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ちかひけるそや。また常在灵山（じやうざいれうぜん）の釈迦瞿曇（しやかくどん）も。耳（みゝ）を そばたてたしかに聞け。弥陀（みだ）の願意（ぐわんい）を顕（あらは）すとて。是為（ぜい） 甚難（じんなん）の説（せつ）を演（の）べ。我見是利（がけんぜり）のそらごとは。何の利（り） 益（やく）を見けるぞや。それさへ有に。十方恒沙（ごうじや）の諸佛（しよふつ）まで 廣長舌相（くわうちやうぜつさう）の実言（じつごん）は。何を信（しん）ぜよとの證誠（しやうぜう）そや。かゝ る不実（ふじつ）なる佛教（ぶつけう）共が世に在（あ）るゆへ。あらぬそらごとの 口まねし。誠の時に至ては現證（げんしやう）少しもなきゆへに。か ほどの大場（ば）て恥辱（ちぢよく）に及ぶ口をしや。但（ただ）し此方にあや まり有（あり）て。そのりやく顕（あらは）れずんば。佛をめり法を譏（そし）る 急（いそ）ひで守護神（しゆごじん）をつかはし。只今我身をけさくべし。それ さなき物ならば我爰（こゝ）にてげんぞくし外道（げだう）の法を学（まな）び て佛法を破滅（はめつ）せんぞと。高聲（こうしやう）に呼（よば）わりたけつて。本の 座敷になをり給ふ時は。いかなる怨灵（おんれう）執對人（しつたいじん）も足（あし）をた むべきとは見へざりけり。されども累はと問（とひ）給ふに。又もとのご とく答（こたふ）る時。和尚きつと思ひ付たまふは実（げ）に〳〵われら あやまりたり。その當人（たうにん）のなき時こそ我〻ばかりの称（しやう） 名廻向（ゑかう）も。薫發直出（くんほつじきしゆつ）の理（り）にかなわめ。既（すで）に罪人（ざいにん）爰（ここ）に 在り。彼（かれ）にとなへさせて爾るべし。是ぞ観經（きやう）に説所（とくところ）の 十悪（あく）五逆（ぎやく）のざい人。臨終知識（りんじうちしき）の教化（けうけ）に値（あ）ひ。一声十念（いつしやうじうねん） の功（こう）により決定往生（けつじやうわうじやう）と見へたるは。こゝの事ぞとおもひ きわめ。菊に向てのたまふは。汝（なんぢ）我（わが）ことばにしたがひ十 たび。念佛をとなふべしとあれば。菊がいわく。いなとよ