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これは普通、ダニエル書三章二十三節『三人は縛られたるままにて燃る爐の中に落いりぬ』の次に入るべきものと見らる。
1 彼等神を讃め、主を祝しつつ、火の中に歩めり。
2 その時、アザリヤ立ちて、次の如くに祈れり。かれ、焰の直中にて口を開き、いひけるは、
3 『讃むべきかな、我らが先祖たちの神なる主よ、汝の御名は永遠に稱へられ、崇めらるるに相應しきなり。
4 そは我らに爲し給へるすべての事に於て、汝は正義にましませばなり。實に、汝のすべての御業は眞實にして、汝の道は正しく、汝のすべての審判は直し。
5 汝が我らの上に齎し給ひしすべての事に於て、また我らが先祖の聖き都エルサレムに對し、汝は正しき審判を行ひ給へり。そは正義と審判とに從ひて、我らの罪の故に汝これらの凡てのことを、我らの上にもたらし給へるなり。
6 我ら罪を犯し、不法を爲し、汝より離れたり。
7 すべての事に於て我ら罪を犯し、汝の誡に從はず、また之を守らず、また之を守らば安全ならんと我らに命じ給ひし事をなさざりき。
8 故に我らに齎し給ひし凡てのこと、また我らに爲し給ひしことはみな、ただ汝の正しき審判によりて爲し給ひしなり。
9 而して汝我等を不法なる敵、最も厭ふべき背教者、また非道なる王、世に類なき殘虐者の手に渡し給へり。
10 我らは今や、口を開きて語りえぬ者となれり。我らは汝の僕ら、また汝を拜む者の恥辱、また責めらるる者となりたり。
11 されど御名の故によりて、我らを全く棄て給ふ勿れ、また汝の御誓約を取消し給ふ勿れ。
12 汝の愛し給ふアブラハム、汝の僕イサク、また汝の聖なるイスラエルの故によりて、汝の憐愍を我らより斷ち給ふ勿れ。
13 汝彼らに語りて約し給へり、空の星の如く、また濱の眞砂の如く、彼らの裔を增し殖さんと。
14 そは、主よ、我らは何處の民よりも數少くなり、我らが罪の故に、今日全世界に散りて生き長らふなり。
15 此の時に當りて、我らには君王なく、預言者なく、指導者なく、また恩惠を得んとて汝の御前に捧ぐべき燔祭、犠牲、供物、薰香、などを置くべき場所もあらざるなり。
16 さりながら、我らに碎けたる心と謙遜る靈とを與へて、受納れらるる者となし給へ。
17 牡羊と牡牛とをもてする燔祭の如く、また幾萬の肥えたる羔をもてする如く、今日我らを犠牲として御前に献げしめ給へ。また我らを赦して全く汝に從はしめ給へ。そは汝に信頼む者は辱しめらるることなかるべければなり。
18 今我ら全心をもて汝に從ひ、汝を畏れ、汝の御顏を仰ぎ求めん。
19 我らを辱かしめ給ふ勿れ、我らを汝の慈愛、汝の恩惠の多きによりてあしらい給へ。
20 主よ、汝の驚くべきみ業によりて我らを救出し、汝の御名に榮光を歸せしめ給へ。而してすべて汝の僕らを害ふ者を辱かしめ給へ。
21 彼らをそのすべての能力と權威とに躓かしめ、彼らの勢力を打破り給へ。
22 而して彼らに汝こそ主にましまして、唯一なる神、その榮光全地に洽きことを知らしめ給へ。」
23 茲に彼らを投げ入れたる王の僕らは、樹脂、瀝青、麻屑、木碎などをもて爐を冷すことなからしめたり。
24 かくて爐より迸り出づる火焰の流、天に冲すること四十九キユビトに達し、
25 焰は爐に近づきたるカルデヤ人を燒き盡せり。
26 されど主の御使くだりて、爐の中に立てるアザリヤ及びその徒と偕に在り、焰を爐の外に撃退けぬ。
27 かくて爐の直中を濕ひたる軟風の吹く處と化したり。故に火は遂に彼らに觸るる能はず、また彼らを害ふことも、惱ますことも能はざりき。
28 時に三人の者、異口同音に、爐の中に在し給ふ神を讃美し、これに榮光を歸し、祝福して云へり。
29 讃むべきかな、主よ、我らの先祖たちの神よ。汝は一切のものに優りて、世々歌ひ崇められ給ふ
30 讃むべきかな、汝の榮光ある聖き御名、すべてのものに優りて、世々うたい崇めらるるなり。
31 讃むべきかな、汝は、その聖なる榮光の宮にて世々うたい崇められ給ふ。
32 讃むべきかな、深き淵を看、ケルビムの上に座し給ふ者よ、すべてのものに優りて、世々うたひ崇められ給ふ。
33 讃むべきかな、汝の御國の榮光ある王座に卽き給ふ者よ、すべてのものに優りて、世々うたい崇められ給ふ。
34 讃むべきかな、天の蒼空にいまし給ふ者よ、すべてのものに優りて、世々うたい崇められ給ふ。
35 主の萬物よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
36 もろもろの天よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
37 主の天使よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
38 空の上の水よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
39 主の萬軍よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
40 日と月よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
41 空の星よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
42 雨と露よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ
43 風よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
44 火と熱よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
[45及び46なし]
47 夜と晝よ、主を祝ひ、世々うたひ崇あまつれ。
48 明と暗黑よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
49 霰と寒さよ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
50 氷と雪よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
51 電光と雲よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
52 地よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
53 山と岡よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
54 地に生ふる凡ての草木よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
56 海と川よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
[55と56とは位置を顚倒す]
55 泉よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
57 鯨と凡て水に游ぐ者よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
58 空を飛ぶ鳥よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
59 野獣と家畜よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
60 世の人よ、みな主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
61 イスラエルよ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
62 主の祭司よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
63 主の僕よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
64 義人の靈魂よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
65 心きよく謙る者よ、主を祝ひ、世々うたひ崇めまつれ。
66 ハナニヤとアザリヤとミシヤエルよ、主を祝ひ、世々うたい崇めまつれ。そは主我らを陰府より救ひ、死の手より援け出し、爐と燃る焰の直中より救ひ出し給ひたればなり。
67 主に感謝せよ、主は恩恵ふかく、その憐愍は世々に絶ゆることなければなり。
68 すべて主を拜む者よ、神々の神を祝ひ、讃めたたへ、感謝せよ、その憐愍は永遠に絶ゆることなければなり。