地方法人特別税等に関する暫定措置法

提供:Wikisource

第一章 総則[編集]

(趣旨)

第一条
この法律は、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置として、法人の事業税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定により法人の行う事業に対して課する事業税をいう。以下同じ。)の税率の引下げを行うとともに、地方法人特別税を創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として都道府県に対して譲与するために必要な事項を定めるものとする。

第二章 法人の事業税の税率の特例[編集]

第二条

平成二十年十月一日以後に開始する各事業年度(地方税法第七十二条の十三に規定する事業年度をいう。以下同じ。)に係る法人の事業税及び同日以後の解散(合併による解散を除く。)による清算所得に対する法人の事業税(清算所得に対する法人の事業税を課される法人の清算中の事業年度に係る法人の事業税及び残余財産の一部の分配又は引渡しにより納付すべき法人の事業税を含む。)についての同法第七十二条の二十四の七及び附則第九条の二の規定の適用については、同法第七十二条の二十四の七第一項第一号ハの表中「百分の三・八」とあるのは「百分の一・五」と、「百分の五・五」とあるのは「百分の二・二」と、「百分の七・二」とあるのは「百分の二・九」と、同項第二号の表中「百分の五」とあるのは「百分の二・七」と、「百分の六・六」とあるのは「百分の三・六」と、同項第三号の表中「百分の五」とあるのは「百分の二・七」と、「百分の七・三」とあるのは「百分の四」と、「百分の九・六」とあるのは「百分の五・三」と、同条第二項中「百分の一・三」とあるのは「百分の〇・七」と、同条第三項第一号ハ中「百分の七・二」とあるのは「百分の二・九」と、同項第二号中「百分の六・六」とあるのは「百分の三・六」と、同項第三号中「百分の九・六」とあるのは「百分の五・三」と、同条第七項中「第一項から第三項まで」とあるのは「地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年法律第二十五号。以下「暫定措置法」という。)第二条の規定により読み替えて適用される第一項から第三項まで」と、「第一項各号」とあるのは「暫定措置法第二条の規定により読み替えて適用される第一項各号」と、「第二項」とあるのは「暫定措置法第二条の規定により読み替えて適用される第二項」と、「第三項各号」とあるのは「暫定措置法第二条の規定により読み替えて適用される第三項各号」と、同条第八項中「第一項から第三項まで及び前項」とあるのは「暫定措置法第二条の規定により読み替えて適用される第一項から第三項まで及び前項」と、同法附則第九条の二中「第七十二条の二十四の七第一項第二号」とあるのは「暫定措置法第二条の規定により読み替えられた第七十二条の二十四の七第一項第二号」と、「百分の六・六」とあるのは「百分の三・六」と、「百分の七・九」とあるのは「百分の四・三」と、「附則第九条の二」とあるのは「暫定措置法第二条の規定により読み替えられた附則第九条の二」とする。

第三章 地方法人特別税[編集]

第一節 総則[編集]

(定義)

第三条
この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 人格のない社団等 地方税法第七十二条の二第四項に規定する人格のない社団等をいう。
二 みなし課税法人 地方税法第七十二条の二第五項に規定するみなし課税法人をいう。
三 所得割 地方税法第七十二条第三号に規定する所得割をいう。
四 収入割 地方税法第七十二条第四号に規定する収入割をいう。
五 基準法人所得割額 地方税法の規定(同法第六条第七条第七十二条の二十四の十法第七十二条の二十四の十一及び第七十二条の四十九の四の規定を除き、税率については、同法第一条第一項第五号に規定する標準税率によるものとする。次号において同じ。)によって計算した所得割額をいう。
六 基準法人収入割額 地方税法の規定によって計算した収入割額をいう。
七 付加価値割 地方税法第七十二条第一号に規定する付加価値割をいう。
八 資本割 地方税法第七十二条第二号に規定する資本割をいう。

(人格のない社団等に対する適用)

第四条
人格のない社団等及びみなし課税法人は、法人とみなして、この章の規定を適用する。

(納税義務者)

第五条
法人は、この法律により、地方法人特別税を納める義務がある。

(課税の対象)

第六条
法人の基準法人所得割額及び基準法人収入割額には、この法律により、国が地方法人特別税を課する。

国税通則法等の適用除外等)

第七条
  1. 地方法人特別税については、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)及び国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)の規定は、適用しない。
  2. 地方法人特別税は、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の規定の適用については、同法第二条第二号に規定する地方税とみなす。

第二節 課税標準[編集]

第八条

地方法人特別税の課税標準は、基準法人所得割額又は基準法人収入割額とする。

第三節 税額の計算[編集]

第九条

地方法人特別税の額は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める金額とする。
一 付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって法人の事業税を課される法人 基準法人所得割額に百分の百四十八の税率を乗じて得た金額
二 所得割額によって法人の事業税を課される法人(前号に掲げる法人を除く。) 基準法人所得割額に百分の八十一の税率を乗じて得た金額
三 収入割額によって法人の事業税を課される法人 基準法人収入割額に百分の八十一の税率を乗じて得た金額

第四節 申告及び納付等[編集]

(賦課徴収)

第十条
地方法人特別税の賦課徴収は、第八条及び第十六条に定めるものを除くほか、都道府県が、当該都道府県の法人の事業税の賦課徴収の例により、当該都道府県の法人の事業税の賦課徴収と併せて行うものとする。この場合において、地方税法第十七条の六第一項第一号の規定に基づき更正又は決定をすることができる期間については、地方法人特別税及び法人の事業税は、同一の税目に属する地方税とみなして、同号の規定を適用するものとする。

(申告)

第十一条
地方税法第七十二条の二十五第七十二条の二十六第七十二条の二十八から第七十二条の三十一まで又は第七十二条の三十三の規定により法人の事業税に係る申告書を提出する義務がある法人は、当該申告書に記載すべき所得割額又は収入割額に係る基準法人所得割額又は基準法人収入割額、これらを課税標準として算定した地方法人特別税の額その他必要な事項を記載した申告書を、当該都道府県の法人の事業税の申告の例により、当該都道府県の法人の事業税の申告と併せて、当該都道府県知事に提出しなければならない。

(納付等)

第十二条
  1. 地方法人特別税の納税義務者は、地方法人特別税を当該都道府県の法人の事業税の納付の例により、当該都道府県の法人の事業税の納付と併せて当該都道府県に納付しなければならない。
  2. 地方法人特別税及び法人の事業税の納付があった場合においては、政令で定めるところにより、その納付額を第十条又は前条の規定により併せて賦課され又は申告された地方法人特別税及び法人の事業税の額にあん分した額に相当する地方法人特別税及び法人の事業税の納付があったものとする。
  3. 都道府県は、地方法人特別税の納付があった場合においては、当該納付があった月の翌々月の末日までに、政令で定めるところにより、地方法人特別税として納付された額を国に払い込むものとする。

(還付等)

第十三条
  1. 都道府県は、地方税法の規定により法人の事業税の所得割又は収入割の全部又は一部に相当する金額を還付する場合においては、当該都道府県の法人の事業税の還付の例により、前条第一項の規定により当該法人の事業税の所得割又は収入割と併せて納付された地方法人特別税の全部又は一部に相当する金額を還付しなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める金額を還付するものとする。
    一 第九条第一号に掲げる法人 当該還付すべき法人の事業税の所得割に係る還付金に相当する額に百分の百四十八を乗じて得た額
    二 第九条第二号に掲げる法人 当該還付すべき法人の事業税の所得割に係る還付金に相当する額に百分の八十一を乗じて得た額
    三 第九条第三号に掲げる法人 当該還付すべき法人の事業税の収入割に係る還付金に相当する額に百分の八十一を乗じて得た額
  2. 都道府県は、地方法人特別税に係る過誤納金があるときは、当該都道府県の法人の事業税に係る過誤納金の還付の例により、遅滞なく、還付しなければならない。
  3. 前二項の規定による地方法人特別税に係る還付金又は過誤納金(これらに加算すべき還付加算金を含む。以下この項、次条及び第十六条において「還付金等」という。)の還付は、法人の事業税に係る還付金等の還付と併せて行わなければならない。

(還付金等の国への払込額からの控除等)

第十四条
  1. 都道府県は、前条の規定により地方法人特別税に係る還付金等を還付することとした場合には、当該還付金等に相当する額を、第十二条第三項の規定により翌々月の末日までに国に払い込むものとされる地方法人特別税として納付された額(以下この条において「払込予定額」という。)であって当該還付金等を還付することとした日の属する月に納付されたものの総額から控除するものとする。ただし、当該還付金等に相当する額が当該総額を超える場合にあっては、当該超える額に相当する額に達するまでの額を払込予定額であって当該月の翌月以後の各月に納付されたものの総額から順次控除するものとする。
  2. 前項の規定の適用を受けた還付金等について返納があった場合その他政令で定める事由が生じた場合には、当該返納があった額その他政令で定める額に相当する額を、当該返納があった日又は政令で定める事由が生じた日の属する月における払込予定額の総額に加算するものとする。

(延滞金等の計算)

第十五条
  1. 地方法人特別税に係る延滞金及び加算金並びに法人の事業税に係る延滞金及び加算金並びにこれらの延滞金の免除に係る金額(以下この条において「延滞金等」という。)の計算については、地方法人特別税及び法人の事業税の合算額によって行い、政令で定めるところにより、算出された延滞金等をその計算の基礎となった地方法人特別税及び法人の事業税の額にあん分した額に相当する金額を地方法人特別税又は法人の事業税に係る延滞金等の額とする。
  2. 地方法人特別税及び法人の事業税に係る還付加算金の計算については、地方法人特別税及び法人の事業税に係る還付金又は過誤納金の合算額によって行い、政令で定めるところにより、算出された還付加算金をその計算の基礎となった地方法人特別税及び法人の事業税に係る還付金又は過誤納金の額にあん分した額に相当する金額を地方法人特別税又は法人の事業税に係る還付加算金の額とする。
  3. 前二項の規定により地方法人特別税及び法人の事業税に係る延滞金等及び還付加算金の計算をする場合の端数計算は、地方法人特別税及び法人の事業税を一の税とみなしてこれを行う。

(充当等の特例)

第十六条
  1. 地方税法第十七条の二の規定は、次の各号のいずれかに該当する還付金等については、適用しない。ただし、第十条又は第十一条の規定により併せて賦課され又は申告された地方法人特別税及び法人の事業税に係る還付金をその額の計算の基礎とされた事業年度の地方法人特別税及び法人の事業税で納付すべきこととなっているものに充当する場合は、この限りでない。
    一 第十条又は第十一条の規定により併せて賦課され又は申告された地方法人特別税及び法人の事業税に係る還付金等(以下この条において「地方法人特別税等還付金等」という。)の還付を受けるべき者につき納付すべきこととなっている地方税がある場合における当該地方法人特別税等還付金等
    二 地方税に係る還付金等(地方法人特別税等還付金等を除く。)の還付を受けるべき者につき第十条又は第十一条の規定により併せて賦課され又は申告された地方法人特別税及び法人の事業税で納付すべきこととなっているもの(次項及び第三項において「未納地方法人特別税等」という。)がある場合における当該還付金等
  2. 前項第一号に規定する場合にあっては、地方法人特別税等還付金等の還付を受けるべき者は、当該還付をすべき都道府県知事に対し、当該地方法人特別税等還付金等(未納地方法人特別税等又は納付すべきこととなっているその他の地方税に係る金額に相当する額を限度とする。)により未納地方法人特別税等又は納付すべきこととなっているその他の地方税を納付することを委託したものとみなす。
  3. 第一項第二号に規定する場合にあっては、同号の還付金等の還付を受けるべき者は、当該還付をすべき都道府県知事に対し、当該還付金等(未納地方法人特別税等に係る金額に相当する額を限度とする。)により未納地方法人特別税等を納付することを委託したものとみなす。
  4. 前二項の規定が適用される場合には、これらの規定による委託納付をするのに適することとなった時として政令で定める時に、その委託納付に相当する額の還付及び納付があったものとみなす。
  5. 第二項又は第三項の規定が適用される場合には、これらの規定による納付をした都道府県知事は、遅滞なく、その旨をこれらの規定により委託したものとみなされた者に通知しなければならない。

(納税管理人)

第十七条
地方税法の規定により定められた法人の事業税の納税管理人は、当該都道府県における当該納税義務者に係る地方法人特別税の納税管理人として、納税に関する一切の事項を処理しなければならない。

(処分に関する不服審査等)

第十八条
第十条の規定により都道府県知事が当該都道府県の法人の事業税の賦課徴収の例により当該都道府県の法人の事業税と併せて賦課徴収を行う地方法人特別税に関する処分は、不服申立て及び訴訟については、地方税法に基づく処分とみなして、同法第一章第十三節の規定を適用する。この場合において、同法第十九条並びに第十九条の七第一項及び第二項中「地方団体の徴収金」とあるのは、「地方団体の徴収金及び地方法人特別税」とする。

(犯則取締り)

第十九条
地方法人特別税に関する犯則事件については、法人の事業税に関する犯則事件とみなして、地方税法第二章第二節第六款の規定を適用する。

(賦課徴収又は申告納付に関する報告等)

第二十条
  1. 都道府県知事は、政令で定めるところにより、総務大臣に対し、地方法人特別税の申告の件数、地方法人特別税額、地方法人特別税に係る滞納の状況その他必要な事項を報告するものとする。
  2. 総務大臣は、必要があると認める場合には、前項に規定するもののほか、都道府県知事に対し、当該都道府県に係る地方法人特別税の賦課徴収又は申告納付に関する事項の報告を求めることができる。
  3. 総務大臣が都道府県知事に対し、地方法人特別税及び法人の事業税の賦課徴収に関する書類を閲覧し、又は記録することを求めた場合には、都道府県知事は、関係書類を総務大臣又はその指定する職員に閲覧させ、又は記録させるものとする。

第五節 雑則[編集]

(代表者等の自署及び押印)

第二十一条
地方税法第七十二条の三十五の規定は、第十一条の規定による申告書について準用する。

法人税法の適用の特例等)

第二十二条
地方法人特別税に係る次の表の第一欄に掲げる法律の適用については、同表の第二欄に掲げる規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第一欄第二欄第三欄第四欄
法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第九十四条第四号事業税事業税及び地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年法律第二十五号。次号において「暫定措置法」という。)の規定による地方法人特別税
第九十四条第五号地方税に係る地方税法地方税又は地方法人特別税に係る地方税法又は暫定措置法
国税収納金整理資金に関する法律(昭和二十九年法律第三十六号)第二条第一項収入金を含む。)収入金を含み、地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年法律第二十五号)に規定する地方法人特別税を除く。)
第八条第一項収入を含む。)収入を含み、地方法人特別税等に関する暫定措置法に規定する地方法人特別税を除く。)
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項第三号地方税地方税(地方法人特別税を含む。以下同じ。)
第四条第四号国税国税(地方法人特別税を除く。以下この条、第二十四条第三十六条第四十一条の三及び第四十六条において同じ。)
第五条第一項第一号イ及び特別とん税、特別とん税及び地方法人特別税
第八条第一項第六号事業税事業税(地方法人特別税を含む。)
第三十三条第五項第七十二条の三十五第七十二条の三十五(地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年法律第二十五号)第二十一条において準用する場合を含む。)

(事務の区分)

第二十三条
この章の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

第六節 罰則[編集]

(検査拒否等に関する罪)

第二十四条
  1. 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
    一 第十条の規定によりその例によることとされる地方税法第七十二条の七の規定による帳簿書類その他の物件の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
    二 第十条の規定によりその例によることとされる地方税法第七十二条の七第一項の帳簿書類で虚偽の記載又は記録をしたものを提示した者
    三 第十条の規定によりその例によることとされる地方税法第七十二条の七の規定による徴税吏員の質問に対し答弁をしない者又は虚偽の答弁をした者
  2. 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。次条第一項及び第二項、第二十七条第一項及び第三項、第二十八条第四項並びに第二十九条第二項において同じ。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同項の罰金刑を科する。
  3. 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

(故意不申告の罪)

第二十五条
  1. 正当な事由がなくて第十一条の規定により地方税法第七十二条の二十五第一項、第七十二条の二十八第一項又は第七十二条の三十一第一項の規定による申告書と併せて提出しなければならない第十一条の規定による申告書を当該各項に規定する申告書の提出期限内に提出しなかった場合においては、法人の代表者(法人課税信託(地方税法第七十二条の二第四項に規定する法人課税信託をいう。次条第一項及び第二十七条第一項において同じ。)の受託者である個人を含む。)、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
  2. 法人の代表者又は代理人若しくは使用人その他の従業者が、その法人の業務又は財産に関して、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対し、同項の罰金刑を科する。
  3. 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

(虚偽の中間申告納付等に関する罪)

第二十六条
  1. 第十一条の規定により地方税法第七十二条の二十六第一項ただし書、第七十二条の二十九第一項又は第七十二条の三十第一項の規定による申告書と併せて提出しなければならない第十一条の規定による申告書に虚偽の記載をして提出した場合においては、法人の代表者(法人課税信託の受託者である個人を含む。)、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
  2. 法人の代表者又は代理人若しくは使用人その他の従業者が、その法人の業務又は財産に関して、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対し、同項の罰金刑を科する。

(脱税に関する罪)

第二十七条
  1. 偽りその他不正の行為によって地方法人特別税の全部又は一部を免れた場合においては、法人の代表者(法人課税信託の受託者である個人を含む。)又は代理人若しくは使用人その他の従業者で、その違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  2. 前項の免れた税額が五百万円を超える場合においては、情状により、同項の罰金の額は、同項の規定にかかわらず、五百万円を超える額でその免れた税額に相当する額以下の額とすることができる。
  3. 法人の代表者又は代理人若しくは使用人その他の従業者がその法人の業務又は財産に関して第一項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人に対し、この条の罰金刑を科する。
  4. 前項の規定により第一項の違反行為につき法人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同項の罪についての時効の期間による。
  5. 人格のない社団等について第三項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

(滞納処分に関する罪)

第二十八条
  1. 地方法人特別税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠ぺいし、損壊し、都道府県の不利益に処分し、又はその財産に係る負担を偽って増加する行為をしたときは、その者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  2. 納税者の財産を占有する第三者が納税者に滞納処分の執行を免れさせる目的で前項の行為をしたときも、同項と同様とする。
  3. 情を知って前二項の行為につき納税者又はその財産を占有する第三者の相手方となった者は、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
  4. 法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前三項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人に対し、当該各項の罰金刑を科する。
  5. 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

(滞納処分に関する検査拒否等の罪)

第二十九条
  1. 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
    一 第十条の規定によりその例によることとされる地方税法第七十二条の六十八第六項の場合において、国税徴収法第百四十一条の規定の例によって行う都道府県の徴税吏員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
    二 第十条の規定によりその例によることとされる地方税法第七十二条の六十八第六項の場合において、国税徴収法第百四十一条の規定の例によって行う都道府県の徴税吏員の同条に規定する帳簿書類の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその帳簿書類で偽りの記載若しくは記録をしたものを提示した者
  2. 法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人に対し、同項の罰金刑を科する。
  3. 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

(代表者等の自署及び押印の義務違反に関する罪)

第三十条
第二十一条において準用する地方税法第七十二条の三十五第一項から第三項までの規定に違反した者又はこれらの規定に違反する申告書若しくは修正申告書の提出があった場合において、その行為をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

(秘密漏えいに関する罪)

第三十一条
地方法人特別税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した場合においては、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第四章 地方法人特別譲与税[編集]

(地方法人特別譲与税)

第三十二条
地方法人特別譲与税は、地方法人特別税の収入額に相当する額とし、都道府県に対して譲与するものとする。

(各都道府県に対する譲与額)

第三十三条
  1. 毎年度、各都道府県に対して譲与する地方法人特別譲与税の額は、地方法人特別譲与税基本額(次条第一項の規定により当該年度において譲与すべき地方法人特別譲与税の総額に相当する額から財源超過団体調整額を控除した額をいう。以下この項において同じ。)の二分の一に相当する額を各都道府県の人口(官報で公示された最近の国勢調査の結果による人口をいう。次条第二項において同じ。)であん分した額及び地方法人特別譲与税基本額の二分の一に相当する額を各都道府県の従業者数(統計法(平成十九年法律第五十三号)第二条第四項に規定する基幹統計である事業所統計の最近に公表された結果による従業者数をいう。次条第二項において同じ。)であん分した額の合算額(財源超過額調整団体にあっては、当該合算額に当該財源超過額調整団体に係る個別財源超過団体調整額を加えた額)とする。
  2. この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
    一 財源超過額調整団体 当該年度の前年度の普通交付税の算定に用いられた基準財政収入額が基準財政需要額を上回る都道府県であって、当該上回る額を基礎として総務省令で定めるところにより算定した額に二分の一を乗じて得た額(次号において「調整財源超過額」という。)が、第二条の規定を適用しないこととした場合における当該年度の当該都道府県の法人の事業税の収入額の見込額として総務省令で定めるところにより算定した額から当該年度の当該都道府県の法人の事業税の収入額の見込額として総務省令で定めるところにより算定した額及び次条第一項の規定により当該年度において譲与すべき地方法人特別譲与税の総額の見込額について財源超過団体調整額がないものとして前項の規定の例により算定した当該都道府県の譲与額として総務省令で定めるところにより算定した額の合算額を控除した額(次号において「事業税等減収見込額」という。)を下回ることとなる都道府県をいう。
    二 個別財源超過団体調整額 財源超過額調整団体における事業税等減収見込額から調整財源超過額を控除した額(当該控除した額が事業税等減収見込額の二分の一に相当する額を超える場合にあっては、当該事業税等減収見込額の二分の一に相当する額)をいう。
    三 財源超過団体調整額 財源超過額調整団体における個別財源超過団体調整額の合算額をいう。

(譲与時期及び譲与時期ごとの譲与額)

第三十四条
1 地方法人特別譲与税は、毎年度、次の表の上欄に掲げる時期に、それぞれ当該下欄に定める額を譲与する。
譲与時期譲与時期ごとに譲与すべき額
五月当該年度の初日の属する年の二月から四月までの間の収納に係る地方法人特別税の収入額に相当する額
八月当該年度の初日の属する年の五月から七月までの間の収納に係る地方法人特別税の収入額に相当する額
十一月当該年度の初日の属する年の八月から十月までの間の収納に係る地方法人特別税の収入額に相当する額
二月当該年度の初日の属する年の十一月から翌年の一月までの間の収納に係る地方法人特別税の収入額に相当する額
2 各譲与時期ごとに各都道府県に対して譲与する地方法人特別譲与税の額は、前項の規定により各譲与時期ごとに譲与すべき額から前条第二項第三号に規定する財源超過団体調整額の四分の一に相当する額を控除した額(以下この項において「各譲与時期ごとの地方法人特別譲与税基本額」という。)の二分の一に相当する額を各都道府県の人口であん分した額及び各譲与時期ごとの地方法人特別譲与税基本額の二分の一に相当する額を各都道府県の従業者数であん分した額の合算額(同条第二項第一号に規定する財源超過額調整団体にあっては、当該合算額に当該財源超過額調整団体に係る同項第二号に規定する個別財源超過団体調整額の四分の一に相当する額を加えた額)とする。
3 前二項の規定により計算した各譲与時期ごとに各都道府県に対して譲与する地方法人特別譲与税の額に千円未満の端数金額があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする。この場合においては、当該各譲与時期ごとに譲与すべき地方法人特別譲与税の額は、第一項の規定により各譲与時期ごとに譲与すべき額からそれらの端数金額を控除した金額とする。
4 各譲与時期ごとに譲与することができなかった金額があるとき、又は各譲与時期において譲与すべき金額を超えて譲与した金額があるときは、それぞれ当該金額を、その次の譲与時期に譲与すべき額に加算し、又はこれから減額するものとする。

(譲与すべき額の算定に錯誤があった場合の措置)

第三十五条
総務大臣は、地方法人特別譲与税を都道府県に譲与した後において、その譲与した額の算定に錯誤があったため、譲与した額を増加し、又は減少する必要が生じたときは、総務省令で定めるところにより、当該増加し、又は減少すべき額を、錯誤があったことを発見した日以後に到来する譲与時期において譲与すべき額に加算し、又はこれから減額した額をもって当該譲与時期において都道府県に譲与すべき額とするものとする。

(地方財政審議会の意見の聴取)

第三十六条
総務大臣は、第三十三条若しくは前条の総務省令を制定し、若しくは改廃しようとするとき、又は都道府県に対して譲与すべき地方法人特別譲与税を譲与しようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならない。

(地方法人特別譲与税の使途)

第三十七条
国は、地方法人特別譲与税の譲与に当たっては、その使途について条件を付け、又は制限してはならない。

地方財政法の適用関係)

第三十八条
地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第四条の三第一項及び第三十三条の五の三の規定の適用については、当分の間、同法第四条の三第一項中「特別とん譲与税」とあるのは「地方法人特別譲与税、特別とん譲与税」と、同法第三十三条の五の三中「並びに法人の行う事業に対する事業税」とあるのは「、法人の行う事業に対する事業税並びに地方法人特別譲与税」とする。

地方交付税法の適用関係)

第三十九条
地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条及び附則第八条の規定の適用については、当分の間、同法第十四条第一項中「当該道府県の地方揮発油譲与税」とあるのは「当該道府県の地方法人特別譲与税の収入見込額の百分の七十五の額、当該道府県の地方揮発油譲与税」と、同条第三項の表道府県の項中「十三 地方揮発油譲与税 前年度の地方揮発油譲与税の譲与額」とあるのは「十三 地方法人特別譲与税 前年度の地方法人特別譲与税の譲与額十三の二 地方揮発油譲与税 前年度の地方揮発油譲与税の譲与額」と、同法附則第八条中「第十四条第三項」とあるのは「地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年法律第二十五号)第三十九条の規定により読み替えられた第十四条第三項」と、「事業税、」とあるのは「事業税、地方法人特別譲与税、」と、「並びに法人の行う事業に対する事業税」とあるのは「、法人の行う事業に対する事業税並びに地方法人特別譲与税」とする。

公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の適用関係)

第四十条
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第二条第四項の規定の適用については、当分の間、同項中「収入見込額」とあるのは、「収入見込額(都道府県にあつては、当該収入見込額に同法で定める方法により算定した当該都道府県の地方法人特別譲与税の収入見込額を加算した額)」とする。

第五章 雑則[編集]

(命令への委任)

第四十一条
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、命令で定める。

附則[編集]

附則(平成一九年五月二三日法律第五三号、統計法)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


附則(平成二〇年四月三〇日法律第二五号、地方法人特別税等に関する暫定措置法)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、平成二十年十月一日から施行する。

(適用区分)

第二条
  1. 第三章の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に開始する事業年度に係る法人の事業税及び施行日以後の解散(合併による解散を除く。)による清算所得に対する法人の事業税(清算所得に対する法人の事業税を課される法人の清算中の事業年度に係る法人の事業税及び残余財産の一部の分配又は引渡しにより納付すべき法人の事業税を含む。)と併せて賦課され又は申告される地方法人特別税について適用する。
  2. 第四章の規定は、平成二十一年度分の地方法人特別譲与税から適用する。

(法人の事業税における中間申告等の経過措置)

第三条
  1. 施行日以後に開始する最初の事業年度に係る法人の事業税についての地方税法第七十二条の二十六第一項の規定の適用については、同項中「六倍」とあるのは、「三・三倍」とする。
  2. 平成二十一年度における地方法人特別譲与税についての第三十四条の規定の適用については、同条第一項の表五月の項中「二月から四月まで」とあるのは、「前年の十二月から翌年の四月まで」とする。
  3. 平成二十一年度分の地方交付税についての第三十九条の規定の適用については、同条中「前年度の地方法人特別譲与税の譲与額」とあるのは、「平成二十一年度分の地方法人特別譲与税の見込額として総務省令で定めるところにより算定した額」とする。

(統計法の一部改正)

第七条
統計法(平成十九年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
附則に次の一条を加える。
(地方法人特別税等に関する暫定措置法の一部改正)
第二十五条
地方法人特別税等に関する暫定措置法(平成二十年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。
第三十三条第一項中「統計法(昭和二十二年法律第十八号)第二条に規定する指定統計」を「統計法(平成十九年法律第五十三号)第二条第四項に規定する基幹統計」に改める。


附則(平成二一年三月三一日法律第九号、地方税法等の一部を改正する法律)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、平成二十一年四月一日から施行する。


附則(平成二一年三月三一日法律第一〇号、地方交付税法等の一部を改正する法律)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、平成二十一年四月一日から施行する。



この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。