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出訴期限規則

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金穀貸借ヲ始メトシ物品資質ヨリ其外種々ノ取引等ニ至ルマテ雙方ノ者互ニ受取渡ノ期限ヲ定メ條約ヲ結ヒ置キタルニ一方ノ者其條約ヲ破リタル時ハ早速裁判所ヘ出訴イタシ不苦候處延期ノ勘辨ヲ加ヘ出訴ヲ見合候者モ有之是亦タ慈愛ノ人情ニテ尤ノ事ニ付早速出訴イタシ候トモ又ハ勘辨ヲ加ヘ候トモ人民ノ自由ニ任セ出訴期限ノ法則不相定候處右延期勘辨中數多ノ歲月ヲ過去リ出訴致シ侯時ハ貸方借方前人證人ノ內死亡又ハ轉住又ハ失踪等ノ者モ有之事理曖昧ニ立至リ裁判止不都合不少候ニ付訴訟ノ事柄ニ因リ夫々出訴ノ期限ヲ定候條來明治七年一月一日ヨリ後ニ結ヒタル條約期限ニテ右出訴期限ヲ過去リ出訴セサル者ハ自分條約ヲ取消シタル者ト看傚シ受取ルヘキ者ハ受取ヘキ權利ヲ失ヒ引渡スヘキ者ハ引渡スヘキ義務ヲ免レ候事ト相定メ候ニ付若シ出訴致シ候トモ取上不致候此旨布吿候事

出訴期限規則

第一條

一學藝ノ授業料

一旅寵料

一運送賃

一飮食料

一手附金

一盲人互ノ賣掛金

一職人ノ手間代金

一日雇人ノ給料

一請負金

一芝居等ノ木戶錢又ハ棧敷錢等

一男女藝者ノ揚代金

右ハ六箇月限

第二條

一醫師ノ胗診及ヒ藥料

一授業師ヨリ門弟ニ給與シタル飮食料

一商人ヨリ商人ニ非サル者ヘノ賣掛代金

一一箇年期マテノ本公人給料

右ハ一箇年限

第三條

一期限ヲ定メタル貸附米金及ヒ利息アレハ其利息

一期限ヲ定メタル預米金及ヒ利息アレハ其利息

一家屋及ヒ土地ノ借賃

一小作米金

一證據金

一敷金

一物品ノ借賃又ハ損料

一養育料

一七箇年期マテノ奉公人給料

一期限ナキ年金及ヒ一生涯ノ年金

右ハ五箇年限

第四條

一條約證書中期限ナキ者ハ出訴ノ日ヲ期限ト看做シ侯故何時出訴致シ候テモ苦カラサル事

第五條

一從前取結ヒタル條約ニテ明治六年十二月三十一日以前ニ條約期限ノ切レタル事件ハ右明治六年十二月三十一日ヲ條約ノ期限ト看做スヘシ又從前取結ヒタル條約ニテ其期限ノ明治七年一月一日後ニ及フ事件ハ條約期限ノ切レタル翌日ヨリ第一條第二條第三條ノ種類乙從ヒ出訴ノ期限ヲ起算致スヘキ事

明治五年壬申第三百號布吿第三條ニ定メタル規則ハ格別ナリトス

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。