会社法施行規則 第二編 株式会社 第四章 機関

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平成18年省令会社法施行規則第二編 株式会社

第一節 株主総会及び種類株主総会[編集]

第一款 通則[編集]

(招集の決定事項)

第六十三条
法第二百九十八条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 法第二百九十八条第一項第一号に規定する株主総会が定時株主総会である場合において、同号の日が次に掲げる要件のいずれかに該当するときは、その日時を決定した理由(ロに該当する場合にあっては、その日時を決定したことにつき特に理由がある場合における当該理由に限る。)
イ 当該日が前事業年度に係る定時株主総会の日に応当する日と著しく離れた日であること。
ロ 株式会社が公開会社である場合において、当該日と同一の日において定時株主総会を開催する他の株式会社(公開会社に限る。)が著しく多いこと。
二 法第二百九十八条第一項第一号に規定する株主総会の場所が過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるとき(次に掲げる場合を除く。)は、その場所を決定した理由
イ 当該場所が定款で定められたものである場合
ロ 当該場所で開催することについて株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合
三 法第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときは、次に掲げる事項(定款にロからニまで及びヘに掲げる事項についての定めがある場合又はこれらの事項の決定を取締役に委任する旨を決定した場合における当該事項を除く。)
イ 次款の規定により株主総会参考書類に記載すべき事項(第八十六条第三号及び第四号、第八十七条第三号及び第四号、第八十八条第三号及び第四号、第八十九条第三号第九十条第三号第九十一条第三号並びに第九十二条第三号に掲げる事項を除く。)
ロ 特定の時(株主総会の日時以前の時であって、法第二百九十九条第一項の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって書面による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは、その特定の時
ハ 特定の時(株主総会の日時以前の時であって、法第二百九十九条第一項の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって電磁的方法による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは、その特定の時
ニ 第六十六条第一項第二号の取扱いを定めるときは、その取扱いの内容
ホ 第九十四条第一項の措置をとることにより株主に対して提供する株主総会参考書類に記載しないものとする事項
ヘ 一の株主が同一の議案につき次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める規定により重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるとき(次号に規定する場合を除く。)は、その事項
(1) 法第二百九十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合 法第三百十一条第一項
(2) 法第二百九十八条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合 法第三百十二条第一項
四 法第二百九十八条第一項第三号及び第四号に掲げる事項を定めたときは、次に掲げる事項(定款にイ又はロに掲げる事項についての定めがある場合における当該事項を除く。)
イ 法第二百九十九条第三項の承諾をした株主の請求があった時に当該株主に対して法第三百一条第一項の規定による議決権行使書面(法第三百一条第一項に規定する議決権行使書面をいう。以下この節において同じ。)の交付(当該交付に代えて行う同条第二項の規定による電磁的方法による提供を含む。)をすることとするときは、その旨
ロ 一の株主が同一の議案につき法第三百十一条第一項又は第三百十二条第一項の規定により重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるときは、その事項
五 法第三百十条第一項の規定による代理人による議決権の行使について、代理権(代理人の資格を含む。)を証明する方法、代理人の数その他代理人による議決権の行使に関する事項を定めるとき(定款に当該事項についての定めがある場合を除く。)は、その事項
六 法第三百十三条第二項の規定による通知の方法を定めるとき(定款に当該通知の方法についての定めがある場合を除く。)は、その方法
七 第三号に規定する場合以外の場合において、次に掲げる事項が株主総会の目的である事項であるときは、当該事項に係る議案の概要(議案が確定していない場合にあっては、その旨)
イ 役員等の選任
ロ 役員等の報酬等
ハ 法第百九十九条第三項又は第二百条第二項に規定する場合における募集株式を引き受ける者の募集
ニ 法第二百三十八条第三項各号又は第二百三十九条第二項各号に掲げる場合における募集新株予約権を引き受ける者の募集
ホ 事業譲渡等
ヘ 定款の変更
ト 合併
チ 吸収分割
リ 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
ヌ 新設分割
ル 株式交換
ヲ 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
ワ 株式移転

(書面による議決権の行使について定めることを要しない株式会社)

第六十四条
法第二百九十八条第二項に規定する法務省令で定めるものは、株式会社の取締役(法第二百九十七条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主)が法第二百九十八条第二項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する株主の全部に対して金融商品取引法の規定に基づき株主総会の通知に際して委任状の用紙を交付することにより議決権の行使を第三者に代理させることを勧誘している場合における当該株式会社とする。

(株主総会参考書類)

第六十五条
  1. 法第三百一条第一項又は第三百二条第一項の規定により交付すべき株主総会参考書類に記載すべき事項は、次款の定めるところによる。
  2. 法第二百九十八条第一項第三号及び第四号に掲げる事項を定めた株式会社が行った株主総会参考書類の交付(当該交付に代えて行う電磁的方法による提供を含む。)は、法第三百一条第一項及び第三百二条第一項の規定による株主総会参考書類の交付とする。
  3. 取締役は、株主総会参考書類に記載すべき事項について、招集通知(法第二百九十九条第二項又は第三項の規定による通知をいう。以下この節において同じ。)を発出した日から株主総会の前日までの間に修正をすべき事情が生じた場合における修正後の事項を株主に周知させる方法を、当該招集通知と併せて通知することができる。

(議決権行使書面)

第六十六条
  1. 法第三百一条第一項の規定により交付すべき議決権行使書面に記載すべき事項又は法第三百二条第三項若しくは第四項の規定により電磁的方法により提供すべき議決権行使書面に記載すべき事項は、次に掲げる事項とする。
    一 各議案(次のイからハまでに掲げる場合にあっては、当該イからハまでに定めるもの)についての賛否(棄権の欄を設ける場合にあっては、棄権を含む。)を記載する欄
    イ 二以上の役員等の選任に関する議案である場合 各候補者の選任
    ロ 二以上の役員等の解任に関する議案である場合 各役員等の解任
    ハ 二以上の会計監査人の不再任に関する議案である場合 各会計監査人の不再任
    二 第六十三条第三号ニに掲げる事項についての定めがあるときは、第一号の欄に記載がない議決権行使書面が株式会社に提出された場合における各議案についての賛成、反対又は棄権のいずれかの意思の表示があったものとする取扱いの内容
    三 第六十三条第三号ヘ又は第四号ロに掲げる事項についての定めがあるときは、当該事項
    四 議決権の行使の期限
    五 議決権を行使すべき株主の氏名又は名称及び行使することができる議決権の数(次のイ又はロに掲げる場合にあっては、当該イ又はロに定める事項を含む。)
    イ 議案ごとに当該株主が行使することができる議決権の数が異なる場合 議案ごとの議決権の数
    ロ 一部の議案につき議決権を行使することができない場合 議決権を行使することができる議案又は議決権を行使することができない議案
  2. 第六十三条第四号イに掲げる事項についての定めがある場合には、株式会社は、法第二百九十九条第三項の承諾をした株主の請求があった時に、当該株主に対して、法第三百一条第一項の規定による議決権行使書面の交付(当該交付に代えて行う同条第二項の規定による電磁的方法による提供を含む。)をしなければならない。
  3. 同一の株主総会に関して株主に対して提供する招集通知の内容とすべき事項のうち、議決権行使書面に記載している事項がある場合には、当該事項は、招集通知の内容とすることを要しない。
  4. 同一の株主総会に関して株主に対して提供する議決権行使書面に記載すべき事項(第一項第二号から第四号までに掲げる事項に限る。)のうち、招集通知の内容としている事項がある場合には、当該事項は、議決権行使書面に記載することを要しない。

(実質的に支配することが可能となる関係)

第六十七条
  1. 法第三百八条第一項に規定する法務省令で定める株主は、株式会社(当該株式会社の子会社を含む。)が、当該株式会社の株主である会社等の議決権(同項その他これに準ずる以外の法令(外国の法令を含む。)の規定により行使することができないとされる議決権を含み、役員等(会計監査人を除く。)の選任及び定款の変更に関する議案(これらの議案に相当するものを含む。)の全部につき株主総会(これに相当するものを含む。)において議決権を行使することができない株式(これに相当するものを含む。)に係る議決権を除く。以下この条において「相互保有対象議決権」という。)の総数の四分の一以上を有する場合における当該株主であるもの(当該株主であるもの以外の者が当該株式会社の株主総会の議案につき議決権を行使することができない場合(当該議案を決議する場合に限る。)における当該株主を除く。)とする。
  2. 前項の場合には、株式会社及びその子会社の有する相互保有対象議決権の数並びに相互保有対象議決権の総数(以下この条において「対象議決権数」という。)は、当該株式会社の株主総会の日における対象議決権数とする。
  3. 前項の規定にかかわらず、特定基準日(当該株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための法第百二十四条第一項に規定する基準日をいう。以下この条において同じ。)を定めた場合には、対象議決権数は、当該特定基準日における対象議決権数とする。ただし、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日における対象議決権数とする。
    一 特定基準日後に当該株式会社又はその子会社が株式交換、株式移転その他の行為により相互保有対象議決権の全部を取得した場合 当該行為の効力が生じた日
    二 対象議決権数の増加又は減少が生じた場合(前号に掲げる場合を除く。)において、当該増加又は減少により第一項の株主であるものが有する当該株式会社の株式につき議決権を行使できることとなること又は議決権を行使できないこととなることを特定基準日から当該株主総会についての法第二百九十八条第一項各号に掲げる事項の全部を決定した日(株式会社が当該日後の日を定めた場合にあっては、その日)までの間に当該株式会社が知ったとき 当該株式会社が知った日
  4. 前項第二号の規定にかかわらず、当該株式会社は、当該株主総会についての法第二百九十八条第一項各号に掲げる事項の全部を決定した日(株式会社が当該日後の日を定めた場合にあっては、その日)から当該株主総会の日までの間に生じた事項(当該株式会社が前項第二号の増加又は減少の事実を知ったことを含む。)を勘案して、対象議決権数を算定することができる。

(欠損の額)

第六十八条
法第三百九条第二項第九号ロに規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる額のうちいずれか高い額をもって欠損の額とする方法とする。
一 零
二 零から分配可能額を減じて得た額

(書面による議決権行使の期限)

第六十九条
法第三百十一条第一項に規定する法務省令で定める時は、株主総会の日時の直前の営業時間の終了時(第六十三条第三号ロに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、同号ロの特定の時)とする。

(電磁的方法による議決権行使の期限)

第七十条
法第三百十二条第一項に規定する法務省令で定める時は、株主総会の日時の直前の営業時間の終了時(第六十三条第三号ハに掲げる事項についての定めがある場合にあっては、同号ハの特定の時)とする。

(取締役等の説明義務)

第七十一条

法第三百十四条に規定する法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

一 株主が説明を求めた事項について説明をするために調査をすることが必要である場合(次に掲げる場合を除く。)
イ 当該株主が株主総会の日より相当の期間前に当該事項を株式会社に対して通知した場合
ロ 当該事項について説明をするために必要な調査が著しく容易である場合
二 株主が説明を求めた事項について説明をすることにより株式会社その他の者(当該株主を除く。)の権利を侵害することとなる場合
三 株主が当該株主総会において実質的に同一の事項について繰り返して説明を求める場合
四 前三号に掲げる場合のほか、株主が説明を求めた事項について説明をしないことにつき正当な理由がある場合

(議事録)

第七十二条
  1. 法第三百十八条第一項の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
  2. 株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
  3. 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
    一 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
    二 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
    三 次に掲げる規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
    イ 法第三百四十五条第一項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)
    ロ 法第三百四十五条第二項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)
    ハ 法第三百七十七条第一項
    ニ 法第三百七十九条第三項
    ホ 法第三百八十四条
    ヘ 法第三百八十七条第三項
    ト 法第三百八十九条第三項
    チ 法第三百九十八条第一項
    リ 法第三百九十八条第二項
    四 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
    五 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
    六 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
  4. 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
    一 法第三百十九条第一項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
    イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
    ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
    ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
    ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
    二 法第三百二十条の規定により株主総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
    イ 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
    ロ 株主総会への報告があったものとみなされた日
    ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

第二款 株主総会参考書類[編集]

第一目 通則[編集]

第七十三条

  1. 株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 議案
    二 提案の理由(議案が取締役の提出に係るものに限り、株主総会において一定の事項を説明しなければならない議案の場合における当該説明すべき内容を含む。)
    三 議案につき法第三百八十四条又は第三百八十九条第三項の規定により株主総会に報告すべき調査の結果があるときは、その結果の概要
  2. 株主総会参考書類には、この節に定めるもののほか、株主の議決権の行使について参考となると認める事項を記載することができる。
  3. 同一の株主総会に関して株主に対して提供する株主総会参考書類に記載すべき事項のうち、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供する事項がある場合には、これらの事項は、株主に対して提供する株主総会参考書類に記載することを要しない。この場合においては、他の書面に記載している事項又は電磁的方法により提供する事項があることを明らかにしなければならない。
  4. 同一の株主総会に関して株主に対して提供する招集通知又は法第四百三十七条の規定により株主に対して提供する事業報告の内容とすべき事項のうち、株主総会参考書類に記載している事項がある場合には、当該事項は、株主に対して提供する招集通知又は法第四百三十七条の規定により株主に対して提供する事業報告の内容とすることを要しない。

第二目 役員の選任[編集]

(取締役の選任に関する議案)

第七十四条
  1. 取締役が取締役の選任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 候補者の氏名、生年月日及び略歴
    二 就任の承諾を得ていないときは、その旨
  2. 前項に規定する場合において、株式会社が公開会社であるときは、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 候補者の有する当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
    二 候補者が当該株式会社の取締役に就任した場合において第百二十一条第七号に定める重要な兼職に該当する事実があることとなるときは、その事実
    三 候補者と株式会社との間に特別の利害関係があるときは、その事実の概要
    四 候補者が現に当該株式会社の取締役であるときは、当該株式会社における地位及び担当
  3. 第一項に規定する場合において、株式会社が公開会社であって、かつ、他の会社の子会社であるときは、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 候補者が現に当該他の会社(当該他の会社の子会社(当該株式会社を除く。)を含む。以下この項において同じ。)の業務執行者であるときは、当該他の会社における地位及び担当
    二 候補者が過去五年間に当該他の会社の業務執行者であったことを当該株式会社が知っているときは、当該他の会社における地位及び担当
  4. 第一項に規定する場合において、候補者が社外取締役候補者であるときは、株主総会参考書類には、当該候補者についての次に掲げる事項(株式会社が公開会社でない場合にあっては、第三号から第七号までに掲げる事項を除く。)を記載しなければならない。
    一 当該候補者が社外取締役候補者である旨
    二 当該候補者を社外取締役候補者とした理由
    三 当該候補者が現に当該株式会社の社外取締役(社外役員に限る。以下この項において同じ。)である場合において、当該候補者が最後に選任された後在任中に当該株式会社において法令又は定款に違反する事実その他不当な業務の執行が行われた事実(重要でないものを除く。)があるときは、その事実並びに当該事実の発生の予防のために当該候補者が行った行為及び当該事実の発生後の対応として行った行為の概要
    四 当該候補者が過去五年間に他の株式会社の取締役、執行役又は監査役に就任していた場合において、その在任中に当該他の株式会社において法令又は定款に違反する事実その他不当な業務の執行が行われた事実があることを当該株式会社が知っているときは、その事実(重要でないものを除き、当該候補者が当該他の株式会社における社外取締役又は監査役であったときは、当該事実の発生の予防のために当該候補者が行った行為及び当該事実の発生後の対応として行った行為の概要を含む。)
    五 当該候補者が過去に社外取締役又は社外監査役となること以外の方法で会社(外国会社を含む。)の経営に関与していない者であるときは、当該経営に関与したことがない候補者であっても社外取締役としての職務を適切に遂行することができるものと当該株式会社が判断した理由
    六 当該候補者が次のいずれかに該当することを当該株式会社が知っているときは、その旨
    イ 当該株式会社の特定関係事業者の業務執行者であること。
    ロ 当該株式会社又は当該株式会社の特定関係事業者から多額の金銭その他の財産(これらの者の取締役、会計参与、監査役、執行役その他これらに類する者としての報酬等を除く。)を受ける予定があり、又は過去二年間に受けていたこと。
    ハ 当該株式会社又は当該株式会社の特定関係事業者の業務執行者の配偶者、三親等以内の親族その他これに準ずるものであること(重要でないものを除く。)。
    ニ 過去五年間に当該株式会社の特定関係事業者の業務執行者となったことがあること。
    ホ 過去二年間に合併、吸収分割、新設分割又は事業の譲受け(ホ及び第七十六条第四項第六号ホにおいて「合併等」という。)により他の株式会社がその事業に関して有する権利義務を当該株式会社が承継又は譲受けをした場合において、当該合併等の直前に当該株式会社の社外取締役又は監査役でなく、かつ、当該他の株式会社の業務執行者であったこと。
    七 当該候補者が現に当該株式会社の社外取締役又は監査役であるときは、これらの役員に就任してからの年数
    八 当該候補者と当該株式会社との間で法第四百二十七条第一項の契約を締結しているとき又は当該契約を締結する予定があるときには、その契約の内容の概要
    九 前各号に掲げる事項に関する記載についての当該候補者の意見があるときは、その意見の内容

(会計参与の選任に関する議案)

第七十五条
取締役が会計参与の選任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項
イ 候補者が公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)又は税理士である場合 その氏名、事務所の所在場所、生年月日及び略歴
ロ 候補者が監査法人又は税理士法人である場合 その名称、主たる事務所の所在場所及び沿革
二 就任の承諾を得ていないときは、その旨
三 法第三百四十五条第一項の規定による会計参与の意見があるときは、その意見の内容の概要
四 当該候補者が過去二年間に業務の停止の処分を受けた者である場合における当該処分に係る事項のうち、当該株式会社が株主総会参考書類に記載することが適切であるものと判断した事項

(監査役の選任に関する議案)

第七十六条
  1. 取締役が監査役の選任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 候補者の氏名、生年月日及び略歴
    二 株式会社との間に特別の利害関係があるときは、その事実の概要
    三 就任の承諾を得ていないときは、その旨
    四 議案が法第三百四十三条第二項の規定による請求により提出されたものであるときは、その旨
    五 法第三百四十五条第四項において準用する同条第一項の規定による監査役の意見があるときは、その意見の内容の概要
  2. 前項に規定する場合において、株式会社が公開会社であるときは、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 候補者の有する当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
    二 候補者が当該株式会社の監査役に就任した場合において第百二十一条第七号に定める重要な兼職に該当する事実があることとなるときは、その事実
    三 候補者が現に当該株式会社の監査役であるときは、当該株式会社における地位
  3. 第一項に規定する場合において、株式会社が公開会社であり、かつ、他の会社の子会社であるときは、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 候補者が現に当該他の会社(当該他の会社の子会社(当該株式会社を除く。)を含む。以下この項において同じ。)の業務執行者であるときは、当該他の会社における地位及び担当
    二 候補者が過去五年間に当該他の会社の業務執行者であったことを当該株式会社が知っているときは、当該他の会社における地位及び担当
  4. 第一項に規定する場合において、候補者が社外監査役候補者であるときは、株主総会参考書類には、次に掲げる事項(株式会社が公開会社でない場合にあっては、第三号から第七号までに掲げる事項を除く。)を記載しなければならない。
    一 当該候補者が社外監査役候補者である旨
    二 当該候補者を社外監査役候補者とした理由
    三 当該候補者が現に当該株式会社の社外監査役(社外役員に限る。以下この項において同じ。)である場合において、当該候補者が最後に選任された後在任中に当該株式会社において法令又は定款に違反する事実その他不正な業務の執行が行われた事実(重要でないものを除く。)があるときは、その事実並びに当該事実の発生の予防のために当該候補者が行った行為及び当該事実の発生後の対応として行った行為の概要
    四 当該候補者が過去五年間に他の株式会社の取締役、執行役又は監査役に就任していた場合において、その在任中に当該他の株式会社において法令又は定款に違反する事実その他不正な業務の執行が行われた事実があることを当該株式会社が知っているときは、その事実(重要でないものを除き、当該候補者が当該他の株式会社における社外取締役又は監査役であったときは、当該事実の発生の予防のために当該候補者が行った行為及び当該事実の発生後の対応として行った行為の概要を含む。)
    五 当該候補者が過去に社外取締役又は社外監査役となること以外の方法で会社(外国会社を含む。)の経営に関与していない者であるときは、当該経営に関与したことがない候補者であっても社外監査役としての職務を適切に遂行することができるものと当該株式会社が判断した理由
    六 当該候補者が次のいずれかに該当することを当該株式会社が知っているときは、その旨
    イ 当該株式会社の特定関係事業者の業務執行者であること。
    ロ 当該株式会社又は当該株式会社の特定関係事業者から多額の金銭その他の財産(これらの者の監査役としての報酬等を除く。)を受ける予定があり、又は過去二年間に受けていたこと。
    ハ 当該株式会社又は当該株式会社の特定関係事業者の業務執行者の配偶者、三親等以内の親族その他これに準ずる者であること(重要でないものを除く。)。
    ニ 過去五年間に当該株式会社の特定関係事業者の業務執行者となったことがあること。
    ホ 過去二年間に合併等により他の株式会社の事業に関して有する権利義務を当該株式会社が承継又は譲受けをした場合において、当該合併等の直前に当該株式会社の社外監査役でなく、かつ、当該他の株式会社の業務執行者であったこと。
    七 当該候補者が現に当該株式会社の監査役であるときは、監査役に就任してからの年数
    八 当該候補者と当該株式会社との間で法第四百二十七条第一項の契約を締結しているとき又は当該契約を締結する予定があるときには、その契約の内容の概要
    九 前各号に掲げる事項に関する記載についての当該候補者の意見があるときは、その意見の内容

(会計監査人の選任に関する議案)

第七十七条

取締役が会計監査人の選任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める事項
イ 候補者が公認会計士である場合 その氏名、事務所の所在場所、生年月日及び略歴
ロ 候補者が監査法人である場合 その名称、主たる事務所の所在場所及び沿革
二 就任の承諾を得ていないときは、その旨
三 議案が法第三百四十四条第二項第一号又は第二号の規定による請求によって提出されたものであるときは、その旨
四 法第三百四十五条第五項において準用する同条第一項の規定による会計監査人の意見があるときは、その意見の内容の概要
五 当該候補者が現に業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者であるときは、当該処分に係る事項
六 当該候補者が過去二年間に業務の停止の処分を受けた者である場合における当該処分に係る事項のうち、当該株式会社が株主総会参考書類に記載することが適切であるものと判断した事項
七 株式会社が公開会社である場合において、当該候補者が当該株式会社、その親会社又は当該親会社(当該株式会社に親会社がない場合にあっては、当該株式会社)の子会社(当該株式会社を除く。)若しくは関連会社(当該親会社が会社でない場合におけるその子会社及び関連会社に相当するものを含む。)から多額の金銭その他の財産上の利益(これらの者から受ける会計監査人(以外の法令の規定によるこれに相当するものを含む。)としての報酬等及び公認会計士法第二条第一項に規定する業務の対価を除く。)を受ける予定があるとき又は過去二年間に受けていたときは、その内容

第三目 役員の解任等[編集]

(取締役の解任に関する議案)

第七十八条
取締役が取締役の解任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 取締役の氏名
二 解任の理由

(会計参与の解任に関する議案)

第七十九条
取締役が会計参与の解任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 会計参与の氏名又は名称
二 解任の理由
三 法第三百四十五条第一項の規定による会計参与の意見があるときは、その意見の内容の概要

(監査役の解任に関する議案)

第八十条
取締役が監査役の解任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 監査役の氏名
二 解任の理由
三 法第三百四十五条第四項において準用する同条第一項の規定による監査役の意見があるときは、その意見の内容の概要

(会計監査人の解任又は不再任に関する議案)

第八十一条
取締役が会計監査人の解任又は不再任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 会計監査人の氏名又は名称
二 解任又は不再任の理由
三 議案が法第三百四十四条第二項第二号又は第三号の規定による請求によって提出されたものであるときは、その旨
四 法第三百四十五条第五項において準用する同条第一項の規定による会計監査人の意見があるときは、その意見の内容の概要

第四目 役員の報酬等[編集]

(取締役の報酬等に関する議案)

第八十二条
  1. 取締役が取締役の報酬等に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 法第三百六十一条第一項各号に掲げる事項の算定の基準
    二 議案が既に定められている法第三百六十一条第一項各号に掲げる事項を変更するものであるときは、変更の理由
    三 議案が二以上の取締役についての定めであるときは、当該定めに係る取締役の員数
    四 議案が退職慰労金に関するものであるときは、退職する各取締役の略歴
  2. 前項第四号に規定する場合において、議案が一定の基準に従い退職慰労金の額を決定することを取締役、監査役その他の第三者に一任するものであるときは、株主総会参考書類には、当該一定の基準の内容を記載しなければならない。ただし、各株主が当該基準を知ることができるようにするための適切な措置を講じている場合は、この限りでない。
  3. 第一項に規定する場合において、株式会社が公開会社であり、かつ、取締役の一部が社外取締役(社外役員に限る。以下この項において同じ。)であるときは、株主総会参考書類には、第一項第一号から第三号までに掲げる事項のうち社外取締役に関するものは、社外取締役以外の取締役と区別して記載しなければならない。

(会計参与の報酬等に関する議案)

第八十三条
  1. 取締役が会計参与の報酬等に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 法第三百七十九条第一項に規定する事項の算定の基準
    二 議案が既に定められている法第三百七十九条第一項に規定する事項を変更するものであるときは、変更の理由
    三 議案が二以上の会計参与についての定めであるときは、当該定めに係る会計参与の員数
    四 議案が退職慰労金に関するものであるときは、退職する各会計参与の略歴
    五 法第三百七十九条第三項の規定による会計参与の意見があるときは、その意見の内容の概要
  2. 前項第四号に規定する場合において、議案が一定の基準に従い退職慰労金の額を決定することを取締役、監査役その他の第三者に一任するものであるときは、株主総会参考書類には、当該一定の基準の内容を記載しなければならない。ただし、各株主が当該基準を知ることができるようにするための適切な措置を講じている場合は、この限りでない。

(監査役の報酬等に関する議案)

第八十四条
  1. 取締役が監査役の報酬等に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 法第三百八十七条第一項に規定する事項の算定の基準
    二 議案が既に定められている法第三百八十七条第一項に規定する事項を変更するものであるときは、変更の理由
    三 議案が二以上の監査役についての定めであるときは、当該定めに係る監査役の員数
    四 議案が退職慰労金に関するものであるときは、退職する各監査役の略歴
    五 法第三百八十七条第三項の規定による監査役の意見があるときは、その意見の内容の概要
  2. 前項第四号に規定する場合において、議案が一定の基準に従い退職慰労金の額を決定することを取締役、監査役その他の第三者に一任するものであるときは、株主総会参考書類には、当該一定の基準の内容を記載しなければならない。ただし、各株主が当該基準を知ることができるようにするための適切な措置を講じている場合は、この限りでない。

(責任免除を受けた役員等に対し退職慰労金等を与える議案等)

第八十四条の二
次の各号に掲げる場合において、取締役が法第四百二十五条第四項法第四百二十六条第六項及び第四百二十七条第五項において準用する場合を含む。)に規定する承認の決議に関する議案を提出するときは、株主総会参考書類には、責任を免除し、又は責任を負わないとされた役員等が得る第百十四条各号に規定する額及び当該役員等に与える第百十五条各号に規定するものの内容を記載しなければならない。
一 法第四百二十五条第一項に規定する決議に基づき役員等の責任を免除した場合
二 法第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づき役員等の責任を免除した場合
三 法第四百二十七条第一項の契約によって同項に規定する限度を超える部分について同項に規定する社外取締役等が損害を賠償する責任を負わないとされた場合

第五目 計算関係書類の承認[編集]

第八十五条

取締役が計算関係書類の承認に関する議案を提出する場合において、次の各号に掲げるときは、株主総会参考書類には、当該各号に定める事項を記載しなければならない。
一 法第三百九十八条第一項の規定による会計監査人の意見がある場合 その意見の内容
二 株式会社が取締役会設置会社である場合において、取締役会の意見があるとき その意見の内容の概要

第六目 合併契約等の承認[編集]

(吸収合併契約の承認に関する議案)

第八十六条
取締役が吸収合併契約の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該吸収合併を行う理由
二 吸収合併契約の内容の概要
三 当該株式会社が吸収合併消滅株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第百八十二条第一項各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要
四 当該株式会社が吸収合併存続株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第百九十一条各号(第六号及び第七号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要

(吸収分割契約の承認に関する議案)

第八十七条
取締役が吸収分割契約の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該吸収分割を行う理由
二 吸収分割契約の内容の概要
三 当該株式会社が吸収分割株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第百八十三条各号(第二号、第六号及び第七号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要
四 当該株式会社が吸収分割承継株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第百九十二条各号(第二号、第七号及び第八号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要

(株式交換契約の承認に関する議案)

第八十八条
取締役が株式交換契約の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該株式交換を行う理由
二 株式交換契約の内容の概要
三 当該株式会社が株式交換完全子会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第百八十四条第一項各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要
四 当該株式会社が株式交換完全親株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第百九十三条各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要

(新設合併契約の承認に関する議案)

第八十九条
取締役が新設合併契約の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該新設合併を行う理由
二 新設合併契約の内容の概要
三 当該株式会社が新設合併消滅株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第二百四条各号(第六号及び第七号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要
四 新設合併設立株式会社の取締役となる者についての第七十四条に規定する事項
五 新設合併設立株式会社が会計参与設置会社であるときは、当該新設合併設立株式会社の会計参与となる者についての第七十五条に規定する事項
六 新設合併設立株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、当該新設合併設立株式会社の監査役となる者についての第七十六条に規定する事項
七 新設合併設立株式会社が会計監査人設置会社であるときは、当該新設合併設立株式会社の会計監査人となる者についての第七十七条に規定する事項

(新設分割計画の承認に関する議案)

第九十条
取締役が新設分割計画の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該新設分割を行う理由
二 新設分割計画の内容の概要
三 当該株式会社が新設分割株式会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第二百五条各号(第七号及び第八号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要

(株式移転計画の承認に関する議案)

第九十一条
取締役が株式移転計画の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該株式移転を行う理由
二 株式移転計画の内容の概要
三 当該株式会社が株式移転完全子会社である場合において、法第二百九十八条第一項の決定をした日における第二百六条各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項があるときは、当該事項の内容の概要
四 株式移転設立完全親会社の取締役となる者についての第七十四条に規定する事項
五 株式移転設立完全親会社が会計参与設置会社であるときは、当該株式移転設立完全親会社の会計参与となる者についての第七十五条に規定する事項
六 株式移転設立完全親会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、当該株式移転設立完全親会社の監査役となる者についての第七十六条に規定する事項
七 株式移転設立完全親会社が会計監査人設置会社であるときは、当該株式移転設立完全親会社の会計監査人となる者についての第七十七条に規定する事項

(事業譲渡等に係る契約の承認に関する議案)

第九十二条
取締役が事業譲渡等に係る契約の承認に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該事業譲渡等を行う理由
二 当該事業譲渡等に係る契約の内容の概要
三 当該契約に基づき当該株式会社が受け取る対価又は契約の相手方に交付する対価の算定の相当性に関する事項の概要

第七目 株主提案の場合における記載事項[編集]

第九十三条

  1. 議案が株主の提出に係るものである場合には、株主総会参考書類には、次に掲げる事項(第三号又は第四号に掲げる事項が株主総会参考書類にその全部を記載することが適切でない程度の多数の文字、記号その他のものをもって構成されている場合(株式会社がその全部を記載することが適切であるものとして定めた分量を超える場合を含む。)にあっては、当該事項の概要)を記載しなければならない。
    一 議案が株主の提出に係るものである旨
    二 議案に対する取締役(取締役会設置会社である場合にあっては、取締役会)の意見があるときは、その意見の内容
    三 株主が法第三百五条第一項の規定による請求に際して提案の理由(当該提案の理由が明らかに虚偽である場合又は専ら人の名誉を侵害し、若しくは侮辱する目的によるものと認められる場合における当該提案の理由を除く。)を株式会社に対して通知したときは、その理由
    四 議案が次のイからニまでに掲げる者の選任に関するものである場合において、株主が法第三百五条第一項の規定による請求に際して当該イからニまでに定める事項(当該事項が明らかに虚偽である場合における当該事項を除く。)を株式会社に対して通知したときは、その内容
    イ 取締役 第七十四条に規定する事項
    ロ 会計参与 第七十五条に規定する事項
    ハ 監査役 第七十六条に規定する事項
    ニ 会計監査人 第七十七条に規定する事項
  2. 二以上の株主から同一の趣旨の議案が提出されている場合には、株主総会参考書類には、その議案及びこれに対する取締役(取締役会設置会社である場合にあっては、取締役会)の意見の内容は、各別に記載することを要しない。ただし、二以上の株主から同一の趣旨の提案があった旨を記載しなければならない。
  3. 二以上の株主から同一の趣旨の提案の理由が提出されている場合には、株主総会参考書類には、その提案の理由は、各別に記載することを要しない。

第八目 株主総会参考書類の記載の特則[編集]

第九十四条

  1. 株主総会参考書類に記載すべき事項(次に掲げるものを除く。)に係る情報を、当該株主総会に係る招集通知を発出する時から当該株主総会の日から三箇月が経過する日までの間、継続して電磁的方法により株主が提供を受けることができる状態に置く措置(第二百二十二条第一項第一号ロに掲げる方法のうち、インターネットに接続された自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)を使用する方法によって行われるものに限る。)をとる場合には、当該事項は、当該事項を記載した株主総会参考書類を株主に対して提供したものとみなす。ただし、この項の措置をとる旨の定款の定めがある場合に限る。
    一 議案
    二 第百三十三条第三項第一号に掲げる事項を株主総会参考書類に記載することとしている場合における当該事項
    三 次項の規定により株主総会参考書類に記載すべき事項
    四 株主総会参考書類に記載すべき事項(前二号に掲げるものを除く。)につきこの項の措置をとることについて監査役又は監査委員会が異議を述べている場合における当該事項
  2. 前項の場合には、株主に対して提供する株主総会参考書類に、同項の措置をとるために使用する自動公衆送信装置のうち当該措置をとるための用に供する部分をインターネットにおいて識別するための文字、記号その他の符号又はこれらの結合であって、情報の提供を受ける者がその使用に係る電子計算機に入力することによって当該情報の内容を閲覧し、当該電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録することができるものを記載しなければならない。

第三款 種類株主総会[編集]

第九十五条

次の各号に掲げる規定は、当該各号に定めるものについて準用する。
一 第六十三条(第一号を除く。) 法第三百二十五条において準用する法第二百九十八条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項
二 第六十四条 法第三百二十五条において準用する法第二百九十八条第二項に規定する法務省令で定めるもの
三 第六十五条及び前款 種類株主総会の株主総会参考書類
四 第六十六条 種類株主総会の議決権行使書面
五 第六十七条 法第三百二十五条において準用する法第三百八条第一項に規定する法務省令で定める株主
六 第六十九条 法第三百二十五条において準用する法第三百十一条第一項に規定する法務省令で定める時
七 第七十条 法第三百二十五条において準用する法第三百十二条第一項に規定する法務省令で定める時
八 第七十一条 法第三百二十五条において準用する法第三百十四条に規定する法務省令で定める場合
九 第七十二条 法第三百二十五条において準用する法第三百十八条第一項の規定による議事録の作成

第二節 会社役員の選任[編集]

(補欠の会社役員の選任)

第九十六条
  1. 法第三百二十九条第二項の規定による補欠の会社役員(執行役を除く。以下この条において同じ。)の選任については、この条の定めるところによる。
  2. 法第三百二十九条第二項に規定する決議により補欠の会社役員を選任する場合には、次に掲げる事項も併せて決定しなければならない。
    一 当該候補者が補欠の会社役員である旨
    二 当該候補者を補欠の社外取締役として選任するときは、その旨
    三 当該候補者を補欠の社外監査役として選任するときは、その旨
    四 当該候補者を一人又は二人以上の特定の会社役員の補欠の会社役員として選任するときは、その旨及び当該特定の会社役員の氏名(会計参与である場合にあっては、氏名又は名称)
    五 同一の会社役員(二以上の会社役員の補欠として選任した場合にあっては、当該二以上の会社役員)につき二人以上の補欠の会社役員を選任するときは、当該補欠の会社役員相互間の優先順位
    六 補欠の会社役員について、就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは、その旨及び取消しを行うための手続
  3. 補欠の会社役員の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会(当該補欠の会社役員を法第百八条第一項第九号に掲げる事項についての定めに従い種類株主総会の決議によって選任する場合にあっては、当該種類株主総会)の決議によってその期間を短縮することを妨げない。

(累積投票による取締役の選任)

第九十七条
  1. 法第三百四十二条第五項の規定により法務省令で定めるべき事項は、この条の定めるところによる。
  2. 法第三百四十二条第一項の規定による請求があった場合には、取締役(株主総会の議長が存する場合にあっては議長、取締役及び議長が存しない場合にあっては当該請求をした株主)は、同項の株主総会における取締役の選任の決議に先立ち、同条第三項から第五項までに規定するところにより取締役を選任することを明らかにしなければならない。
  3. 法第三百四十二条第四項の場合において、投票の同数を得た者が二人以上存することにより同条第一項の株主総会において選任する取締役の数の取締役について投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとすることができないときは、当該株主総会において選任する取締役の数以下の数であって投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとすることができる数の範囲内で、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任されたものとする。
  4. 前項に規定する場合において、法第三百四十二条第一項の株主総会において選任する取締役の数から前項の規定により取締役に選任されたものとされた者の数を減じて得た数の取締役は、同条第三項及び第四項に規定するところによらないで、株主総会の決議により選任する。

第三節 取締役[編集]

第九十八条

  1. 法第三百四十八条第三項第四号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。
    一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
    二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
    三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
    四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
    五 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
  2. 取締役が二人以上ある株式会社である場合には、前項に規定する体制には、業務の決定が適正に行われることを確保するための体制を含むものとする。
  3. 監査役設置会社以外の株式会社である場合には、第一項に規定する体制には、取締役が株主に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。
  4. 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合には、第一項に規定する体制には、次に掲げる体制を含むものとする。
    一 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
    二 前号の使用人の取締役からの独立性に関する事項
    三 取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
    四 その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

第四節 取締役会[編集]

(社債を引き受ける者の募集に際して取締役会が定めるべき事項)

第九十九条
  1. 法第三百六十二条第四項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
    一 二以上の募集(法第六百七十六条の募集をいう。以下この条において同じ。)に係る法第六百七十六条各号に掲げる事項の決定を委任するときは、その旨
    二 募集社債の総額の上限(前号に規定する場合にあっては、各募集に係る募集社債の総額の上限の合計額)
    三 募集社債の利率の上限その他の利率に関する事項の要綱
    四 募集社債の払込金額(法第六百七十六条第九号に規定する払込金額をいう。以下この号において同じ。)の総額の最低金額その他の払込金額に関する事項の要綱
  2. 前項の規定にかかわらず、信託社債(当該信託社債について信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものに限る。)の募集に係る法第六百七十六条各号に掲げる事項の決定を委任する場合には、法第三百六十二条第四項第五号に規定する法務省令で定める事項は、当該決定を委任する旨とする。

(業務の適正を確保するための体制)

第百条
  1. 法第三百六十二条第四項第六号に規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。
    一 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
    二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
    三 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
    四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
    五 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
  2. 監査役設置会社以外の株式会社である場合には、前項に規定する体制には、取締役が株主に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。
  3. 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合には、第一項に規定する体制には、次に掲げる体制を含むものとする。
    一 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
    二 前号の使用人の取締役からの独立性に関する事項
    三 取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
    四 その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

(取締役会の議事録)

第百一条
  1. 法第三百六十九条第三項の規定による取締役会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
  2. 取締役会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
  3. 取締役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
    一 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
    二 取締役会が法第三百七十三条第二項の取締役会であるときは、その旨
    三 取締役会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨
    イ 法第三百六十六条第二項の規定による取締役の請求を受けて招集されたもの
    ロ 法第三百六十六条第三項の規定により取締役が招集したもの
    ハ 法第三百六十七条第一項の規定による株主の請求を受けて招集されたもの
    ニ 法第三百六十七条第三項において準用する法第三百六十六条第三項の規定により株主が招集したもの
    ホ 法第三百八十三条第二項の規定による監査役の請求を受けて招集されたもの
    ヘ 法第三百八十三条第三項の規定により監査役が招集したもの
    ト 法第四百十七条第一項の規定により委員の中から選定された者が招集したもの
    チ 法第四百十七条第二項前段の規定による執行役の請求を受けて招集されたもの
    リ 法第四百十七条第二項後段の規定により執行役が招集したもの
    四 取締役会の議事の経過の要領及びその結果
    五 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名
    六 次に掲げる規定により取締役会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
    イ 法第三百六十五条第二項法第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)
    ロ 法第三百六十七条第四項
    ハ 法第三百七十六条第一項
    ニ 法第三百八十二条
    ホ 法第三百八十三条第一項
    ヘ 法第四百六条
    七 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称
    八 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名
  4. 次の各号に掲げる場合には、取締役会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
    一 法第三百七十条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
    イ 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
    ロ イの事項の提案をした取締役の氏名
    ハ 取締役会の決議があったものとみなされた日
    ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
    二 法第三百七十二条第一項(同条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により取締役会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項
    イ 取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容
    ロ 取締役会への報告を要しないものとされた日
    ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

第五節 会計参与[編集]

(会計参与報告の内容)

第百二条
法第三百七十四条第一項の規定により作成すべき会計参与報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 会計参与が職務を行うにつき会計参与設置会社と合意した事項のうち主なもの
二 計算関係書類のうち、取締役又は執行役と会計参与が共同して作成したものの種類
三 計算関係書類の作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他計算関係書類の作成のための基本となる事項であって、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)
イ 資産の評価基準及び評価方法
ロ 固定資産の減価償却の方法
ハ 引当金の計上基準
ニ 収益及び費用の計上基準
ホ その他計算関係書類の作成のための基本となる重要な事項
四 計算関係書類の作成に用いた資料の種類その他計算関係書類の作成の過程及び方法
五 前号に規定する資料が次に掲げる事由に該当するときは、その旨及びその理由
イ 当該資料が著しく遅滞して作成されたとき。
ロ 当該資料の重要な事項について虚偽の記載がされていたとき。
六 計算関係書類の作成に必要な資料が作成されていなかったとき又は適切に保存されていなかったときは、その旨及びその理由
七 会計参与が計算関係書類の作成のために行った報告の徴収及び調査の結果
八 会計参与が計算関係書類の作成に際して取締役又は執行役と協議した主な事項

(計算書類等の備置き)

第百三条
  1. 法第三百七十八条第一項の規定により会計参与が同項各号に掲げるものを備え置く場所(以下この条において「会計参与報告等備置場所」という。)を定める場合には、この条の定めるところによる。
  2. 会計参与は、当該会計参与である公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人の事務所(会計参与が税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第三項の規定により税理士又は税理士法人の補助者として常時同項に規定する業務に従事する者であるときは、その従事する税理士事務所又は所属税理士法人の事務所)の場所の中から会計参与報告等備置場所を定めなければならない。
  3. 会計参与は、会計参与報告等備置場所として会計参与設置会社の本店又は支店と異なる場所を定めなければならない。
  4. 会計参与は、会計参与報告等備置場所を定めた場合には、遅滞なく、会計参与設置会社に対して、会計参与報告等備置場所を通知しなければならない。

(計算書類の閲覧)

第百四条
法第三百七十八条第二項に規定する法務省令で定める場合とは、会計参与である公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人の業務時間外である場合とする。

第六節 監査役[編集]

(監査報告の作成)

第百五条
  1. 法第三百八十一条第一項の規定により法務省令で定める事項については、この条の定めるところによる。
  2. 監査役は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。この場合において、取締役又は取締役会は、監査役の職務の執行のための必要な体制の整備に留意しなければならない。
    一 当該株式会社の取締役、会計参与及び使用人
    二 当該株式会社の子会社の取締役、会計参与、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人
    三 その他監査役が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者
  3. 前項の規定は、監査役が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。
  4. 監査役は、その職務の遂行に当たり、必要に応じ、当該株式会社の他の監査役、当該株式会社の親会社及び子会社の監査役その他これらに相当する者との意思疎通及び情報の交換を図るよう努めなければならない。

(監査役の調査の対象)

第百六条
法第三百八十四条に規定する法務省令で定めるものは、電磁的記録その他の資料とする。

(監査報告の作成)

第百七条
  1. 法第三百八十九条第二項の規定により法務省令で定める事項については、この条の定めるところによる。
  2. 監査役は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。この場合において、取締役又は取締役会は、監査役の職務の執行のための必要な体制の整備に留意しなければならない。
    一 当該株式会社の取締役、会計参与及び使用人
    二 当該株式会社の子会社の取締役、会計参与、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人
    三 その他監査役が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者
  3. 前項の規定は、監査役が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。
  4. 監査役は、その職務の遂行に当たり、必要に応じ、当該株式会社の他の監査役、当該株式会社の親会社及び子会社の監査役その他これらに相当する者との意思疎通及び情報の交換を図るよう努めなければならない。

(監査の範囲が限定されている監査役の調査の対象)

第百八条
法第三百八十九条第三項に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 計算関係書類
二 次に掲げる議案が株主総会に提出される場合における当該議案
イ 当該株式会社の株式の取得に関する議案(当該取得に際して交付する金銭等の合計額に係る部分に限る。)
ロ 剰余金の配当に関する議案(剰余金の配当に際して交付する金銭等の合計額に係る部分に限る。)
ハ 法第四百四十七条第一項の資本金の額の減少に関する議案
ニ 法第四百四十八条第一項の準備金の額の減少に関する議案
ホ 法第四百五十条第一項の資本金の額の増加に関する議案
ヘ 法第四百五十一条第一項の準備金の額の増加に関する議案
ト 法第四百五十二条に規定する剰余金の処分に関する議案
三 次に掲げる事項を含む議案が株主総会に提出される場合における当該事項
イ 法第百九十九条第一項第五号の増加する資本金及び資本準備金に関する事項
ロ 法第二百三十六条第一項第五号の増加する資本金及び資本準備金に関する事項
ハ 法第七百四十九条第一項第二号イの資本金及び準備金の額に関する事項
ニ 法第七百五十三条第一項第六号の資本金及び準備金の額に関する事項
ホ 法第七百五十八条第四号イの資本金及び準備金の額に関する事項
ヘ 法第七百六十三条第六号の資本金及び準備金の額に関する事項
ト 法第七百六十八条第一項第二号イの資本金及び準備金の額に関する事項
チ 法第七百七十三条第一項第五号の資本金及び準備金の額に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、これらに準ずるもの

第七節 監査役会[編集]

第百九条

  1. 法第三百九十三条第二項の規定による監査役会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
  2. 監査役会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
  3. 監査役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
    一 監査役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない監査役、取締役、会計参与又は会計監査人が監査役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
    二 監査役会の議事の経過の要領及びその結果
    三 次に掲げる規定により監査役会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
    イ 法第三百五十七条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項(法第四百八十二条第四項において準用する場合を含む。)
    ロ 法第三百七十五条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項
    ハ 法第三百九十七条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項
    四 監査役会に出席した取締役、会計参与又は会計監査人の氏名又は名称
    五 監査役会の議長が存するときは、議長の氏名
  4. 法第三百九十五条の規定により監査役会への報告を要しないものとされた場合には、監査役会の議事録は、次の各号に掲げる事項を内容とするものとする。
    一 監査役会への報告を要しないものとされた事項の内容
    二 監査役会への報告を要しないものとされた日
    三 議事録の作成に係る職務を行った監査役の氏名

第八節 会計監査人[編集]

第百十条

  1. 法第三百九十六条第一項後段の規定により法務省令で定める事項については、この条の定めるところによる。
  2. 会計監査人は、その職務を適切に遂行するため、次に掲げる者との意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めなければならない。ただし、会計監査人が公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるものと解してはならない。
    一 当該株式会社の取締役、会計参与及び使用人
    二 当該株式会社の子会社の取締役、会計参与、執行役、業務を執行する社員、法第五百九十八条第一項の職務を行うべき者その他これらの者に相当する者及び使用人
    三 その他会計監査人が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者

第九節 委員会及び執行役[編集]

(委員会の議事録)

第百十一条
  1. 法第四百十二条第三項の規定による委員会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
  2. 委員会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
  3. 委員会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
    一 委員会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与又は会計監査人が委員会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
    二 委員会の議事の経過の要領及びその結果
    三 決議を要する事項について特別の利害関係を有する委員があるときは、その氏名
    四 委員会が監査委員会である場合において、次に掲げる意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
    イ 法第三百七十五条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定により監査委員会において述べられた意見又は発言
    ロ 法第三百九十七条第四項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定により監査委員会において述べられた意見又は発言
    ハ 法第四百十九条第一項の規定により行うべき監査委員に対する報告が監査委員会において行われた場合における当該報告に係る意見又は発言
    五 委員会に出席した執行役、会計参与又は会計監査人の氏名又は名称
    六 委員会の議長が存するときは、議長の氏名
  4. 法第四百十四条の規定により委員会への報告を要しないものとされた場合には、委員会の議事録は、次の各号に掲げる事項を内容とするものとする。
    一 委員会への報告を要しないものとされた事項の内容
    二 委員会への報告を要しないものとされた日
    三 議事録の作成に係る職務を行った委員の氏名

(業務の適正を確保するための体制)

第百十二条
  1. 法第四百十六条第一項第一号ロに規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
    一 監査委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に関する事項
    二 前号の取締役及び使用人の執行役からの独立性に関する事項
    三 執行役及び使用人が監査委員会に報告をするための体制その他の監査委員会への報告に関する体制
    四 その他監査委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
  2. 法第四百十六条第一項第一号ホに規定する法務省令で定める体制は、次に掲げる体制とする。
    一 執行役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
    二 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
    三 執行役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
    四 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
    五 当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

第十節 役員等の損害賠償責任[編集]

(報酬等の額の算定方法)

第百十三条
法第四百二十五条第一項第一号に規定する法務省令で定める方法により算定される額は、次に掲げる額の合計額とする。
一 役員等がその在職中に報酬、賞与その他の職務執行の対価(当該役員等が当該株式会社の取締役、執行役又は支配人その他の使用人を兼ねている場合における当該取締役、執行役又は支配人その他の使用人の報酬、賞与その他の職務執行の対価を含む。)として株式会社から受け、又は受けるべき財産上の利益(次号に定めるものを除く。)の額の事業年度(次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める日を含む事業年度及びその前の各事業年度に限る。)ごとの合計額(当該事業年度の期間が一年でない場合にあっては、当該合計額を一年当たりの額に換算した額)のうち最も高い額
イ 法第四百二十五条第一項の株主総会の決議を行った場合 当該株主総会の決議の日
ロ 法第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づいて責任を免除する旨の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議。ロにおいて同じ。)を行った場合 当該同意のあった日
ハ 法第四百二十七条第一項の契約を締結した場合 責任の原因となる事実が生じた日(二以上の日がある場合にあっては、最も遅い日)
二 イに掲げる額をロに掲げる数で除して得た額
イ 次に掲げる額の合計額
(1) 当該役員等が当該株式会社から受けた退職慰労金の額
(2) 当該役員等が当該株式会社の取締役、執行役又は支配人その他の使用人を兼ねていた場合における当該取締役若しくは執行役としての退職慰労金又は支配人その他の使用人としての退職手当のうち当該役員等を兼ねていた期間の職務執行の対価である部分の額
(3) (1)又は(2)に掲げるものの性質を有する財産上の利益の額
ロ 当該役員等がその職に就いていた年数(当該役員等が次に掲げるものに該当する場合における次に定める数が当該年数を超えている場合にあっては、当該数)
(1) 代表取締役又は代表執行役 六
(2) 代表取締役以外の取締役(社外取締役を除く。)又は代表執行役以外の執行役 四
(3) 社外取締役、会計参与、監査役又は会計監査人 二

(特に有利な条件で引き受けた職務執行の対価以外の新株予約権)

第百十四条
法第四百二十五条第一項第二号に規定する法務省令で定める方法により算定される額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 当該役員等が就任後に新株予約権(当該役員等が職務執行の対価として株式会社から受けたものを除く。以下この条において同じ。)を行使した場合 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額(零未満である場合にあっては、零)に当該新株予約権の行使により当該役員等が交付を受けた当該株式会社の株式の数を乗じて得た額
イ 当該新株予約権の行使時における当該株式の一株当たりの時価
ロ 当該新株予約権についての法第二百三十六条第一項第二号の価額及び法第二百三十八条第一項第三号の払込金額の合計額の当該新株予約権の目的である株式一株当たりの額
二 当該役員等が就任後に新株予約権を譲渡した場合 当該新株予約権の譲渡価額から法第二百三十八条第一項第三号の払込金額を減じて得た額に当該新株予約権の数を乗じた額

(責任の免除の決議後に受ける退職慰労金等)

第百十五条
法第四百二十五条第四項法第四百二十六条第六項及び第四百二十七条第五項において準用する場合を含む。)に規定する法務省令で定める財産上の利益とは、次に掲げるものとする。
一 退職慰労金
二 当該役員等が当該株式会社の取締役又は執行役を兼ねていたときは、当該取締役又は執行役としての退職慰労金
三 当該役員等が当該株式会社の支配人その他の使用人を兼ねていたときは、当該支配人その他の使用人としての退職手当のうち当該役員等を兼ねていた期間の職務執行の対価である部分
四 前三号に掲げるものの性質を有する財産上の利益