国際捕鯨取締条約の修正規定の効力が発生した旨の書簡
⦿外務省農林省告示第四号
千九百四十六年十二月二日にワシントンで作製され、千九百四十八年十一月十日に効力を発生し、千九百五十一年四月二十一日に日本国が加入した国際捕鯨取締條約の附表の規定について、国際捕鯨委員会第三回年次󠄄会において採択された各修正は、まつこう鯨の解禁期に関する規定を第十項⒞として新たに加える修正についてオーストラリア政府から異議の申立があつたのを除く外、いずれの締約政府からも異議の申立がなかつたので、千九百五十一年十一月十八日より次󠄄のとおり効力を発生した旨が、千九百五十一年十一月十九日付の国際捕鯨委員会書記長の書簡によつて、各締約政府に通󠄃知された。
昭和二十六年十二月十九日
第六項但書中「千九百五十年-五十一年」を「千九百五十二年のひげ鯨」に改める。
第七項⒜但書中「十二月二十二日から翌年四月七日までの期間」を「一月二日から四月七日までの期間」に改め、同項⒝を⒞とし、同項⒜の次󠄄に次󠄄の⒝を加える。
⒝ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての母船󠄅及びこれらに附属すを捕鯨船󠄅に対して、母船󠄅によるまつこう鯨の捕獲又󠄂は処理が許される継続的一解禁期でいずれかの十二カ月間のうち八カ月をこえないものを宣言する。但し、各母船󠄅に対して、別個の解禁期を宣言することができる。
第八項⒞中「第六項に従つて捕獲したざとう鯨の頭数に関する資料の通󠄃吿は、」の下に「ざとう鯨の捕獲がない日にはその旨の報吿を含めて、」を加え、同項⒠中「四日」を「三日」に改める。
第九項を次󠄄のように改める。
9⒜ 次󠄄の長さに達󠄃しないしろながす鯨、いわし鯨又󠄂はざとう鯨を捕獲し、又󠄂は殺すことは、禁止する。
しろながす鯨
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七十フィート(二十一メートル三) |
いわし鯨 | 四十フィート(十二メートル二) |
ざとう鯨 | 三十五フィート(十メートル七) |
但し、長さが六十五フィート(十九メートル八)以上のしろながす鯨及び三十五フィート(十メートル七)以上のいわし鯨は、これらの鯨の肉が人又󠄂は動物の食料として地方的消費のために使󠄃用される場合には、鯨体処理場に引き渡すために捕獲することができる。
⒝ 長さが六十フィート(十八メートル三)に達󠄃しないながす鯨を南半球にある母船󠄅又󠄂は鯨体処理場に引き渡すために捕獲し、又󠄂は殺すことは、禁止する。また長さが五十五フィート(十六メートル八)に達󠄃しないながす鯨を北半球にある母船󠄅又󠄂は鯨体処理場に引き渡すために捕獲し、又󠄂は殺すことは、禁止する。但し、その肉が人又󠄂は動物の食料として地方的消費のために使󠄃用される各場合には、長さが五十五フィート(十六メートル八)以上のながす鯨を南半球にある鯨体処理場に引き渡すために捕獲し、及び長さが五十フィート(十五メートル二)以上のながす鯨を北半球にある鯨体処理場に引き渡すために捕獲することができる。
⒞ 長さが三十八フィート(十一メートル六)に達󠄃しないまつこう鯨を捕獲し、又󠄂は殺すことは、禁止する。但し、長さが三十五フィート(十メートル七)以上のまつこう鯨は、鯨体処理場に引き渡すために捕獲することができる。
⒟ 鯨は、甲板又󠄂は解剖盤に静置したときに、鯨の一端に並べて甲板の張板に打ち込むことのできるスパイクのついた棒を零の方の端に付けた鋼製の巻尺でできるだけ正確に測らなければならない。巻尺は、鯨体に平行して直線に伸ばし、且つ、鯨の他の端に並べて目盛を読まなければならない。測定上、鯨の両端は、上あごの先端と尾ひれの岐点とする。寸法は、巻尺で正確に読み取つた後、最近󠄃値のフィートで記入しなければならない。すなわち、七十五フィート六インチと七十六フィート六インチとの間の鯨は、七十六フィートと記入し、また、七十六フィート六インチと七十七フィート六インチとの間の鯨は、七十七フィートと記入しなければならない。鯨の寸法のうち丁度二分の一フィートの部分は、二分の一フィート上位に記入しなければならない。たとえば、丁度七十六フィート六インチは、七十七フィートと記入しなければならない。
第十項⒜中「ひげ鯨」の下に「及びまつこう鯨」を加え、同項⒜但書中「この項の⒝」を「この項の⒝、⒞及び⒟」に改め、同項⒝中「ひげ鯨」を「ひげ鯨(ミンク鯨を除く。)」に改め、同項⒞中「この項の⒜の禁止」を「この項の⒜、⒝、⒞及び⒟の規定」に改め、同項⒞を⒠に、同項⒟を⒡とし、同項⒝の次󠄄に次󠄄の⒟を加える。
⒟ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての鯨体処理場及びすべての捕鯨船󠄅に対して、ミンク鯨の捕獲又󠄂は処理が許される一解禁期でいずれかの十二カ月間における継続的な六カ月をこえないものを宣言する。(この期間は、他のひげ鯨について宣言される前記の⒝に定めた期間と必ずしも一致するものではない。)但し、ミンク鯨の捕獲又󠄂は処理に使󠄃用する同じ締約政府の管轄下にあるもよりの鯨体処理場から千マイルをこえた所にある、ミンク鯨の捕獲又󠄂は処理に使󠄃用する鯨体処理場に対しては、別個の解禁期を宣言することができる。
第十二項⒜中「捕獲したすべての鯨」の下に「(ミンク鯨を除く。)」を加える。
第十三項を次󠄄のように改める。
13⒜ 母船󠄅への引渡しのための鯨の捕獲は、殺した時から処理のために引き揚げる時までに、鯨の死体(防げん材として使󠄃用する鯨の死体を除く。この鯨の死体は、合理的に実行可能な限りすみやかに加工しなければならない。)が三十三時間以上海中に置かれないように、母船󠄅の船󠄅長又󠄂は管理人が調整し、又󠄂は制限しなければならない。
⒝ すべての捕鯨船󠄅によつて捕獲された鯨には、母船󠄅用であると鯨体処理場用であるとを問わず、捕鯨船󠄅名が識別され、捕鯨の順序が表示されるように、明白に記号を付けなければならない。
⒞ 母船󠄅と連󠄃絡して作業するすべての捕鯨船󠄅は、次󠄄のものを無線で母船󠄅に報吿しなければならない。
㈠ 各鯨を捕獲した時刻
㈡ その種類 及び
㈢ この項の⒝に従つて付けた記号
⒟ この項の⒞に従つて無線で報吿された資料は、直ちに恒久的記録に記入しなければならない。その記録は、常に、捕鯨監督官の検査を受けることができるようにしておかなければならない。更󠄃に、その恒久的記録には、次󠄄の資料を入手したときに直ちに記入しなければならない。
㈠ 処理のために引き揚げた時刻
㈡ 第九項⒟に従つて測つた長さ
㈢ 性
㈣ 雌のときは、乳が充満しているか、又󠄂は乳を分泌しているか。
㈤ 胎兒があるときは、その長さ及び性
㈥ 各違反の充分な説明
⒠ 鯨体処理場は、この項の⒟に定められたものと同様な記録を備えなければならない。更󠄃に、この項の⒟に掲げたすべての資料は、入手したときに直ちにその記録に記入しなければならない。
第十八項を次󠄄のように改める。
18 次󠄄の用語は、それぞれ定められた意味を有する。すなわち、
「ひげ鯨」とは、口内に鯨ひげを有する鯨、すなわち、歯鯨以外の鯨をいう。
「しろながす鯨」(バラエノプテラ・ムスクルス又󠄂はシバルドゥス・ムスクルス)とは、ブルー・ホェール・シボルズ・ロークァル又󠄂はサルファー・ボトムの名で知られる鯨をいう。
「ダヴァル」とは、漂流中を発見された死鯨で請求者のないものをいう。
「ながす鯨」(バラエノプテラ・フィサルス)とは、コモン・フィンバック、コモン・ロークァル、フィンバック、フィナー、フィン・ホェール、ヘリング・ホェール、レーザーバック又󠄂はトルー・フィン・ホェールの名で知られる鯨をいう。
「こく鯨」(ラキアネクテス・グラウクス)とは、グレー・ホェール、カリフォルニア・グレー、デヴィル・フイッシュ、ハード・ヘッド、マッセル・ディガー、グレー・バック又󠄂はリップ・サックの名で知られる鯨をいう。
「ざとう鯨」(メガプテラ・ノドサ又󠄂はメガプテラ・ノヴァエアングリアエ)とは、バンチ、ハンプバック、ハンプバック・ホェール、ハンプバックト・ホェール、ハンプ・ホェール又󠄂はハンチバックト・ホェールの名で知られる鯨をいう。
「ミンク鯨」(バラエノプテラ・アクトロストラタ、バラエノプテラ・ダヴィドソニ、バラエノプテラ・フトニ)とは、レッサー・ロークァル、リトル・パイクト・ホェール、ミンク・ホェール、パイク・ヘディッド・ホェール又󠄂はシャープ・ヘディッド・フィナーの名で知られる鯨をいう。
「せみ鯨」(バラエナ・ミスティケトゥス、エウバラエナ・グラキアリス、エウバラエナ・アウストラリス等及びネオバラエナ・マルギナタ)とは、アトランティック・ライト・ホェール、アークティック・ライト・ホェール、ビスケーヤン・ライト・ホェール、パウヘッド、グレート・ポーラー・ホェール、グリーンランド・ライト・ホェール、グリーンランド・ホェール、ノードケーバー、ノース・アトランティック・ライト・ホェール、ノース・ケープ・ホェール、パシフィック・ライト・ホェール、ピグミー・ライト・ホェール、サザン・ピグミー・ライト・ホェール又󠄂はサザン・ライト・ホェールの名で知られる鯨をいう。
「いわし鯨」(バラエノプテラ・ボレアリス)とは、セイ・ホェール、ルドルフィーズ・ロークァル、ポラック・ホェール又󠄂はコールフィッシュ・ホェールの名で知られる鯨をいい、且つ、ブライズ・ホェール(バラエノプテラ・ブリデイ)を含むものと解する。
「まつこう鯨」(フィセテル・カトドン)とは、スパーム・ホェール、スパーマセット・ホェール、カシャロット又󠄂はポーット・ホェールの名で知られる鯨をいう。
「歯鯨」とは、あごに歯を有する鯨をいう。
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