大塚徹・あき詩集/生樹を焚く

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生樹を焚く[編集]

じゅんじゅんと生樹を焚く。

きさらぎの
曇天に、
むくもくと白煙をげて
蒼ざめた生樹を焚く。

じゅんじゅんと生樹は燃える。
葉脈がもえる。

葉末がもえる
じみじみと蒸気を吐いて
葉も枝も生樹は燃えてゆく。

冬朝の
曇天に、
赫ツ!と燃えあがるいのちの焔むら。
じいんとひからびてゆくいのちの翳り。

あゝ 蒼々と骨が燃える。
あゝ 白々と骨が崩れる。

〈昭和五年、愛誦〉