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トビト書 第四章

提供:Wikisource
トビト書 四章から転送)
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第四章

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1 そのトビト、メデアのラゲスなるガバエルにあづけたる金子きんすのことをおもいだし、
2 こゝろなかにいひけるは『われもとめたれば、ぬるまへに、わがトビアをびて、かれにこのことをしめさざるべけんや』と。
3 かくてかれびて
よ、われなばわれはうむれ。またなんぢはゝかろんずな。なんぢ一生いつしやうあひだかれたふとびて、そのこゝろかなふことをなせ。かれなやますな。
4 よ、なんぢなほ胎内たいないにありしとき、かれなんぢのためにおほくの危難あやふきひしことをおぼえよ。かれなば、わがかたはらに、ひとはかはうむれ。
5 よ、なんぢ一生いつしやうあひだなんぢしゆなるかみおぼえ、つみこゝろけず、しゆ誡命いましめをかさず、一生いつしやうあひだたゞしきおこなひ、不義ふぎみちあゆむな。
6 そはなんぢもし眞理まことおこなはば、なんぢのなすわざさかえん。すべてたゞしきおこな人々ひと〴〵にしかあらん。
7 なんぢ持物もちものより施濟ほどこしをなせ。また施濟ほどこしをなすときなんぢむさぼらしむな。なんぢかほまづしき人ひとよりそむけずば、かみ御顏みかほなんぢよりそむけられざるべし。
8 なんぢ持物もちものれうしたがひて施濟ほどこしをなせ。なんぢ持物もちものすくなくとも、そのすくなきによりて施濟ほどこしをなすことをおそるな。
9 かくしてなんぢ必要ひつえうのためにみづかたからたくはふるなり。
10 そは施濟ほどこしは、ひとよりすくひ、暗黑くらきおちいらしむることなければなり。
11 施濟ほどこしはすべてこれをなすものにとりて、いとたかきものの御前みまへ賜物たまものとなるなり。
12 よ、すべての淫行いんかうつつしめ。なんぢ先祖せんぞたちのすゑよりつまめとれ。なんぢちゝやからにあらざる異邦ことくにをんなめとるな。そは我等われら預言者よげんしやたちのなればなり。よ、ノア、アブラハム、イサク、ヤコブをおぼえよ。いにしへわれらの先祖せんぞたちはみなその兄弟きやうだいたちよりつまめとり、そのらによりて祝福しゆくふくたり。彼等かれらすゑがん。
13 よ、なんぢ兄弟きやうだいあいせよ。こゝろうちなんぢ兄弟きやうだいたちのうちより、なんぢ國人くにびと息子むすこむすめたちのうちよりつまめとることをかろしむな。輕蔑かろしめうち滅亡ほろびおほくの患難なやみあり。また浪費らうひうちに、衰微おとろへおほいなる窮乏とぼしきあり。そは浪費らうひ飢饉ききんははなればなり。
14 なんぢのためにはたらくものの賃銀ちんぎんとゞこほらしむな。づからこれをわたすべし。なんぢかみつかへなば、報償むくいなんぢきたらん。よ、なんぢのすべてのわざをつゝしみ、なんぢ行狀おこなひこゝろせよ。
15 なんぢみづかにくむことをたれにもなすな。ほどさけむな。ひたるままみちくな。
16 なんぢかてゑたるものあたへ、なんぢ衣服きものはだかなるものあたへよ。すべてなんぢゆたかなるものをもて施濟ほどこしをなせ。また施濟ほどこしをなすときなんぢをしざるやうにせよ。
17 義人たゞしきひとはうむりときなんぢかてそゝいだせ。されど罪人つみびとにはあたふな。
18 すべてのさとひとより勸告すすめもとめ、いかなる勸告すすめにてもえきなるものはかろんずな。
19 またつねしゆなるかみしゆくし、なんぢみちなほくせられんことと、なんぢあゆみおよなんぢ計畫くはだてさかえんこととをいのれ。いかなるたみみな計畫くはだてをもたず。されどしゆみづからすべてのきものをあたへ、また御意みこゝろのままに、おのがほつするものいやくしたまふ。よ、わが誡命いましめおぼえ、これをなんぢこゝろよりすな。
20 われいま、メデアのラゲスなるガブリヤのガバエルにあづけしぎん十タラントをなんぢしめす。
21 よ、われまづしくともおそるな。なんぢもしかみおそれて、すべてのあくよりはなれ、かれ御前みまへ御心こゝろにかなふことをなさば、おほくのものをたん。』