フェサロニカ人に達する前書 2

• 第一章 ― 第三章

第四章

¹　之（これ）を究（きは）むるに、兄弟（けいてい）よ、我等（われら）ハリストスイイススを以（もつ）て爾（なんぢ）等（ら）に求（もと）め、爾（なんぢ）等（ら）に勸（すゝ）む、爾（なんぢ）等（ら）は既（すで）に如何（いか）に行（おこな）ひ、及（およ）び神（かみ）を悦（よろこ）ばしむべきを我等（われら）より受（う）け、且（かつ）之（これ）を行（おこな）ふに由（よ）りて、益（ますます）之（これ）に進歩（しんぽ）せよ、

²　爾（なんぢ）等（ら）は我等（われら）が主（しゅ）イイススに由（よ）りて、如何（いか）なる誡命（かいめい）を爾（なんぢ）等（ら）に授（さづ）けしを知（し）ればなり。

³　蓋（けだし）神（かみ）の旨（むね）は、爾（なんぢ）等（ら）の聖潔（せいけつ）なり、即（すなはち）爾（なんぢ）等（ら）が自（みづか）ら淫行（いんかう）を戒（いまし）むるに在（あ）り、

⁴　爾（なんぢ）等（ら）が各（おのおの）己（おのれ）の器（うつは）を守（まも）るに、聖潔（せいけつ）尊貴（そんき）を以（もつ）てして、

⁵　神（かみ）を識（し）らざる異邦人（いはうじん）の如（ごと）く、情慾（じやうよく）を以（もつ）てせざるを知（し）るに在（あ）り、

⁶　又（また）何事（なにごと）に於（おい）ても、己（おのれ）の兄弟（けいてい）に對（たい）して、法（はふ）に違（たが）ひ、利（り）を貪（むさぼ）りて行（おこな）はざるに在（あ）り、蓋（けだし）主（しゅ）は凡（およ）そ此等（これら）の爲（ため）に報（むくい）を爲（な）す者（もの）なり、我（わ）が先（さき）に爾（なんぢ）等（ら）に言（い）ひ且（かつ）證（しょう）せしが如（ごと）し。

⁷　蓋（けだし）神（かみ）の我等（われら）を召（め）しゝは、汚穢（をくわい）の爲（ため）に非（あら）ず、乃（すなはち）聖潔（せいけつ）の爲（ため）なり。

⁸　故（ゆゑ）に拒（こば）む者（もの）は、人（ひと）を拒（こば）むに非（あら）ず、乃（すなはち）我等（われら）に其（その）聖神（せいしん）を與（あた）へたる神（かみ）を拒（こば）むなり。

⁹　兄弟（けいてい）の愛（あい）に至（いた）りては、我（わ）が爾（なんぢ）等（ら）に書（しょ）するを要（えう）せず、爾（なんぢ）等（ら）自（みづか）ら相（あひ）愛（あい）することを神（かみ）より教（をし）へられたればなり、

¹⁰　蓋（けだし）爾（なんぢ）等（ら）果（はた）して是（か）くの如（ごと）く全（ぜん）マケドニヤに在（あ）る諸（しょ）兄弟（けいてい）に行（おこな）ふ。兄弟（けいてい）よ、我等（われら）爾（なんぢ）等（ら）に勸（すゝ）む、益（ますます）此（これ）に進歩（しんぽ）し、

¹¹　且（かつ）務（つと）めて安静（あんせい）を守（まも）り、己（おのれ）の事（こと）を行（おこな）ひ、手（て）づから工（わざ）を作（な）さんことを、我（わ）が爾（なんぢ）等（ら）に戒（いまし）めしが如（ごと）し、

¹²　爾（なんぢ）等（ら）の行（おこなひ）が外（そと）の人（ひと）の前（まへ）に端正（たんせい）にして、亦（また）自（みづか）ら乏（とぼ）しきことなからん爲（ため）なり。

¹³　兄弟（けいてい）よ、寢（ねむ）りし者（もの）に至（いた）りては、我（われ）爾（なんぢ）等（ら）が知（し）らざるを欲（ほつ）せず、爾（なんぢ）等（ら）が望（のぞみ）なき他（た）の者（もの）の如（ごと）く哀（かな）しまざらん爲（ため）なり。

¹⁴　蓋（けだし）若（も）し我等（われら）イイススの死（し）して復活（ふくくわつ）せしことを信（しん）ぜば、則（すなはち）神（かみ）はイイススに在（あ）りて寢（ねむ）りし者（もの）をも彼（かれ）と偕（とも）に攜（たづさ）へん。

¹⁵　蓋（けだし）我等（われら）主（しゅ）の言（ことば）を以（もつ）て爾（なんぢ）等（ら）に語（つ）ぐ、我等（われら）、生（い）きて主（しゅ）の來（きた）る迄（まで）存（そん）する者（もの）は、寢（ねむ）りし者（もの）に先（さき）だたざらん、

¹⁶　蓋（けだし）主（しゅ）親（みづか）ら號令（がうれい）と、天使（てんし）首（しゅ）の聲（こゑ）と、神（かみ）の箛（らつぱ）に伴（ともな）はれて、天（てん）より降（くだ）らん、而（しかう）してハリストスに在（あ）りて死（し）せし者（もの）は先（ま）づ復活（ふくくわつ）せん、

¹⁷　其後（そののち）我等（われら）生（い）きて存（そん）する者（もの）は、彼等（かれら）と偕（とも）に雲（くも）に舉（あ）げられて、主（しゅ）を空中（くうちゅう）に迎（むか）へん、是（か）くの如（ごと）くして常（つね）に主（しゅ）と偕（とも）に居（を）らん。

¹⁸　故（ゆゑ）に爾（なんぢ）等（ら）此等（これら）の言（ことば）を以（もつ）て互（たがひ）に慰（なぐさ）めよ。

第五章

¹　兄弟（けいてい）よ、時（とき）及（およ）び期（き）に至（いた）りては、我（わ）が爾（なんぢ）等（ら）に書（しょ）するを要（えう）せず、

²　蓋（けだし）爾（なんぢ）等（ら）自（みづか）ら、主（しゅ）の日（ひ）の來（きた）らんこと、盜（ぬすびと）が夜（よる）に來（きた）るが如（ごと）きを、明（あきらか）に知（し）るなり。

³　蓋（けだし）人（ひと）が平安（へいあん）無事（ぶじ）なりと謂（い）はん時（とき）、滅亡（ほろび）は忽（たちまち）彼等（かれら）に至（いた）らん、産苦（さんく）の妊（はら）める婦（をんな）に於（お）けるが如（ごと）し、彼等（かれら）避（さ）くるを得（え）ざらん。

⁴　然（しか）れども兄弟（けいてい）よ、爾（なんぢ）等（ら）暗（くらやみ）に在（あ）らずして、其日（そのひ）を盜（ぬすびと）の如（ごと）く爾（なんぢ）等（ら）に及（およ）ばしめざらん。

⁵　蓋（けだし）爾（なんぢ）等（ら）皆（みな）光（ひかり）の子（こ）、晝（ひる）の子（こ）なり、我等（われら）は夜（よる）の者（もの）、暗（くらやみ）の者（もの）に非（あら）ず。

⁶　故（ゆゑ）に我等（われら）他人（たにん）の如（ごと）く寢（い）ぬ可（べ）からず、乃（すなはち）儆醒（けいせい）謹愼（きんしん）すべし。

⁷　蓋（けだし）寢（い）ぬる者（もの）は夜（よ）に寢（い）ね、醉（ゑ）ふ者（もの）は夜（よ）に醉（ゑ）ふなり。

⁸　我等（われら）は晝（ひる）の子（こ）なるに因（よ）りて、信（しん）と愛（あい）との甲（よろひ）、及（およ）び救（すくひ）の望（のぞみ）の冑（かぶと）を衣（き）て、謹愼（きんしん）すべし。

⁹　蓋（けだし）神（かみ）は我等（われら）を怒（いかり）の爲（ため）に定（さだ）めしに非（あら）ず、乃（すなはち）救（すくひ）を得（え）しめん爲（ため）なり、我等（われら）の主（しゅ）イイススハリストスに由（よ）りてなり、

¹⁰　彼（かれ）は我等（われら）の爲（ため）に死（し）せり、我等（われら）儆醒（けいせい）するも、寢（い）ぬるも、彼（かれ）と偕（とも）に生（い）きん爲（ため）なり。

¹¹　故（ゆゑ）に爾（なんぢ）等（ら）互（たがひ）に慰（なぐさ）め互（たがひ）に德（とく）を建（た）てよ、爾（なんぢ）等（ら）の已（すで）に行（おこな）ふ所（ところ）の如（ごと）し。

¹²　兄弟（けいてい）よ、我等（われら）爾（なんぢ）等（ら）に求（もと）む、爾（なんぢ）等（ら）の中（うち）に勞（らう）し、主（しゅ）に在（あ）りて爾（なんぢ）等（ら）を治（をさ）め、爾（なんぢ）等（ら）を訓（をし）ふる者（もの）を認（みと）めて、

¹³　彼等（かれら）の工（わざ）の爲（ため）に彼等（かれら）を尊（たつと）びて、篤（あつ）く愛（あい）せよ。爾（なんぢ）等（ら）互（たがひ）に睦（むつま）しくせよ。

¹⁴　兄弟（けいてい）よ、我等（われら）爾（なんぢ）等（ら）に勸（すす）む、妄行（みだり）なる者（もの）を儆（いまし）め、氣（き）餒（う）ゑたる者（もの）を慰（なぐさ）め、弱（よわ）き者（もの）を扶（たす）け、衆人（しゅうじん）を待（ま）つに寛忍（くわんにん）を以（もつ）てせよ。

¹⁵　愼（つゝし）みて惡（あく）を以（もつ）て惡（あく）に報（むく）ゆる毋（なか）れ、常（つね）に互（たがひ）に善（ぜん）を追（お）ひ、又（また）之（これ）を衆人（しゅうじん）に及（およ）ぼせ。

¹⁶　常（つね）に喜（よろこ）べ。

¹⁷　輟（や）めずして祈（いの）れ。

¹⁸　凡（およそ）の事（こと）感謝（かんしゃ）せよ、蓋（けだし）是（こ）れ爾（なんぢ）等（ら）の爲（ため）にハリストスイイススに賴（よ）る神（かみ）の旨（むね）なり。

¹⁹　神（しん）を熄（け）す毋（なか）れ。

²⁰　預言（よげん）を藐（かろ）んずる毋（なか）れ、

²¹　凡（およそ）の事（こと）を察（さつ）して、善（よ）き者（もの）を執（と）れ。

²²　悉（ことごと）くの惡（あく）の類（たぐひ）に離（はな）れよ。

²³　願（ねが）はくは平安（へいあん）の神（かみ）は親（みづか）ら爾（なんぢ）等（ら）を全（まつた）く聖（せい）にし、爾（なんぢ）等（ら）の神（しん）と靈（れい）と體（たい）とは全（まつた）うし護（まも）られて、我等（われら）の主（しゅ）イイススハリストスの降臨（かうりん）の時（とき）に疵（きず）なからん。

²⁴　爾（なんぢ）等（ら）を召（め）す者（もの）は誠信（まこと）なる者（もの）にして、彼（かれ）は之（これ）を行（おこな）はん。

²⁵　兄弟（けいてい）よ、我等（われら）の爲（ため）に祈（いの）れ。

²⁶　聖（せい）なる接吻（せつぷん）を以（もつ）て悉（ことごと）くの兄弟（けいてい）の安（あん）を問（と）へ。

²⁷　我（われ）主（しゅ）を以（もつ）て爾（なんぢ）等（ら）に此（こ）の書（しょ）を悉（ことごと）くの聖（せい）兄弟（けいてい）の前（まへ）に讀（よ）まんことを誓（ちか）はしむ。

²⁸　願（ねが）はくは我等（われら）の主（しゅ）イイススハリストスの恩寵（おんちょう）は爾（なんぢ）等（ら）と偕（とも）に在（あ）らんことを、「アミン」。