- 1941年(昭和16年)12月8日、「米國及英國ニ對スル宣戰ノ詔書」が渙発されたことを受けて、内閣総理大臣・東條英機がラジオ放送を通じて日本国民に向けて実施した戦争決意表明演説である。
- 底本:
- “日本ニュース 第79号” (日本語). NHKアーカイブス. NHK (1941年12月9日). 2023年10月8日閲覧。
- 東條英機 (1941年12月8日). “大詔を拜し奉りて(上)” (日本語). NHKアーカイブス. NHK. 2023年10月8日閲覧。
- 東條英機 (1941年12月8日). “大詔を拜し奉りて(下)” (日本語). NHKアーカイブス. NHK. 2023年10月8日閲覧。
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ただ今、宣戦の御詔勅が渙発せられました。精鋭なる帝国陸海軍は、今や決死の戦いを行いつつあります。東亜全局の平和はこれを念願する帝国のあらゆる努力にもかかわらず、遂に決裂のやむなきに至ったのであります。過半来、政府はあらゆる手段を尽くし、対米国交調整の成立に努力してまいりましたが、彼は従来の主張を一歩も譲らざるのみならず、かえって英蘭比と連合し、支那より我が陸海軍の無条件全面撤兵、南京政府の否認、日独伊三国条約の破棄を要求し、帝国の一方的譲歩を強要してまいりました。これに対し帝国は、あくまで平和的妥結の努力を続けてまいりましたが、米国はなんら反省の色を示さず、今日に至りました。もし帝国にして彼らの強要に屈従せんか、帝国の権威を失墜、支那事変の完遂を切り捨てたるのみならず、遂には帝国の存立をも危殆に陥らしむる結果となるのであります。事ここに至りましては、帝国は現下の時局を打開し、自存自衛を全うするため、断固として立ちあがるのやむなきに至ったのであります。
今、宣戦の大詔を拝しまして、恐懼感激に堪えません。私、小なりといえども、一身を捧げて決死奉公、ただただ宸襟を安んじ奉らんとの念願のみであります。国民諸君もまた、己が身を省みず、醜の御盾たるの光栄を同じくせらるるものと信ずるものであります。およそ勝利の要決は、必勝の信念を堅持することであります。建国二千六百年、我等は未だかつて戦いに敗れたことを知りません。
この史蹟の回顧こそ、いかなる強敵をも破壊するの確信を生ずるものであります。我等は光輝ある祖国の歴史を断じて汚さざるとともに、さらに栄えある帝国の明日を建設せんことを固く誓うものであります。
省みれば我等は、今日まで隠忍と自重との最大限を重ねたのでありまするが、断じて易きを求めたものでなく、また敵の強大を恐れたものでもありません。ひたすら世界平和の維持と、人類の惨禍の防止とを護念したるにほかなりません。しかも敵の挑戦を受け、祖国の生存と権威とが危うきに及びましては、決然立たざるを得ないのであります。当面の敵は物資の豊富を誇り、これによって世界の制覇を目指しておるのであります。この敵を粉砕し、東亜不動の新秩序を建設せんがためには、当然、長期戦たることを予想せねばなりません。これと同時に、絶大の建設的努力を要すること、言を要しません。かくて我等は、あくまで最後の勝利が祖国日本にあることを確信し、いかなる困難も障碍も克服して進まなければなりません。これこそ、昭和の臣民我等に課せられたる天与の試練であり、この試練を突破して後にこそ、大東亜建設者としての栄誉を後生に担うことができるのであります。
この時に当たり、満州国及び中華民国との一徳一心の関係いよいよあり、独伊両国との盟約、ますます固きを加えつつあるを欣快とするものであります。帝国の隆替、東亜の興廃、まさにこの一戦にあり。一億国民が一切を挙げて、国に報い、国に殉ずるの時は今であります。八紘を宇と為す皇謨の下に、この尽忠報国の大精神ある限り、英米といえども何ら恐るるに足らないのであります。勝利は常に御稜威の下にありと確信致すものであります。私は、ここに慎んで微衷を披瀝し、国民とともに大業翼賛の丹心を誓う次第であります。終わり。
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- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
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