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プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと/ひとつの成果物にひとりの責任者

提供:Wikisource


すべての成果物にはその完成に責任をもつ人が一人いるべきです。各アイテムの完成にだれが責任をもっているのか、プロジェクトに取り組んでいる全員が明確に理解するべきです。そのアイテムの実際の開発には複数の人がかかわっているかもしれませんが、それを時間通りに確実に完成させ、そのアイテムにある技術的問題について理解する最終責任は、ひとりの人に関係づけられているべきです。

たいていの場合、特に高度に政治的な環境においては、責任は共有されるものです。プロジェクトの開始時で、まだはっきりしないところがあるときは特にそうです。人は派手に目立ち、成功することがわかっているアイテムに責任をもちたがるものです。失敗することが確実にわかっているものに責任をもちたがる人はいません。プロジェクトの開始時に責任が共有されるのは、成果物やそれに伴うリスクが十分理解されていないためです。実際のところ、はっきりしないタスクに力を注いで、責任を負いたいという人などいないのです。

成果物に非常にうまみがあるため、そのアイテムに責任を負いたいという人が最終的に複数現れるときもあります。このような場合、マネジメントは波風を立てたくないので、ほかの人が怒らないよう、だれかひとりに明確に責任を割り当てないで済ませようとします。しかしこれは、将来もっと大きな問題になるよう御膳立てをしているようなものです。

ひとつの成果物にひとりの責任者を置くとよいことがあります。第一に、成果物に関連した問題があると、その最終責任者はチームに早く問題を伝えるようになります。自分に責任があることがわかっているためです。時間的に厳しいとき、自分に責任がないものは他の人がなんとかしてくれると思いがちです。こうして問題は無視されていきます。結局のところ、プロジェクト・マネジャーであるあなたが、そのリスクを抱えることになるのです。

第二に、プロジェクトの進行中、チームメンバー全員、特に新規参加者が、その問題についてだれに聞けばよいのか、非常に効率よくかつ正確に知ることができます。何か質問があれば、それにふさわしい相手、その話題に関する専門家に質問したいでしょう。もしその専門家が答えられなくても、責任者として何とかして回答を用意してくれるはずです。自分がよく理解していないことに対する回答が必要なときには、自分の時間を費やすべきではありません。

最後に、プロジェクトは期待通りに完了しないこともあります(よくあることです)。もしだれにも行動(あるいは何もしないこと)に責任がないとすると、あなたは問題を修正できず、グループダイナミクスも損なわれます。問題のあるあいまいな作業について、だれの責任なのかを決めるようなムダな時間ほど、チームのパフォーマンスを損なうものはありません。

しかし、成果物ごとに責任者を割り当てることを、責任を追及するための手段にしてはいけません。そうではなく、責任をうまく分散するための手段にしましょう。また、成果物が早期に予算以下で(少なくとも期限内に予算内で)できたとき、だれが賞賛を受けるに値するかが明確になります。それはよいことです。

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