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伊集院町志/六章 民俗

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一、年中行事

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 伊集院は古來質實剛健を以て自ら任し人を許せし所なり、過古を顧み将来を慮り、時勢の進運に則し、益々其の美質を發揮すべきなり。

一月

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一日   元旦の儀式、年賀廻禮
二日   初夢、二日風呂、二日市、仕事始め等
七日   七種粥、鬼火焚等
十一日  祝餅徹下
十四日  望年の儀
十六日  山神祭
二十三日 舊正月、九月二十三夜待

二月

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舊二月五日 二月の市(人形市)舊二月の彼岸、濱下り、神社参拝、御寺参詣

三月

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三日   ひな祭(女兒の祝)彼岸、濱下り等

四月

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舊四月三日 しんぐわさんち、戦勝馬? 盛装馬?(馬踊)
舊四月八日 釋尊降誕祝(佛教)

五月

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五日   端午節句、幟 武者人形等
備考 さくまき、茅まき、竹皮まき(くわくわら巻)等非常戦時食糧軍國主義の平時訓練?
十六日  舊五月十六日、山神祭、川童祭、山行、川行きを避く
二十三日 舊五月二十三夜待
二十八日 曾我の笠焼

六月

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舊六月  土用干(虫干)

七月

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七月   七夕祭、かれそ市(麻皮市)
舊自十三日夕刻至十五日夜 干蘭盆
十五日  熊野神社祭、六月燈
二十二日 丁丑役招魂塚祭典、六月燈
二十三日 徳重神社大祭、六月燈
二十七日 本願寺六月燈
二十八日 南方神社大祭、六月燈
二十九日 官祭招魂社祭典、六月燈

八月

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一日   舊八月朔日、八朔節句(舊藩時代に重き行事の一つ徳川家康江戸入城の記念日?)
十五日  十五夜、舊八月十五日、彼岸、春の彼岸に同じ

九月

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方祭   舊九月九日、初九日、舊九月十九日 中の九日 舊九月二十九日 弟九日
舊九月十四日 妙圓寺詣り、關ヶ原合戦記念
舊二十三日 二十三夜待

十月

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舊十月  亥の日祭

十一月

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諸家   氏神祭
郷中   各種講等

十二月

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舊十二月十四日  赤穂義士傳輪讀會
舊十二月二十七日 師走の市
年末行事 垣仕、煤掃、餅搗
末日取引 門松しめ繩等迎年用意

二、慶弔

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一、誕生

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誕生祝
髪立又は髪鋏、命名式
産土の神参り
五歳    着袴
十五歳   元服、一人前の男子として國家の役に立つ、昔は仁才組に入り今は青年團員となる。着物の肩揚けを除く
二十五歳迄 禁酒、禁煙
六十一歳、還暦、七十歳、古稀、共に餘聞かず
八十八歳 米壽の賀其の他冠婚葬祭特に伊集院に限るものなし。

死亡

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一、葬式當日、外の日に悔み訪問には日盛りを選ふ人今もあり。
二、葬儀當日の仕事は一切馬場中(郷中)衆等に頼み喪主及其の家族等は差し控へて關係せず。
三、忌明廻、二人連れ立ちて廻禮せしもの次第に端書禮状に變る
四、昔はすべて土葬なりしもの追々火葬もあり。
五、墓石は大抵一周忌迄に建つれと舊閏年に墓を建つるを忌む風あり。

三、社交儀禮

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一、言葉使ひ

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言葉は其の人の魂の表現なれば最も注意すべきものなり。世の進むに從ひ、營捷を尊ふご雖粗略にして心の敬みを缺くは忌むべし。

二、容儀服装

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粗野蠻風固より好まざるところ、現下の如き經済的非常時趣味嗜好の過度時代に於ては動もすれば外見に把はれ易し。

男子の帯を後に結ぶのは薩藩の美風特色なり。帯をぐるぐる巻きにせず。結ぶの風は仕事の結末を確固にする習慣養成に必要にて特に男子の後に結ぶは何時にても切腹の用意を示すものと思ふ時無限の意味を含むと知るべし。

男子の袴は禮装にてマチある馬乗袴が正式なれと近來袴流行するに至れり。
夏羽織
昔はすべて簡素を旨としたれば夏羽織など多く見えざりしかと近來一般に流行するに至れり。
紋付
家紋を重んずるは武家制度の産物なれど今は一般に禮装上深き意義あるものとして用ゐられる。
洋服
交通機關の發達と其の他社會の變遷に伴ひ、男女共に洋服を用ふるもの次第に多くなれり。今日の過度時代に於て心すべきは國民的自覚の上に立てる儀禮と矛盾せざるべきこと。

徳重踊

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徳重大大鼓踊りと稱す。
朝鮮征伐の際義弘公士氣を鼓舞し威勢を示されたるものなりと云ふ。
徑身長位の大大鼓四十八挺、鐘四十八挺を打ち鳴らしつゝ跳躍施廻す。殊に孟宗竹の大矢旗を背負ひ踊る様如何にも人間業とも思はれざる剛力を敵人に示すに充分なりしならん。
昔は待の踊りしもの後年、徳重村人に限り譲り與へ、義弘公の祭典に奉納せしものなりと云ふ。

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