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1 第十八年五月二十二日に、アツスリアの王ネブカデネザルはその誓に從ひ、すべての地を罰すべしと宣言し、
2 すべての臣下、すべての高官を呼び集めて、秘密の計畫を示し、その名指したるすべての地を罰すべしと命じたり。
3 而して彼等、王の命に從はざりしすべての者を滅すべしとの勅令を發しぬ。
4 會議終りし時、アツスリア王ネブカデネザルは、その軍隊の總司令官にして王に次ぐ位に在るオロペルネスを召し、命じていへり
5 『全地の主なる大王かく宣ふ。視よ、汝わが前より出で立ち、力に自信ある者、歩兵十二萬人、騎兵一萬二千人を率ゐ、
6 王の命に服從せざりし西方の國を討て。
7 なんぢ彼らに命じて地と水とを獻ぜしめよ。我はわが怒を彼らに漏し、わが軍をして全地を蹂躪らしめ、これを分捕物として兵士に與へん。
8 かくてその屍は谷々河々に滿ち、大河は屍のために溢るるに至らん。
9 又彼らを虜として地の極にまで移さん。
10 されば汝、先づ行きてわがためにそのすべての沿岸を征服せよ。彼ら汝に降らば、わがために、處刑の日までこれを守れ。
11 若し敵對ふものあらば憐むことなく、之を屠り、到る處に之を掠奪すべし。
12 我はわが生命にかけて又わが王國の力に由りて、必ず我言を果さん。
13 故に汝愼みて、汝の主の命に違ふことなく、わが汝に命ぜし如くこれを成し遂ぐべし。汝決してこれに背くべからず。』
14 ここにオロペルネスその主の前より出で行きて、アツスリア軍のすべての長官、隊長、將校を集む。
15 その主の命に從ひて、戰のために選びし兵は十二萬人及び騎馬の弓兵一萬二千人と數へられたり。
16 彼これを戰時編制となし、
17 駱駝と騾馬をもて多くの行李を運び、又糧食として無數の羊、牛、山羊を備へ、
18 王の庫より多くの糧食と金とを携へたり。
19 かくて彼とその全軍、ネブカデネザル王の先驅となり、その戰車、騎兵、選び出したる歩兵をもて、西方の地の面を蔽ひ盡さんとて出で行けり。
20 かくて彼と共に行きし諸國の民は蝗の如く、地の砂の如く、その數多きによりて數へ盡すこと能はざりき。
21 彼らはニネベを出で、三日路してベクテレテの平野に到り、上キリキアの左手の山に近く陣營を張れり。
22 かくて彼すべての軍、歩兵、騎兵、戰車を率ゐて、そこより山地に進み、
23 プド及びルドを亡し、ラシスのすべての幼兒、及びケリア人の地の南の荒野に在りしイシマエル人の子らを虜にせり。
24 彼又ユフラテ河を渉りてメソポタミアに入り、アアボナイ河に沿へるすべての町々を亡して海にまで到れり。
25 而して彼キリキアの境を取りて、敵對ふものを殺し、アラビアの南に向へるヤペテの境にまで到れり。
26 又彼ミデアンの子らを圍みて、その天幕を燒き、羊の欄を掠めたり。
27 かくて彼麥刈の時に、ダマスコの平野に下りて、すべての畑を燒き、その牛羊の群を亡し、町々を掠奪し、その平野を荒し、そのすべての若者らを劍の刄にかけて殺せり。
28 されば彼に對する恐怖と戰慄、海邊に住むすべての人々に、シドンとツロの人々に、スルとオキナに住む人々に、又エムナアンに住むすべての人々に臨めり。又アゾトとアシケロンに住むすべての人々もいたく彼を恐れたり。