一翰呈上仕候。然ば先書にも申上候通り、何分今日に至り、黙々致候ては実に不二相済一、他より見候ても弥々虚喝に相成、国家の為、死を以て尽力するの実意も相立間敷、田所君も被レ着候得者、又々上国の模様も委細相分可レ申、尚更不レ得レ止訳に至り申儀と被レ存候。何分にも君等首称して縛に就き候へ。左候得者僕など追々馳付、身柄相応之所覚悟可レ仕心得に御座候。
何分御互者天眼よりは古役の儀にも候ひ、且是迄再三官に迫り候儀も有レ之、唯今之切迫に至り実に神州存亡、乍レ恐、天朝之衰隆此時に在りと、天下之士皆死を以て尽力する時なるに、黙々之事は実に不二相成一に付、何分一策を施して、然と奉レ存候。僕儀無レ拠病人有レ之、急に出府も不二相調一残念之至に奉レ存候。将又田所君被レ着候はゞ、其儀御申越被一仰付一度候。用井口行帰候はゞ、此儀早速御聞せ奉レ祈候。
一、両府并執政辺へは、両三人宛御出行可レ然奉レ存候。
政府を飽迄叩き、其上にて御目通り御願被レ成可レ然、其中大挙は不信を取るに付、不レ宜事と奉レ存候。
一、御親兵之事屹度御申立被レ成候儀可レ然、実に一大事ならずや。
一、瑞山君は如何之訳を以て、唯今之様にくさらし置候事哉。上京も候得者、屹度天朝之御為にも相成る人に候を、止め候は如何、実に可レ慨之至に候事。
右、彼是山中不レ堪二間鬱一、思出候まゝ相認候間、宜敷御取捨可レ被二仰付一候。拝首
望月様
小畑様
川野様
この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。
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