学位令細則 (明治20年文部省令第4号)
表示
新字体
[編集]文部省令第四号
本年五月勅令第十三号学位令第五条ニ基キ学位令細則ヲ定ムルコト左ノ如シ
明治二十年六月二十五日
文部大臣子爵森有礼
学位令細則
第一条 博士ノ学位ハ左ノ区別ニ従ヒ之ヲ授ク
法科大学所設ノ学科ヲ専攷セシ者ニハ
法学博士
医科大学所設ノ学科ヲ専攷セシ者ニハ
医学博士
工科大学所設ノ学科ヲ専攷セシ者ニハ
工学博士
文科大学所設ノ学科ヲ専攷セシ者ニハ
文学博士
理科大学所設ノ学科ヲ専攷セシ者ニハ
理学博士
第二条 大学院ニ入リ定規ノ試験ヲ経タル者アルトキハ帝国大学総長ノ具申ニ依リ文部大臣之ニ博士ノ学位ヲ授ク
第三条 文部大臣ニ於テ大学院ニ入リ定規ノ試験ヲ経タル者ト同等以上ノ学力アリト思慮スル者アルトキハ帝国大学評議会ノ議ニ付シ評議官総数三分ノ二以上之ヲ是認スルニ於テハ文部大臣之ニ博士ノ学位ヲ授ク
第四条 博士ノ学位ヲ得ント欲スル者ハ文部大臣ニ申請スルコトヲ得但申請スル者ハ其履歴書及其専攷セル学科ノ範囲内ニ属スル自著ノ論文一編ヲ差出スヘシ
第五条 帝国大学評議会ハ第三条ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ試験ヲ行フコトヲ得但試験ヲ受クルト否トハ本人ノ随意トス
第六条 文部大臣ニ於テ学問上特ニ功績アリト思慮スル者アルトキハ博士ノ会議ニ付シ出席博士三分ノ二以上之ヲ是認スルニ於テハ文部大臣之ヲ閣議ニ提出シ其可認ヲ得テ大博士ノ学位ヲ授ク
第七条 博士ノ会議ハ文部大臣指命スル所ノ委員之ヲ整理ス又博士二十名以上出席スルニアラサレハ之ヲ開カサルモノトス
第八条 博士ノ会議ヲ開クトキハ五週日前ニ官報ヲ以テ開会ノ場所及時日ヲ広告ス
第九条 第五条ノ試験ニ関スル規則ハ帝国大学総長之ヲ定ム
第十条 学位記ノ様式左ノ如シ
- 底本中の旧字を新字に改めた。
- 押印を表す丸囲みは括弧を用いて表記した。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 「学位令細則ヲ定ム」(国立公文書館所蔵「公文類聚第十一編 第二十七巻」)
- 『明治二十年 法令全書 上巻』
- 内閣記録局編輯『法規分類大全第一編 学政門一』1891年3月
- 教育史編纂会編修『明治以降 教育制度発達史 第三巻』竜吟社、1938年9月