ソロモンの智慧 第十五章

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第十五章[編集]

1 されど、われらのかみよ、なんぢはめぐみあり、またまことなり、忍耐にんたいあはれみとをもて、すべてのものをさだたまふ。
2 われつみをかすとも、われらはなんぢのものにして、なんぢ支配しはいる。されど、われらはつみをかさず、我等われらなんぢのものなるをればなり。
3 なんぢらるるはまつたにして、なんぢ支配しはいることは不死ふしなり。
4 我等われらひとてだてしきたくみによりてまよはされず、畫師ゑしむなしきわざ、さまざまのいろられたるかたちまよはされざるなり。
5 おろかなるものは、それをるによりて、よくみちびかれ、にたるかたち生命いのちなき姿すがたに、こゝろうごかす。
6 彼等かれらしきものをあいし、かかるのぞみをもつに相應ふさはしく、彼等かれらすこと、のぞむこと、をがむこと、みなかくのごときものなり。

7 陶師すゑものしは、やわらかきつちをこね、我等われらのために種々さま〴〵なるうつはをつくるためにはたらく、また、おなつちより、きよこともちふるうつはと、しからざるものとを、おな方法しかたによりてつくるなり。されど、いかなるものにもちひらるべきかは、つくるものみつからこれをさだむ。
8 また、かれしきことのためにはたらき、おなつちよりむなしきかみをつくりいだす。つちよりつくられて、ただしばしをたるものなれど、またしばしにして、おのがとられたるつちかへくなり。かくて、かれされたる、たましひはこれをかへすことをもとめらる。
9 かれこゝろおもひわづらふなり。そは、そのちからうしれはるるゆゑにあらず、またその生命いのちみじかきゆゑにもあらず。ただかれは、金細工人きんざいくにんと、銀細工人ぎんざいくにんとにむかひてきそひ、また眞鍮しんちゆうをつくるものにならひ、にせものをつくることみづかほこるなり。
10 かれこゝろはいにして、かれのぞみつちよりもあたひなく、かれ生涯しやうがい土塊つちくれにもおとる。
11 かれおのれをつくりたまひしものをらず、かれうちけるたましひをふきれ、けるれいをあたへたまひしものをらざればなり。
12 かれは、我等われら生活せいくわつ遊戯いふぎとなし、我等われら生涯しやうがいなとむるまつりとなす。かれふ、ひとしきみちによるとも、べきにものをべきなりと。
13 かかるひとは、おのつみをかせるを、すべてのものよりもよくり、のものより、もろうつはと、彫像てうぞうとをつくるなり。
14 されど、彼等かれらはいともおろかにして、幼兒をさなごよりもそのたましひよわく、たみてきにして、これをおさふるものなり。
15 彼等かれらは、國々くに〴〵偶像ぐうぞうをもすべて、かみなりとす。されど、これらはそのをつかひてず、そのはなによりていきをせず、そのみゝによりてかず、そのゆびによりてたず、そのあしあゆむことをざるなり。
16 これらはひとのつくりしものにして、みづからのれいをかりたるものによりてつくらる。ひとおのちからしたがひて、かみおのれごとくつくりるなり。
17 されど、つべきものなれば、その無法むはふわざによりてにたるものをつくりいだす。かれみづかをがむものにまさればなり。かれ生命いのちをもてども彼等かれらはこれをたざるなり。

18 彼等かれらはいともにくむべきものををがむ。生命いのちなきほかのものにくらぶるも、これらはなにものよりもしきなり。
19 またほか生物いきものくらぶるも、これらはひと、これをんとのぞうつくしさをたず、かみほまれかみ祝福しゆくふくとをうしなへるものなり。