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夕ぐれ秋さめの

提供:Wikisource


夕ぐれ秋さめの


夕ぐれ秋さめのなかを

かへつて來た

新しい紺がすりに着換へて

窓のところに坐る

こまかく秋さめの降る夕ぐれは

まだ窓に明󠄁るい

向ひの家の窓もあいてる

はやくともつた電燈の下で

おかみさんが手藝をしてゐる

しめやかな滴󠄂の音󠄁ばかりで

この世はなんと美しいことか

こんなとき蝸牛は

遊󠄁ぶにちがひない

をよぶそのあたりの

百姓家の垣根で――

あ、どこかで魚を燒いてる

あまり靜かな幸さだから

たばこにそつと火をつけよう

この著作物は、1943年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。