国際連合安全保障理事会決議第千八百九十六号(コンゴ民主共和国に係る制裁措置等の延長等に関する決議)に関する件

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○外務省告示第十八号

平成二十一年十一月三十日、国際連合安全保障理事会において、コンゴ民主共和国情勢に関し、武器禁輸措置等の期限を平成二十二年十一月三十日まで延長すること等を決定する次の決議が採択された。

平成二十二年一月十二日

外務大臣臨時代理

国務大臣 平野 博文

(訳文)

二千九年十一月三十日に安全保障理事会がその第六千二百二十五回会合において採択した決議第千八百九十六号(二千九年)

安全保障理事会は、

コンゴ民主共和国に関する従前の決議、特に、決議第千八百四号(二千八年)、決議第千八百七号(二千八年)及び決議第千八百五十七号(二千八年)、並びに議長声明を想起し、

コンゴ民主共和国及び地域のすべての国の主権、領土保全及び政治的独立に対する支持を再確認し、

決議第千七百七十一号(二千七年)に従って設置され、決議第千八百七号(二千八年)及び決議第千八百五十七号(二千八年)に従って延長されたコンゴ民主共和国に関する専門家グループ(以下「専門家グループ」という。)の中間及び最終報告書(S/2009/253及びS/2009/603)並びにその勧告に留意し、

コンゴ民主共和国の東部地域、特に、北及び南キブ州、イツリ並びにオリエンタル州において、その地域全体に不安定な情勢をもたらし続けている武装集団及び民兵の存在に対する深い懸念を再度強調し、

すべての武装集団、特にルワンダ解放民主勢力(FDLR)及び神の抵抗軍(LRA)が直ちに武器を手放し市民に対する攻撃を停止することを要求し、また、二千九年三月二十三日合意のすべての当事者が停戦を遵守し、効果的かつ誠実に約束を実施することを要求し、

コンゴ民主共和国の東部地域で活動している武装集団が地域的及び国際的ネットワークから受けている支援に関し懸念を表明し、

コンゴ民主共和国及び大湖地域諸国による地域の平和及び安定を共同して促進するとの約束を歓迎し、コンゴ民主共和国政府及びすべての政府、特に大湖地域の政府が、その領土内において及びその領土からコンゴ民主共和国東部の武装集団に対し支援が行われないことを確保する為に効果的な措置をとることの重要性を再度強調し、

コンゴ民主共和国の東部地域の文民に対する人権侵害及び人道法違反(相当な数の文民の殺害及び移送、児童兵の徴用及び使用、並びに広範に行われている性的暴力を含む。)が持続していることに重大な懸念をもって留意し、犯人は司法手続きに付されなければならないことを強調し、同国内のすべての人権侵害及び国際人道法違反に対する確固とした非難を改めて表明し、また、女性、平和及び安全、児童及び武力紛争、並びに、武力紛争における文民の保護に関連するすべての決議を想起し、

コンゴ民主共和国の領域内の安全を確保すること並びに法の支配、人権及び国際人道法に関し自国民を保護することに対する同国の主要な責任を強調し、

処罰を免れることに対する取組の必要性を、特に必要とされる治安部門の包括的な改革の不可分の一部として強調し、コンゴ民主共和国政府に対し、武装集団の犯罪行為及び不正行為に対し「ゼロ寛容政策」を実施することを強く奨励し、

コンゴ民主共和国政府に対し、処罰を免れることに対する公平で信頼性のある制度を確立するため、司法部門を改革し、刑務所制度改革行動計画を実施する具体的な措置をとることを奨励し、

紛争地域における国際連合要員、関連要員及び人道支援要員の保護に関する決議第千五百二号(二千三年)を想起し、

決議第千五百三十三号(二千四年)、決議第千八百七号(二千八年)及び決議第千八百五十七号(二千八年)に違反するコンゴ民主共和国の域内における又は同国への武器の継続的で不法な流出入を非難し、武器禁輸及びコンゴ民主共和国に関する決議に規定されたその他の措置の実施を密接に監視し続ける決意を宣言し、また、決議第千八百七号(二千八年)5に定める通知の要求を遵守するというすべての国の義務を強調し、

アフリカ大湖地域の紛争を増加させ及び悪化させる主要な要因の一つとして、天然資源の不法な搾取、これら資源の不法な取引並びに武器の拡散及び密売の関連性を認識し、

平和維持活動局による国連平和維持活動と安保理制裁委員会の専門家パネルの間の協力及び情報共有を強化するための指針を策定するとの意図の発表を歓迎し、

コンゴ民主共和国における事態が、この地域において国際の平和と安全に対する脅威を構成し続けていることを決定し、

国際連合憲章第七章の下に行動して、

1 決議第千八百七号(二千八年)1により課される武器に関する措置を二千十年十一月三十日まで延長することを決定し、同決議2、3及び5の規定を再確認する。

2 決議第千八百七号(二千八年)6及び8により課される輸送に関する措置を、上記1に特定される期間延長することを決定し、同決議7の規定を再確認する。

3 決議第千八百七号(二千八年)9及び11により課される金融上及び渡航上の措置を、上記1に特定される期間延長することを決定し、決議第千八百五十七号(二千八年)4に規定する個人及び団体に関する同決議10及び12の規定を再確認する。

4 決議第千五百三十三号(二千四年)8において定められ、決議第千五百九十六号(二千五年)18、決議第千六百四十九号(二千五年)4及び決議第千六百九十八号(二千六年)14において拡大され、決議第千八百七号(二千八年)15及び決議千八百五十七号(二千八年)6及び25において再確認された委員会の任務を次のものを含むものに拡大することを決定する。

⒜ 決議第千八百五十七号(二千八年)17及び24を考慮し、この決議の採択の日から六カ月以内に、この決議により課される措置の実施を促進するために指針を定め、必要に応じ、これらを積極的に再検討すること。

⒝ この決議に定める措置の完全な実施を確保するために、関係する加盟国と定期的な協議を行うこと。

⒞ 決議第千八百七号(二千八年)5に規定する通知の要求を満たすために、加盟国が提供すべき必要な情報を特定し、これを加盟国に送付すること。

5 すべての国、特に地域の国及びこの決議の3に基づき指定された個人又は団体が根拠地とする国に対し、この決議に特定される措置を完全に実施すること及び委員会の任務の遂行に全面的に協力することを要請し、これまでに報告していない加盟国に対し、上記1、2及び3により課される措置を実施するためにとった行動をこの決議の採択から四十五日以内に委員会に報告することを更に要請する。

6 事務総長に対し、決議第千五百三十三号(二千四年)に従って設立され、その後の決議により延長された専門家グループを二千十年十一月三十日までの期間、延長することを要請し、専門家グループに対し、決議第千八百七号(二千八年)18に定められ、決議第千八百五十七号(二千八年)9及び10により拡大された任務を遂行すること、及び委員会を通じて、二千十年五月二十一日までに、また、再度二千十年十月二十日までに、理事会に書面で報告することを要請する。

7 上記6に規定される専門家グループの任務に、決議第千八百五十七号(二千八年)4⒢を考慮し、特に自らの報告を参考とし、他のフォーラムで行われた作業を利用して、コンゴ民主共和国からの鉱物の購入、採取(鉱物の原産地を確認するためにとられる措置を含む)、取得及び加工に関連する、鉱物の輸入業者、加工業者及び消費者による相当な注意の行使のための指針に関して、委員会に勧告を行うことを含めることを決定する。

8 専門家グループに対しその活動を、南北キブ、イツリ及びオリエンタル州、並びにコンゴ民主共和国の東部地域で活動する武装集団を支援する地域的及び国際的ネットワークに焦点を合わせることを要請する。

9 コンゴ民主共和国政府に対し、緊急の優先事項として、武器及び弾薬の貯蔵の安全、説明責任及び管理の確保を促進し、ナイロビ議定書及び小型武器地域センターにより確立された基準に従って国家武器マーキング計画を実施するよう勧告する。

10 コンゴ民主共和国及びすべての国、特に地域の国の政府、国際連合コンゴ民主共和国ミッション(以下「MONUC」という。)及び専門家グループに対し、武器の輸送、武装集団により管理又は使用されているとされる貿易経路及び戦略的鉱山、大湖地域からコンゴ民主共和国への、及びコンゴ民主共和国から大湖地域への航空便、天然資源の違法な取引、並びに決議第千八百五十七号(二千八年)4に従い委員会により指定された個人及び団体の活動に関する情報を交換することを含め集中的に協力するよう要請する。

11 MONUCに対し、すべての関連する情報、特に児童の徴用及び使用、並びに武力紛争下において女性及び児童を標的とする行為に関する情報を専門家グループと共有することを特に要請する。

12 すべての当事者及びすべての国に対し、その管轄内又は管理下にある個人及び団体が専門家グループと協力することを確保するよう要求し、この観点から、すべての国に対し、専門家グループとの協力及び情報共有を強化するため、委員会とのフォーカル・ポイントを特定するよう要請する。

13 決議第千八百七号(二千八年)21において表明され、決議第千八百五十七号(二千八年)14によって再確認された、すべての当事者及びすべての国(特に地域の国。)に対する、専門家グループの作業に全面的に協力し、構成員の安全、並びに特に専門家グループがその任務の遂行に関連するとみなす個人、文書及び場所に対する妨害のない速やかなアクセスを確保することの要請を再確認する。

14 加盟国に対し、その管轄下にあるコンゴの鉱物製品の輸入業者、加工業者及び消費者が、その供給先及び購入する鉱物の原産地に関し相当な注意を払うことを確保する措置をとることを要請する。

15 加盟国に対し、特に、鉱物の貿易に関して、あらゆる関連する国内指針、許可要件又は法令の詳細を提供することを通じて、相当な注意の行使のための指針に関する委員会への勧告を作成するというこの決議の7の任務に関連して、専門家グループと完全に協力することを要請する。

16 輸入業者及び加工業者に対し、天然資源の開発と不正な取引によるコンゴ民主共和国内の武装集団への間接的な支援を防止するための方針、慣行及び行動規範を採用することを勧告する。

17 加盟国、特に大湖地域諸国に対し、金、スズ石、コルタン、鉄マンガン石の輸入及び輸出の完全な統計を定期的に発行することを更に勧告する。

18 ドナー・コミュニティに対し、コンゴ民主共和国の採鉱、法執行及び国境管理当局及び機関の組織能力を強化するための、技術的又はその他の援助及び支援を拡大し提供することを検討することを要請する。

19 加盟国に対し、決議第千八百五十七号(二千八年)4に定める基準を満たす個人又は団体、及びそれらの団体の代理として若しくはそれらの指示により行動する個人若しくは団体により直接的若しくは間接的に所有される若しくは管理されるあらゆる団体を指定者のリストに含めるために委員会に提出することを奨励する。

20 決議第千八百五十七号(二千八年)17、18、19及び20に定める加盟国による個人及び団体のリストへの掲載、決議第千八百五十七号(二千八年)22、23、24に定める個人及び団体のリストからの削除、並びに、決議千七百三十号(二千六年)に定めるフォーカル・ポイントの役割に関する規定を再確認する。

21 適切な場合に及び二千十年十一月三十日までに、コンゴ民主共和国における治安情勢、特に、治安部門改革(武装集団の再統合及び国家警察改革を含む。)並びに、適切な場合にコンゴ人及び外国武装集団の武装解除、動員解除、帰還、復帰及び再統合の進捗状況に照らし、この決議に定める措置を適切な場合に調整するとの観点からこれらの措置を再検討することを決定する。

22 この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。


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