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句読法案・分別書キ方案

緒言

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  • 一、本書二載スル句讀法案及ビ分別書キ方案ハ現行ノ國定敎科書修正ノ場合ニ則ルヘキ標準トナスヲ目的トシ本省ニ於イテ設ケタル敎科書調査委員會ノ審議ヲ經タルモノナリ
  • 二、句讀法ハ語句ノ長短、漢字ト假名トノ配合等種々ノ關係上到底畫一ノ規定ヲナスヲ得サルモノアリ是レ總則ニ於イテ一ノ除外例ヲ設ケタル所以ナリ又分別書キ方モ語法ノ精密ナル調査ヲ了セサル間ハ容易ニ完全ナル規定ヲ立ツルヲ得サルモノアリ要スルニ國定敎科書修正脱稿迄ニハ尚若干ノ時日アルヲ以テ世ノ批評等ニ徴シ句讀法及ビ分別書キ方トモ相當ノ變更ヲナスコトアルヘシ

明治三十九年二月 文部大臣官房圖書課


句讀法案

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總則

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  • 一、本法ハ文ト文トノ關係、文中ノ語・句・節ノ相互ノ關係ヲ明ラカニスルヲ以テ目的トス
  • 二、前項ノ目的ノタメニ左ノ五種ノ符號ヲ使用ス
    • 。 マル
    • 、 テン
    • ・ ポツ
    • 」 カギ
    • 』 フタヘカギ
  • 三、マルノ符號ヲ除ク外讀誦ノ都合ニ依リテハ誤解ヲ生ゼザル限ニ於イテ本法ノ規定ニ拘ラズ符號ヲ省キ又ハ之ヲ加ヘ施スコトヲ得

第一章 マル

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マルハ文ノ終止スル場合ニ施ス(符號ノ傍ニ ヲ附シタルモノ即チ是ナリ以下之ニ倣ウ)

  • 例ノ一(述語ヲ正序ニ置キタル場合)
    • 人が雨戸を明けて居る
  • 例ノニ(述語ヲ?倒シテ置キタル場合)
    • 旗を持ちませう私は
  • 例ノ三(述語ヲ省略シタル場合)
    • 生きて帰る者僅に三人

第二章 テン

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テンハ左ノ諸種ノ場合ニ施ス

  • 一、形式ヨリ見レバ終止シタレドモ意義ヨリ考フレバ次ノ文ニ連續セルモノノ下
      • 一、和助が樹の下を出て、まだあまり遠くも行かぬ時のことでありました目が暗む様ないなびかりがすると一緒に、耳が裂ける様な恐ろしい音がしました。
      • 二、皆さんは蝙蝠を鳥だと思いましたでせうが、蝙蝠は鳥ではありませぬ頭もからだも鼠に似て居るけものです。
  • 二、二ツ以上疊ミタル同趣ノ文ノ下但シ最後ノ文ノ下ハ此限ニ在ラズ
      • 一、山を越えて行かうか川に沿って行かうか。
      • 二、彼は男子の氣概のない者である丈夫の本領を失った者である我大和民族の面目を毀損した者である。
      • 三、己の長をいふこと勿れ人の短をいふこと勿れ。
  • 三、獨立ノ感歎詞及ビ呼掛ノ語ノ下但シ?倒シテ置キタルトキハ其前後
      • 一、あー兵吉はこれより如何にして日を過ごすならんか。
      • 二、おとうさんあなたはどこへいらっしゃいますか。
      • 三、それでもにいさん雨が降ったら、しょーがないではありませんか。
  • 四、動詞・形容詞・助動詞ノ中止法ヲ用ヒテ續ケタル同趣ノ語・句・節ノ下
      • 一、甚暑くうっとーしき日。
      • 二、我を生み我を養ひ我を敎ヘたる父母。
      • 三、項羽は黄河の北で戰ひ劉邦は黄河の南で戰った。
  • 五、並列セル同趣ノ名詞句・名詞節ノ間
      • 一、座中に琴引ける笛吹ける太皷打てるがあり。
      • 二、規則の整へる約束の行はるる、實に歎賞に堪へたり。
  • 六、並列セル同趣ノ形容的修飾語・形容的修飾句・形容的修飾節ノ間
      • 一、松の木は靑い針の様な葉をもって居る。
      • 二、情の厚い且家の富んだ老人は死なれた。
      • 三、みなりはわるい併し身分はよささうな子。
  • 七、並列セル同趣ノ副詞的修飾語・副詞的修飾句ノ間
      • 一、此文は平易に正確に、且面白く作られたり。
      • 二、大いに面白く又大いに有益な話。
  • 八、複文ノ副詞節ノ下
      • 一、友だちは頻に上京を勸めるけれども兄はそれに賛成しない。
      • 二、酒と煙草とは衛生に害あれば之を禁ずるを可とす。
  • 九、從屬節ヲ含メル副部ノ下
      • 一、知らせを聞いて、巡査の馳せて來た時には賊は既に影を隠して居た。
      • 二、雪いと面白く降りたる朝帝は端近く出でさせたまひて、雲を御覧じけり。
  • 十、複文ノ主節ノ主語ノ下ニ從屬節來レルトキ主語
  • 十一、或成分ニ相當スル語ヲ特ニ提示セルトキ其下但シ客語ニ相當セルモノヲ提示セル場合ハ此限ニ在ラズ
  • 十二、名詞節ノ下ニ天爾乎波ノ無キトキ其下
  • 十三、主部長キトキ其下
  • 十四、他ノ語ヲ修飾スベキ副詞・副詞句ガ下ニ來ル語ヲ修飾スルガ如ク見ユル虞アルトキ其下
  • 十五、他ノ語ヲ修飾スベキ形容的修飾語ガ下ニ來ル語ヲ修飾スルガ如ク見ユル虞アルトキ其下
  • 十六、主語(主部)ガ客語ノ形容的修飾語ノ主ナルガ如ク見ユル虞アルトキ其下
  • 十七、箇々ノ名詞ガ熟語名詞ト紛レ易キ虞アルトキ其間
  • 十八、主語ガ客語ト粘着スル虞アルトキ其下
  • 十九、假名ニテ書ケルトキ語ト語ト粘着スル虞アルトキ其下
  • 二十、形容的修飾語・形容的修飾句・形容的修飾節並列セル同趣ノアラユル語句ヲ修飾セルトキ其下
  • 二十一、或句ガ上ナル語ト同格ナルトキ其前後

第三章 ポツ

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ポツハ並列セル同趣ノ名詞ノ間ニ施ス但シや・も・とナドノ天爾乎波ニテ並列セル場合、接續詞ニテ二ツノ名詞ヲ並列セル場合、及ビ分別書方ヲ用ヒタルトキハ此限ニ在ラズ

第四章 カギ

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カギハ左ノ諸種ノ場合ノ右ノ肩ト左ノ脚トニ施ス

  • 一、對話ノ文
  • 二、獨語ノ文
  • 三、獨思ノ文
  • 四、引用ノ文

第五章 フタヘカギ

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フタヘカギハ對話ノ文、獨語ノ文、獨思ノ文、引用ノ文ノ中ニ更ニ他ノ對話ノ文、獨語ノ文、獨思ノ文、引用ノ文ヲ引用セルトキ其右ノト左ノ脚トニ施ス


分別書キ方案

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第一章 名詞・代名詞

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名詞・代名詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク

  • 注意

第二章 數詞

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數詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク但シ名詞ト合シテ複合語ヲ作ルモノハ此限ニアラズ

  • 但書ノ例

第三章 動詞

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動詞ハ助動詞及ビ助詞ノ條ニ規定セルモノヲ除キ他ノ詞ヨリ離シテ書ク

第四章 助動詞

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助動詞上ノ動詞又ハ助動詞ト續ケテ書ク但シ敬語動詞ヨリ轉ジタル助動詞指定ノ助動詞及ビ推量ノ助動詞「だらう」「でせう」ハ此限ニアラズ

  • 但書ノ例

第五章 形容詞

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形容詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク

  • 注意

第六章 副詞

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副詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク

第七章 接續詞

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接續詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク

第八章 助詞

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助詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク但シ命令ヲ表ス助詞ハ此限ニアラズ

  • 但書ノ例
  • 注意

第九章 感歎詞

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感歎詞ハ他ノ語ヨリ離シテ書ク

出典

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この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。