額につき第二十三條第一項又は第四項の規定による更正をすべき旨の請求をすることができる。

3 第二項の規定による更正の請求をしようとする者は、当該更正の目的となる課税価格又は富裕税額、そ の請求をしようとする更正後の課税価格又は富裕税額、当該更正の請求をする理由その他政令で定める事 項を記載した書類を、税務署長に提出しなければならない。

4 税務署長は、第一項又は第二項の規定による更正の請求があった場合においては、当該請求に係る課 税価格又は富裕税額の更正をすべきか否かを調査し、その調査に基き、これを更正し、又はその請求の 理由がない旨を当該請求をした者に通知する。

5 この法律の施行地に住所及び居所を有しない者が第三十九條に規定する納税管理人の申告をしていな いときは、前項の通知に代え、官報に掲載して公告をすることができる。この場合においては、公告の 初日から七日を経過した日において同項の通知があったものとみなす。

6 第一項又は第二項の規定による更正の請求があった場合においても、税務署長は、税金の徴収を猶予 しない。但し、税務署長において相当の事由があると認めたときは、税金の全部又は一部の徴収を猶予 することができる。

7 第十八條第四項前段及び第七項の規定は、第一項又は第二項の規定による更正の請求について準用す る。

(納付)

第二十一條 期限内申告書を提出した者は、当該申告書に記載した富裕税額に相当する富裕税を、申告書 の提出期限までに、国に納付しなければならない。

2 期限後申告書を提出した者は、当該申告書に記載した富裕税額に相当する富裕税を、当該申告書を提 出した日に、国に納付しなければならない。

3 修正申告書を提出した者は、当該修正申告書に因り増加した富裕税額に相当する富裕税を、当該修正申 告書を提出した日に、国に納付しなければならない。

4 第十八條第四項の規定に該当する場合において、相続人が二人以上あるときは、当該相続人が同項又 は同條第九項の規定による申告書に記載し、第一項又は第二項の規定により納付すべき富裕税額は相 続に因り各相続人が受ける利益の価額に按分して計算した額とする。

5 第一項から第三項までの規定により富裕税を納付すべき者が第一項に規定する納期限までに、又は第 二項若しくは第三項に規定する納付の期日に富裕税を完納しなかったときは、税務署長は。国税徴収法 (明治三十年法律第二十一号)第九條の規定により、これを督促する。

6 第一項から第三項までの規定による富裕税の納付の手順については、政令で定める。

(連帯納付の義務)

第二十二條 同居親族は、互に他の同居親族の納付すべき富裕税について、連帯納付の責に任ずる。第十 八條第六項の規定は、この場合について準用する。

2 富裕税の課税価格計算の基礎となった財産につき、贈與、遺贈又は寄附行為に因る移転があった場合 においては、当該贈與若しくは遺贈を受けた者又は当該寄附行為に因り設立された法人は、その受けた 利益の価額の限度において、当該行為のあった日を含む年の前年分の富裕税について、連帯納付の責に 任ずる。

第五章 更正及び決定

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(更正及び決定)
第二十三條
(通知)
第二十四條
(追徴税額の徴収)
第二十五條

第六章 再調査、審査及び訴訟

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(再調査)
第二十六條
(審査)
第二十七條
(訴願法の不適用)
第二十八條
(訴訟)
第二十九條
(証拠申出の順序)
第三十條

第七章 雑則

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(申告書の公示)
第三十一條
(第三者通報)
第三十二條
(利子減額)
第三十三條
(過小申告加算税額及び無申加算税額告)
第三十四條
(重加算税額)
第三十五條
(調書の提出)
第三十六條
(当該職員の質問検査権)
第三十七條
(納税地)
第三十八條
(納税管理人)
第三十九條
(同族会社の行為又は計算の否認)
第四十條
(附加税の禁止)
第四十一條

第八章 罰則

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附則

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1この法律は、公布の日から施行する。
2この法律は、本州、北海道、四国、九州及びその附属の島(政令で定める地域を除く。)に施行する。

外部リンク

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この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。