コンテンツにスキップ

ソロモンの智慧 第十九章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

第十九章

[編集]

1 されど、不信ふしんのものには、をはりいたりて、あはれむことなきいかりあたへられん。彼等かれらくべきみちも、かみこれをあらかじたまひき。
2 彼等かれらはそのこゝろへて、なんぢたみかしめ、彼等かれらをしてそのみちいそかしめたりしが、やがてまたこゝろかはりて、彼等かれらへり。
3 かくて彼等かれらとむらひなかばにあり、またにたるもののはかにて、なげきをりしとき、またも、おろかなる計略はかりごとをなし、みづかねがひていだしし落人おちうどへり。
4 彼等かれらのうくべきほろびは、これがため、彼等かれらうへちかづききたれり。かくて彼等かれらは、彼等かれらうへきたりしことどもをわすれ、それによりて彼等かれらくるしむるために、いまだみたざりしばつをうけたり。
5 またなんぢたみおどろくべきみちたびすゝめたりしが、彼等もれらもまた、不思議ふしぎなるへり。

6 すべてのつくられたるものは、そのるゐしたがひてあたらしきかたちとせられ、なんぢ種々くさ〴〵なる命令めいれいしたがへり。それによりて、なんぢしもべらは、がいをうくることなくまもられんがためなり。
7 やがて、天幕てんまくおほ黒雲くろくもと、はじめみづなりしもののうちより、かわきたるのぼりきたり、紅海こうかいより、さまたげなき大路おほぢで、はげしきなみうちより、くさおほきたるとをたり。
8 それによりて彼等かれらはすべての軍勢ぐんぜいとともにこれをとほけり。これらはなんぢ御手みてによりておほはれたるものにして、不思議ふしぎなるおどろくべきことたりしなり。
9 しゆよ、彼等かれらうまごとくに、めぐり、小羊こひつじごとくに𢌞まはりて、彼等かれら救主すくひぬしなるなんぢめまつれり。
10 そは、彼等かれらは、その寄寓やどりときにおこりしことどもをおもいだししなり。家畜かちくさんすることなくして、にはしらみで、かはうをなくしておほくのかへるいだせり。
11 されど、やがてまた彼等かれらとりあたらしきたねたり。彼等かれらそのよくによりて、おごりたる美味びみもとめしとき
12 彼等かれらをなぐさむるために、うみよりうづらのぼきたれり。

13 また、罪人つみびとうく[へ]にはばつきたりしが、それはいかづちちからをもて、あらかじしめされししるしによるものなりき。彼等かれらはそのあくによりて、くるしみひしはたゞしかりき。彼等かれらがそのきやくむかひてなせるにくしみは、まことになげかはしきごとにてありたればなり。
14 ソドムの人々ひと〴〵彼等かれらきたりし、旅人たびゞとをうけざりしが、エジプトびと彼等かれらえきしたるきやくを、奴隷どれいとなせり。
15 しかのみならず、かみはソドムのひとに、またことなれるさまにてのぞたまへり。彼等かれら異邦人ことくにびとてきとしてうけたればなり。
16 彼等かれらはじめえんもうけてよろこむかへし、彼等かれらおな分前わけまへ人々ひと〴〵を、おそろしき勞役らうえきをもてくるしめぬ。
17 彼等かれらたれて、そのちからうしなひ、(義者たゞしきものもんにあるひともまたしかりき、)きたやみによりてかこまれしとき、いづれもおのいへもんよりのがれんとせり。
18 調しらべはそのふしによりてことなるがごとく、大氣たいきもそのかたちへつつ、種々くさ〴〵つゞけり。それは、やがてきたるべきものの、姿すがたによりて、あきらからるるなり。
19 かわきたる生物いきものは、みづなか生物いきものへられ、およ生物いきものうへあゆみ、
20 みづなかにてそのちからいきほひたもち、みづはそのちからわすれぬ。
21 ほのほもまた、そのなかにあるつべき生物いきものにくかず、また、てんよりくだりしかてくべきものなれども、そのこほりたるつぶを、かすことなかりき。
22 しゆよ、すべてのことにおいて、なんぢなんぢたみおほいならしめ、彼等かれら光榮くわうえいあたへ、彼等かれらかろくはあしらひたまはず、何時いつにても、また何處いづこにてもそのかたはらたまふなり。