ヴァン・フリート特命報告書

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訳文[編集]

ヴァン・フリート使節団による極東報告書1954年

1954年アメリカ極東相互防衛援助計画"ヴァン・フリート使節団"

ヴァン・フリート特命報告書 1954年 4月26日~8月7日

ジェームス・ヴァン・フリート

目次[編集]

(1-8) ヴァン・フリート使節団

(9) 韓国

(10) 台湾

(11) 日本

(12) フィリピン

(13) 韓国の問題と方針一覧

(14) 台湾の問題と方針一覧

(15) 日本の問題と方針一覧

(16) フィリピンの問題と方針一覧

(18) 付録-中間報告

韓国予算体系

韓国関連の問題と方針一覧[編集]

III. 韓国のアジア諸国関連問題[編集]

A. 日本[編集]

合衆国は日本と韓国の親しい関係設立に極めて関心がある。アジアの大陸からの共産主義の脅威に対抗するその二つの国の安全保障は手がつけらないほど絡み合っており、和解を実現することができなかったことは共産主義者が探し続けている、そして探し続けるであろう悪用されうる安全保障の観点から見た哀慮すべき脆弱性である。こういった理由により、合衆国は実行可能なあらゆる方法を尽くして二国間関係改善と二国間に突出した主だった問題が相互に満足のいく解決法に努力しつづけなければならない。

これまで合意に達しなかった事は基本的に日本の長い韓国の統御(訳者注:支配)による長引いた二つの国民の敵対行為に起因する。日本支配下の韓国人の苦い経験は当然のことながら韓国人の心の中に日本に対する不信感と憎しみを残した。過去を意味するそれらの強い感情はその現在に彼らの心の中でより存在感があるように思われる。日本の侵略の再開を恐れ、日本の動きを疑いの目で見ている。彼らは日本の国力の復活を恐れている。

日本人が過去を忘れやすいことを信じられているが彼ら(訳者注:日本人)も韓国人同等に不愉快な思い出をもっています。彼らは彼らの40年の韓国の占領が完全な悪だとは信じていません。日本にもし韓国への借りがあるとするならば、その借りは第二次世界大戦の終わりの韓国内の官と民の所有物の完全な韓国政府への譲渡をよりも深いと信じています。基本的に両国は普通の外交、商取引関係を設立したいと望んでいます。彼らは公的発言とは反対にお互いに貿易をしたいと望んでいます。その二国間には注意深く分析する価値のあるいくつかの限定された問題があります。もし注意深く、忍耐強い努力で合衆国政府が日本政府と韓国政府の尊敬を持つ強い仲介者としてのリーダーシップを提供すればそれらの全ての問題は解決されます。これらの問題は以下に詳しく説明します。

1. 漁業[編集]

日本と韓国の幾つかの問題の1つである漁業問題は、最重要問題である。それは日本人の生命線(国民は魚を食べて生きている)だけでなく、韓国政府が沿岸から凡そ60マイルにある日本海(韓国名は東海)で漁をしている日本人を拿捕するという行動を取っているのである。日本人は、韓国に解決を求めている。韓国人は、日本の優れた漁船により水産資源が枯渇することを本当に心配している。韓国人には、沖合での漁業に適用した装備、漁船、訓練された人材がなく、これに特に敏感である。この問題は、東海(日本海)における李ライン若しくは平和線の執行により発生している。 極めて重要なことは、韓国政府による広大な海域の主権の一方的な宣言を行い、公海において、韓国海軍によって当該領域での日本漁師の操業を排除したことである。時には、韓国海軍が日本漁船に発砲し、拿捕し韓国の港に連行している。乗組員は裁判にかけられ、処罰を受けた後に、大半が保釈されているが、漁船は抑留され現在、韓国によって運用されているとの報告がある。日本政府は、日本の操業を制限し、漁業資源の確保を保証する合理的な漁業協定を望んでいる。 李大統領によれば、李ラインは3つの目的を有している。

a. 韓国沿岸水域の貴重な海洋資源の保護
b. 漁業資源の韓国と日本におけるの将来の摩擦の排除
c. 共産党員の浸透に対する海域での防御

韓国の意向は、所謂「平和線」を前提とした主張である。合衆国政府は一貫して、海洋の主権に関する一方的な宣言が違法であり、日韓間の漁業に関する紛争が両国の権益を保護する漁業協定によって解決されるべきとの立場である。年表と漁業に関しては、別添1でより詳細に議論する。

2. 日本在留韓国人[編集]

韓国は、1945年8月9日に日本に居住していた在日韓国人は、日本の普通の外国人よりもより好意的な待遇が与えられるべきだと主張しています。現在、およそ60万人の韓国人が日本に居留しています。これらの韓国人の多くが第二次世界大戦中に日本に生産目的で徴集された労働者でした。彼らは鉱山と軍事工場で強制的に働かされました。在日韓国人の国籍とその扱いについての一時的な議論は、1952年2月-4月の第二日本会議で触れられました。それは、不法入国者を除いて彼らを韓国市民とすべきであり、日本人のために与えられた多くの特権を彼らも特別処理として持つべき、と同意されました。しかし、会議が別の問題で頓挫したため、この同意は実施されていません。韓国は全ての問題に決着が付くまでこの同意を承認しないと判断されています。

もし他の未解決の問題が一般的な解決に達しているなら、在日韓国人の問題の解決が過度に難しいことを証明すべきでないように思えます。しかしながら、日本と韓国の関係が悪化し続けると韓国人の少数派問題はますます先鋭化するでしょう。普通の職業に就けない在日韓国人の大部分が、日本の生活保護者になるか、または犯罪者になり、彼らの多くは共産主義者として活動すると判断されます。これらの事実は、在日韓国人が日本人に慕われなくし、日本政府または日本人自身で少数派の韓国人への偏見が起こる明白な可能性が残ります。 この使節団に対する韓国の意見は、それらの韓国人は「現在、日本人でも韓国人でもない無人地帯に生きている。日本人が日本国内法から受ける保護も、国際法の元の外国人としての恩恵も両方ない。事情によって彼らは時に日本人として、また別の時には無国籍外国人として扱われた。彼らは、彼らに向けられた差別に対して救済も頼るべき法もない。・・・・」

3. 日韓の貿易関係[編集]

日韓の現在の貿易関係は満足できるものではなく、最近でも早期の改善に向けた微々たる進展しかない。日本の入札参加者に公平な措置が執られているにも関わらず、実質的な韓国による日本への明らかな差別的扱いが続いている。合衆国の海外活動本部が、韓国政府に改善の圧力をかけたことによって、やっと韓国は輸入規則の改訂を行った。 韓国の輸入調達規則の改定にも関わらず、最近も日本政府から韓国で使用する商品の日本への発注を妨害するための種々の障壁と圧力の情報を駐日米国大使が聞いている。これらは以下を含む。韓国の会社が日本で商品を調達する場合には、韓国銀行からの貸し付けの拒否や、その調達の内容を問わず韓国調達庁のブラックリストへの掲載がなされる。 日本からの禁輸措置がどう見ても続いており、韓国政府が新たな輸入調達規則に従う意向がないことは明らかである。これらの過去の韓国政府の活動は、日本の安価かつ早期の商品調達による韓国自身の便益を毀損している。韓国調達計画におけるコストアップは、結局、その機会を減少させ、日本経済の支援(輸入及び自衛隊の出費に起因する外貨不足により緊急に必要とされる)と同時に韓国の再建という2つのアメリカドルの役割を毀損させている。 日韓の過去数カ月の貿易収支は好ましいものではなく、韓国の対日本の債務残高はおよそ3700万ドルに達する。 駐日米国大使は、韓国による日本に対する禁輸措置に対して、韓国側がこの貿易赤字を理由にあげたと述べている。日本は最近、年間2100万ドルに達する米を含んだ海苔、その他の韓国製品の輸入計画を策定した。 更に、日本は他の供給国と価格差が過度に大きくなければ、まとまった量の韓国米を輸入する意向も示している。これまで、通常の韓国米の輸出市場において日本に輸出された米の量は以前の輸出量に達していない。1953年9月の上旬に、韓国政府は豊作を背景に15万から20万トンの日本への米輸出を計画した。韓国は、この韓国米の輸出により獲得した外貨が、同量の安価な穀物の輸入に必要な外貨及び2000万ドルの純益をもたらすと考えていたようである。しかし、韓国政府は1953年12月10日まで輸出用の米の購入を実施しなかった。米の購入のための資金の調達が遅すぎた。この結果、およそ12万トンの米だけが輸出できるに過ぎなかったのである。 未解決の問題は、韓国が日本への米輸出による獲得する価格である。日本は台湾やその他東南アジア諸国から1トンあたり195ドル~210ドルで米を購入することができる。カリフォルニア米は205ドルである。しかしながら韓国は為替レートを1ドル=180ウォンと設定し輸出価格を290ドルと見積もった。日本は日韓通商協定に基づく自由貿易なら200ドルであるところ、韓国の対日負債に配慮して1トンあたり225ドルを韓国に提示したと報告されている。韓国米は、日本人にとって最も品質が良いとの理由で、プレミアム価格の適用が強いられてきた。 日本への米の輸出は、他の経済や日本使節の久保田代表による韓国に関する不快な発言による1953年以来の日韓対話の断絶を含めた政治上の問題と絡んでくる。貿易協定下での実績に関する韓国内の論争、韓国による日本製品の禁輸措置。韓国の公的立場では、韓国の禁輸措置は、日本の貿易制限に起因するものとして正当化している。1954年3月31日までの12カ月間の数字は、韓国の対日輸出が800万ドルであることを示しており、貿易協定の目標の半分に過ぎない。その反面、日本からの輸入(米国海外活動本部の輸入も含む)は6500万ドルであり、貿易協定の目標の2倍以上となっている。韓国の対日輸出不足の主因は、米が貿易協定の指定品目でなかったことである。日本は、韓国からの輸入に対して意図的な規制をかけていると共に、低品質かつ過剰な価格にて韓国へ輸出している。他方、日本は貿易協定に基づく韓国の負債が限度額を超え、支払いが遅延していることに不満をもっている。 米の輸出に付随する問題は、日韓関係の基本的な問題が解決されれば、一度に解決する。しかしながら、韓国が日本若しくは他の国に大量の米を輸出することが重要である。1953年の米国海外活動本部農業使節団や1954年のネーザンアソシエイツ社は韓国の潜在的な輸出能力において米が最も重要なこと、最終的に年間50万トンまで輸出量を増加させなければならないと指摘している。したがって、韓国にとって米の輸出が重要であり、その市場は日本である。害虫により毀損される前に、現在倉庫にある米の早急な輸出が望まれる。

4. 獨島の領有権[編集]

獨島(別名:リアンクールロック、竹島)は、日本海の日本の本州と韓国のほぼ中間地点にある(東経131°80” 北緯36°20”)。この島は、不毛の無人の岩である。日本との平和条約が起草された時、韓国は獨島の権利を主張したが、合衆国は日本の主権の下に残すことを決定し、平和条約の日本が所有権を放棄する島々には含めなかった。韓国は合衆国の獨島に関する意向を内々に知っていたが、合衆国はその意向を公表しなかった。合衆国は獨島を日本の領土であると考えるが、紛争への介入は拒否した。紛争を国際司法裁判所に適切に付託すべきであるという我々の意向は非公式に韓国に伝えられた。

この使節団に対する韓国の意見

「一層悪いことは、日本が、ダジュレー島として知られる鬱陵島の近くにある小さな島である、リアンクールロックとして知られる獨島の領有を未だに主張することである。日本の公職者は武装を備えた船舶に乗ってたびたび島を訪れ、周辺の漁民を悩ましている。彼らは島の至る所に、獨島が日本の領土であるかのように記した標識を設置している。我々の歴史と知見は、海洋主権宣言(李ライン)の瞬間にまさに帰結している。韓国の獨島の主権は決して他国に争われたことなく、獨島が歴史的と同時に法的に鬱陵島(ダジュレー島)の一部として韓国領土であるという事実を長期に渡り確固たるものとして確立したのである」
5. 要求と反対要求[編集]

a.日本の韓国に対する主張は日本人の個人会社の以前の所有権に起因する。

b.1945年8月9日に韓国水域にあった船と韓国登記の船に対する要求

c.美術品と歴史的なコレクションと古書に対する要求

d.第二次世界大戦直前に日本により合併された金保有高に対する要求

e.その他要求

6. Kubota 供述[編集]

供述についてはKubota氏によって為された。

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