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明治元訳新約聖書(大正4年)/約翰傳福音書

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[千七百九十七]
新約全書しんやくぜんしょ約翰福音書ヨハネでんふくいんしょ

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第一章

[編集]

[1] 元初はじめことばありことばかみともにありことばすなはかみなり
2 このことば太初はじめかみともあり
3 萬物よろづのものこれによりつくらるつくられたるものひとつとしてこれらでつくられしハなし
4 これいのちあり此生このいのちひとひかりなり
5 ひかりくらきくらきこれさとらざりき
6 さてこゝにかみつかはたまへるヨハ子いへものあり
7 そのきたりしハあかしためなりすなはひかりひかりつきあかしなしすべてのひとをしておのれよりしんぜしめんがためなり
8 かれひかりあらひかりつきあかしなさためきたれり
9 そはすべてのひとてらまことひかりきたれり
10 かれにありかれつくられたるにこれをしら
11 かれおのれくにきたりしに其民そのたみこれをうけざりき
12 かれうけそのしんぜしものにハちからたまひてこれかみなせ
13 かかひと血脈ちすぢよるあら情慾じょうよくよるあらひとこゝろよるあら唯神たゞかみよりうまれしなり
14 それ道肉體ことばにくたいなり我儕われらうちやどれり我儕われらそのさかえみるまことちゝうみたまへる獨子ひとりごさかえにして恩寵めぐみ眞理まことにてみて


15 ヨハ子これあかしなしよびいひけるハわれさきにわれおくきたらんものわれよりまされるものなり蓋我そはわれよりさきありものなれバなりいひしハ此人このひとなり
16 我儕われらみなかれ充満みちたる其中そのうちよりうけ恩寵めぐみ恩寵めぐみくはへらる
17 律法おきてモーセよりつたは恩寵めぐみ眞理まことイエスキリストよりきたれり
18 いまかみひとあらずたゞうみたまへる獨子ひとりごすなハちちゝふところ在者あるもののみこれあらはせり


19 ユダヤ人祭司びとさいしとレビのひとエルサレムよりヨハ子もとつかはなんぢたれぞととはしめるときあかしせることごと
20 かれかくところなく言顯いひあらはしてわれキリストあらずとあきらかにいへ
21 またとひけるハさらなんぢたれエリヤなるかいなこたまたなんぢハ
[千七百九十八] の預言者よげんしゃなるとひしにしからずとこたへたり
22 こゝおい彼等かれらまたとひけるハなんぢたれなるか我儕われらつかはしゝもの我儕われらこたへ爲得なしうるやう我儕われらつげなんぢみづから如何いかいふ
23 ヨハ子いひけるハわれすなはしゅみちなほくせよとよべひとこゑなり預言者よげんしゃイザヤいへるがごと
24 そのつかはされたる人々ひとゞゝハパリサイのひとなりき
25 彼等かれらまたヨハ子とふいひけるハさらなんぢキリストあら預言者よげんしゃにもあらずしてなんぞバプテスマをほどこすや
26 ヨハ子こたへいひけるはわれみづてバプテスマをさづされ爾曹なんぢらしらざるところのもの一人ひとりなんぢらのうちたて
27 われおくきたりてわれまされるものとはこれなりわれ其履そのくつひもとくにもたらざるものなり
28 此事このことヨハ子のバプテスマをほどこしゝヨルダンむかふなるベタニヤにてありなり


29 明日あくるひヨハ子イエスおのれきたるをいひけるはつみかみこひつじ
30 われおくきたらんものわれよりまされるものなり蓋我そはわれよりまされるものなり蓋我そはわれより以前さきありものなればなり我言わがいひしは此人このひとなり
31 われもとより此人このひとしらされ我來わがきたりみづにてバプテスマをほどこすはかれイスラエルたみあらはさんがためなり
32 ヨハ子またあかししていひけるはわれみたま鴿はとごとてんよりくだりて其上そのうへとどまれるをたり
33 われかれしらざれどわれつかはみづにてバプテスマをほどこさしめしわれにいひけるは爾靈なんぢみたまくだりて其上そのうへとゞまるをかれ聖靈せいれいてバプテスマをなすものなり
34 われこれを其神そのかみたるをあかしせり
35 明日あくるひまたヨハ子二人ふたり弟子でしともたち
36 イエスあるくかみこひつじよといふ
37 如此かくいへるを弟子聞でしきゝイエスしたがゆけ
38 イエス彼等かれらしたがふを回顧かへりみ爾曹なんぢらなにをもとむるやと彼等かれらとふこたへてラビ何處いづくやどるやといふラビをとけいふなり
39 イエス彼等かれらきたよといひたまひけれバつひゆき其住そのやどたまところ是日このひともやどれりときひる四時よじ
[千七百九十九] ろなりき
40 ヨハ子いひこときゝイエスしたがへる二人ふたりもの其一人そのひとりシモンペテロ兄弟きゃうだいアンデレなり
41 かれまづその兄弟きゃうだいシモンあひいひけるは我儕われらメッシヤにあへりメッシヤをとけキリストなり
42 すなはかれイエス携往つれゆきしにイエスこれいひけるはなんぢヨナシモンなりなんぢケパとなへらるべしケパとけペテロなり


43 明日あくるひイエスガリラヤゆかんとしてピリポにあひわれしたがへといへ
44 ピリポアンデレペテロすめベテサイダいへまちひとなり
45 ピリポナタナエルあひいひけるは我儕われら律法おきてうちモーセのせたるところ預言者等よげんしゃたちしるしゝところものあへすなはヨセフナザレイエスなり
46 ナタナエルいひけるはナザレよりなに善者よきものいでんピリポかれいひけるはきたり
47 イエスナタナエルおのもときたるをかれをさしいひけるはまことイスラエルひとにして其心詭譎そのこゝろいつはりなきもの
48 ナタナエルイエスいひけるは如何いかにしてわれしりたまふイエスこれこたへいひけるはピリポなんぢよばざるさき無花果樹いちじくしたなんぢをれるをたり
49 ナタナエルこたへいひけるはラビなんぢかみなりなんぢイスラエルわうなり
50 イエスこたへいひけるはなんぢ無花果樹いちじくしたをれるを我見わがみしといへるに爾信なんぢしんずるかこれよりもおほいなることなんぢみるべし
51 またいひけるはわれまことにまこと爾曹なんぢらつげてんひらけてかみ使等人つかひたちひとうへ陟降のぼりくだりするを


第二章

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[1] 第三日みっかめガリラヤカナにて婚筵こんえんありしがイエスはゝこゝをれ
2 イエス其弟子そのでし婚筵こんえんまねか
3 葡萄酒罄ぶだうしゅつきければはゝイエスいひけるは彼等かれら葡萄酒ぶだうしゅなし
4 イエスかれいひけるはをんななんぢわれなんかゝはりあらんや我時わがときいまいたら
5 その母僕等はゝしもべどもむかひかれ爾曹なんぢらめいずるところこと
[千八百] よといひおけり
6 ユダヤびときよめれいしたがひて四五斗しごといり石甕六いしがめむつかしこにそなへありしが
7 イエス僕等しもべどもみづかめ滿みたせよといひけれバ彼等かれらくちまで滿みたせたり
8 またこれを今挹取いまくみとりもちゆきふるまひつかさどものわたせといひけれバ彼等かれらわたせり
9 ふるまひつかさど者酒ものさけかはりみづなめ其何處そのいづこよりきたりしをしらされみづくみしもべしれ
10 ふるまひつかさど者新郎ものしんろうよびかれいひけるはおほよひとはまづ旨酒よきさけいだ酒醋さけたけなはなるにおよび魯酒あしきさけいだすなんぢ旨酒よきさけいままでとどめおけり
11 此事このことイエスガリラヤカナにてなせるは休徴しるしはじめにして其榮そのさかえあらはせり弟子でしかれをしん


12 此後こののちイエスその母兄弟はゝきゃうだいおよび弟子等でしたちカペナウンくだ其處そのところをることひさしからずして
13 ユダヤひと逾越節すぎこしのいはひちかづきければイエスエルサレムのぼ
14 殿みやにて牛羊鴿うしひつじはと賣者うるもの兌銀りゃうがへするものゝせるとを
15 なはをもてむちをつくり彼等及かれらおよ羊牛ひつじうし殿みやより逐出おひいだ兌銀りゃうがへするものかねちら其案そのだいたふ
16 鴿はと賣者うるものいひけるは此物このものとりゆけわがちゝいへ貿易あきなひいへとするなか
17 弟子等でしたちなんぢのいへため熱心ねっしんわれをくらはんとしるされたるを憶起おもひいだせり
18 こゝユダヤびとこたへてイエスいひけるはなんぢこれらのことなすからには我儕われらなに休徴しるしみするや
19 イエスこたへ爾曹なんぢらこの殿みやこぼ我三日われみっかにてこれたてんといひけれバ
20 ユダヤびといひけるハ此殿このみやたつるには四十六年しじふろくねんしに爾三日なんぢみっかにてこれたつるか
21 イエス如此かくいへるは其身そのからだ殿みやさせるなり
22 よりよみがへたまへる後弟子のちでしたちイエス此事このことかたりしを憶起おもひいだ聖書せいしょかれいひことばしんぜり
23 さてイエス逾越節すぎこしのいはひエルサレムありしにおほくひとかれのなし休徴しるし其名そのなしんぜり
24 イエス自己みづから彼等かれらまかせそはすべてのひとしり
25 またひとこゝろうちしるゆゑひとについてあかしたつものもとめざれバなり


以下[千八百一]

第三章

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[1] ユダヤびとつかさにてパリサイのニコデモいへひとあり
2 かれよるイエスきたりいひけるはラビ我儕われらなんぢはかみよりきたりなりとしるそはかみもしひとともならずバなんぢなせるこの休徴しるしひとこれをなすことあたはざれバなり
3 イエスこたへいひけるはまことまことなんぢつげひともしあらたうまれずバかみくにみることあたはじ
4 ニコデモかれいひけるはひとはやおいぬれバ如何いか復生またうまるゝことんやふたゝはゝはらいりうまべけんや
5 イエスこたへけるはまことまことなんぢつげひとみづれいとによりうまれざれバかみくにいることあたはざるなり
6 にくよりうまるゝものにくなりれいよりうまるゝものれいなり
7 わがなんぢにあらたうまるべきこといひしをあやしするなかれ
8 かぜおのまゝふくなんぢ其聲そのおときけども何處いづこよりきた何處いづこゆくしらすべみたまよりうまるゝものかくごと
9 ニコデモこたへ如何いか此事このことあらんいふ
10 イエスこたへいひけるはなんぢイスラエルなるになほこのことしらざる
11 まことまことなんぢつげ我儕知われらしりことをいひことあかしするに爾曹なんぢら我儕われらあかしうけ
12 もしわれこといふ爾曹信なんぢらしんぜずバましてんこといはんにはいかしんずることをんや
13 てんよりくだてんにをるひとほかてんのぼりものなし
14 モーセへびあげごとひとあげらるべし
15 すべこれしんずるものほろぶることなくして永 生かぎりなきいのちうけしめんがためなり
16 それかみはそのうみたまへる獨子ひとりごたまふほどにひとあいたまへりすべかれしんずるものほろぶることなくして永 生かぎりなきいのちうけしめんがためなり
17 かみ其子そのこつかはたまへるは審判さばかんとにあらかれよりすくはんがためなり
18 かれしんずるものはさバかれずしんぜざるものすで審判さばかれたり蓋神そはかみうみたまへる獨子ひとりごしんぜざるによる
19 つみさだま所以ゆゑ光世ひかりよきたりしにひとそのおこなひあしきよりひかりあいせずかへりくらきあいすれバなり
20 すべあくをなすものひかりにく其行そのおこなひとがめられ
[千八百二] ざらんがためひかりきたらず
21 眞理まことおこなもの其行そのおこなひあらはれんがためひかりきた蓋神そはかみよりおこなへバなり


22 此後こののちイエス弟子でしユダヤいたとも彼處かしことゞまりてバプテスマをほどこ
23 ヨハ子またサリムちかアイノムありてバプテスマをほどこ彼處かしこみづおほきがゆゑなり人々來ひとゞゝきたりてバプテスマをうけたり
24 此時このときヨハ子いまひとやいれられざりき
25 ヨハ子弟子でしユダヤびと潔事きよめごとつい爭辨あらそひありけるが
26 彼等かれらヨハ子きたりていひけるはラビなんぢともヨルダンむかふありなんぢあかしせしものバプテスマをほどこすにみなかれにきたれり
27 ヨハ子こたへいひけるはひとてんよりたまふにあらざれバうくることあたはざるなり
28 われキリストあらたゞそのさきつかはされしものなりといひことあかしするもの爾曹なんぢらなり
29 新婦はなよめをもてるもの新郎はなむこなり新郎はなむこともたちて其聲そのこえきかこれよりよろこおほわれいま此喜このよろこ滿みつることをたり
30 かれかならさかんになりわれかならおとろふべし
31 天上うへよりきたもの萬物ばんもつかみにありよりいづものつきそのいふところもことなりてんよりきたもの萬物ばんもつかみあり
32 かれみづか其見そのみしところきゝところことあかしなす其證そのあかしうくものなし
33 そのあかしうけものいんをもてかみまことなることあかし
34 かみつかはしゝものかみことばかた蓋神そはかみこれにみたまたまひて限量かぎりなけれバなり
35 ちゝあいして萬物ばんもつ其手そのてさづけたり
36 しんずるものかぎりなき生命いのちをえしたがハざるもの生命いのちみることを且神かつかみいかりそのうへとゞまらん


第四章

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[1] しゅおのれの弟子でしとれることまたバプテスマをほどこせることヨハ子よりもおおしとパリサイのひときゝしをしる
2 され其實そのじつイエスみづからバプテスマをほどこせるにあら弟子でしこれをなせるなり
3 其時そのときユダヤさりまたガリラヤゆく
4 サマリアずしてゆくことあたは
5 つひサマリアスカルいへ
[千八百三] るまちいたれり此邑このまちヤコブそのヨセフあたへちか
6 こゝヤコブゐどありイエス行途たび疲倦つかれにて其井そのゐどかたはらせりときひる十二時じふにじごろなりき
7 一人ひとりサマリア婦水をんなみづくまんとてきたりけれバイエスそのをんなむかひわれのませよといふ
8 蓋弟子そはでしたち食物しょくもつかはんためにむらゆきあらざりしゆゑなり
9 サマリアをんないひけるはなんぢユダヤびとにしてなんサマリアをんななるわれのむことをもとむるやユダヤびとサマリアひととは交際まじはりざれバなり
10 イエスこたへいひけるはなんぢもしかみたまものわれのませよといふものたれなるをしらなんぢわれにもとめんさらいけるみづなんぢあたふべし
11 をんなイエスいひけるはしゅ汲器つるべなくゐど亦深またふかなんぢ何處いづこよりくみ其活水そのいけるみづもてるか
12 このゐど我儕われら先祖せんぞヤコブあたへところなりかれ其子そのこまたけものまでもみなこれをのみたりなんぢかれよりもすぐれしものならん
13 イエスこたへいひけるはすべ此水このみづ飮者のむものはまたかわか
14 されわがあたふるみづのむ永遠かぎりなくかわくことなしかつわがあたふるみづ其中そのうちにていづみとなり湧出わきいで永 生かぎりなきいのちいたるべし
15 をんないひけるはしゅかわくことなくまたこのところみづくみきたらぬためそのみづわれあたへよ
16 イエスいひけるはなんぢゆきておっと呼來よびきた
17 をんなこたへていひけるはわれおっとなしイエスいひけるはおっとなしといへるはことはりなり
18 そはなんぢさき五人ごにんおっとありていまあるものなんぢおっとあらなんぢいひしはまことなり
19 をんないひけるはしゅわれなんぢを預言者よげんしゃしれ
20 我儕われら列祖せんぞたち此山このやまにてはいしゝに爾曹なんぢらはいすべきところエルサレムなりといふ
21 イエスいひけるはをんなわれしんぜよたゞ此山このやまのみにあらまたエルサレム而己のみにもあらずして爾曹父なんぢらちゝはいすべきとききたらん
22 爾曹なんぢらはいするもの爾曹なんぢらしら我儕われらはいするもの我儕われらしるそはすくひユダヤびとよりいづるがゆゑなり
23 まことはいする者靈ものれいまことちゝはいするとききたらんいまそのときになれり夫父それちゝかく
[千八百四] のごとはいするものもとたま
24 かみれいなれバはいするものれいまことこれはいすべきなり
25 をんないひけるはキリストとなふるメッシヤのきたらんことしるかれきたらん時凡ときすべてこと我儕われらつげ
26 イエスいひけるはなんぢかたところわれそれなり
27 とき弟子でしきたりてかれをんなかたれるをあやしみけれど其何そのなにもとむるやまたなにゆゑこれをかたれるかとへものなかりき
28 をんなその水瓶みづがめのこしてまちにゆき人々ひとゞゝいひけるは
29 わがすべてなしことわれつげひときたりてキリストならず
30 こゝおい人々邑ひとゞゝむらいでイエスところきた
31 そのあいだ弟子でしかれにこひてラビしょくたまへといひけれバ
32 イエス彼等かれらいひけるはわれ爾曹なんぢらしらざる食物しょくもつあり
33 弟子でしたがひにいひけるは食物しょくもつかれおくりものたれなる
34 イエス彼等かれらいひけるはわれつかはしゝものむねしたが其工そのわざ成畢なしおはこれわがかてなり
35 なんぢら穫 時かりいれどきになるには猶四ヶ月なほしかげつありといはずやわれなんぢらにつげあげよはやはたいろづき穫 時かりいれどきになれり
36 穫者かるもの其工錢そのあたひうけ永 生かぎりなきいのちいたるべきあつかく播者まくもの穫者かるものともよろこバん
37 かれまきこれはかるいへるはこれつきまことなり
38 われなんぢらのらうせざりしところからせんとして爾曹なんぢらつかはせりほか人々勞ひとゞゝらうせしにより爾曹なんぢら其勞そのらうしたるうけたり
39 かのをんなわがなしすべてことかれわれにつげしとあかしせしことばより其邑そのまちサマリアびとおほくイエスしんぜり
40 こゝおいサマリアひとイエスところきたりてともとゞまたまはんことねがひしかばイエスこゝ二日留ふつかとゞまれり
41 かれことばよりしんぜし者前ものさきよりもおほかりき
42 かれらをんないひけるはいまなんぢのいひことよりしんずるにあら我儕われらみづからきゝまこと救主すくいぬししりたればなり


43 二日ふつかすぎてイエスこゝさりガリラヤゆけ
44 そはかれみづか預言者よげんしゃ本土ふるさとにてたふとばるゝことなしといひしによる
45 ガリラヤいたりしときガリラヤ人々彼ひとゞゝかれむかへたりそは
[千八百五] きに節筵いはひときイエスエルサレムにておこなひしすべてこと彼等かれらもその節筵いはひゆきこれたればなり
46 イエスまたガリラヤカナいたこゝさきみづさけところなりときわう大臣だいじんその子病こやまひかゝりカペナウンありけれバ
47 イエスユダヤよりガリラヤきたれることをきゝすなはイエスもとゆきカペナウンくだ其子そのこいやたまはんことをこへりそは瀕死しぬばかりなりければなり
48 イエスかれいひけるは爾曹休徴なんぢらしるし異能ことなるわざずばしんぜじ
49 彼曰かれいひけるはしゅ我子わがこしなざるさきくだたま
50 イエスいひけるはゆけなんぢのいくるなり其人そのひとイエスいひことしんじてさり
51 くだときその僕等しもべどもかれにあひつげけるはなんぢいくるなり
52 かれそのいえはじめしとき彼等かれらたづねければこたへ昨日きのふひる一時いちじねつさめたりといふ
53 ちゝイエスなんぢいくなりいひたまひしとき其時そのときおなじきことをしりおのれ其全家そのいへのものことゞゝく皆信みなしんぜり
54 この第二だいに奇跡ことなるわざイエスユダヤよりガリラヤいたりなせるなり


第五章

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[1] 厥後そのゝちユダヤびと節筵いはひありけれバイエスエルサレムのぼれり
2 エルサレム羊門ひつじもんほとりヘブル方言ことばにてベテスダといふいけあり此池このいけいつゝらうあり
3 そのなか病者やめるもの瞽者めしひ跛者あしなへまたおとろへたるものなどおほふしゐてみづうごくまて
4 そはてん使時々池つかひをりゝゝいけくだりみづうごかすことありみづうごけるのちさきだちていけいりものなにやまひによらずいえたり
5 三十八年病さんじふはちねんやみたる者一人ものひとりかしこにあり
6 イエスかれふしをるを其病そのやまひひさしきしりこれにいひけるはいえんことをねがふや
7 やめものこたへけるはしゅみづうごけるときわれたすけいけいるひとなしわれいらんとするときほかひとくだりてわれよりさきいる
8 イエスかれいひけるはおきとこ取収とりあげあゆ
9 その人立刻ひとたちどころいえすなはちとこ取収とりあげあゆめり此日このひ安息日あんそくにちなりき
10 ユダヤびといえしものいひけるは今日けふ安息日あんそくにちなれバ爾床なんぢとこ取収とりあぐるよろしからず
11 彼等かれら
[千八百六] こたへけるはわれいやしゝものわれにとこ取収とりあげあゆめいへ
12 かれらたづねけるはなんぢとこ取収とりあげあゆめといひひとたれなるぞ
13 いえものそのたれなるをしらざりきそはかしこにおほくひとをりしゆゑイエスさけたれバなり
14 厥後そののちイエス殿みやにて其人そのひとあひいひけるはなんぢすでにいえたり復罪またつみをかすことなかおそらくはさきまさ災禍わざはひなんぢにかゝら
15 其人そのひとゆきてユダヤびとおのれいやしゝものイエスなりとつぐ
16 こゝおいユダヤびとイエス窘迫せめころさんとはかそはかれが此事このことしは安息日あんそくにちなりけれバなり
17 イエス彼等かれらこたへけるは我父わがちゝいまいたるまではたらたまわれもまたはたらくなり
18 これよりユダヤびといよゝゝイエスころさんとはかるそは安息日あんそくにちおかすのみならずかみおのれちゝといひおのれかみひとしくすれバなり
19 是故これゆゑイエス彼等かれらこたへいひけるはまことまこと爾曹なんぢらつげ亦行またおこなへバなり
20 ちゝあいしてすべおのれおこなところことかれしめ爾曹なんぢらをしてあやしましめんためにかの事等ことどもよりさらおほいなることかれしめさん
21 そハちゝしにものよみがへらせていかしむるがごとおのれこゝろしたがひてひといかしむべし
22 それちゝたれをもさばか審判さばきすべゆだねたり
23 これすべてのひとをしてちゝうやまごとをもうやまはしめんがためなりうやまハざるものこれつかはしゝちゝうやまハず
24 まことまこと爾曹なんぢらつげ我言わがことばをきゝわれつかはしゝものしんずるもの永 生かぎりなきいのちたもちかつ審判さばきいたらずよりいのちうつれり
25 まことまこと爾曹なんぢらつげしに者神ものかみこゑきくとききたらんいまそのときになれりこれ聞者きくものいくべし
26 それちゝみづかいのちたもて其如そのごとにもたまひみづかいのちたもたせたり
27 またひとたるによりこれ審判さばきするの権威けんゐたまへり
28 これあやしすることなかれそははか在者あるものみな其聲そのこゑきゝいづるとききたらんとすれバなり
29 善事よきことなしものいのちうるよみがへあしき
[千八百七] ことなしものつみうるよみがへるべし
30 我何事われなにごとをもみづかおこなふことあたはきくところにしたがひて審判さばき我審判わがさばき公平たゞしそはわれわがむねおこなふことをもとめわれつかはしゝちゝむねおこなふことをもとむれバなり
31 もし我事わがことわれみづからあかしせば我證わがあかしまことならず
32 ほか我事わがことあかしするものありわれその我事わがことあかしするあかしまことなるをしる
33 なんぢらさきひとヨハ子つかはしゝに彼眞かれまことためあかしなせ
34 されどわれひとあかしうけ此事このこといふ爾曹なんぢらすくはれんがためなり
35 ヨハ子ともしひかれるともしびなり爾曹なんぢらこのみてしばら其光そのひかりよろこべり
36 われヨハ子よりおほいなるあかしあり蓋父そはちゝわれたまひ成遂なしとげしむるわざすなはち我行わがおこなところこと是父これちゝわれつかはしゝことをあかしすれバなり
37 かつわれをつかはしゝちゝわがことをあかしせり爾曹なんぢらいまだ其聲そのこゑきかいま其形そのかたち
38 そのことば爾曹なんぢらこゝろとまらざりきそはなんぢら其遣そのつかはしゝものしんぜざるによりしらるゝなり
39 なんぢら聖書せいしょ永 生かぎりなきいのちありとおもひこれ探索しらぶこの聖書せいしょわれについてあかしするものなり
40 爾曹なんぢらわがもといのちんがためにきたるをこのま
41 われひとあがめうけ
42 われ爾曹なんぢらしるなんぢらは其心そのこゝろかみあいするのあいあらざるなり
43 われ吾父わがちゝよりきたりしに爾曹なんぢらわれをうけずもしほかひとおのがよりきたら爾曹なんぢらこれをうけ
44 爾曹なんぢらたがひひとあがめうけかみよりいづあがめもとめざるものなるにいか能信よくしんずることをんや
45 爾曹なんぢらちゝうったふものわれおもなか爾曹なんぢらうったふるもの一人ひとりありすなは爾曹なんぢらたのむところのモーセなり
46 もしモーセしんぜバわれしんずべしそはモーセ我事わがことしるしたれバなり
47 もしモーセしるしゝことしんぜずバいか我言わがいひしことをしんぜんや


第六章

[編集]

[1] 此後こののちイエスガリラヤみづうみすなはちテベリアみづうみ前岸むかふわたりしに
2 許多おほく人々ひとゞゝこれにしたがそはかれがやみものなし休徴しるししがゆゑなり
3 イエスやまのぼ弟子でしとも其處そのところせり
4 とき
[千八百八] ユダヤびと踰越すぎこしいはひちか
5 イエスあげおほくひときたれるをピリポいひけるは何處いづこよりパンをかひ彼等かれらくはしむべき
6 みづか其爲そのなさんとすることしれかれこゝろみんがため如此かくいへるなり
7 ピリポこたへけるハ銀二百ぎんにひゃくのパンもひとごとにすこしづゝあたへてなほたらざるべし
8 弟子でし一人卽ひとりすなはシモンペテロ兄弟きゃうだいアンデレイエスいひけるハ
9 こゝ一人ひとり童子わらべあり麰麥おほむぎのパンいつゝちひさ魚二うをふたつもてされどこの許多おほくひと如何いかにすべきぞ
10 イエスいひけるハ人々ひとゞゝすわらせよ其處そのところおほくくさありおほよ五千人ごせんにんほどすわり
11 イエスパンをとり祝謝いのり弟子でしあた弟子でしこれをすわりひとあた又此またかくごとくにしてちいさうををも人々ひとゞゝこのみしたがひて彼等かれらあたへたり
12 みなあきたるのちイエス弟子でしいひけるハすこしうしなはざるやうに其餘そのあまりくづ拾集ひろひあつめよ
13 彼等かれらしょくせし彼五かのいつゝ麰麥おほむぎのパンの餘遺のこりくづ拾集ひろひあつめけれバ十二じふにかごみて
14 人々ひとゞゝイエスなし奇跡しるしまこときたるべき預言者よげんしゃなりといふ
15 こゝおいイエス彼等かれらきたおのれとりわうなさんとするをしりたゞひとりにてこれさけふたゝびやまいりたり
16 くるるころ弟子海でしうみくだり
17 ふねのりカペナウンむかひうみわたすでくれけれどもイエス彼等かれらきたら
18 狂風おほかぜふくによりやゝうみあれいだせり
19 一里十町いちりじふちゃうバかり漕出こぎいだせるときイエスうみあゆふねちかづくを弟子でしたちおそれたり
20 イエスいひけるハわれなりおそるゝなか
21 こゝおい弟子喜でしよろこびてかれをうけふねのせけれバたゞち其往そのゆかんとするところつき


22 明日あくるひかなたの海岸うみべたち人々ひとゞゝ昨日きのふ弟子でしのりふねほかにハふねなくかつイエス弟子でしともふねのら弟子でしのみゆけるをしる
23 此時このときテベリアよりほかふねきたりしゅいのりて人々ひとゞゝにパンをくはしゝところちかくつけ
24 人々ひとゞゝイエスこゝあら弟子でし亦在またあらざるを見彼等みかれらふねのりイエスたづねためカペナウンいたれり
25 みづうみ前岸むかふにてかれあひいひ
[千八百九] けるはラビ何時いつこゝにきたたまひし
26 イエスこたへいひけるはまことまこと爾曹なんぢらつげ爾曹なんぢらわれたづねるは休徴しるしゆゑあらずたゞパンをしょくしてあきたるがゆゑなり
27 なんぢらくつかてためはたらかずして永 生かぎりなきいのちいたかてすなはちひとあたふかてためはたらくべし蓋父そはちゝかみかれにいんしてあかしすればなり
28 これより人々ひとゞゝイエスいひけるは我儕如何われらいかなることなさかみわざなるべき
29 イエスこたへ彼等かれらいひけるはかみつかはしゝものしんずるはすなは其工そのわざなり
30 彼等かれらいひけるは我儕われらをしてなんぢしんぜしむるためなに休徴しるしなし我儕われらみするやなにわざおこなふや
31 我儕われら先祖野せんぞのにてマナをくらへりしるしててんよりパンを彼等かれらあたへてくらはしむとあるごと
32 イエスいひけるはまことまこと爾曹なんぢらつげてんよりパンを爾曹なんぢらあたへものモーセあらいまわがちゝてんよりまことのパンをもて爾曹なんぢらたま
33 かみのパンはてんよりくだりて生命いのちあたふるものなり
34 彼等かれらいひけるはしゅつねそのパンを我儕われらあたへ
35 イエスいひけるはわれ生命いのちのパンなりわれきたものうゑわれしんずるものつねかわくことなし
36 されわれなんぢらがわれてもしんぜざること爾曹なんぢらつげたりき
37 すべちゝわれあたへものわれきたらんわれきたものわれかならずこれすて
38 わがてんよりくだりしはおのれこゝろまゝおこなはんためあらわれつかはしゝものこゝろのまゝをおこなはんためなり
39 すべちゝわれあたへものをわれひとつをもうしなはず末日をはりのひこれよみがへらすはすなはわれつかはしゝちゝこゝろなり
40 おほよこれしんずるもの永 生かぎりなきいのちわれまたこれををはりよみがへらすべしこれわれをつかはしゝものこゝろなれバなり
41 こゝおいユダヤ人等びとらイエスわれてんよりくだりしパンなりといひしことにつき
42 つぶやきいひけるはかれ父母ふぼ我儕われらしるところならずやすなはかれヨセフイエスあらずやしかるになんわれてんよりくだりしといふ
43 イエスこたへいひけるは爾曹なんぢらたがひ
[千八百十] につぶやくことなか
44 われつかはしゝちゝもしひかざれバひとよくわれきたるなしわれきたりひと末日をはりのひわれこれをよみがへらすべし
45 預言者よげんしゃふみひとみなおしへかみうけんとしるされたり是故このゆゑすべちゝよりきゝまなびものわれきた
46 されちゝものなし惟神たゞかみよりきたもののみこれたり
47 まことまことわれなんぢらにつげわれしんずるもの永 生かぎりなきいのちあり
48 われ生命いのちのパンなり
49 爾曹なんぢら先祖せんぞにてマナをくらひしかどしね
50 すべ食者くらふものをしてしなざらしむるものてんよりくだれるパンなり
51 われてんよりくだりいけるパンなり若人もしひとこのパンをくらはゞかぎりなくいくべしわがあたふるパンは我肉わがにくなり生命いのちためわれこれをあたへ
52 こゝユダヤびとたがひにあらそいひけるは此人このひといかで其肉そのにく我儕われらあたへくらはしむること
53 イエスいひけるはまことまこと爾曹なんぢらつげひとにくくらは其血そのちのまざれば爾曹なんぢら生命いのちなし
54 わがにくくひわが飮者のむもの永 生かぎりなきいのちあり我末われをはりこれよみがへらすべし
55 それわがにくまこと食物くひものまた我血わがちまこと飮物のみものなり
56 わがにくくら我血わがち飮者のむものわれにをりわれまたかれにをる
57 いけちゝわれをつかはちゝより我生わがいけごとわれくらものわれよりいくべし
58 これてんよりくだれるパンなり爾曹なんぢら先祖せんぞくらひたれど尚死なほしにしマナのごときものにあらこのパンをくらものかぎりなくいくべし
59 此等これらことイエスカペナウン會堂くわいだうにてをしへなせるときいひところなり
60 弟子等でしたちのうちおほくひとこれをきいいひけるははなはだしきことばなりたれよくこれをきかんや
61 弟子でし此言このことについてつぶやくイエスみづかしり彼等かれらいひけるは此言このことばよりつまづ
62 もしひともとところのぼる如何いかに
63 生命いのちたまふものれいなりにくえきなしわがなんぢらにいひことばれいなり生命いのちなり
64 され爾曹なんぢらうちしんぜざるものありそれイエス如此かくいへるはしんぜざるものたれおのれをわたものたれといふこと元始はじめよりしればなり
65 イエス
[千八百十一] またいひけるは是故このゆゑわれさきに我父わがちゝあたへざればひとよくわれきたるなしといひしなり
66 此後こののちその弟子でしおほく返往かへりゆきイエスともあるかざりき
67 これよりイエス十二じふに弟子でしいひけるは爾曹なんぢら又去またさらんとおもふや
68 シモンペテロこたへけるはしゅ我儕われらたれゆかんや永生えいせいことばもてものなんぢなり
69 またわれもしんじてしるなんぢはいけかみキリストなり
70 イエス彼等かれらこたへけるはわれなんぢら十二人じふににんえらびしにあらずやされ其中そのうち一人ひとり惡魔あくまなり
71 シモンイスカリオテユダさしいへるなりかれ十二じふに一人ひとりにしてイエスわたさんとするものなり


第七章

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[1] 斯事このことのちイエスガリラヤ經行へめぐユダヤうちめぐることをこのまざりきそはユダヤびとかれをころさんとはかれバなり
2 さてユダヤびと構廬かりほずまひいはひちかづけり
3 こゝおいイエス兄弟きゃうだいかれにいひけるはなんぢおこなところこと弟子でしたちせんがためこゝをさりユダヤゆけ
4 そハおのれあらはさんとしてひそかことをなすものあらずなんぢこれらのことおこなはゞおのれあらはせよ
5 これその兄弟きゃうだいもなほしんぜざるがゆゑなり
6 イエス彼等かれらいひけるは我時わがときいまだいたら爾曹なんぢらときつねそなはれり
7 爾曹なんぢらにくむことあたはわれにくむそは彼等かれらおこなところあししと我證われあかしすれバなり
8 爾曹なんぢらこのいはひのぼ我時わがときいまだいたらざれバわれいま此節このいはひのぼらじ
9 如此かくいひてガリラヤとゞまれり
10 その兄弟きゃうだいゆきのちイエス昭然あらはならずしてひそかいはひのぼ
11 いはひときユダヤびとイエスたづねいひけるはかれ何處いづくある
12 衆多おほぜいうちにてかれにつき各様さまゞゝのことを言争いひあらそへり或人あるひとかれ善人よきひとなりといひ或人あるひと否民いなたみまどはものなりといふ
13 されどもユダヤびとおそるるによりあらはかれことをいふひとなし
14 節筵いはひなかばごろイエス殿みやのぼりて教誨をしへけれバ
15 ユダヤびとこれをあやしいひけるは此人このひといままなバず如何いかにしてふみしる
16 イエス彼等かれら
[千八百十二] こたへいひけるは我教わがおしふところ我教わがおしへあらわれつかはしゝものをしへなり
17 ひともしわれつかはしゝものむねしたがはば此教このをしへかみよりいづるか又己またおのれよりいふなるかをしるべし
18 おのれより言者いふものおのれほまれもとむるなりおのれつかはしゝものほまれもとむものまことなり其衷そのうち不義ふぎなし
19 モーセ爾曹なんぢら律法おきてあたへしにあらずやされ爾曹なんぢらうちにはこれまもものなし爾曹なんぢらなにゆゑわれころさんとはかるや
20 衆人ひとゞゝこたへていひけるは爾鬼なんぢおにつかれたりたれなんぢころすことをはからん
21 イエスこたへ彼等かれらいひけるはわれさきに一事ひとつのわざなししに爾曹なんぢらみなあやしとせり
22 モーセ爾曹なんぢら割禮かつれいさづけしハ其己そのおのれよりしにあらずして先祖せんぞよりものなるがゆゑなりこれより爾曹なんぢら割禮かつれい安息日あんそくにちおこな
23 ひともしモーセ律法おきてやぶらざらんがため安息日あんそくにち割禮かつれいうくときなん我安息日わがあんそくにちひと全身ぜんしんいやしゝこといかるや
24 外貌うはべによりて審判さばきするなかたゞし審判さばきをもて審判さばきせよ
25 此時このときエルサレム或人あるひといひけるはこれ人々ひとゞゝころさんとはかものあらずや
26 いまかれあらはにいふしかしてこれとがむものなし有司等つかさたちかれまことキリストなりとしるならん
27 され我儕われら此人このひと何處いづこよりきたりしをしるもしキリストきたらんときたれ其何處そのいづこよりきたるを知者しるものなからん
28 此時このときイエス殿みやにてをしへをりしが大聲おほごゑよびいひけるは爾曹なんぢらわれをしりまたわがいづこよりきたるをしるされどわれおのれよりきたりしにあらわれつかはしゝものまことなるものにて爾曹なんぢらしらざるところなり
29 われかれしるそはわれかれよりいでかれはわれつかはしゝものなればなり
30 こゝおい彼等かれらイエスとらへんとはかれりされ其時そのときいまだいたらざるがゆゑ措手てだしするものなかりき
31 たみうちおほくのひとかれをしんいひけるはキリストきたらんときそのなすところの休徴しるしこのひとよりおほからん
32 パリサイの人民等ひとたみどもイエスつき如此かくひそかにかたりあふをきくすなはち祭司さいし長等をさたちとパリサイのひとかれとらへんとて下吏したやくつかはせり
33 こゝおい
[千八百十三] エスいひけるはわれなほ片時しばらくなんぢらとともにをりしかしてのちわれをつかはしゝものゆか
34 なんぢらわれたづぬるともあふべからずわがをるところ爾曹なんぢらきたることあたはざるべし
35 ユダヤびとあひたがひいひけるは我儕われらあはざらんためかれ何處いづこゆかんとするギリシャちりものゆきギリシャひとをしへんとする
36 かれかたり爾曹なんぢらわれをたづぬるともあふべからずまたわが在所をるところ爾曹來なんぢらきたることあたはざるべしいひことばなにぞや


37 節筵いはひをはり大日おほいなるひイエスたちよばはいひけるはひともしかわかわれきたりのめ
38 われしんずるもの聖書せいしょしるしゝごと其腹そのはらよりいけ水川みづかはごとく流出ながれいづべし
39 如此かくいへるはかれしんずるものうけんとするみたまさせるなりそはイエスいまあがめうけざるによりみたまいまだくだらざれバなり
40 たみうちにておほくひとこのことばきゝまこと彼預言者かのよげんしゃなりといひ
41 あるひこれキリストなりといひあるひはキリストガリラヤよりいづべけんや
42 聖書せいしょキリストダビデすゑにてダビデすゑにてダビデすみさとベテレヘムよりいでんとしるしゝにあらずやといふ
43 こゝおいたみどもかれつきあらそわかれたり
44 其中そのなかかれとらへんとするものありけれど措手てだしせしものなかりき
45 下吏したやくども祭司さいしをさとパリサイの人等ひとたちところかへりければ彼等かれら下吏したやくいひけるはなんかれ曳來ひききたらざる
46 下吏したやくこたへていひけるはいま斯人このひとごといひひとあらず
47 パリサイのひといひけるは爾曹なんぢら亦惑またまどはされし
48 有司つかさまたパリサイのひとうちかれしんずるものあらんや
49 律法おきてしらざる此衆このおほくひとばっすべきものなり
50 そのうち一人ひとりにてよるイエスきたりニコデモいへ者彼等ものかれらいひけるは
51 其人そのひときか其行そのおこなひしらざるさきこれ審判さばくは我儕われら律法おきてならん
52 彼等かれらこたへていひけるはなんぢまたガリラヤよりいでものなるか考見たづねみ預言者よげんしゃガリラヤよりいづることなし
____________________
[The earlist and most reliable manuscripts and other ancient witnesses do not have John7:53-8:11.]
[53 こゝおい各人家おのおのいえかへれり


以下[千八百十四]

第八章

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[1] イエス橄欖山かんらんざんゆけ
2 昧 爽よのあくるころまた聖殿みやいりけるがたみみなかれきたりければすわり彼等かれらおし
3 こゝ奸淫かんいんなせるときとらへられしをんなありけるが學者がくしゃとパリサイのひとこれをイエスもと曳來つれきた群衆あつまりなかおきいひけるは
4 此婦このをんな奸淫かんいんなしをるときそのまゝとらへられしものなり
5 かくごとものいしにて擊殺うちころすべしとモーセ律法おきてうちめいじたりなんぢ如何いかいふ
6 如此かくいへるはイエスこゝろみうったへたね引田ひきいださんとおもへるなりイエスかゞゆびにてにてものかけ
7 彼等かれらしきりとふによりイエスおきこれいひけるは爾曹なんぢらのうちつみなきものまづかれいしにてうつべしといひ
8 またかゞめものかけ
9 彼等かれらこれをきゝ其良心そのりゃうしんせめられ老等としよりをはじめ少者わかきものまで一々ひとりゞゝゝ出往いでゆきたゞイエス一人ひとりのこるをんなあつまりなかたて
10 イエスおきをんないひけるはをんななんぢうったへもの何處いづこゆきしやなんぢつみさだむものなき
11 をんないひけるはたれもなしイエスかれいひけるはわれなんぢつみさだめふたゝつみをかなか
_________________

12 イエスまた人々ひとゞゝかたりいひけるはわれひかりなりわれしたがもの暗中くらきなかあるかいのちひかりうるなり
13 こゝおいてパリサイのひといひけるはなんぢみづかおのれあかしをなせりなんぢあかしまことならず
14 イエスこたへいひけるはわれみづからおのれあかしするとも我證わがあかしまことなりそはわれ何處いづこよりきた何處いづこゆくしればなり爾曹なんぢらわが何處いづくよりきた何處いづくゆくしらざるなり
15 爾曹なんぢらにくよりひと審判さばわれひと審判さばかず
16 われもしさばかば我審判わがさばきまことなりそはわれひとりあるにあらわれつかはしゝちゝともあればなり
17 二人ふたりあかしまことなりと爾曹なんぢら律法おきてしるされたり
18 わがあかしをするものわれなりわれつかはしゝちゝまたわがあかしするなり
19 彼等かれらいひけるはなんぢちゝ何處いづくあるイエスこたへけるは爾曹なんぢらわれしらまたわがちゝをもしらざるなりもしわれをしりたるならバ我父わがちゝをもしりたるならん
20 イエス此等これらのことを殿みやのうち賽錢さいせん
[千八百十五] のはこおけところにてかたりけれどかれときいまだいたらざれバたれいだものなかりき
21 イエスまたいひけるはわれゆかん爾曹なんぢらわれたづぬべし爾曹なんぢらおのれのつみしなわがゆくところへは爾曹なんぢらきたることあたはざるなり
22 これよりユダヤびといひけるはわがゆくところ爾曹なんぢらきたることあたはずといへかれ自殺じさつせんとする
23 イエス彼等かれらいひけるは爾曹なんぢらしたよりいでわれはうへよりいづなんぢらは此世このよよりいでわれは此世このよよりいで
24 是故このゆゑ爾曹なんぢらおのれつみしなんとわれいひしなり爾曹なんぢらもしわれかれなるをしんぜずバおのれつみしな
25 彼等かれらいひけるはなんぢたれなるやイエスいひけるはわれじつわがなんぢらにつぐところものなり
26 われなんぢらにつきかたべきことゝ審判さばくべきこと多端おほくありわれつかはしゝものまことなりかれきゝこと我世われよつぐ
27 ちゝさしいへるなれど彼等かれらしらざりき
28 是故このゆゑイエス彼等かれらいひけるは爾曹なんぢらひとあげしのちわれかれなるをしりまたわがみづから何事なにごとなさたゞわがちゝをしへしたがひて此等これらこといへるをしるべし
29 われつかはしゝ者我ものわれともにありちゝわれひとりおきたまはずそはわれつねかれこゝろかなことおこなへバなり
30 イエス此事このこといへるときおほくひとかれをしんぜり
31 イエスおのれしんぜしユダヤびといひけるは爾曹なんぢらもし我道わがことばをらまことわが弟子でしなり
32 かつ眞理まことしら眞理まこと爾曹なんぢら自由じゆうさすべし
33 彼等かれらこたへけるは我儕われらアブラハムすゑなりいまひと奴隷しもべなりしことなし爾曹なんぢら自由じゆうさすべしとなんぢいひしは如何いかなること
34 イエス彼等かれらいひけるはまことまこと爾曹なんぢらつげすべあくおこなものあく奴隷しもべなり
35 奴隷しもべつねいへをらつねをる
36 是故このゆゑもし爾曹なんぢら自由じゆうあたへなば爾曹なんぢらまこと自由じゆうべし
37 われなんぢらがアブラハムすゑなるをしるされどもわれころさんとはかそはわがことばなんぢらのうちあらざればなり
38 われ我父わがちゝともありしことをいひなんぢらは爾曹なんぢらちゝ
[千八百十六] ともありしことをおこな
39 彼等かれらこたへてイエスいひけるは我儕われらちゝアブラハムなりイエスいひけるは爾曹なんぢらもしアブラハムならばアブラハムわざをおこなふべし
40 しかるにいまなんぢらはかみきゝ眞理まことつぐわれころさんとはかこれアブラハムわざあら
41 爾曹なんぢら爾曹なんぢらちゝわざをおこなふなりかれらいひけるは我儕われら姦淫かんいんよりうまれず只一人たゞひとりちゝありすなはかみなり
42 イエス彼等かれらいひけるはかみもし爾曹なんぢらちゝならば爾曹なんぢらわれをあいすべしわれかみよりいできたればなりそれわれはおのれよりきたるにあらかみわれをつかはたまへるなり
43 爾曹なんぢらなんぞわがいふことしらざるやそはわがことばきくことをざればなり
44 爾曹己なんぢらおのちゝなる惡魔あくまよりいづまた其父そのちゝよくおこなふことをこのかれはじめよりひところものなり又眞理またまことをらそはかれのうち眞理まことなければなりかれがいつはりいふときはおのれよりいだしていふなりそはかれは誑 者いつはりものまた誑 者いつはりものちゝなればなり
45 われ眞理まこといふより爾曹なんぢらわれをしんぜず
46 爾曹なんぢらのうちたれわれつみさだむものあるわれ爾曹なんぢら眞理まことかたるに何故なにゆゑわれをしんぜざる
47 かみよりいでものかみことばきくなんぢらのきかざるはかみよりいでざるによりてなり
48 ユダヤびとこたへていひけるはなんぢサマリヤひとにておにつかれたるものなりと我儕われらいへるはうべならず
49 イエスこたへいひけるはわれおにつかれたるものあらわれ吾父わがちゝたふと爾曹なんぢらわれかろんずるなり
50 われ自己みつからあがめもとめずこれもとめかつ審判さばきするところものあり
51 われまことまこと爾曹なんぢらつげひともし我言わがことばまもらばかぎりなくざるべし
52 ユダヤびとかれにいひけるはいまわれらはなんぢおにつかれたるものなるをしるアブラハムすでしにまた預言者よげんしゃしねしかるになんぢいふひともし我言わがことばまもらばかぎりなくしなじと
53 なんぢ我儕われら先祖せんぞアブラハムよりもまされるものならんアブラハムすで死預言者しによげんしゃたちもしねなんぢみづからをたれする
54 イエスこたへける
[千八百十七] はわれもしみづかあがめをなさば我榮わがあがめむなわれあがむもの我父わがちゝすなはち爾曹なんぢら我神わがかみとなふところものなり
55 爾曹なんぢらかれしらわれかれをしるわれもしかれしらずといは爾曹なんぢらごと誑 者いつはりものならされわれかれしりまた其言そのことばまもるなり
56 爾曹なんぢら先祖せんぞアブラハム我日わがひんことをよろこまたこれをたのしめり
57 ユダヤびとかれにいひけるはなんぢいまだに五十ごじふにもならざるにアブラハムしや
58 イエス彼等かれらいひけるはまことまこと爾曹なんぢらつげわれアブラハムあらざりしさきより在者あるものなり
59 こゝおい衆人ひとゞゝかれをうたんとていしとれイエスかくれ其中そのなかとほ殿みや出行いでゆけ


第九章

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[1] イエスゆくとき生来うまれつきなるめしひしが
2 その弟子でしかれにたづねいひけるはラビ此人このひとめしひうまれしはたれつみなるやおのれよる又二親またふたおやよる
3 イエスこたへけるは此人このひとつみあらまたその二親ふたおやつみにもあらかれよりかみ作爲わざあらはれんためなり
4 ひるうちわれかならずわれつかはしゝものわざをなすべきなりよるきたらんそのときたれわざをなすことあたはず
5 我世われよ在時をるときひかりなり
6 此時このこといひつばきつばきにてつちときそのどろ瞽者めしひぬり
7 かれいひけるはシロアムいけゆきあらかれすなはちゆきあら目見めみることをかへれりシロアムこれとけつかはされしものとのなり
8 となり人々ひとゞゝおよびもとよりかれ乞食こつじきなりしを者等ものどもいひけるはすわりものこひひとならず
9 或人あるひとかれなりといひあるひとたるなりといふかれいひけるはわれかれなり
10 彼等かれらいひけるはなんぢ如何いかにしてあきたるや
11 こたへいひけるはイエスといふ人土ひとつちときわがぬりいふシロアムいけゆきあらへわれゆきてあらひければ目見めみることをたり
12 人々ひとゞゝかれにいひけるはかれ何處いづくをるこたへしらずといふ
13 彼等かれらこのめしひなりしものをパリサイのひともと携詣ひきいたれり
14 つちときイエスかれあけ安息日あんそくにちなりき
15 パリサ
[千八百十八] イのひとかれとひけるはなんぢ如何いかにしてあきたるやこたへけるは彼泥かれどろ我目わがめおくわれそれあらひみることをたり
16 あるパリサイのひといひけるは此人安息日このひとあんそくにちまもらざるがゆゑかみよりいでしにあら或人あるひといひけるは罪人つみびといかでかゝ奇跡しるしおこなふことをんやこゝおい彼等かれらあらそひわかれたり
17 また瞽者めしひいひけるはなんぢあけしによりなんぢかれのことなにいふこたへけるはかれ預言者よげんしゃなり
18 ユダヤびとかれの瞽者めしひなりしに見得みうるやうなりしことを其二親そのふたおや呼來よびきたるまではしんぜずすなは二親ふたおや呼來よびきたりて
19 これとひけるは此人このひと瞽者めしひにてうまれしといふところの爾曹なんぢらなるかいまいかにしてみることをたる
20 二親ふたおやかれらにこたへけるはこれ我子わがこなると生來うまれつきめしひなるとをしる
21 され今如何いまいかにして目明めあきなりしか我儕われらこれをしらまたそのあけしはたれなるしらかれ年長おとななりかれたづねかれみづからいふべし
22 二親ふたおや如此かくいひしはユダヤびとおそれしによるそはイエスキリスト言明いひあかものあらバ會堂くわいだうよりいだすべしとユダヤびとたがひに議定いひさだめたれバなり
23 二親ふたおやかれ年長おとななりかれたづねよといひしは此故このゆゑなり
24 めしひなりしものまたよびていひけるはほまれかみせよ我儕われら彼人かのひと罪人つみびとなるをしる
25 かれこたへけるは罪人つみびとなるやいなわれこれしらわれ瞽者めしひなりしが今目明いまめあきになれる此一事このひとつのことしる
26 彼等かれらまたいひけるはかれなんぢなになししや如何いかにしてなんぢあけしや
27 こたへけるはわれすでにいひしに爾曹なんぢらきかず何故なにゆゑふたゝびきかんとするか爾曹なんぢら其弟子そのでしならんとおもふや
28 かれらののしいひけるはなんぢ其人そのひと弟子でしわれらはモーセ弟子でしなり
29 かみモーセかたりこと我儕われらしれりされ此人このひと何處いづくよりきたれる我儕われらしらず
30 其人そのひとこたへけるはあやしことなりかれすでに我目わがめあけしに其何處そのいづこよりきたれるを爾曹なんぢらしらずといふ
31 かみ罪人つみびときかされかみうやまひて其旨そのむねしたがものにはきゝたまふと我儕われらしる
32
[千八百十九] 元始はじめより以來このかたうまれつきなる瞽者めしひあけひとあるをきか
33 もし此人神このひとかみよりいでずバ何事なにごとをも行得なしえざるべし
34 彼等かれらこたへていひけるはなんぢことゞゝ罪孼つみうまれものなるにかへっ我儕われらをしふるかつひかれ逐出おいいだせり
35 彼等かれら逐出おいいだしゝことをきゝイエスたづねこれあひいひけるは爾神なんぢかみしんずる
36 こたへいひけるはしゅかれとして我信わがしんずべきものたれなるや
37 イエスいひけるはなんぢすでにかれをみるいまなんぢと言 者ものいふものはそれなり
38 しゅ我信われしんずといひかれはいせり
39 イエスいひけるは我審判われさばきせんためきたすなはみえざるものをしてみえみゆものかへっめしひならしむ
40 イエスともをりしパリサイのひとこのことばきゝかれいひけるは我儕われらめしひなる
41 イエス彼等かれらいひけるは爾曹なんぢらもしめしひならバつみなかるべしされいまわれらみゆいひしにより爾曹なんぢらつみのこれり


第十章

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[1] まことまこと爾曹なんぢらつげ羊牢ひつじのをりいるもんよりせずしてほかよりこゆもの竊賊ぬすびとなり強盗がうとうなり
2 もんより入者いるもの其羊そのひつじ牧者ひつじかひなり
3 門守かどもりかれためひらひつじハそのこゑきゝかれおのれひつじよびこれ引出ひきいだ
4 かれそのひつじ引出ひきいだすときさきゆくなりひつじかれのこゑしりこれしたが
5 ひつじ別人ほかのものしたがハずかへりにぐそハ別人ほかのものこゑしらされバなり
6 イエス彼等かれら此譬このたとえいへ彼等かれらハそのかたれるところいかなるこゝろかをしらざりき
7 是故このゆゑイエスまたかれらにいひけるハまことまこと爾曹なんぢらつげわれすなはひつじもんなり
8 すべわれよりさききたりもの竊賊ぬすびとなり強盗がうとうなりひつじそのこゑきかざりき
9 われもんなり若人もしひとわれよりいらすくは且出入かつでいりをなしてくさべし
10 竊賊ぬすびときたるハぬすまんとしころさんとしほろぼさんとするのほかなしわがきたるハひつじをしていのちかつゆたかならしめんためなり
11 われ善牧者よきひつじかひなり善牧者よきひつじかひひつじためいのちすつ
12 牧者ひつじかひにあらずおのひつじもたたゞやとハれてひつじまもものおほかみきたるをれバひつじすててにぐおほかみ
[千八百二十] ひつじうばひこれちら
14 われ善牧者よきひつじかひにておのれひつじしるまたおのれひつじしら
15 ちゝわれをしるごとくわれちゝしるわれひつじためいのちすて
16 われ此牢このをりにあらざるほかひつじもて彼等かれらをも引來つれきたらん彼等かれらわがこえきかついひとつ群一むれひとつ牧者ひつじかひとなるべし
17 わがちゝわれをあいそはわれふたゝいのちんがためいのちすつるがゆゑなり
18 われよりこれうばものなしわれみづからこれすつるなりわれこれをすつるの權能ちからありまたよくこれうる權能ちからあり我父わがちゝよりわれこの命令おほせうけたり
19 さてこのことばよりまたユダヤびとあらそひわかれたり
20 其中そのうちなるおほくものいひけるハおにつかれくるものなるになんかれきく
21 又或人またあるひといひけるハ是鬼これおにつかれものことばあらおに瞽者めしひあくることをよくせん


22 ふゆのころ修殿節みやきよめのいはひとき
23 イエス殿みやソロモンらうあるきけるに
24 ユダヤびとかれを環圍とりかこみていひけるハ我儕われら幾時いつまでうたがハするやなんぢもしキリストならバあきらかに我儕われらつげ
25 イエスこたへけるハわれなんぢらにつげしかども爾曹信なんぢらしんぜずちゝよりおこなわざわれについあかしするなり
26 され爾曹信なんぢらしんぜず爾曹なんぢらいひごと我羊わがひつじあらざれバなり
27 我羊わがひつじ我聲わがこえきくわれハ彼等かれらしるかれらわれしたが
28 われ彼等かれら永 生かぎりなきいのちあた彼等かれらいつまでもほろびずまたこれを我手わがてよりうばものなし
29 われ彼等かれらたまひし我父わがちゝ萬 有すべてのものよりもおほいなりまたわがちゝよりこれうばひうるものなし
30 われちゝとはひとつなり
31 こゝおいユダヤ人石びといしをとりてまたかれをうたんとせり
32 イエス彼等かれらこたへけるは我父わがちゝよりうけわれおほくの善事よきわざ爾曹なんぢらみせしにそのうちいづれわざによりてわれいしにてうたんとする
33 ユダヤびとこたへていひけるはいしにてうたんとするは善事よきわざためあらなんぢたゞ褻瀆けがすことをいひかつなんぢひとなるにおのれかみとなすによりてなり
34 イエスこたへけるは爾曹なんぢら律法おきてわれいふ爾曹なんぢら
[千八百二十一] かみなりとしるされしにあらずや
35 聖書せいしょやぶべからず若神もしかみことばうけものかみいはんには
36 ちゝ聖別きよめわかちてつかはしゝものわれはかみなりといへばとてなんこれ褻瀆けがすことをいふといふべけん
37 もしわれわがちゝわざなさずばわれしんずることなか
38 もしこれをなさわれしんぜずとも其事そのわざしんぜよ蓋父そはちゝわれにありわれちゝあることを爾曹なんぢらしりてしんぜんがためなり
39 彼等かれらまたとらへんとしたりしがイエスそののがれされ
40 かくまたヨルダンむかふなるヨハ子のバプテスマをほどこしゝところゆき彼處かしこをりけるに
41 おほくひとかれにいたいひけるはヨハ子休徴しるしなさされども此人このひとにつきてヨハ子のいひしことはみなまことなり
42 こゝおい許多おほくひとかしこにてかれしんぜり


第十一章

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[1] こゝ病者やめるものありラザロいひベタニヤひとなりベタニヤマリア其姊そのあねマルタすめむらなり
2 マリアさきしゅ香 膏にほひあぶらをぬりおのれかみをもてしゅあしぬぐひひとにて此病このやめラザロかれ兄弟きゃうだいなり
3 是故このゆゑにその姊妹しまいイエスもとしゅあいする者病ものやめりと言遣いひつかはせり
4 イエスこれをきゝいひけるはしねやまひあらかみさかえためなりかみをしてこれよりさかえしめんがためなり
5 それマルタ其妹そのいもうとおよびラザロイエスあいするところものなり
6 是故このゆゑイエスそのやめるをきゝ此處このところ二日ふつかとゞまり
7 そののち弟子でしいひけるは我儕われらまたユダヤゆくべし
8 弟子でしいひけるはラビユダヤびと近來ちかごろいしをもてなんぢうたんとせしにまたかしこにゆきたまふ
9 イエスこたへけるは一日いちにちうち十二時じふにじあるにあらずやひともし日間ひるあるかばつまづくことなしそはこのひかりみるよりてなり
10 またひともしよるあるかばつまづくべし蓋光そはひかりそのひとなきゆゑなり
11 イエス如此かくいひて後弟子のちでしいひけるは我儕われらともラザロいねたりわれかれをさまさんためゆくべし
12 弟子でしいひけるハしゅかれもしいねしならバ
[千八百二十二] いえ
13 イエスかれしにしをいへるなれど弟子等でしたちいねやすめることをいへるならんとおもへ
14 是故このゆゑイエスあきらかに彼等かれらつげいひけるハラザロしね
15 爾曹なんぢらをしてしんぜしむるためわれかしこにあらざりしをよろこされどいま彼處かしこゆくべし
16 デドモとなふトマスほか弟子等でしたちいひけるは我儕われらまたゆきてかれともしぬべし
17 イエスいたりラザロすではかほうむられて四日よっかなるをしれ
18 ベタニヤエルサレムちか其距そのへだゝることおよ廿七丁にじふしちちゃうなり
19 おほくユダヤびとマルタマリア其兄弟そのきゃうだいことよりなぐさめんとてすで彼等かれらところきたりをれり
20 マルタイエス來給きたまへりときゝこれ出迎いでむかマリアハなほいへせり
21 マルタイエスいひけるハしゅこゝいませしならバ我兄弟わがきゃうだいしなざりしものを
22 さりながら假令今たとひいまにてもなんぢかみもとむところのものはかみなんぢにあたふとしる
23 イエスいひけるはなんぢ兄弟きゃうだいよみがへるべし
24 マルタイエスいひけるはかれ末日をはりのひよみがへるべきときよみがへらんことしるなり
25 イエスかれいひけるはわれ復生よみがへりなり生命いのちなりわれしんずるものしぬるともいくべし
26 すべいきわれしんずるもの永遠いつまでしぬることなしなんぢこれをしんずるや
27 かれイエスいひけるはしゅしかわれなんぢはきたるべきキリストかみなりとしん
28 如此かくいひをはりひそか其妹そのいもうとマリアをよびきたりてなんぢよびたまへりといふ
29 マリアこれをきゝいそたちイエスもとゆけ
30 イエスいまむらいらなほマルタむかへところにをれり
31 マリアなぐさめてともいへをりユダヤびとマリアいそ起出たちいづるをかれはかゆきなげくならんといひつゝかれしたがへり
32 マリアイエスところきたかれ其足下そのあしもとふしいひけるはしゅもしこゝにいませしならバ我兄弟わがきゃうだいしなざりしものを
33 イエスマリアなげくかれともきたりユダヤびとなくこゝろいたましめふるひて
34 いひけるは爾曹何處なんぢらいづこかれおきしや彼等かれらいひけるはしゅ
[千八百二十三] きたりたまへ
35 イエスなみだながしたまへり
36 こゝおいユダヤびといひけるは如何いかバかりかれあいするもの
37 そのうちなる人曰ひといひけるは瞽者めしひひらきたる此人このひとにしてかれしなざらしむることあたはざりし
38 イエスまたこゝろいたましめてはかいたはかほらにて其口そのくちところいしおけ
39 イエスいひけるハいしのけしにもの兄弟きゃうだいマルタいひけるハしゅかれハはやくさしにすで四日よっかたり
40 イエスかれいひけるハなんぢもししんぜバかみさかえみるべしとわれなんぢにいひしにあらずや
41 つひ其石そのいししにものおきたるところより移去とりのけたりイエスてんあふぎていひけるハちゝすでわれきけわれこれをしゃ
42 われなんぢがつねわれきくことをしるしかるにわがかくいふかたはらたてひとをしてなんぢわれつかはしゝことをしんぜしめんとてなり
43 如此かくいひて大聲おほごゑよびいひけるハラザロいで
44 死者布しにしものぬのにて手足てあしまかかほ手布てぬぐひにてつゝまれていづイエス彼等かれらいひけるハかれときあるかしめよ
45 マリアともきたりユダヤびとイエスことおほかれしんぜり
46 されども其中そのうちにパリサイのひとゆきイエスことつげものあり
47 こゝおい祭司さいし長等をさたちとパリサイのひと議員ぎゐん召集よびあつめていひけるハ我儕われら如何いかにすべきこの人多ひとおほく奇跡しるしなすなり
48 もしかれこのまゝに棄置すておかひとみなかれしんぜんさらロマひときたりて我儕われらところをもたみをもうばふべし
49 其中そのうち一人ひとりにて此歳このとし祭司さいしをさなるカヤパいへ者彼等ものかれらいひけるハ爾曹何なんぢらなにをもしら
50 又民またたみため一人死ひとりしに擧國くにぢゅうほろびざるハ我儕われらえきたることをもおもはざるなり
51 此言このことばおのれよりいでしにあら此歳このとし祭司さいしをさなるによりイエス斯民このたみためしぬることを預言よげんせるなり
52 たゞ斯民このたみためのみならずちりたるかみ子民等こどもらをもひとつあつめんがためなり
53 さてこのよりして彼等かれらイエスころさんとともはか
54 是故このゆゑイエスこれよりあらはユダヤびとうちあるかず其處そこさりちか
[千八百二十四] きところなるエフライムといふまちゆき弟子でしともとゞまれり
55 ユダヤびと逾越すぎこし節近いはひちかづきければ人人己ひとびとおのれきよめんがため逾越すぎこしいはひまへ郷同ゐなかよりエルサレムのぼ
56 イエスたづ殿みやたち相互あひたがひいひけるハ如何いかおもふかれ節筵いはひきたらざる
57 祭司さいし長等をさたちとパリサイのひとすでふれいだしてもしイエス所在ありかをしるひとあらばつぐべしといふこハかれとらへんとするなり


第十二章

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[1] 逾越すぎこしいはひ六日前むいかまへイエスベタニヤいた此處こゝすなはしによみがへりしラザロ在處をるところなり
2 こゝおい或人々あるひとゞゝこのところにてイエス筵席ふるまひまうマルタ給仕きうじなせラザロイエスともせるもののうちの一人ひとりなり
3 マリア眞正まことのナルダなるあたひたかき香膏一斤にほいあぶらいっきん携來もちきたりイエスあしぬりまたおの頭髪かしらのけにて其足そのあしぬぐへりあぶらのにほひあまね室内いへのうち滿みて
4 その弟子でし一人ひとりなるイスカリオテユダすなはイエスわたさんとするものいひけるは
5 此香膏このにほひあぶらなに銀三百ぎんさんびゃくうり貧者まづしきものほどこさゞる
6 かれ如此かくいへるは貧者まづしきものおもふあら竊者ぬすびとにて且金囊かつかねいれもちそのうちいりたるものうばものなればなり
7 イエスいひけるはかれかゝはなかれわがはうむりためこれたくはへたり
8 貧者まづしきものつね爾曹なんぢらともあれわれつね爾曹なんぢらともあら
9 おほくユダヤびとイエスこゝをるしりきたたゞイエスためのみにあらまたそのよりよみがへらしゝところラザロをもんとおもへるなり
10 祭司さいし長等をさたちラザロをもころさんとはか
11 そはラザロことよりおほくユダヤびとゆきてイエスしんずるがゆゑなり


12 明日あくるひおほくの人々節筵ひとゞゝいはひきたイエスエルサレムきたらんとするをきく
13 椶櫚しゅろとりゆきてかれむかへホザナよしゅよりきたイスラエルわうさいはひなりとよばはれり
14 イエス驢馬ろばこれのる
15 しるしてシオンむすめおそるゝなかなんぢわう驢馬ろばのりきたるとあるがごと
16 弟子でし
[千八百二十五] たちはじめ此事このことさとらざりしがイエスさかえうけのち彼等かれら此事このことかれについてしるされまたそのこと人々彼ひとゞゝかれおこなひたりしを憶出おもひいだせり
17 イエスラザロはかより呼出よびいだしてよみがへらしゝときかれとともをりものどもあかしなせ
18 この休徴しるしなししことをきゝしにより人々ひとゞゝかれむかへたるなり
19 こゝおいてパリサイのひとたがひにいひけるは爾曹なんぢらはかところえきなきをしらずやみなかれにしたがへり


20 禮拜をがみのため節筵いはひのぼれるものうちギリシャひとあり
21 彼等かれらガリラヤベツサイダひとなるピリポきたこひいひけるはきみ我儕われらイエスまみえんことをねが
22 ピリポきたりアンデレつぐアンデレまたピリポともイエスつぐ
23 イエス彼等かれらこたへいひけるはひと子榮こさかえうくべきときいたれり
24 まことまこと爾曹なんぢらつげ一粒ひとつぶむぎもしおちしなずば唯一たゞひとつにてあらんもししなおほくむすぶべし
25 その生命いのちをしものこれうしな其生命そのいのちをしまざるものこれたもち永 生かぎりなきいのちいたるべし
26 ひともしわれつかへんとせばわれしたがふべしわれつかふものわがをるところをらひともしわれつかふれば我父わがちゝこれたふとぶべし
27 いまわがこゝろ憂悼うれへいためりなにいはんやちゝ此時このときよりわれすくひたまへといはんかいなこれがためわれこのときいたれるなり
28 ねがはくはちゝなんぢさかえあらはこのときてんよりこゑありていふわれ其榮そのさかえすであらはまたこれをあらはすべし
29 かたはらたて人々ひとゞゝこれをきゝかみなりなれりといふあるひとてん使者つかひかれにかたれるなりいへ
30 イエスこたへいひけるは此聲このこゑわがためにあら爾曹なんぢらためなり
31 斯世このよはいま審判さばきせらる斯世このよぬしはいま逐出おいいださるべし
32 われもしよりあげられなば萬民ばんみんひきわれきたらせん
33 如此かくイエスいへるは其如何そのいかなるさまにてしなんとするをしめせるなり
34 人々ひとゞゝかれにこたへいひけるは我儕われら律法おきてにてキリストかぎりなく在者をるものなりときゝしに爾人なんぢひとかならずあげられんといふなんぞや此人このひととはたれなる
35 イエス彼等かれら
[千八百二十六] にいひけるはなほ片時しばらくのあひだひかりなんぢらとともにありひかりあるうちあるきくらき追及おいつかれざるやうくらきあるもの其行そのゆくべきかたしら
36 なんぢらひかりなるべきためにひかりのあるうちひかりしんぜよイエスこれ言畢いひをは彼等かれらさけかくれたり


37 イエス彼等かれらまへ如此かくおほくの休徴しるしなしたれどもなほかれをしんぜざりき
38 預言者よげんしゃイザヤがいひしこと我儕われらつげことしんぜしものたれぞやしゅたれあらはれしあるかなへり
39-40イザヤまたいふ彼等目かれらめにて見心みこゝろにてさとあらためていやさるゝことをざらんがためかれそのくらく其心そのこゝろ頑梗にぶくせりと此故このゆゑ彼等かれらしんずることあたは
41 イザヤかれさかえしによりかれつい如此かくかたれるなり
42 され有司等つかさたちうちおほかれしんぜしものありしがパリサイのひとおそれあらはしんずるといはざりき其會堂そのくわいだうよりしりぞけられんことをおそれたるによる
43 これ彼等かれらかみほまれよりひとほまれこのめるなり
44 イエスよばゝいひけるはわれしんずるものわれしんずるにあらわれつかはししものしんずるなり
45 またわれを見者みるものわれつかはしゝものみるなり
46 われひかりにしてきたれりすべわれしんずるものをしてくらきをらざらしめんためなり
47 ひともしことばきゝまもらざるともこれ審判さばかず我來わがきたりしは審判さばかんためにあらすくはんためなり
48 われすてわがことばいれざるものをさばくものありすなはわがいひしことばをはりのこれを審判さばきすべし
49 そはわれおのれよりいふあらわれつかはしゝちゝわがいふべきことわがかたるべきことをめいたまへるなり
50 そのめいたまところすなは永 生かぎりなきいのちなるをわれしる是故このゆゑわがいふところちゝ告給つげたまふまゝにいへるなり


第十三章

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[1] 逾越すぎこしいはひまへイエス此世このよさりちゝかへるべきときいたれるをしりありおのれたみすであいをはりいたるまでこれあいせり
2 とき彼等かれら晩飯ゆふげせきにつく惡魔あくまはかねてイエスわたさんとす
[千八百二十七] ることシモンイスカリオテユダといふものこゝろおこさしめたり
3 イエスおのれちゝ萬物すべてのものたまひしことゝかみよりきたかみかへることゝをしり
4 晩飯ゆふげせきたち上衣うはぎをぬぎ手巾てぬぐひとりこしまと
5 しかしてたらひみづをいれ弟子でしあしあらひ其束そのまとひたる手巾てぬぐひにてふきはじめ
6 つひシモンペテロおよペテロかれいひけるはしゅなんぢわがあしあらふか
7 イエスこたへいひけるは我爲わがなすことをなんぢいましらのちこれをしるべし
8 ペテロかれいひけるは爾斷なんぢたえ我足わがあしあらふべからずイエスこたへけるはもしわれなんぢあらはずバなんぢわれ干渉かゝはりなし
9 シモンペテロかれいひけるはしゅたゞ我足わがあしのみならずかうべをもあらひたまへ
10 イエスいひけるはあらひたるものあしのほかあらふにおよばしかしてまったきよ爾曹なんぢらきよされどもことゞゝくは潔者きよきものあら
11 イエスおのれわたさんとするものたれなるをしるゆゑにことゞゝくは潔者きよきものあらずといへるなり
12 彼等かれらあしあらひのちその上衣うはぎとりまたすわり彼等かれらいひけるはわがなんぢらになしことしる
13 爾曹なんぢらわれをよびまたしゅよぶなんぢらのいふところはよしわれはまことこれなり
14 われ爾曹なんぢらまたしゅなるになほなんぢらになしごと爾曹なんぢらまたたがひにあしあらふべし
15 われなんぢらにれいしめせりわれなんぢらになしごと爾曹なんぢらにもなさしめんがためなり
16 われまことまこと爾曹なんぢらつげしもべ其主そのしゅよりおほいならず又使者またつかひこれつかはものよりおほいならず
17 爾曹なんぢらもしこれしりかくごとなささいはひなり
18 わがいひしところ爾曹なんぢらすべさせるにあらわれ我選わがえらびものをしるしかれども聖書せいしょわれともしょくするものわれにそむきくびすあげしとしるされしにかなはせんためなり
19 そのこといたらんときなんぢらわれしんじてキリストとせんため其事そのこといたらざるいまよりこれ爾曹なんぢらつぐ
20 まことまこと爾曹なんぢらつげ我遣わがつかはものうくるはわれうくるなりわれうくるはわれつかはしゝものうくるなり
21 イエス此事このこといひこゝろうれあかししていひけるハまことまことなんぢ
[千八百二十八] つげ一人ひとりなんぢらのうちわれ賣者わたすものあり
22 弟子でしたちたがひかほあハせたれさしいへるなるうたが
23 イエスあいする一人ひとり弟子でしイエスむねよりてありしが
24 シモンペテロたれさしいへるなるとはしめんとかうべをもてしめせり
25 イエスむねよりをりものイエスいひけるはしゅたれなるか
26 イエスこたへけるハ我一撮わがひとつまみ食物くひものものつけあたふひとそれなりとてつひ一撮ひとつまみ食物くひものものつけシモンイスカリオテユダあた
27 かれ一撮ひとつまみものうけ其時そのときサタンかれいれこゝおいイエスかれいひけるはなんぢなさんとすることすみやかに
28 かれ何故なにゆゑ如此かくいひしかをともせき在者をるものどものうちしるものあらざりき
29 或人あるひとユダ金囊かねいれあづかれるゆゑイエスかれをして節筵いはひについてもちゐべきものかはしむるならんかまた貧 者まづしきものほどこさしむるならんとおもへ
30 さてかれは一撮ひとつまみ食物くひものうけたゞちいでたりときすでよるなりき
31 かれいでのちイエスいひけるは今人いまひと子榮こさかえをうくかみまたかれよりさかえうくるなり
32 かみもしかれよりさかえうくときかみまたみづからのさかえうちかれさかえしむたゞちかれさかえしめん
33 小子をさなごわれなほ片時しばらくなんぢらとともにあり爾曹なんぢらわれをたづねわがゆくところ爾曹なんぢらいたることあたはさきこれユダヤびとにいふいままたこれ爾曹なんぢらつぐ
34 われ新 誡あたらしきいましめ爾曹なんぢらあたすなは爾曹相愛なんぢらあひあいすべしとのこれなりわがなんぢらをあいするごと爾曹なんぢら相愛あひあいすべし
35 爾曹なんぢらもし相愛あひあいせバこれより人々爾曹ひとゞゝなんぢら我弟子わがでしなることをしるべし
36 シモンペテロかれいひけるはしゅいづこへ往給ゆきたまふやイエスかれこたへけるは我往わがゆくところへはなんぢいましたがふことあたはのちわれにしたがはん
37 ペテロかれいひけるはしゅ何故なにゆゑいまなんぢにしたがふことあたはざるかわれなんぢため我命わがいのちすて
38 イエスかれこたへけるは爾命なんぢいのちわがためにすつるやまことまことなんぢつげにはとりなかざるまへ爾三次なんぢみたびわれをしらずといは


第十四章

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[1] なんぢらこゝろうれふることなかかみしんまたわれをしんずべし
2 わがちゝいへにハ第宅すまひおほししからずば我預われかね爾曹なんぢらこれつぐべきなりわれなんぢらのためところそなへゆく
3 もしゆきわれなんぢらのためところそなへまたきたりて爾曹なんぢらわれうくべしわがをるところ爾曹なんぢらをらしめんとてなり
4 爾曹なんぢらわが往所ゆくところしりまた其途そのみちしる
5 トマスいひけるハしゅ我儕われらなんぢの往所ゆくところしらいかにして其途そのみちしらんや
6 イエスかれいひけるはわれみちなりまことなり生命いのちなりひともしわれよらざればちゝところゆくことあたは
7 もしなんぢらわれしら我父わがちゝをもしるべしいまより爾曹なんぢらかれをしるなりすで爾曹彼なんぢらかれたり
8 ピリポかれいひけるはしゅ我儕われらちゝあらはたまさらたれ
9 イエスかれいひけるはピリポわれかくひさし爾曹なんぢらともをりしにいまわれしらざるかわれものちゝしなりなんちゝ我儕われらあらはせといふ
10 われちゝにをりちゝわれをることをしんぜざるわれ爾曹なんぢらかたりことみづかかたりしにあらわれにをるちゝそのわざをなせるなり
11 われちゝにをりちゝわれにをるわがつげしことしんぜよ若信もししんぜずば我事わがわざよりこれしんずべし
12 まことまこと爾曹なんぢらつげわれしんずるもの我行わがなすところのわざなさ且此かつこれよりおほいなることなすべしそはわれ我父わがちゝゆけばなり
13 爾曹なんぢらすべて我名わがなよりねがところのことハわれすべてこれなさちゝさかえよりあらはれんがためなり
14 もしなんぢら何事なにごとにても我名わがなよりねがハゞわれこれをなさ
15 もしなんぢらわれあいするならば我 誡わがいましめまも
16 われちゝもとめちゝかならずべつなぐさむもの爾曹なんぢらたまひかぎりなく爾曹なんぢらともをらしむべし
17 これすなは眞理まことみたまなりこれをうくることあたはそはこれをまたしらざるによるされど爾曹なんぢらこれしるそハかれなんぢらとともをりかつ爾曹なんぢらうちあればなり
18 われなんぢらをすて孤子みなしごとせずまたなんぢらにきたら
19 しばらくせばわれをみることなしされ爾曹なんぢらわれみるわれいくれば爾曹なんぢらいき
[千八百三十] 20 その爾曹なんぢらわれ吾父わがちゝをりなんぢらわれをりわれ爾曹なんぢらをることをしるべし
21 我 誡わがいましめたもちてこれまもものすなはわれあいするなりわれあいするなりわれあいするもの我父わがちゝあいせらるわれまたこれをあいしてかれ自己みづからあらはすべし
22 イスカリオテならざるユダかれいひけるハしゅ如何いかにして自己みづから我儕われらあらはにハあらはさゞる
23 イエスこたへかれいひけるハ若人もしひとわれをあいせば我言わがことばまもらまたわがちゝこれあいせん我儕われらきたりてかれともすむべし
24 われあいせざるもの我言わがことばまもらず爾曹なんぢらきくところのことば我言わがことばあらわれつかはしゝちゝことばなり
25 われ爾曹なんぢらともをり此等これらのことを爾曹なんぢらかたり
26 わがよりちゝつかはさんとする訓慰師なぐさむるものすなはち聖靈せいれい衆理すべてのこと爾曹なんぢらをしへまたわがすべ爾曹なんぢらいひしことを爾曹なんぢら憶起おもひいださしむべし
27 われ平安やすき爾曹なんぢらのこ我平安わがやすき爾曹なんぢらあたわがあたふるところあたふところごときにあら爾曹心なんぢらこゝろうれふなか又懼またおそるゝなか
28 われゆきてまたなんぢらにきたらんと我曰わがいひこと爾曹なんぢらきけりもしわれをあいせばちゝゆくわがいへること爾曹なんぢらよろこべきなりそはわがちゝわれよりおほいなればなり
29 こといまだならわれまづ爾曹なんぢらにつぐ事成ことならんときに爾曹なんぢらこれをしんずべきためなり
30 此後こののちわれおほくことばをもて爾曹なんぢらかたらそはこのぬしきたるゆゑなりかれわれにかかはることなし
31 されわれこれをなすわれちゝあいまたそのめいぜしことにしたがひておこなふことをしらしめんがためなりたて我儕われらこゝをさるべし


第十五章

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[1] われまこと葡萄樹ぶだうのきわがちゝ農夫のうふなり
2 われありすべむすばざるえだちゝこれを剪除きりとりすべてをむすぶえだこれきよそはますゝゝしげむすばしめんためなり
3 いまなんぢら我曰わがいひことばによりてきよくなれり
4 爾曹なんぢらわれにをれさらばわれまた爾曹なんぢらをらえだもし葡萄樹ぶだうのきつらならざればみづかむすぶことあたは爾曹なんぢらわれつらならざれば亦此またかくごとくならん
5 われ葡萄樹ぶだうのきなんぢらは其枝そのえだなりひともしわれ
[千八百三十一] にをりわれまたかれにをらおほくむすぶべしそはもし爾曹なんぢらわれをはなるゝとき何事なにこと行能なしあたはざればなり
6 ひともしわれをらざればはなれたるえだごとそとすてられてかるるなりひとこれをあつ投入なげいれやくべし
7 爾曹なんぢらもしわれをりまたわがいひしことなんぢらにすべねがふところもとめしたがひてあたへらるべし
8 爾曹なんぢらおほくのむすばゞ我父わがちゝこれによりほまれをうくされ爾曹なんぢらわが弟子でしなり
9 ちゝわれあいたまごとわれなんぢらをあい爾曹なんぢらわがあいにをれ
10 もしなんぢらに我誡わがいましめまもら我愛わがあいおらわれわがちゝいましめまもり其愛そのあいをるごと
11 われこのこと爾曹なんぢらかたるはよろこびなんぢらにあり爾曹なんぢらよろこびみたしめんがためなり
12 わがなんぢらをあいするごと爾曹なんぢらまたたがひにあいすべしこれわがいましめなり
13 ひとそのともためおのれ生命いのちすつるハこれよりおほいなるあいハなし
14 すべわがなんぢらにめいずるところことおこなハゞすなは我友わがともなり
15 いまよりのちわれ爾曹なんぢらしもべいは蓋僕そはしもべ其主そのしゅなすことをしらざれバなりわれさきに爾曹なんぢらともよべわれなんぢらに我父わがちゝよりきゝところのことをことゞゝつげしによる
16 なんぢらわれえらばわれなんぢらをえらべり且爾曹かつなんぢらをしてゆきむすば其實そのみたもたしめんがためまた爾曹なんぢらすべ我名わがなよりちゝねがところものかれをして爾曹なんぢらたまはらせんがためわれなんぢらをたてたり
17 なんぢらたがひあいせんがためわれこれをめい
18 もし爾曹なんぢらにくむときは爾曹なんぢらよりもさきわれにくむしれ
19 爾曹なんぢらもしものならばおのれものあいすべしされ爾曹なんぢらものならずわれなんぢらをよりえらびたりこれよりなんぢらをにく
20 しもべ其主そのしゅよりおほいならずとわがなんぢらにいひことこゝろとめひともしわれ窘迫せめ爾曹なんぢらをも窘迫せめもし我言わがことばまもら爾曹なんぢらことばをもまもるべし
21 され彼等かれらわれつかはしゝものしらざるによりわがゆゑをもて此等これらこと爾曹なんぢらくはふべし
22 われもしきたりかたらざりしならば彼等かれらつみなからんされいま其罪そのつみ
[千八百三十二] ひひらくべきやうなし
23 われにくものまたわがちゝをもにくむなり
24 われもしほかひとざりしわざ彼等かれらうちおこなはざりしならバ彼等かれらつみなからんされわれ吾父わがちゝとをすでかつこれにくめり
25 かくごとき彼等かれら律法おきてゆゑなくしてわれにくめりとしるしことかなはせんためなり
26 われ訓慰師なぐさむるものちゝよりおくらんすなはちゝよりいづ眞理まことみたまなりそのきたるときわがためあかしをなすべし
27 爾曹なんぢらまたわれとともはじめよりをりしによりあかしなすべし


第十六章

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[1] われ是等これらこと爾曹なんぢらかたれるハ爾曹なんぢらつまづかざらんためなり
2 衆人ひとゞゝなんぢらを會堂くわいだうよりしりぞくべしまたすべて爾曹なんぢらころものみづからかみつかふるとおも時至ときいたらん
3 此等これらこと爾曹なんぢらなすちゝわれとをしらざるがゆゑなり
4 われこれを爾曹なんぢらかたれるハときいたりてわれこれをいひこと爾曹なんぢら憶起おもひいださんためなりさきこれ爾曹なんぢらかたらざりしはわれなんぢらとともをりたれバなり
5 われいまわれつかはしゝものゆかんとすされ爾曹なんぢらうちわれに何處いづこゆくたづぬものなく
6 かえっわがこのこといひしによりうれへなんぢらのこゝろみて
7 われまこと爾曹なんぢらつげ我往わがゆく爾曹なんぢらえきなりもしゆかずバ訓慰師なぐさむるものなんぢらにきたらもしゆかバかれ爾曹なんぢらおくらん
8 かれきたらんときつみにつきただしきにつき審判さばきにつきをしてつみありとさとらしめん
9 つみついてといへるはわれしんぜざるによりてなり
10 ただしきついてといへるはわれわがちゝゆくによりて爾曹なんぢらまたわれざれバなり
11 審判さばきついてといえるは斯世このよぬし審判さばきうくれバなり
12 われなほ爾曹なんぢらおほかたべきことあれどもいまなんぢらさとることを
13 されかれすなはち眞理まことみたまきたらんとき爾曹なんぢらみちびきてすべて眞理まことしらしむべしそはかれおのれよりかたるあら其聞そのきゝところこと爾曹なんぢらいひまたきたらんとすること爾曹なんぢらしめすべけれバなり
14 かれわがさかえあらはさんそはわがものうけ爾曹なんぢらしめせバなり
15 すべちゝ
[千八百三十三] 有給もちたまふものは我屬わがものなり是故このゆゑかれわがものうけ爾曹なんぢらしめすといへ
16 しばらくせバ爾曹なんぢらわれをまたしバらくしてわれるべしこれわがちゝゆくなり
17 こゝおい弟子でしうちにて或人あるひとたがひにいひけるはしばらくせバ爾曹なんぢらわれをまたしバらくしてわれみるべしといひかつこれわれはちゝゆくなりと我儕われらいひしはなにことぞや
18 彼等かれらまたいひけるはこのしバらくといひしはなにことぞや其言そのいへところ我儕われらしら
19イエス彼等かれらとはんとするをしりいひけるはしばらくせバわれまたしバらくしてわれみるべしといひ此事このことより爾曹なんぢらたがひにたづねあふ
20 まことまことわれなんぢらにつげ爾曹なんぢらなげかなしよろこぶべし爾曹憂なんぢらうれふつならんされ其憂そのうれへかわりよろこびとなるべし
21 婦子をんなこうまんとするときうれ其期そのときいたるによりてなりされすでうめもとくるしみをわするひとうまれたるによりてなり
22 かくごと爾曹なんぢら今憂いまうれされわれまた爾曹なんぢら其時そのときなんぢらの心喜こゝろよろこぶべし其喜樂そのよろこびうばものあらじ
23 其日そのひなんぢらわれとふところなかるべしまことまこと爾曹なんぢらつげおよ我名わがなよりちゝもとむところのものちゝこれを爾曹なんぢらさづけたまふべし
24 なんぢらいままで我名わがなよりもとめたることなしもとめさらうけしかして爾曹なんぢらよろこ滿みつべし
25 譬喩たとへをもて此事このこと爾曹なんぢらかたりしが譬喩たとへもちゐずして爾曹なんぢらかたちゝついあきらかにしめときいたらん
26 其日そのひなんぢら我名わがなよりもとめわれなんぢらのためちゝねがふといは
27 蓋父そはちゝみづから爾曹なんぢらあいすれバなりこれ爾曹なんぢらわれをあい且父またちゝより我來わがきたりしことをしんずるによる
28 われちゝよりいできたれり復世またよはなれちゝゆか
29 弟子でしかれにいひけるはなんぢいまあきらかにいひ譬喩たとへをいはず
30 我儕われらいまなんぢしらざるところなく且人またひとなんぢとふようなきことをしるこれにより我儕神われらかみよりなんぢ出來いできたりしことをしん
31 イエス彼等かれらこたへけるはいまなんぢらしんずる
32 ときまさにいたらいまいたりぬ爾曹散なんぢらちり各人おのゝゝそのぞくするところゆき
[千八百三十四] たゞわれ一人ひとりのこさんされ我獨われひとりをるにあらちゝわれとともをるなり
33 われ此事このこと爾曹なんぢらかたりしは爾曹なんぢらをしてわれあり平安やすきさせんがためなり爾曹世なんぢらよありては患難なやみうけされおそるゝなかわれすでにかて


第十七章

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[1] イエス此事このこと語畢かたりをはりてんあふいひけるはちゝときいたりぬなんぢなんぢのさかえあらはさんがためなんぢさかえあらはたま
2 これなんぢわれにたまひところものわが永 生かぎりなきいのちあたへんがためすべてものをさむ權威けんゐわれたまひたれバなり
3 永 生かぎりなきいのちとは唯獨たゞひとり眞神まことのかみなるなんぢ其遣そのつかはしゝイエスキリストをしるこれなり
4 われなんぢのさかえあらはなんぢわれゆだねところわざわれこれをなせ
5 ちゝ今我いまわれをしてなんぢともさかえさせたますなは創世はじめのよよりさきなんぢともたもちところさかえさせたま
6 なんぢよりえらびわれたまひ人々ひとゞゝわれなんぢのあらはせり彼等かれらなんぢものにしてなんぢこれをすでわれたま彼等かれらまたなんぢことばまもれり
7 彼等かれらいまなんぢわれたまひもの皆爾みななんぢよりいでしとしる
8 そはわれなんぢわれたまひことば彼等かれらあたへたれバなり彼等かれらこれをうけまた我爾われなんぢよりいでことまことしりかつなんぢわれつかはしゝことをしんじたり
9 われかれらのためいの我祈わがいのるはためあらなんぢわれたまひものためなるのみそれ彼等かれらなんぢものなれバなり
10 すべ我屬わがものなんぢものなんぢのもの我屬わがものなりかつわれ彼等かれらよりさかえうく
11 われいまよりをら彼等かれらにをりわれなんぢいた聖父きよきちゝなんぢわれたまひものなんぢをらしめてこれまもり我儕われらごと彼等かれらをもひとつになしたま
12 われかれらとともありときかれらをなんぢをらしめてこれまもりたりなんぢわれたまひもの我守われまもりしが其中一人そのうちひとりだにほろびたるものなし唯沈淪たゞほろびほろびたりこれ聖書せいしょかなはせんためなり
14 われ
[千八百三十五] なんぢことば彼等かれらさづけたり彼等かれらにくそはわがものあらざるごと彼等かれらものあらざればなり
15 われなんぢ彼等かれらよりとりたまへといのらずたゞかれらをまもりあしきおちいらすなかれといの
16 われものあらざるごと彼等かれらものあら
17 なんぢ眞理まことをもて彼等かれらきよたまなんぢことば眞理まことなり
18 なんぢわれつかはしゝごとわれ彼等かれらつかはせり
19 我彼等われかれらため自己みづからきよむこれ眞理まことより彼等かれらきよめられんためなり
20 われたゞ彼等かれらためにのみいのらず彼等かれらをしへよりわれしんずるものためにもいのるなり
21 ハみなひとつにならんためなりちゝなんぢわれにをりわれまたなんぢにをるかくのごと彼等かれら我儕われらにをりてひとつにならんためかつをしてなんぢわれつかはしゝことしんぜしめんためなり
22 なんぢわれたまひさかえわれかれらにさづけたり我儕われらひとつなるがごと彼等かれらたがひひとつにならんためなり
23 われ彼等かれらをりなんぢわれにをる蓋彼等そはかれらをしてひとつまったくならしめ且世かつよをしてなんぢわれつかはしゝことまたなんぢわれあいするごと彼等かれらをもあいすることをしらしめんとなり
24 ちゝなんぢわれたまひものわがをるところわれともをり我榮わがさかえすなハちなんぢわれたまひものんことをねがふそハ世基よのもとゐおかざりしさきなんぢわれをあいしたれバなり
25 たゞしちゝなんぢしらわれなんぢしるかれらもなんぢわれつかはしゝことしれ
26 われなんぢらの彼等かれらしめせりまたこれをしめさんそはなんぢのわれあいするのあいかれらにをりまたわれかれらにをらためなり


第十八章

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[1] イエス此事このこといひのちその弟子でしともいでケデロンかはわたりそのところにあるそのなか弟子でしともいり
2 イエスわたしたるユダ此處このところしれイエスしばゝゞその弟子でしともこゝあつまりたれバなり
3 此時このときユダ一隊ひとくみ兵卒へいそつ下吏したやくどもを祭司さいし長等をさたちおよびパリサイのひとよりうけたいまつ提灯てうちん兵器へいきたづさへこゝきたれり
4 イエスことおのれおよばんとするをことごとしりいでゝ彼等かれらいひけるハたれたづぬるか
5 かれ
[千八百三十六] こたへけるハナザレイエスなりイエス彼等かれらいひけるハわれそれなりイエスわたししゝユダ彼等かれらともたて
6 イエス彼等かれらむかひわれなりといひたまひけるときかれらたふれたり
7 イエス復彼またかれらにたれたづぬとひたまひしかバ彼等かれらナザレイエスなりいふ
8 イエスこたへけるハわれすでに爾曹なんぢらわれそれなりといへもしわれをたづぬるならば此輩このともがらゆるしさらしめよ
9 これイエスわれたまひもの中一人うちひとりだにほろぶものなしといひことかなはせんためなり
10 ときシモンペテロつるぎおびたりしがこれぬき祭司さいしをさしもべうち其右そのみぎみゝきりおとせりしもべマルコスいふ
11 イエスペテロいひけるはつるぎさやをさめちゝわれたまひさかづき我飮われのまざらん
12 かくくみ兵卒へいそつおよび其長そのかしらユダヤびと下吏したやくイエスとらしばり
13 まづこれをアンナスもと曳往つれゆくかれは此歳このとし祭司さいしをさカヤパ外舅しうとなるによりてなり
14 ユダヤびとはかり一人民ひとりたみためしぬるはえきなりといひしはこのカヤパなりき
15 シモンペテロほか一人ひとり弟子でしイエスしたがへり此一人このひとり弟子でし祭司さいしをさしるところのものにてイエスとも祭司さいしをさにはいり
16 ペテロ門外かどのそとたて祭司さいしをさしるところの弟子出でしいでもんまもしもめつげペテロをともなひいる
17 こゝおいもんまもしもめペテロいひけるはなんぢ此人このひと弟子でし一人ひとりならずペテロしからずといふ
18 僕等しもべども下吏したやくたちさむさよりすみたきそのところたちあたゝまるペテロ彼等かれらともたちあたゝまれり
19 祭司さいしをさイエス其弟子そのでし其教そのをしへのことをたづ
20 イエスかれこたへけるはわれあらはにかたれりわれつねにユダヤびと平生へいせいあつまるところなる會堂くわいだうおよび殿みやにて教誨をしへをなしひそかかたれることなし
21 なんわれたづぬわれ如何いかにかたりしかきけものたづね彼等かれらわがいひところしれ
22 イエス如此かくいひしにかたはらたて一人ひとり下 吏 掌したやくてのひらにてかれうちいひけるは爾祭司なんぢさいしをさこたふるにかくごとき
23 イエス
[千八百三十七] かれこたへけるはもしわがかたりしことよからずバ其善そのよからざるをあかしせよよくなんわれうつ
24 さてアンナスイエスしばり祭司さいしをさカヤパもとおくれり
25 シモンペテロたちあたゝまをりしが或人々あるひとゞゝいひけるはなんぢかれ弟子でし一人ひとりならずペテロうけがはずしてしからずといへ
26 祭司さいしをさしもべうち一人ひとりすなはちペテロみゝそがれしもの親戚しんせきいひけるはわれなんぢがかれともそのありしをしにあらずや
27 ペテロまたうけがはずやがにはとりなきぬ


28 人々ひとゞゝイエスひきカヤパより公廳やくしょゆけときすでに平旦よあけなりき彼等かれら汚穢けがれうけんことをおそれ公廳やくしょいら蓋踰越そはすぎこし節筵いはひしょくせんとすれバなり
29 ピラトいで彼等かれらいひけるは如何いかなるうったへをもて斯人このひとうったふるや
30 人々ひとゞゝこたへけるはかれもしあくなせものあらずバなんぢわたさじ
31 ピラト彼等かれらいひけるハ爾曹なんぢらこれをとりなんぢらの律法おきてしたがひて審判さばきせよユダヤ人人ひとびとかれにいひけるハ我儕われらひところすちからなし
32 これイエス其死そのしなんとするありさまさしかたれることにかなへり
33 ピラトまた公廳やくしょいりイエスよびいひけるハなんぢユダヤびとわうなるや
34 イエスかれこたへけるハなんぢこのこといへるハ自己みづからよるわれついひとつげしによる
35 ピラトこたへけるハわれユダヤびとならんやなんぢくにたみ祭司さいしをさなんぢわれわたせりなんぢなにをなししや
36 イエスこたへけるハ我國わがくにハこのくにあらもしわがくにこのくにならバ我僕わがしもべわれをユダヤびとわたさゞるためたゝかふべしされ我國わがくに此世このよくにならざるなり
37 ピラトかれいひけるハされなんぢわうなるかイエスこたへけるハなんぢいふところのごとわれわうなりわれこれがためうまれこれがためきたれり蓋眞理そはまことについてあかしなさんためなりすべて眞理まこと屬者つくもの我聲わがこゑきく
38 ピラトかれいひけるハ眞理まこと如何いかなるもの此事このこといへのちまたいでユダヤびといひけるハわれ斯人このひとつみあるを
39 こゝ爾曹なんぢらひとつれいあり我逾越われすぎこしいはひ一人ひとりめし
[千八百三十八] うど爾曹なんぢらゆる爾曹なんぢらユダヤびとわうゆるさんことねがふや
40 衆人ひとゞゝまた喊叫さけびいひけるハ斯人このひとあらバラバゆるバラバ盗賊ぬすびとなるなり


第十九章

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[1] 其時そのときピラトイエスとりむちう
2 兵卒へいそつどもいばらにてかんむりあみかれのかうべかぶらしめ又 紫またむらさきうはぎせて
3 いひけるハユダヤびとわうやすかれかくてのひらにてこれうて
4 ピラトまたそといで彼等かれらいひけるハわれかれについつみあるをこれしらせんとて爾曹なんぢら曳出ひきいだせり
5 イエスいばらかんむりをかぶりむらさきうはぎそといづピラト彼等かれらいひけるハこれそのひとなり
6 祭司さいし長等をさたち下吏したやくこれを十字架じふじかつけ十字架じふじかつけよと喊叫さけびいふピラト彼等かれらいひけるハ爾曹なんぢらかれをとり十字架じふじかつけわれかれについつみあるをざるなり
7 ユダヤびとかれにこたへけるハ我儕われら律法おきてあり其律法そのおきてしたがへバかれしぬべきものなりそはかれ自己みづからかみなせバなり
8 ピラト此言このことばきゝ益 懼ますゝゝおそ
9 また公廳やくしょいりイエスいひけるハ爾何處なんぢいづこものイエスこたへせざりき
10 ピラトかれいひけるハわれこたへざるかわれなんぢを十字架じふじかつく權威けんゐありまたなんぢをゆる權威けんゐある此事このことしらざる
11 イエスこたへけるハ爾上なんぢうえより權威けんゐたまはらずバわれむかひ權威けんゐあることなし是故このゆゑわれなんぢわたしゝもの罪尤つみもっとおほいなり
12 此後こののちピラトかれゆるさんとはかしかれどもユダヤびとさけびいひけるハもしこれをゆるさばカイザル忠臣ちゅうしんならずすべ自己みづからわうとなすものカイザルそむものなり
13 ピラト此言このことばきゝイエス曳出ひきいだ鋪石しきいしいへところヘブルことばにてとけばガパダといふところの審判さばきみづかすわれ
14 其日そのひ逾 越 節すぎこしのいはひ備日そなへびにてときおほよ十二時じふにじごろなりきピラトユダヤびといひけるハ爾曹なんぢらわう
15 かれら喊叫さけびこれのぞこれのぞ十字架じふじかつけよといふピラト彼等かれらいひけるハわれなんぢらのわう十字架じふじかつくべけん
[千八百三十九] や祭司さいし長等をさらこたへけるハカイザルほかわれらにわうなし
16 ついピラトかれ十字架じふじかつけしめんとて彼等かれらわたせりこゝおい彼等かれらイエスとり曳往ひきゆけ
17 イエス十字架じふじかおい髑髏されかうべいへところヘブルことばにていへゴルゴタといふところゆけ
18 此所このところにてかれ十字架じふじかつけたりほか二人ふたりものかれととも十字架じふじかつけらる一人ひとり右一人みぎひとりイエスなかをれ
19 ピラト罪標すてふだ十字架じふじかにつけユダヤびとわうなるナザレイエスなりとしるしたり
20 許多おほくユダヤびとこの罪標すてふだよめそはイエス十字架じふじかつけところ京城みやこちかければなりそのふだは、ヘブルギリシャロマことばにてしるしたり
21 ユダヤびと祭司さいし長等をさたちピラトいひけるハユダヤびとわうしるなかみづかユダヤびとわうなりといひしとしるすすべし
22 ピラトこたへけるハ我書わがしるしゝところすでにしるしたり
23 兵卒へいそつどもイエス十字架じふじかつけのちその上衣うはぎをとりよつわけおのゝゝそのひとつとりまた裏衣したぎとれ此裏衣このしたぎぬひめなくうへよりまったおれるものなりければ
24 たがひいひけるハこれさかずしてたれものにならんかくじにすべし聖書せいしょ彼等かれらたがひに我衣わがころもわけわが裏衣したぎくじにすといひしにかなはせんためなり兵卒へいそつどもすで此事このことなせ
25 さてイエスはゝはゝ姊妹しまいおよびクロパつまマリアまたマグダラマリアその十字架じふじかかたはらたて
26 イエスはゝあいするところ弟子でしかたはらたてるをはゝいひけるハをんなこれなんぢのなり
27 また弟子でしいひけるハこれなんぢのはゝなり是時このときその弟子でしかれをおのれいへ携往つれゆけ
28 かくイエスすべてことすでをはれるをしり聖書せいしょかなはせんため我渴われかわくといへり
29 此處このところ滿みちたる器皿うつはありしかバ兵卒へいそつども海絨うみわたひた牛膝草ヒソプつけ其口そのくちあた
30 イエスうけのちいひけるハ事竟ことをはりかうべたれれいわたせり
31 是日このひ節筵いはひ備日そなへびなり此安息日これあんそくにちなればしかばね十字架じふじかうへおくことをこのまざるがゆゑユダヤびとピラト
[千八百四十] むかひかれらのあしおり其屍そのしかばね取除とりのぞくことをねがへり
32 こゝおい兵卒等へいそつどもイエスとも十字架じふじかつけられしもの一人ひとりあしさきにをりつぎ亦一人またひとりあしをり
33 のちイエスきたりしにすでしにたるを其脛そのあしをらざりき
34 一人ひとり兵卒戈へいそつやりにて其脅そのあばらつきければたゞちみづ流出ながれいでたり
35 これ者證ものあかしたつそのあかしまことなりかれまたみづかいふところのまことなるをしる爾曹なんぢらをしてしんぜしめんがためなり
36 この事成ことなれしるして其骨そのほねひとつをもくだかざるべしとあるかなはせんためなり
37 またほかふみ彼等かれらさしもの彼等觀かれらみるべしといへ


38 是後このゝちアリマタヤヨセフいへものにてさきユダヤびとおそれひそかイエス弟子でしとなれるものイエスしかばねとらんとてピラトこふピラトこれゆるしゝによりきたりて其 屍そのしかばねとれ
39 またさき夜間よるイエスきたりニコデモといふ人沒薬ひともつやく蘆薈ろくわいまぜおよそ百斤ひゃくきんばかり携 來たづさへきた
40 彼等かれらイエスしかばねとりユダヤびとはうむりならはししたがこれぬのかうにてつゝめ
41 さて十字架じふじかつけ其近傍そのあたりそのありそのうちいまひとはうむりしことなきあたらしはかあり
42 是日このひユダヤびと節筵いはひ備日そなへびなり又墓近またはかちかかりければ其處そのところイエスおけ


第二十章

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[1] 一週ひとまはりはじめあさいまだくらきうちにマグダラマリアはかきたりいしはかより取去とりのけありしを
2 つひシモンペテロまたイエスあいせしところ弟子でし趨往はしりゆきいひけるハはかよりしゅとりものあり我儕われら何處いづこおきしや其處そのところしら
3 ペテロ彼一人かのひとり弟子でしいでゝはかゆく
4 二人ふたりともにはしほか弟子でしペテロより疾趨とくはしりさきはかいたり
5 かゞみしかばねつゝみぬのおけるをたれどもいら
6 シモンペテロかれおくれきたはかにいりつゝみぬのおけるをたり
7 そのかうべつつみ手巾てぬぐひしかばねつつみぬのともおかはなしほかところたゝみおけ
8 こゝおいさきはかきたれるほか弟子でしいりこれをしんぜり
9 しるして
[千八百四十一] エスよりよみがへるべきことあるを彼等かれらいまだしらざるなり
10 かく弟子でしおのれ宿やどかへれり
11 マリアはかそとたちなげきつゝはかにむかひかゞみ
12 二人ふたり天 使てんのつかひしろきころもイエスしかばねおきたりしところかうべかた一人坐ひとりざをるたり
13 天 使てんのつかひかれにいひけるハをんななんなげくやかれこたへるハ我主わがしゅとりものあり何處いづこおきしかをしらざれバなり
14 如此かくいひて反顧ふりかへりイエスたちしをされどもイエスなることをしら
15 イエスかれいひけるハをんななんなげくやたれたづぬるかマリアそのまもひとならんとおもかれいひけるハきみなんぢもしかれ轉移はこびうつしゝならバ何處いづこおきしかわれつげわれこれをとるべし
16 イエスかれマリアよといふをんなかへりみてかれにラボニといへこれとけ夫子ふうしなり
17 イエスかれいひけるハわれさはることなかわれいまだ我父わがちゝのぼらざれバなりわが兄弟きゃうだいゆきていへわれ我父わがちゝすなハち爾曹なんぢらちゝわがかみすなハち爾曹なんぢらかみのぼると
18 マグダラマリアしゅしことゝしゅ如此かくおのれに言給いひたまへるといふこと弟子等でしたちゆきつぐ


19 此日このひ暮時くれがたすなハち一週ひとまはりはじめ日弟子等ひでしたちユダヤびとおそるゝによりあつまれるところかどとぢおきしがイエスきたり其中そのうちたちかれらにいひけるハ爾曹安なんぢらやすかれ
20 如此かくいひしのちそのあばら彼等かれら弟子でしたちしゅよろこべり
21 イエスまた彼等かれらいひけるハ爾曹安なんぢらやすかれちゝわれつかはしゝごとわれ爾曹なんぢらつかはさん
22 如此かくいひしのちいきふき彼等かれらいひけるハ聖靈せいれいうけ
23 なんぢらたれつみゆるすとも其罪そのつみゆるされたれつみさだむるとも其罪そのつみさだめらるべし
24 イエスきたりしとき十二じふに弟子でし一人ひとりなるデドモとなふトマス彼等かれらともをらざりき
25 是故このゆゑほか弟子でしかれにいひけるハ我儕主われらしゅたりトマス彼等かれらいひけるハわれもし其手そのてくぎあとわがゆびくぎあとさしわが其脅そのあばらさすあらずバしんぜじ
26 八日やうかすぎのちまた弟子でしたちいへうち
[千八百四十二] をりけるがトマス彼等かれらともをれかどとぢたるにイエスきたり其中そのうちたちいひけるハ爾曹安なんぢらやすかれ
27 つひトマスいひけるハなんぢゆびこゝのべ我手わがてなんぢののべ我脅わがあばらにさせしんぜざるなかしんぜよ
28 トマスこたへかれいひけるハ我主わがしゅ我神わがかみ
29 イエスかれいひけるハなんぢわれをしによりしんずしてしんずるものさいはひなり
30 此書このふみしるさゞるほかなほ許多おほく奇跡しるしイエス弟子でしまへにてなせ
31 此書このふみしるせるハ爾曹なんぢらをしてイエスかみキリストなることしん其名そのなより生命いのちさせんがためなり


第二十一章

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[1] 此後このゝちイエスまたテベリアみづうみにて弟子等でしたちおのれあらはせり其現そのあらはせることごと
2 シモンペテロデドモいへトマスおよびガリラヤカナナタナエルゼベダイ子等こたちまたほか二人ふたり弟子でしともにあり
3 シモンペテロ彼等かれらいひけるハ我 漁われすなどりゆか彼等かれらいひけるハ我儕われらともゆか彼等かれらいでゝふねのりしが此夜このよなに所獲えものなかりき
4 すであけたるにイエスきしたてされ弟子等でしたちそのイエスなることしら
5 イエス彼等かれらいひけるハ小子をさなごどもよ食物しょくもつあるや彼等かれらこたへけるハなし
6 イエス彼等かれらいひけるハあみふねみぎうた所獲えものあらんついあみをうつうをおほきにより曳擧ひきあぐることあたハず
7 こゝおいイエスあいせしところ彼弟子かのでしペテロいひけるハ是主これしゅなりシモンペテロしゅなりときゝはだかなりしがころもをつけおびしてうみ投入とびいり
8 ほか弟子等でしたち小舟こぶねにてうをいりたるあみひきいたれり蓋岸そはきしさることとほからず五十間許ごじっけんばかりなりければなり
9 きしつきしに炭火すみび其上そのうへのせたるうをおよびパンあるをたり
10 イエス彼等かれらいひけるハ今獲いまとりところうをすこ携來もちきた
11 シモンペテロふねにゆきあみきし曳 來ひききたりしに其網そのあみなかおほいなる魚百五十三尾うをひゃくごじふさんびいりたり如此かくおほかりけれどあみやぶれ
[千八百四十三] ざりき
12 イエス彼等かれらいひけるハきたりしょくせよ弟子でしたちあへかれなんぢたれなるとたづぬることをせずしゅなりとしればなり
13 イエスきたりてパンをとりかれらにあたうををもまたそのごとくせり
14 イエスよりよみがへりしのちおのれ弟子等でしたちあらはせること是三次これみたびなり
15 さてかれらしょくしてのちイエスシモンペテロいひけるハヨナシモンなんぢこれらのものまさりわれあい
16 また二次ふたたびかれにいひけるハヨナシモンわれあいするかれいひけるハしゅしかりわがなんぢあいすることハ爾知なんぢしれイエスかれいひけるハ我羊わがひつじかへ
17 三次みたびかれにいひけるハヨナシモンわれあいするペテロ三次みたびわれをあいするいはれしによりうれかくこたへけるハしゅしらざるところなしわがなんぢをあいすることハ爾知なんぢしれイエスかれいひけるハ我羊わがひつじかへ
18 まことまことなんぢつげなんぢいとけなきときみづからおびこころまかせて遊行あるきおいてハのべ人爾ひとなんぢくゝこころかなはざるところ曳至ひきいたらん
19 如此かくいへるハ其如何そのいかなるにてかみあがめんといふことしめしたるなりこれいひのちまたかれいひけるハわれしたが
20 ペテロ反 顧ふりかへりイエスあいせし弟子でししたがへるをみるこの弟子でししょくするときイエスむねよりしゅわたものたれぞやととひ弟子でしなり
21 ペテロこれイエスいひけるハしゅ斯人このひといかに
22 イエスかれいひけるハわれもしかれながらへ我來わがきたるをまつのぞまなんぢなにかゝはりあらんやなんぢわれしたが
23 こゝおい此言兄弟このこときゃうだいうちつたはりて此弟子死このでししなずといへされどもイエスペテロかれしなずといひしにあらわれもしかれながらへて我來わがきたるをまつのぞまなんぢなにかゝはりあらんいひしなり
24 此等これらことについてあかしをなしまたこれをしるしゝもの其弟子そのでしなり我儕われらそのあかしまことなることしれ
25 イエスなしこと此等これらほかになほ許多あまたありもしこれを一々いちゝゝしるしなバ其書そのふみこの
[千八百四十四] 載盡のせつくすことあたはじとおもなりアメン




新約全書約翰傳福音書 終