刑事訴訟法改正案の要旨/第七編 略式手続

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原文[編集]

略式手続は序論に於て一言したる如く大正二年法律第二十号刑事略式手続法を本案に編入したるに過ぎざるものなるを以て大体に於ては現行の規定と異なることなし茲に改正の一事項として説明すべきは略式命令の予告を廃止したること是なり凡そ略式命令に対しては常に正式裁判を求め得べきものなるが故略式命令を発する前其予告を為し異議を述ぶる期間を与うるが如きは全く無用の手続なり而して其徒に手数を繁雑ならしめ却て制度の実益を減ずるは実験に依り明白なるを以て此手続を廃止するを至当と認めたり

現代語訳[編集]

略式手続は、序論において一言したとおり、大正二年法律第二十号刑事略式手続法を本案に編入したに過ぎず、大体においては現行の規定と異なることはない。改正の一事項として説明すべきことは、略式命令の予告を廃止したことである。およそ略式命令については、常に正式裁判を求めることができるべきであるが、略式命令を発する前にその予告を行い、異議を述べる期間を与えるようなことは、全く無用の手続である。これがいたずらに手続を繁雑ならしめ、却って制度の実益を減ずることは、実験によって明らかであるから、この手続は廃止することが適当であると認めた。

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