保安規則
保安規則左ノ通定ム
明治三十九年四月十七日
統監侯爵伊藤 博文
保安規則
第一條 理事官ハ一定ノ住居又ハ生業ヲ有セス平常粗暴ノ言動行爲ヲ事トスル者ニ對シ一定ノ期間內ニ住居ヲ定メ又ハ生業ヲ求ムルコトヲ命スルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル者ニシテ住居ヲ定メ又ハ生業ヲ求メタルトキハ之理事官ニ屆出ツヘシヲ
第二條 辯護士又ハ理事官ノ許可ヲ受ケタル者ニ非サレハ他人ノ訴訟事項ノ委託ヲ受ケ又ハ之ニ干與スルコトヲ得ス
辯護士又ハ理事官ノ許可ヲ受ケタル者ト雖妄リニ訴訟爭議ヲ勸誘敎唆スルコトヲ得ス
第三條 名義ノ如何ニ拘ラス金品ノ募集ヲ爲シ又ハ國體ニ加入ヲ勸誘セントスルトキハ豫メ其ノ目的方法ヲ具シ理事官ノ認可ヲ受クヘシ
第四條 暴行脅迫又ハ詐欺ニ涉ル手段ヲ以テ他人ノ業務又ハ其ノ他ノ行爲ヲ妨害スルコトヲ得ス
第五條 暴行脅迫又ハ詐欺ニ涉ル手段ヲ以テ他人ノ行爲不行爲若ハ財物ヲ要求シ又ハ他人ノ進退違憲ニ干涉スルコトヲ得ス
第六條 財物ヲ賣買シ又ハ勞力ヲ需給スルニ當リ暴行脅迫又ハ詐欺ニ涉ル手段ヲ以テ其ノ價格ヲ不當ニ增減スルコトヲ得ス
第七條 財物ノ貸借又ハ周旋ヲ爲スニ當リ利子手數料其ノ他名義ノ如何ニ拘ラス不當ノ高利又ハ報酬ヲ要求スルコトヲ得ス
第八條 債務ノ辨濟ヲ受クル爲暴行脅迫又ハ詐欺ニ涉ル手段ヲ用ヰ若ハ身體ノ自由ヲ拘束スルコトヲ得ス
第九條 公職ヲ得ルノ周旋ヲ爲スカ爲金錢其ノ他ノ報酬ヲ受ケ又ハ受クルコトヲ約スルコトヲ得ス
第十條 正當ノ事由ナクシテ第一條第一項ノ命令ニ違反シタル者第一條第二項又ハ第三條ニ違反シタル者ハ三月以下ノ重禁錮ニ處シ又ハ五拾圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條 第二條第七條又ハ第九條ニ違反シタル者ハ六月以下ノ重禁錮ニ處シ又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十二條 第四條第五條第六條又ハ第八條ニ違反シタル者ハ一年以下ノ重禁錮ニ處シ又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十三條 本則ハ明治三十九年五月一日ヨリ之ヲ施行ス
この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。