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エレミヤの書翰

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<Wikisource:宗教<聖書<旧約聖書続篇

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エレミヤの書翰

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1 バビロニヤびとわうによりて、バビロンにとらうつさるべき人々ひと〴〵々に、かみによりてめいぜられしごとく、げんがために、エレミヤのおくれるふみうつし

2 かみ御前みまへなんぢらがをかしたるつみゆゑに、なんぢらはバビロンわうネブカデネザルによりてバビロンにとらうつさるべし。
3 なんぢらバビロンにいたらば、おほくの年月としつき、またなが時期じきすなはち七だいわたりて、彼處かしことにめらるべし。されどのち、われなんぢらを平和へいわのうちに、よりともなかへらん。
4 さてなんぢらバビロンにりて、きんぎんまたにてつくれる神々かみ〴〵の、かたになはるるをん。此等これら神々かみ〴〵諸國くに〴〵あひだ恐怖おそれおこさしむ。
5 なんぢこゝろして異邦人ことくにびとならふな。またなんぢらをかこ群衆むれ、みな前後まへうしろよりかれらををがむを汝等なんぢらるとも、おそるな。
6 なんぢらただこゝろのうちにふべし。ああしゆよ、われらはただなんぢはいすべきなりと。
7 そはわが天使つかひなんぢらとともにあり、われみづかなんぢらのたましひ守護まもるなり。
8 神々かみ〴〵した工匠たくみによりてみがいだされ、そのからた黄金こがねもてかざられ、鍍金めつきせらる。されどかれ
らはつひ虚僞いつはりぎず。かたることあたはざるなり。
9 乙女をとめをもはなやかならしむる黄金こがねりて、かれらその神々かみ〴〵かんむりをつくる。
10 祭司さいしらまたときに、神々かみ〴〵よりきんぎんぎてみづからのためにをさむ。
11 かれらこれをいやしき娼婦あそびめおくり、またひところもまとごときんぎんまたにてつくれる神々かみ〴〵かざるなり。
12 されどこれらの神々かみ〴〵は、たとひむらさき衣裳ころももておほはるとも、みづからをさびむしとのそこないよりすくふことあたはず。
13 みやうちなるちり神々かみ〴〵かほうへふかつもればかれこれぬぐふ。
14 くに審判者さばきびとごとくにしやくにぎるとも、かれさからものを、しよするあたはず。
15 かれまたそのみぎ懐劍くわいけんをのとをもてどたゝかひ盜賊とうそぐとよりみづからをすくあたはず。
16 かれ神々かみ〴〵にあらぬこと明白あらはなれば、これをおそるな。
17 ひと使用もちふるうつは一度ひとたびやぶれなばまた價値あたひなし。かれらの神々かみ〴〵またおなじ、かれ神殿みやゑらるるとき、そのみやおとづるる人々ひと〴〵みちちりにてうづもる。
18 わうそむき、さだめらるるがごとものふせがんとてとびらかたとざすがごとく、祭司さいしとびらぢやうかんのきとをもて、みやかたとざし、盜賊たうぞくらにきずつけられぬやう神々かみ〴〵まもるなり。
19 かれらはみづからのためよりもおほくの燈明あかりとも
すとも、其等それら神々かみ〴〵ることをえず。
20 かれらはみやうつばりひとつのごとく、ふもの彼等かれらとそのころもくらときひと彼等かれらこゝろくらつくされたりといふ。しかもかれらはかんぜざるなり。
21 そのかほ神殿しんでんのぼけむりにてけ、
22 そのからだ、そのかしらうへには蝙蝠こうもりすゞめ、また小鳥ことりねこなどきたりてうづくまる。
23 これをかれらの神々かみ〴〵にあらざることをるべし。さればなんぢかれらをおそるな。
24 かれらをうるはしくするためにかざ黄金こがねも、そのさびぬぐはずばかゞやかず。かれらそのかゞやかさるれどもかんずることなし。
25 かれらはそのうちいきなくして、いともあたひたかはれたるのみ。
26 かれらにあしなければ人々ひと〴〵かたになはる。これかれみづから、かれらになに價値あたひもあらずとるなり。
27 かれらにつかふるものまたみづかづ。そはかれたふれなばみづかあなたはず、それを眞直ますぐくともみづかうごあたはず、ゆがめられなば、みづからつくろふあたはざるべし。されど人々ひと〴〵ねるものになすごとく、かれらのまへ供物そなへものをささぐるなり。
28 彼等かれらさゝげられたる犠牲いけにへは、彼等かれら祭司さいしこれりまたむさぼる。またそのつまかれらにならひてきところをしほにす。されどまずしきものよわ
ものにはわかつところあるなし。
29 經期けいきにあるをんな産褥さんじよくにあるもの、またかれらの犧牲いけにへくらふ。これによりてるべし、かれらは神々かみ〴〵にあらず。かれらをおそるな。
30 かれらいかで神々かみ〴〵ならんや。そは婦人をんなきんぎんもてつくれる神々かみ〴〵まへにくをささぐればなり。
31 しかして祭司さいしきたるころもまとひ、かしらひげとをり、そのうなじおほふことなくしてみやし、
32 埋葬まいさうしき人々ひと〴〵人々ひと〴〵すごとく、神々かみ〴〵まへえまたさけぶなり。
33 祭司さいしらはまた、神々かみ〴〵衣服ころもぎてかれらの妻子つまこらにまとはしむ。
34 ひと神々かみ〴〵むかひてなすことは、あくなりとも、ぜんなりとも、かれらこれにたいしてむくゆるあたはず。かれらにわうつるちからなく、またはいするちからもなし。
35 かれらまた富貴とみあたへえず、財寶たからあたず、ひとありてかれらにちかひてまたこれやぶるとも、かれむることなし。
36 かれ一人ひとりをもよりすくはず、またよわきものを勢力ちからあるものよりすくあたはず。
37 かれ盲者めしひひらきてえしむるあたはず、悲歎なげものたすくることなし。
38 かれ寡婦やもめ哀憐あはれみほどこさず、孤兒みなしごかへりみず。
39 黄金こがね白銀しろがねりてかざれる木造もくざう神々かみ〴〵は、やまよりいだされたる石塊いしくれごとし、彼等かれらはいするもの屈辱はづかしめくべし。
40 カルデヤびとすらうやまはざるを、たれかれらを神々かみ〴〵しんじ、また神々かみ〴〵ばんや。
41 祭司さいし物言ものいはざる唖者おふし見出みいださば、これともなきたり、あたかさとものごとくに、ベルかみばはらんことを懇願こんがんす。
42 されどかれみづかこれさとあたはずしてつ。そはかれらに知識ちしきなければなり
43 つなにてのまはりをかれ、ぬかきてかうとし、みちするをんな、そのそばぐるものいざなはれてこれともねなば、そのともそしりておのれにまさるものにあらず、またそのつなられざりしといはん、
44 かれらのうちにさるるはみな虛僞いつはりなり。さればかれらはいかで神々かみ〴〵おもはれ、またはれん。
45 かれらは木匠こだくみ鍛冶かぬちにてつくらる。かれらは工匠たくみによりてのみ存在ありうるなり。
46 またかれらをつくれるものもその生命いのちいとはかなし。いかなれば、かれらのれるものを神々かみ〴〵ふや。
47 かれらはのちきたものに、虛僞いつはり恥辱はぢとをのこしたり。
48 戰爭たゝかひもしくは災禍わぎはひかれらにのぞときは、祭司さいしひそかなるところにてたがひはかる。
49 如何いかなれば人々ひと〴〵かれらの神々かみ〴〵にあらぬをさとざる。かれらはみづからをたゝかひよりすくあたはず、災禍わぎはひよりのがれしむるあたはず。
50 彼等かれちはただ木材もくざい金銀きんぎんとにてかざれるものにぎざれば、いまよりのちかれらの虛僞いつはりなることあきらかなるべし。
51 またかれらは神々かみ〴〵にあらず、ひとさくぎずして、かれらのうちかみ御業みわざなきこと、諸國しよこく諸王しよわうこと〴〵あらはるべし。
52 されば、たれかれらの神々かみ〴〵にあらざることをりえざる。
53 かれらはくにわうつるあたはず、人々ひと〴〵ためあめらしむるあたはず、
54 またみづからの事件ことがらさばあたはず、あやまりすともたゞあたはず。かれらはてんとのあひだからすごとし。
55 ゆゑ火事くわじおこりて、木材もくざいもしくは金銀きんぎん鍍金めつき神々かみ〴〵いへおそときかれらの祭司さいしり、神々かみ〴〵みづからは横梁はりごと微塵みぢんせん。
56 かつかれらはわうまたてきこうするあたはず。いかなればかれらを神々かみ〴〵となし、神々かみ〴〵ぶべき。
57 さらにまた木材もくざいまた金銀きんぎん鍍金めつき此等これち神々かみ〴〵盜賊とうぞくおよ強盜ごうとうよりのがるるあたはず。
58 かれらがまとへる黄金こがね白銀しろがね衣裳ころもも、つよきものきたりてうばる。されどかれらこれを如何いかんともするあたはず。
59 ゆゑかゝ虛僞いつはり神々かみ〴〵たらんよりはむしわうとなりて、その能力ちからしめすにかず、もしくは所有者もちぬしえきする、いへうちのなくてならぬうつはとなるにかず、あるひかゝ虛僞いつはり神々かみ〴〵たらんよりは、いへとびらとなりて、いへうちにあるものを安全やすらか守護まもるにかず、あるひみや圓柱はしらとなるにかず。
60 そは太陽つきほしひかかゞやきてその責務つとめはたし、かつ柔順じゆうじゆんなり。
61 かく電光いなづまりかがやきて、るにうるはしく、かぜはまたすべての國々くに〴〵きめぐるなり。
62 またかみ一度ひとたび全世界ぜんぜかいおほはんことをくもめいたまへば、くもゆいぜらるるまゝこれ
はたす。
63 またもろ〳〵をかもりとをほろぼさんためにでんよりおくらるるや、そのめいぜられたるがごとくす。されどこれらの神々かみ〴〵は、その外貌みえおいても、また能力ちからおいても、かれらのごとくにあらざるなり。
64 さればかれらを神々かみ〴〵おもふべきにあらず、またぶべきにあらず。彼等かれら事件ことがらさばきえず、人々ひと〴〵々にぜんしえず。
65 ゆゑれ、かれらは神々かみ〴〵あらず、かれらをおそるな。
66 そはかれわうたちをのろあたはず、またしゆくするをず。
67 また異邦人いはうじんてん休徴しるししめあたはず、太陽ごとかゞやかず、つきごとでず。
68 野獣やじうなほかれらにまさる。そはかれ草叢くさむらみてみづかたすく。
69 さればかれらの神々かみ〴〵なることはけつして我等われらあらはれず、かれらをおそるな。
70 胡瓜畑きうりばたけけられたる案山子かゝしちからなきがごとく、かれ木材もくざい金銀きんぎん鍍金めつき神々かみ〴〵むなし。
71 また、木材もくざい金銀きんぎん鍍金めつき神々かみ〴〵果樹園くわじゆゑん山櫨子さんざしのごとし。小鳥ことりきたりてそのうへとゞまる。また暗黑くらきてらるる屍骸しかぱねごとし。
72 なんぢかれらの神々かみ〴〵にあらざることを、かれらのまとへるきらめむらきころもやぶるるによりてるべし。しかしてかれらもまたのちくらつくされ、くにうち恥辱はづかしめとなるべし。
73 ゆゑ偶像ぐうぞうたざるたゞしきひととなるにかず。かかるひと恥辱はづかしめくることなかるべし。