大都市地域における特別区の設置に関する法律

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動


大都市地域における特別区の設置に関する法律をここに公布する。

御名御璽

平成二十四年九月五日
内閣総理大臣 野田  佳彦

法律第八十号

大都市地域における特別区の設置に関する法律

(目的)

第一条
この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続並びに特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出に係る措置について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする。

(定義)

第二条
  1. この法律において「関係市町村」とは、人口(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十四条に規定する人口によるものとする。以下この項において同じ。)二百万以上の指定都市(同法第二百五十二条の十九第一項の指定都市をいう。以下同じ。)又は一の指定都市及び当該指定都市に隣接する同一道府県の区域内の一以上の市町村(当該市町村が指定都市である場合にあっては、当該指定都市に隣接する同一道府県の区域内のものを含む。)であって、その総人口が二百万以上のものをいう。
  2. この法律において「関係道府県」とは、関係市町村を包括する道府県をいう。
  3. この法律(第十二条及び第十三条を除く。)において「特別区の設置」とは、関係市町村を廃止し、当該関係市町村の区域の全部を分けて定める区域をその区域として、特別区を設けることをいう。

(道府県の区域内における特別区の設置の特例)

第三条
地方自治法第二百八十一条第一項の規定にかかわらず、総務大臣は、この法律の定めるところにより、道府県の区域内において、特別区の設置を行うことができる。

(特別区設置協議会の設置)

第四条
  1. 特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、地方自治法第二百五十二条の二第一項の規定により、特別区の設置に関する協定書(以下「特別区設置協定書」という。)の作成その他特別区の設置に関する協議を行う協議会(以下「特別区設置協議会」という。)を置くものとする。
  2. 特別区設置協議会の会長及び委員は、地方自治法第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、関係市町村若しくは関係道府県の議会の議員若しくは長その他の職員又は学識経験を有する者の中から、これを選任する。

(特別区設置協定書の作成)

第五条
  1. 特別区設置協定書は、次に掲げる事項について、作成するものとする。
    一 特別区の設置の日
    二 特別区の名称及び区域
    三 特別区の設置に伴う財産処分に関する事項
    四 特別区の議会の議員の定数
    五 特別区とこれを包括する道府県の事務の分担に関する事項
    六 特別区とこれを包括する道府県の税源の配分及び財政の調整に関する事項
    七 関係市町村及び関係道府県の職員の移管に関する事項
    八 前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関し必要な事項
  2. 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、特別区設置協議会が特別区設置協定書に前項第五号及び第六号に掲げる事項のうち政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要があるものを記載しようとするときは、共同して、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。
  3. 前項の規定による協議の申出があったときは、総務大臣並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事は、誠実に協議を行うとともに、速やかに当該協議が調うよう努めなければならない。
  4. 特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成しようとするときは、あらかじめ、その内容について総務大臣に報告しなければならない。
  5. 総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該特別区設置協定書の内容について検討し、特別区設置協議会並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事に意見を述べるものとする。
  6. 特別区設置協議会は、特別区設置協定書を作成したときは、これを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に送付しなければならない。

(特別区設置協定書についての議会の承認)

第六条
  1. 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前条第六項の規定により特別区設置協定書の送付を受けたときは、同条第五項の意見を添えて、当該特別区設置協定書を速やかにそれぞれの議会に付議して、その承認を求めなければならない。
  2. 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前項の規定による議会の審議の結果を、速やかに、特別区設置協議会並びに他の関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知しなければならない。
  3. 特別区設置協議会は、前項の規定により全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から当該関係市町村及び関係道府県の議会が特別区設置協定書を承認した旨の通知を受けたときは、直ちに、全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から同項の規定による通知を受けた日(次条第一項において「基準日」という。)を関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣に通知するとともに、当該特別区設置協定書を公表しなければならない。

(関係市町村における選挙人の投票)

第七条
  1. 前条第三項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から六十日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。
  2. 関係市町村の長は、前項の規定による投票に際し、選挙人の理解を促進するよう、特別区設置協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない。
  3. 関係市町村の選挙管理委員会は、第一項の規定による投票に際し、当該関係市町村の議会の議員から申出があったときは、当該投票に関する当該議員の意見を公報に掲載し、選挙人に配布しなければならない。
  4. 前項の場合において、二人以上の議員は、関係市町村の選挙管理委員会に対し、当該議員が共同で表明する意見を掲載するよう申し出ることができる。
  5. 関係市町村の選挙管理委員会は、第一項の規定による投票の結果が判明したときは、直ちにこれを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知するとともに、公表しなければならない。その投票の結果が確定したときも、同様とする。
  6. 政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第一項の規定による投票について準用する。
  7. 第一項の規定による投票は、普通地方公共団体の選挙と同時にこれを行うことができる。

(特別区の設置の申請)

第八条
  1. 関係市町村及び関係道府県は、全ての関係市町村の前条第一項の規定による投票においてそれぞれその有効投票の総数の過半数の賛成があったときは、共同して、総務大臣に対し、特別区の設置を申請することができる。ただし、指定都市以外の関係市町村にあっては、当該関係市町村に隣接する指定都市が特別区の設置を申請する場合でなければ、当該申請を行うことができない。
  2. 前項の規定による申請は、特別区設置協定書を添えてしなければならない。

(特別区の設置の処分)

第九条
  1. 特別区の設置は、前条第一項の規定による申請に基づき、総務大臣がこれを定めることができる。
  2. 前項の規定による処分をしたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
  3. 第一項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
  4. 関係市町村は、第二項の規定による告示があったときは、直ちに特別区設置協定書に定められた特別区の議会の議員の定数を告示しなければならない。
  5. 前項の規定により告示された特別区の議会の議員の定数は、地方自治法第二百八十三条第一項の規定により適用される同法第九十一条第一項の規定に基づく当該特別区の条例により定められたものとみなす。
  6. 政府は、前条第一項の規定による申請があった場合において、特別区設置協定書の内容を踏まえて新たな措置を講ずる必要があると認めるときは、当該申請があった日から六月を目途に必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(特別区を包括する道府県に対する法令の適用)

第十条
特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都とみなす。

(事務の分担等に関する意見の申出に係る措置)

第十一条
  1. 一の道府県の区域内の全ての特別区及び当該道府県は、共同して、特別区とこれを包括する道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整の在り方に関し、政府に対し意見を申し出ることができる。
  2. 前項の規定による申出については、当該特別区及び道府県の議会の議決を経なければならない。
  3. 政府は、第一項の規定による申出を受けた日から六月を目途に当該意見を踏まえた新たな措置を講ずる必要の有無について判断し、必要があると認めるときは、当該意見の趣旨を尊重し、速やかに必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(特別区を包括する道府県における特別区の設置の特例)

第十二条
地方自治法第二百八十一条の四第八項の規定は、特別区を包括する道府県における特別区の設置については、適用しない。

第十三条

  1. 特別区を包括する道府県の区域内における当該特別区に隣接する一の市町村の区域の全部による二以上の特別区の設置については、第四条から第九条まで(第八条第一項ただし書を除く。)の規定を準用する。この場合において、第四条第一項中「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特別区に隣接する同一道府県の区域内の市町村(以下「特定市町村」という。)及び当該市町村を包括する道府県(以下「特定道府県」という。)」と、同条第二項中「関係市町村若しくは関係道府県」とあるのは「特定市町村若しくは特定道府県」と、第五条から第九条までの規定中「関係市町村」とあるのは「特定市町村」と、「関係道府県」とあるのは「特定道府県」と読み替えるものとする。
  2. 特別区を包括する道府県の区域内における当該特別区に隣接する一の市町村の区域の全部による一の特別区の設置については、第四条から第六条まで、第八条(第一項ただし書を除く。)及び第九条の規定を準用する。この場合において、第四条第一項中「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特別区に隣接する同一道府県の区域内の市町村(以下「特定市町村」という。)及び当該市町村を包括する道府県(以下「特定道府県」という。)」と、同条第二項、第五条並びに第六条第一項及び第二項中「関係市町村」とあるのは「特定市町村」と、「関係道府県」とあるのは「特定道府県」と、同条第三項中「関係市町村の長及び関係道府県の知事」とあるのは「特定市町村の長及び特定道府県の知事」と、「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特定市町村及び特定道府県」と、「関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣」とあるのは「総務大臣」と、第八条第一項中「関係市町村及び関係道府県」とあるのは「特定市町村及び特定道府県」と、「全ての関係市町村の前条第一項の規定による投票においてそれぞれその有効投票の総数の過半数の賛成があったとき」とあるのは「当該特定市町村及び特定道府県の議会が特別区設置協定書を承認したとき」と、第九条第四項中「関係市町村」とあるのは「特定市町村」と読み替えるものとする。

(政令への委任)

第十四条
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。


(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日[1]から施行する。
(公職選挙法の一部改正)
第二条
公職選挙法の一部を次のように改正する。
以下略
総務大臣  川端 達夫
内閣総理大臣  野田 佳彦

脚注[編集]

  1. 第4条から第6条については、大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部の施行期日を定める政令(2012年(平成24年)9月20日政令第243号)により、2012年(平成24年)9月21日。第4条から第6条以外については、大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部の施行期日を定める政令(2013年(平成25年)2月27日政令第41号)により、2013年(平成25年)3月1日。

この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。